太陽光発電(蓄電池のエネルギー密度)


ホームセンターでは練炭や豆炭、コンロなどは昔から売っていましたが

最近、これらに薪ストーブが加わりました。


電力使用量が減少していく中で、いろいろな種類の暖房機器類が登場する

のは大変好ましいことです。燃料の薪も売ってはいますが放置された間伐材や

廃材に恵まれている人にとっては燃料代が無料で快適な暖房ができるので

うらやましい限りです。


おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行く時代の到来です。


太陽光発電も燃料代は無料になるので急速に普及していますがメガソーラーは

売電目的の営業行為。万年赤字のゴルフ場や広大な遊休地を持っている企業なら

この不況下に、毎年億単位のお金を稼ぎ出すありがたい存在になっています。


個人のレベルでも小型のソーラーパネルとバッテリーがあればLED電球程度なら

一晩中あかあかと照らすことができるので急速に普及しています。


業者まかせで屋根にソーラーパネルを取り付ければ百万円単位のお金が必要ですが

趣味で細々とやる自作派にとっても少ない費用で毎年数万円の電気代が節約できる

のは大きな魅力です。


そしてここで問題になってくるのが蓄電装置です。

たとえば、クルマの場合ならガソリンスタンドで満タンにして50リッターを

給油した場合、カーバッテリーで同じエネルギーを出そうとすれば、なんと

12トンもの電池を積み込む必要があります。


ガソリンのエネルギー密度が1万Wh/Kg以上はあるのに対し、カーバッテリーなら

わずかに50、リチウムイオン電池でさえ高性能なものでも200を切ります。

これでは話になりません。


さらに加えるならば、カーバッテリーにしても同じ鉛電池のディープサイクル

バッテリーにしても放電深度というものがありまして、容量いっぱいに使い込んで

しまうと充電ができなくなったり、バッテリーの寿命を著しく縮めてしまいます。


1000回以上の充放電に耐えるようにするには放電深度を50パーセント以下にする

必要があり、これらを考慮すると実に24トンもの電池が必要になってきます。

電気自動車で長距離ドライブに出かける場合は、蓄電池を満載した大型トラック2台に

同行してもらう必要があります。


リチウムイオン電池の能力が優れているといっても、せいぜい鉛電池の数倍程度。

長距離ドライブは無理で、バッテリーパックも百万円以上はする高価なものです。


その点、鉛電池は安価な密封型MF(メンテフリー)が多くなり、性能も向上し

しかも残容量を表示するインジケーターまで付いています。

実際には残容量ではなく単に電圧を大まかに測るだけの機能しか持っていません。


高価なバッテリーになると、そのものズバリ、小さな簡易電圧計が内蔵されている

ものもあります。価格が高いだけで、小さな親切大きなお世話と言えるでしょう。


エネルギー密度は電池の能力をあらわし、CCA(コールドクランキングアンペア)は

電池の性能をあらわすと覚えておけばいいでしょう。


CCA値は電池の大きさに比例して大きくなるので誰にでもわかることです。

30A19=210

40B19=270

85D23=530

115D31=740


エネルギー密度はガソリンや軽油、灯油に比べると、2次電池は桁外れに小さく、

ドングリの背比べといったところでしょうか。

技術革新で能力は毎年アップしていますがせいぜい2~3割程度です。

ニッカド=42

ニッケル水素=60

鉛=50

ニッケル鉄=60

ニッケル亜鉛=75

亜鉛臭素=80

ナトリウム硫黄=120

常温型リチウム=80

高温型リチウム=105

リチウムイオン=130

金属(アルミ)空気=170

これらは重量あたりのエネルギー密度ですが、体積あたりの比較では大きい順に

高温型リチウム=235

ニッケル水素=200

常温型リチウム=150

ニッカド=135


このほかの比較方法に重量あたりの出力密度もありますが似たようなものです。

ラジコンでニッカドがしぶとく生き残っている理由はこれで理解できます。


経済面や資源面からとらえると、ニッケルやカドミウムは高価、特にカドミウムは

環境汚染物質に指定されています。

リチウムは資源に制約を受けています。


これらを一気に解決してくれるのが電気二重層キャパシタなのですが、残念ながら

エネルギー密度がまだ一桁のレベルです。

スーパーキャパシタと呼ぶ人もいますが、これはNECトーキン製を意味します。


エアキャップが宇部興産製の空気緩衝材を意味するのと同じで、メーカー指定に

なってしまいます。同等品をつくっている他のメーカーが気の毒になってきます。


そのようなわけで、何を何時間使用するのかで蓄電池の容量が決まってきます。

たとえば、消費電力が30Wのルーターを24時間、すなわち、すべて太陽電池で

まかなうのであれば、1/3C(キャパ)を使うとして、2160Wもの蓄電池容量が

必要になってきます。容量の半分の1/2Cまで使うとすれば1440Wになります。


したがってソーラーパネルの発電量も300Wは必要なのですが、雨やくもりの日も

考慮しなければなりませんので400Wは欲しいところです。


平均的な家庭であれば、月に電力を333KWは使用するので、蓄電池の容量は25kw、

ソーラーパネルは4kwということになります。


家電量販店などですべてを業者まかせにすれば500万円はとられるでしょう。

費用の7割はリチウムイオン蓄電池が占めます。

無い知恵を絞って、ネットでさがしまくり、工夫に工夫を重ね、パネル設置や

配線を自分でやれば、蓄電池はすべてディープサイクル鉛電池になりますが、

100万円程度でしょうか。調べてみたところ、パネルも蓄電池も価格の下落が

激しく100万円でおつりがくる可能性もあります。

自作の場合は鉛電池ということもあって蓄電池の占める費用は1/3になります。


もちろんパワーコンディショナーやインバーターを含んでの価格です。

ただし、ここまでやるとすれば配線工事には資格が必要になってきます。

そして元を取るのに電気代が現状のままであったとすれば12年はかかることに

なります。


電気料金は将来上がり続けるでしょうから7~8年が妥当でしょうか。

ヨーロッパでは電力自由化によって、電気料金が2~3倍になっていますから

もしそうなれば5年です。30万程度の費用がかかった蓄電池が寿命をむかえる

時期で、その頃には台湾のメーカーが開発した酸化鉄リチウムイオン電池が

鉛電池の価格帯にまで下がっている可能性もあり楽しみです。

酸化鉄リチウムイオン電池は今は価格が鉛電池の価格は10倍もしますが、

寿命は13年もあるので今でも十分に魅力的です。


ソーラーパネルも同様で、アメリカ製のフレキシブルパネルなら軽量で

毛布やシーツを扱う手軽さでアウトドアにはもってこいです。

インドアでもベランダから垂らしたり、物干しに干す感覚で使用できます。

価格は中国製の2倍のワットあたり300円はしますが、国産のパネル400円よりは

割安です。こちらも現在においても十分に魅力的です。


というような状況ですので、100Wか200W程度のソーラーパネルで、2000W程度の

蓄電池で部分的に自家発電をやるのが現実的といえるでしょう。

費用もソーラーパネルと蓄電池で4万円以下ですみます。

徐々に増設していけば毎月数千円の負担ですみます。


LED電球6Wなら1ヶ月間無充電で夜間の照明を補ってくれますし、

通常の充放電の繰り返しなら電気毛布や電気背もたれ、電気スリッパ、

電気チョッキなどの暖房機器、ノートパソコン、小型液晶テレビ、ラジカセ、

さらに、ラジコンや鉄道模型など趣味の分野も電力会社のお世話にならずに

すみます。ヒーター類など数百ワットの機器類は避けた方がいいでしょう。


蓄電池というのは人体の組織と似たところがあって、使用しなければ退化し

電圧が11Vを切れば補充充電をしてやらないと死んでしまいます。(自然放電)

食べ過ぎれば寿命を縮めます。(過充電)

使いすぎると疲労や過労状態になり早死にします。(過放電)


丈夫で長持ちさせるには、フロート充電とかトリクル充電と呼ばれている

微弱電流を絶えず蓄電池に流し込んでおくことで、雨の日や曇りの日は

ソーラーパネルは微弱電流を蓄電池に充電してくれます。


そして、放電も4Wか6W程度の小電流を流しっぱなし、つまりLED電球を

つけっぱなしにしておくと蓄電池は長持ちします。

そのためには蓄電池の容量がキロワットは必要になってきます。


最後に最近10年間の世界のエネルギー需要を調べてみました。

西暦2000年から2010年の10年間ですので東日本大震災直前のデータになります。

単位はEJエキサジュールです。WBGUより。新規のエネルギー供給源です。

石油=164から52に、1/3以下に激減

石炭=98から4に激減

天然ガス=96から165に、化石燃料では唯一の増加

原子力=9から0(ゼロ)に

水力=9から15に

旧バイオマス=20から5に

新バイオマス=20から100に

風力=0.13から135に、ほとんど千倍になっています

太陽光発電=0.01から1040に、10万倍を超えています

太陽熱=3.8から45に、12倍になっています

地熱=0.3から30に、100倍になりました


水力や地熱は環境破壊に直結します。

東日本大震災は不幸な出来事でしたが、日本人のエネルギーに対する考えを

一変させてくれました。危うく世界の孤児になるところでした。



























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最終更新:2012年12月09日 23:17