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まだ日も登り切っていない午前6時45分、希望ヶ峰学園の寄宿舎の廊下に蠢く2つの人影が…。

戦「盾子、開いた?」
江「ちょい待ち、もうすぐ…よし!開いたよ、お姉ちゃん。」

戦刃むくろと江ノ島盾子の姉妹が居たのは、クラスメートである苗木誠の部屋だ。
妹の盾子が前日に前もって学園長室からくすねておいたマスターキーを使い、部屋の鍵を開ける。
鍵を開ける盾子の後ろに居るむくろは何故か迷彩服を身に纏い、黒光りする筒のようなものを背中に背負っていた。

江「さ~て、それでは作戦開始~。」

ゆっくりと部屋の扉を開け、むくろと盾子は中へと侵入する。
2人は足音を立てないよう慎重に歩き、ベッドの上で寝息を立てている苗木誠の様子を確認する。

戦「ぐっすり眠っているようだな。」
江「うぷぷぷ…。これから起こる事も知らずに、間抜けな寝顔してやんの。写メ撮っちゃおうかな?股間に水かけてやるのも悪くないわね…。」
戦「盾子、余計な事をしている暇はない。早くしないと朝時間のアナウンスが流れる。それに今の時間帯は浴室の水道は使えない。」
江「ああ、そうだったわね。チッ!じゃあ、お姉ちゃん。さっさっとやっちゃって。」
戦「了解。」

盾子は両手で自分の耳を塞ぎ、むくろは背中に背負っていた筒を右肩に担ぐ。
カーテンの隙間から漏れる朝日に照らされたその筒には、『絶望バズーカ』の文字が…。

戦「3…2…1、発射!」

ズドオォーーーーーーン!!!!!!

むくろが引き金を引いた直後、バズーカから大量の煙と凄まじい轟音が放たれる。

苗「うわああああああっ!!!」

熟睡していたところへ突然大きな爆発音と衝撃波に襲われ、飛び起きた苗木はベッドから転がり落ちる。

苗「あ痛っ!いいい、一体何が起きたんだ!?」
江「あはははは!ナ~イスリアクション!苗木誠君、おはようございま~す!」
戦「荒っぽい起こし方をしてすまないな、苗木。」
苗「江ノ島さんに戦刃さん!他人の部屋で何してるの!?」
江「何って、往年の名物企画である『早朝バズーカ』ですが、何か?」

ギャルモードから一転して女教師モードになった盾子は、悪びれた様子もなく苗木に説明する。

苗「そういう事を聞いてるんじゃなくて、何でこんな事したのか聞いてるんだけど!?」
江「何でって…最近退屈だったからです…。絶望的に…。」

今度は頭からキノコを生やした根暗モードになってしまった。

苗「戦刃さんも何で止めなかったの!?普段妹さんに他人に迷惑かけるなって口酸っぱくして言ってるくせに!」
戦「すまん苗木。久し振りに銃火器を撃てると言うのでつい…。他人に危害を加えるわけでもなかったから協力してしまった。」
苗「僕の安眠妨害は最初から無視なの…?鼓膜が破れたらどうするの?」
戦「問題ない。火薬は鼓膜が破れない程度の音を発するよう調節してある。」
苗「そういう問題じゃなくて…はぁ。」
江「おいおい、これで二度寝せずに済んだのだぞ!感謝してほしいものだな人間!」

王様モードになって開き直る盾子に対し、苗木は最早「そういう君だって人間じゃないか」と突っ込む気力すら失せていた。
すると、盾子が王様モードからぶりっ子モードになった。

江「ねぇねぇ苗木君!明日は誰をターゲットにしたらいいと思う~?」
苗「な、何で僕に聞くの!?って言うか、続ける気なの!?」
江「だって~苗木君のリアクションが面白くて~他の皆のも見たくなっちゃったんだも~ん!あ、大神ちゃんだけはやらないけどね。後が怖いもん!」
苗「…大神さん。」
江「全く、君は何を聞いていたんだ?使えないな…。姉さん、そろそろ皆が起きる時間だ。撤収しよう。」
戦「ああ。じゃあ苗木。また食堂でな」

そう言い残し、むくろと盾子は足早に苗木の部屋から立ち去って行った。
部屋にはまだうっすらと煙と火薬の臭いが漂っていたため、苗木は窓を開けてそれらを外へ出す。
窓を開けると、冬の冷たい空気が流れ込んできた。

苗「うわ、寒っ!ああもう、たった数分で一日分の体力使い果たした気分だよ…。」

それから数日、苗木から話を聞いた面々は早朝バズーカを回避すべく色々策を講じたのだが、彼女達の方が一枚上手で悉く被害に遭った。
ただ一人、大神さくらを除いて…。



終わり


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