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埃と黴と古いインクの匂いが混じり合った独特の香りが漂う薄ら暗い図書室。
そこで二人の男女が荒々しい呼吸を繰り返しながら激しく交わっている。
シンプルなデザインのセーラー服を着た女は一つの机に手を付き、長い丈のスカートをめくり上げることで白い尻と己の恥部を露にしていた。
対して、ジャケットを脱いだワイシャツ姿の男はズボンのファスナーから取り出した剛直な肉刺で女を後ろからずんずんと責め立てるように貫いている。

「あ、は、やぁあっ! もっとぉ……もっとしてぇ!」

雄々しく反り立った男の肉棒が娼婦のそれのように熱く湿った女の女陰をがつがつと責め立てると、女の細い喉からはきゃんきゃんと甲高い仔犬の叫び声のような嬌声が淫靡な響きを持って静かな図書室の中を木霊する。
男が腰を柔らかい尻に打ち付ける度に女の肉壷からねっとりとした愛液が溢れ出ては太股を伝ってしたたり落ち、赤いカーペットに染みを作っていく。

「くっ……ははっ! 雌犬の貴様にはお似合いの格好だ!」

「んっ、んっ! そんっ、なことぉ……言わないで、下さひっ!」

男がサディスティックな笑みを口元に浮かべながら罵倒すると、女は羞恥に顔を赤く染めながらも、興奮と快感によってマゾヒスティックなだらし無い笑顔を浮かべていた。
そんな彼女の後頭部から伸びる二房の三編みを男の手綱のようにむんずと掴み、自らの方へと引き寄せる。
がくんと強制的に上を向かされた彼女の白い頬は自身の唇から零れた唾がてらてらといやらしく濡らしていた。

「こんなにされて感じるとは……とんだ淫婦だ、な!」

「あぁっ、ぉ、はぁぁっ!」

気合いの声と共に女の膣内へと、より一層深くまで叩き込まれた肉棒の感触に女は目の淵から涙を流しながら獣のような声を漏らす。
男の言葉通り、女性としての尊厳を踏みにじられているというのに女の体は乱暴にされればされるほど快感に震え、生娘のように男の肉刺をぐいぐいと締め付けて止まない。
その反応に男は蔑むような笑みを口元に浮かべながら腰を振る速度を上げて、ラストスパートと言わんばかりの加速を見せる。

「ハッ、ハハハ! そろそろ、俺の子種を飲ませてやろう! せいぜい俺のような卓越した人間に抱かれることをありがたがって絶頂しろ!」

「は、はひぃ! いきましゅ、びゃくやしゃまの、しぇいえきでいきましゅうう!」

そして、充血した男の分身から白濁した液体が女の女陰へと大量に

.....

...

.

「なんなんだ……コレはッ!?」

図書室の隅で十神白夜は心底、不愉快そうな表情でびっしりと文字が書き込まれた原稿用紙から視線を引きはがすようにしながらギリギリと奥歯が削れそうな勢いで歯噛みする。
十神が手にし、つい先程まで一心不乱に読み耽ってしまったものは何の変哲もない数枚の原稿用紙の束。
これは彼が朝食に誘われたものの、脳天気で無能な(少なくとも彼よりは)連中と仲良しごっこをするつもりには到底なれず、図書室で蔵書を漁りながら適当に時間を潰そうとしていた所、テーブルの隅にポツンと取り残されていたものだ。
そして、その内容は

「……官能小説、だと……?」

二人の男女が濃密な性交を交わしている情景を描写している小説だった。

普段の彼ならば、下劣極まりないと一蹴し、手に持った原稿用紙を一瞬の内にびりびりに破り捨て、無数の紙片にしていただろう。
しかし、十神は未だに紙面から目を離す事もできなかった。

「…………」

まるで原稿用紙に引力が働いているかのように彼の目線は升目に刻まれたインク達へと吸い寄せられる。
描写、台詞、文体など全ての要素が彼の脳裏で文字から彼が持つ想像力に寄って、質量と熱量すら感じられそうなほどにリアルで生々しい映像へと変換された。

「……くそッ!」

その想像で男性が自分に、女性が腐川冬子になっていることに不快感と微かな動揺を抱き、思わず噛み締めた奥歯の隙間から悪態が飛び出る。
人物の描写や女が喘ぎ声の中に織り交ぜるように口にする男の名前など、この男女のモデルは十神と腐川であることは明らかであった。
作者もそれを読者に隠そうともしていない、いや、むしろ十神と腐川の二人がモデルであることを感じ取って貰おうという意図すらありありと伝わってくる。
そんな作者の意図を理解してはいるものの、抵抗できずに読み進めてしまうこと。それから、下劣極まりない官能小説で胸の中に微かな興奮を覚えていることに十神は苛立ちと怒りを禁じ得ない。

「…………」

自らの脳裏に蘇る腐川の肉の滑らかな感触、馨しい匂い、ほんのりと伝わった温度を以前とは違い、この小説のように蹂躙する想像。
それは十神が遺伝子レベルでの王者であり、絶対的な勝者であり、そして何よりも生粋のサディストであることを鑑みれば、このいかにもサディスティックな香りのする小説に劣情を覚えることは無理もないことではあろう。
それ故にプライドの高い彼は作者の想像通りに興奮を覚えてしまった己と、何よりもこんなものを書いた作者自身に沸々と沸く怒りを抑え切れない。
そこでふとした疑問が十神の脳裏に生じた。
この小説を書いた人間が誰かということだ。
紙の状態から見るに、それほど昔に書かれたものではない。せいぜい二、三日ほど前に書かれたものだろう。
外部から持ち込まれたものではない。鼠一匹通す隙間もないこの密閉された学園に何者かが侵入してくるとは考えられない。
だとするならば、この小説を書いた作者は学園内部に居る者ということになる。

彼の常人とは比べ物にならないほどに聡明な頭脳が高速で回転し、犯人の推理を始める。
『超高校級の幸運』や『超高校級の占い師』など、希望ヶ峰学園に在籍する生徒の顔が浮かぶが、彼らがこれほどのものを作ることができるとは些か考えにくい。
そもそも、こんなものを作る動機すら彼らにありはしないだろう。よって容疑者からは外される。
次に『希望ヶ峰学園の学園長』であるモノクマ。あの性悪なふざけたぬいぐるみならば、以前の十神と腐川の情事を監視カメラを用いて覗き見、それをネタに十神か腐川のどちらかに何かしらのアクションを、
例えば『殺人』を起こさせる為のきっかけとして、この小説を書き起こし、十神と腐川の目に留まり易い図書室へ、まるで罠のように設置したのではないか?

「……いや」

頭を横に振るようにして十神は浮かんだ考えを否定する。
彼にはモノクマごときに十神の視線を奪い取って離さないような小説を書ける筆力があるとは思えない。また仮にモノクマが小説を書いたとしたならば、あの性悪な学園長のことだ。
以前、十神がジェノサイダーに無理矢理犯されたように、できる限り彼の高いプライドを存分に踏みにじり、神経を逆撫でするような作品を書く筈であろう。
つまりモノクマも容疑者からは外される。

「…………」

だとするならば、このいかがわしい官能小説を書いた犯人は誰なのか?
十神の視線を奪い取るほどの筆力を持ち、その小説を書く動機のある人間。それに思い当たる人間を十神は唯一人しか知らなかった。

「…………」

彼は図書室の扉へつかつかと足音高く歩み寄ると、ドアノブを握り、勢い良く扉を手前に引く。

「んぎゃっ!?」

素っ頓狂な声をあげながら、蹴つまずくように一人の少女が室内へと転がり混んできた。

「びゃびゃびゃ、っびゃ白夜さま……」

その少女、『超高校級の文学少女』こと腐川冬子はずり下がった縁なしの丸眼鏡を元の位置に直しながら恐る恐るといった様子で傍らに立つ十神を見上げ、彼の手に握られた原稿用紙に目をやった途端に、さっと顔色を青に変える。

「そ、それはその、ちち、違うんですよ!? それは、その、何て言うか」

「……ふん」

そんな腐川に対して、十神は不遜な態度を崩さず、床に這いつくばった状態の彼女へと手に持った原稿用紙の束を割と勢い良く投げ付けた。
ばらばらと己の身に振り掛かる自らが書き上げた紙の数々に彼女は怯んだように身を竦ませる。

「ひっ!」

うっすらと涙を浮かべる目。頭を庇うように掲げられた細い腕。身を竦ませた際に捲れたスカートから覗く白い太股。みっともない程に震える全身。
それらが十神の気管をじりじりと焦がすような劣情と嗜虐心に火を付けた。
彼は唐突に手を伸ばし、腐川の胸倉を掴んだかと思うと、グイと引き寄せ、半ば強制的に立ち上がらせる。

「何故、こんなものを書いた?」

「あ、あの……ご、ごめ……」

「黙れ。お前の臭い口から発せられる謝罪の言葉を俺は求めていない」

顔色が既に青を通り越し死人のような蒼白になった腐川が発する言葉を十神は険しい顔で遮り、更に責め立てるように彼女を問い詰めていく。

「肉欲に縛られた愚民らしいじゃないか。妄想の中とは言え、勝手に俺を相手に性交だと? 恐れ多いとは思わなかったのか。この恥知らずめ」

「あ、あうぅ……」

彼に罵倒される度に先程までは蒼白だった腐川の顔色が見る見る内に紅潮していく。
それはまるで、今現在足元に散らばる彼女自身が書き上げた官能小説の中で、なじられながらも快感を感じ続けている少女の姿そのものだった。
胸倉を捕まれているというのに、もじもじと怪しい身動きを始めた腐川に十神は冷徹な視線を向けながら口角を笑うように吊り上げる。

「とことん変態だな。胸倉を捕まれて罵倒されていると言うのに、まさか感じているとは」

「そ、そんなことは……!」

「なんだ? 違うとでも言うつもりか?」

「…………」

否定できずに思わず視線を床に這わせた彼女に対し、十神は最高にサディスティックな笑みを浮かべながら、ようやく、彼女の本心を突いた。

「お前はこの小説のように俺に犯されたいのだろう?」

「…………」


十神の問い掛けに、胸倉を捕まれたままの腐川は真っ赤な顔で戸惑うように視線をさ迷わせた後に、犬が主人の顔色を窺うように恐る恐る彼の目を覗き見つつ、ゆっくりと首を縦に振る。
彼の目には激しい嗜虐と劣情の炎が、彼女の目には妖しい被虐と期待の炎が揺らめくように燈っていた。

. . . . .

. . .

.

つい先程、時間にしてみればほんの半刻ほど前に行為を終えたばかりだと言うのに、腐川のそこは既にしっとりと濡れそぼり、彼の熱く激しい寵愛を受け入れる準備を完全に終えていた。

「ぁ……」

十神の細い指がほのかに盛り上がった腐川の恥丘をするりと滑るように撫でると彼女の口からは溜息とも取れそうな弱く、切な気な吐息が体の芯からほろりと漏れ出る。
その勢いのまま、十神の指は彼女のひっそりと潤む淫唇を絶妙の力加減で弄ぶと、そこからはちゅぐちゅぐと淫らな水音が響く。
その度に腐川は夢でも見ているかのような蕩々とした表情で小刻みに震える唇から吐息を連続して吐き出していた。

「ふぁっ……! んっ、ぁ……びゃくや、さまぁっ!」

愛しい彼の名前を弱々しく囁きながら、腐川は十神に愛撫されるのは今回が初めてであることを、薄ぼんやりと靄が掛かったような意識の中で思い出す。
最初に体を重ねた『あの日』には十神はジェノサイダーの手によって拘束されていて手を動かすこともできなかった。
それ以降の行為でも彼が二、三話し掛けるだけで腐川のそれは瞬く間に潤い、愛撫の必要性などありはしなかった。
今回も腐川の女陰は十神に触れられる前から潤っていたが、それでも彼は今回に限り、敢えて彼女の敏感なそこにそっと触れたのだ。
その行動が彼なりの気遣いか、それとも単なる気まぐれの産物なのか。腐川に判断することはできない。

「…………」

「んんっ……はぁあっ!」

彼女にとって最大限の幸福と取れる十神の命令と現在進行形で行われている最高の至福と取れる愛撫の両方によって、浅く短い絶頂を連続的に迎え続けているせいか、びくびくと痙攣するように跳ねる腐川の体。
それを十神は片手で執拗に愛撫を続けながら、もう片方の手で抑え込むように抱きしめる。
ほんの少し力を込めれば簡単に折れてしまいそうなほどほっそりとしているのに、筋肉が少ない女性特有の肉感的な柔らかさを持ち、そんな柔らかさの中に若さと張りを秘めた腐川の婀娜っぽい体。
それを自らの腕一本の中に納めている現状に、十神の体の奥で仄かに滾る情欲がゆるりと首を擡げた。
耳障りな程に脈動する心臓から猛烈な勢いで次々に送り出される興奮を乗せた血液は十神の体中をあっという間に駆け巡り、彼の分身へと辿り着くと、男の象徴たるそれをじくじくと屹立させる。
色白な彼の肌の中でそこだけが赤黒く充血した太い血管に覆われてびくびくと脈打ち、グロテスクでいながら、どこか目を背けられない魅力を持ちながら淫靡に光を反射していた。

「っびゃ、くや、さまぁ……」

ふるふると頼り無さ気に震える唇から愛しい十神の名前を搾り出すように呼ぶ。
今だけは誰よりも近くに居る、永遠に誰よりも愛しい彼の名前を呼ぶ。
十神はそれに応えない。ただ彼女の青みがかった灰色の瞳の奥を澄んだ、それでいながら深遠なグレーの眼差しで見詰めるだけである。
それだけで彼女は幸福であった。
あまつさえ、これから始まるのは鬱屈したストレスを吐き出すためのものでも、情欲に突き動かされたためのものでもない。子を成すためのものだ。
彼の子を授かるというこの上ない幸福を享受できることに、腐川の眼から溢れた一雫の嬉し涙が頬を走る。彼女は心より安らぎながら、そんな泣き笑いのような表情を浮かべていた。

「……来て、ください。白夜様」

「っ……」

くにゅり、と赤黒く、はち切れんばかり怒張した十神の亀頭が腐川の淫唇に押し付けられると、彼女は僅かに身じろぎしながら小さな声を漏らした。

「んっ……あっ……」

腐川が堪えるような声を鼻から漏らす度に、彼女の女陰はあてがわれているだけの彼の肉棒をほんの少しずつ、自らの力で吸い寄せるように誘っていく。
くにくにと淫らに波打つ媚肉が徐々に徐々に、十神の亀頭を引き寄せながらくわえ込む。
腐川の意識はまどろみの中で漂っているように曖昧でいながら、脳の奥をやんわりと締め付けられるような興奮と息苦しさを感じていた。

「っあぁ……」

亀頭の先端が半分ほど肉壁に埋まった辺りで腐川は瞼を閉じる。
その身は快感によってふるふると弱々しく、生まれ立ての小鹿のか如く小刻みに震えており、閉じられた眼の淵にはうっすらと涙が溜まっていた。
彼女は何かを堪えるように緩く噛み締めた歯の間から細く、長く、息を吐く。

「…………」

妙に婀娜っぽいその様は十神の快感を加速させるに足るものだったようで、

「っ!」

「ひぐぅっ!?」

焦らしに耐え兼ねたように力強く腰を前に押し出し、先端の半ば辺りまでしか挿入されていなかったそれを一息に彼女の肉壷の最奥へと侵入させた。

「っい、ひ、っああああああああああっ!!」

己の体を押し分ける今までとは段違いの快感が一息に彼女へと襲い掛かり、まどろみの中から一気に引き戻された腐川が取った最初のリアクションは絶叫と一瞬の硬直。
続いて体を限界までのけ反らせるようにしながら全身を尋常ではない速度で痙攣させ始めた。

「っぐぁ、ぁっあひ、あああああああああぁっ!」

普段から感じやすく、アクションも大きい彼女ではあるものの、些か激しすぎるその動きと叫び声に流石の十神も不安と戸惑いを抱いた。次の瞬間。

「ぐっ……!?」

「い、いやぁっ! 見ないでぇ! 見ないで下さひぃ! っひ、いやあぁ!」

腐川が顔を背けたと同時に、彼女の秘所が十神の陰茎を食いちぎらんばかりに締まり、二人が結合した部位から暖かく湿った感触が広がっていく。
その感触の正体は彼女の尿道口から発された、ぬめりのある愛液とも、アンモニア臭のある尿とも違う、透明な液体。

「し……潮、だと?」

「~~ッ!」

未だにがくがくと震える腐川の尿道から勢い良く吹き出す潮流は十神の下腹部を汚し、己の恥毛を濡らし、シーツの染みをじんわりと広げていく。
量にしてコップ一杯ほどの大量に吹き出していた潮がその勢いを失い、ぎしぎしと緊張して十神に喰らい付いていた肉壁達がゆっくりと解きほぐれた頃になっても、腐川の全身はひくひくと弱々しく痙攣を続けていた。

長風呂に茹だったように真っ赤な顔を背けながらぐすぐすと鼻を啜りながら腐川はブツブツと呪詛のように呟く。

「ご、ごめんなさい。び、白夜様の、その、い、い入れられただけで……。
やっ、あっ……いやらしい女でごめんなさい……。し、シーツを汚してしまって……んんっ!?」

ぼそぼそと呪詛の如く紡がれる謝罪を遮ったのは、彼女の首筋に吸い付く柔らかい痛みと下腹部で疼く甘い圧迫感。
腐川が顔を背けていた為に丁度彼の目の前に位置していた彼女の白い首筋に十神は唇を当てながら、びしょ濡れの下腹部同士を打ち付け、彼女の膣内の撹拌を始めていた。

「ぁあっ、ダメ、ダメです! び、びゃくやさま!」

「なんだ、っ、何か不満でもあるのか?」

「い、今はぁっ、そのっ、ぁっ! び、敏感になっててぇ! やっ、はぁっ、んんっ!」

「っ、知るか、馬鹿め」

戯れに握ればたやすくへし折れてしまいそうな程に細い彼女の首筋へと熱心に吸い付きながらも、十神は冷たい言葉を投げ掛けながら腰を前後させていく。
腐川から吹き出した体液によってたっぷりと濡れたお互いの下腹部がぴちゃぴちゃと妙に瑞々しい音を立てながらぶつかり合う。

「んんっ! あぁっ、はっ、っ!」

それは先程の接吻とどこか似通っているようで、その実、全く正反対な、鮮烈で激しい行為だった。
あれほど静かだった室内は水音、嬌声、呼吸音などの多様な音達に支配されている。
二人はいつの間にかお互いの体をしっかりと抱き合い、お互いの感触を、体温を、鼓動を、そして何よりも存在を熱烈に渇望し、堪能していた。

「はっ、っ、っあ」

「あぁっ! ひぃっ、ひっ。やっ、あああっ!」

十神の陰茎が、亀頭にぷりぷりと弾けるように吸い付きつつも絶妙な力加減で締め付ける肉の襞を掻き分け、腐川の体内に出入りする度に彼女の体は悦こんでいるかのように震えた。
快感の限界を超え、再び潮を吹いた腐川の体を彼は遠ざけるどころかより一層強く抱き留める。

「っく!」

「っあ、ああっ、びゃ、びゃくや、しゃまぁっ!」

その腐川を抱きしめた体勢のまま十神は体を起こし、ベッドの上に腰掛けた。
必然的に彼と結合したままの腐川は十神の上に座すようになる。
俗に言う正常位から対面座位の体制になった二人は、やはり抱きしめた体勢のまま情交を交わし続ける。

「ひっ、ふぁっ、ああっ! ……やっ、びゃくや、さまぁ! びゃくやさまぁっ!」

「喧し、いっ……耳元で、騒ぐなっ! 耳障り、だっ!」

体勢を変えた為に彼女の体重による上下運動での衝撃も加わり、十神の肉刺はより一層深く腐川の中へと挿入され、体の最奥をコツコツと弱くノックする感触に彼女は、だらし無く口の端から涎を垂らしながら彼女は悦楽に溺れた。
いつの間にか腐川の長い三編みを縛る紐が切れたようで、緩やかなウェーブがかった長髪は水の中に垂らした墨汁のように妖しく広がり、ゆるゆると踊る。
微かに汗ばみ、湯にのぼせたように熱を持った彼女の薄桃色に染まった肌へと絡み付く、血管のようにも見える艶を秘めた黒い奔流達は嘆美な薫りを振るった。

「ぁあっ! やっ、ひっあっ! あっ! あっ!」

今、この瞬間に二人の脳裏には、次の国家財政予算会議の内容も、新作のアイディアも、殺人鬼も絶望も存在しない。
十神は腐川のことを、腐川は十神のことだけを想い、強烈かつ密接に交わっていた。

「ひぇっ、ぁあっ、ダメっ! ダメです! びゃくや、さま。そっ、そこは……!」

くにゅりと生暖かい音と共に、十神の舌が彼女の耳を這う。軟らかな動きをする舌は耳朶や耳の凹凸を丁寧な動きでなぞり、温かな唾液で彼女の耳と聴覚を淫らに犯していた。

「何を、言っている? 貴様の全ては、俺の、ものだろう。違うか?」

「そ、そうですけど……その、み、耳は弱いので、ちょ、ひゃあっ!」

耳の淵。その上を触れるか触れないかギリギリの力加減でいたわるように、或いは慈しむように滑る舌の感触に腐川の喉からは甲高い声が漏れ出ざるを得ない。

「びゃくやさまあっ! はっ、あっ、はぁあんっ!」

崇高で気高く、気品と誇り溢れる素敵な人。
本来ならば自分のような卑しい身分の虫が手を触れるどころか声を掛けることさえ恐れ多い、世界で一番愛しい人。
そんな素晴らしい人が不細工で、根暗で、他人との会話も上手くできない。取り柄と言えば妄想で書き上げた小説くらいしかない自分を抱いてくれる。
女性の象徴たる美しい胸もない、彼がタイプと言っていたふくよかな体型ではない貧相な体つきの自分。
うじうじとくだらないことで悩み、彼に不快な思いをさせてしまう。
彼の寵愛を受けられても、ほんの一突きされるだけで、はしたなく失禁してしまう。

そんな、ろくでもない自分を十神は気にかけてくれた。
彼女の中に潜む殺人鬼が引き金とは言え、結果的には己の意志で無理矢理に彼を犯した自分を許してくれた。
ぐじぐじと卑屈になり、くだらない、いらぬ気遣いをした自分に荒っぽくも柔らかいキスをしてくれた。
自分のかいた汗に濡れた首筋に甘くて切ない烙印を口で刻んでくれた。
彼の目の前で情けなく失禁して汚物に塗れた自分を抱きしめてくれた。
真っ赤になった耳たぶを優しく食んでくれた。
揚句の果てには愛しくて堪らない彼の子供を産めとまで言ってくれた。

「っ、あぁっ!びゃくやさまぁ! びゃくやさまあああ!
好きっ! びゃくやさまっ、ああっ、あっやっ! しゅき、しゅきなんですう!」

十神がとった、その行動達に腐川という一人の女に対する愛情があったかのかどうか。それが腐川には分からない。
もしかしたら。もしかしたら自分のような屑にも、ほんの少しでも愛情を抱いてくれたのではないか?
そんなものはなんの根拠もない、虚しくて寂しい幻想であるとしても、それでも。
彼女は十神に触れられているという、只それだけのことで不幸と不遇の人生に彩られた人生の中で最高の幸せを味わっていた。
愛しい、愛しい十神白夜と肌を重ねる。
例え、心を重ねられずとも、彼が自分を求めて体を重ねてくれている事実が。
更には彼の子供を産むという、腐川の想像を超える使命を他ならぬ十神自身から与えられた事が、ただただ、幸せだったのだ。
十神の肌へ触れる度、十神の息遣いを感じる度、十神の名を呼ぶ度に彼女の体は様々な感情たちに満たされていく。
快感、興奮、幸福、恐悦、安心感、高揚感。そして何よりも彼への恋心が、溢れんばかりにどんどんと膨張し、少しずつ形を変えていくのが、熱に浮かされた頭でもはっきりと理解できた。
淡くて脆く幼い恋は、情熱的で芯の通った確かな愛へとその形を変えていく。
息が詰まる。
肺が引き攣る。
心臓が怖いくらいに暴れる。
愛しくて、愛しくて。愛し過ぎて気が狂ってしまいそうだった。

十神は腐川と繋がり、抱き合いながら、細くてたおやかな首筋に唇と舌を這わせ、何度も何度もそこに吸い付いていた。
滑らかなシルクの如く白く、柔らかい肌にほんの少し吸い付くと、そこだけに血液が集まり、赤い星のような痕が滲むように点々と残されていく。いくつもいくつも形作られたそれらは、彼女が彼の所有物である証。彼女を縛る首輪にして、鎖だ。

「ぁあっ! やっ、んんっ!」

「……くっ!」

目の前の少女が十神自身の『モノ』であるという証は視覚的にも彼を興奮させ、そんな彼から与えられる微かな痛みと熱い視線、絶対的な支配に腐川の全身がじわりと甘く疼く。

「っ、はっ……はぁっ!」

「びゃくやさま! びゃくやさまあ!」

十神の呼吸音がどんどんと加速しながら乱れ、ストロークは最高速度を迎え、腐川をしっかりと抱いた両の腕に力が篭る。今まで幾度となく体を重ねた経験から、十神の絶頂と行為の終わりが近いことを腐川は薄ぼんやりと感じとっていた。

「あぁっ、そ、こ。はっ、……うっ、んんっ!」

「んっ、ふっ」

絶頂を迎える直前の速くて重い、根強い衝撃が彼女の膣内をずんずんと絶え間無く穿ち、こそばゆいような甘い痺れを体中に広げていく。
どちらからともなく執拗に唇を重ね、濃密な口づけを交わす。ぬるりとした舌を絡ませ、粘度の高い唾を掻き混ぜ、生温い吐息をどこまでも深く吸い合う。互いの何かを、形にも言葉にもならない何かを確認しあうかのような、そんなキスだった。

「んんっ! はっ……んっ! んっ……んんっ! 」

それだけで、彼女はいとも簡単に浅い絶頂を迎え、己の体に納まる十神のシンボルをきつく、それでいながらどこか柔らかく、ぬるりと締め上げ、扱く。

「っ……そろそろ、いくぞっ」

それが決定打だったのか、十神の肉棒はひくひくと弾むように脈打ち、亀頭がより一層膨れ、睾丸は競り上がり、淫らな雌の中に己の精を放つ準備を終えた。

「は、はい! 出して、出してくださひ! いっぱい、たねつけ、してぇ!」

「はっ、……あっ」

汗、愛液、潮、カウパーなど。二人の様々な分泌液がミックスした液体の洪水で、もはや結合部はびっしょりと濡れており、淫靡で馨しい毒のような薫りがゆらゆらと立ちのぼる。

「びゃっ、びゃくやさまっ! 出してぇ! わ、私の中に全部っ、全部出してぇ!
びゃくやさまの赤ちゃん下さいぃ!!」

「……っ、ぐ」

彼女は懇願しながら、余り念入りに手入れされていない為か、妙に長い腐川の爪が十神の背中に強く立て、血による赤い筋を生み出した。
強く、渇望するように抱き合いながら遂に十神も長い性交の終わりを迎える。

「……ふ、かわぁっ!」

小さく呻くように名前を呼びながら彼は彼女の膣内、そこの最奥へ腰をより一層深くに自らを打ち込み、腐川の子宮口をノックした。
腐川の子宮口をこじ開けんばかりに押し当てられた十神の陰茎がびくんと一際大きく、力強く跳ね、先端から白い濁流がすさまじいまでの勢いで溢れ出す。
体内の奥深くで己の子宮をぱたぱたと打つ子胤の感触。そして温度。
腐川はそれを感じ取った一瞬、思わず硬直した。

「……っ! っ、……っ!!」

声にならない嬌声の絶叫と共に、最高潮の絶頂を迎えた彼女は酸素を求めるように口を開閉させながら、びくびくと体中を痙攣させる。
どくどくと勢い良く吐き出される子種はあっという間に腐川の子宮と膣内を蹂躙していた。

「っはぁ……はぁっ……」

「んっ、はぁっ……」

激しい行為は唐突に終わり、ぜいぜいと荒い呼吸がお互いの体へ染み入るように響く、どこか物悲しい音を聞きながら二人はゆっくりと目を閉じ、疲労によって大いに倦怠感を孕んだ意識を手放そうとしていた。
瞼を閉じて、ぼんやりと感じ取れるのは、じりじりと肌を温める熱と、緩やかになっていく呼吸音と、そして―――。

. . . . .

. . .

.

目を刺すように眩しい日差しが燦々と侵入するホテルの一室。ダブルサイズのベッドの上で十神白夜はゆっくりと覚醒した。
今の今まで彼が横たわっていたそこには、昨夜の激しさを物語るように皺が寄り、妙な湿り気を帯びたシーツがへたばるように張り付いている。

「…………」

その白いシーツの中へ沈み込むように裸体の少女が眠りに落ちていた。
閉じた瞼から伸びる睫毛は朝日に照らされることで目元に形の良い影を落とし、緩くウェーブがかっているほつれた黒い長髪が純白のシーツよりも尚一層白い裸の肌に幾筋も張り付き、彼女の体を優しく包む。
それだけ見れば、臈長けた一つの芸術品のように美しい少女であるのだが、ずり落ちて顔面を斜めに横断している眼鏡や口元から垂れ落ちる涎が、彼女の寝姿から品格を根こそぎ奪い取っていた。

「……うへ、うへへへ」

おまけになんの夢を見ているかは知らないが、大変だらしの無い寝言を呟いていれば尚更である。

「…………」

十神はゆっくりと体を起こして眼鏡を掛けると、しげしげと彼女の体を観察する。
細い腕、長い爪、薄い腹、小振りな乳房、華奢な腰回り、痛々しい傷が刻まれた太腿、そして小さな赤い痣が幾つも残る首筋。
脆弱で今にも儚く消えてしまいそうなそれらは純白の中で呼吸に合わせて小さく上下していた。

「…………」

大量のキスマーク。
十神はそれを腐川への烙印と言ったが、それは同時に十神への枷でもある。
薄桃色に染まる痣達は十神の寵愛の証であり、彼が腐川と関係を持っていることの証でもあるのだ。
仮にも『超高校級の殺人鬼』をその身に宿している腐川を近くに侍らせているという事実は世間一般に見ても好印象になるわけがない。揚句には彼女が十神の子を身篭ったとなれば尚のこと。
どう足掻いても彼女が近くにいることは彼の立場からすればマイナスにしか成り足り得ない。

「……ふん」

それでも彼は目を細め、口元を吊り上げて不敵に笑う。自称『超高校級の御曹司』には丁度良いハンディキャップだと言わんばかりに。
あの『絶望の高校生活』をゲームと言い切った彼に不可能も逆境もありはしないのだ。例えば、万が一にも有り得ない仮定の話として、彼女を娶ったとしても、その自信は一寸たりとも変わりはしないだろう。

「びゃくやさまぁ……」

未だに眠り続けている腐川の口から十神の名前がたどたどしい呂律で紡がれる。
その寝顔を眺める十神の顔はどこか安らかで優しい、

「……んへへぇ、いがいとあまえんぼうなんれすねぇ、びゃくやさまぁ~」

その言葉を聞いた瞬間、十神の顔から安寧さは正に瞬く間になりを潜めて、今にも舌打ちしそうな程に歯を食いしばりつつ眉間に深い皺を刻み、忌ま忌ましいと言わんばかりの表情を浮かべながら柔らかな女体をベッドの外へと蹴り出した。