ダンガンロンパ CHAPTER-1 Another

『ダンガンロンパ CHAPTER-1 Another』

信じられない映像が記録されたDVDをモノクマから渡された日の夜、舞園さんが僕の部屋を訪ねてきて一晩だけ部屋を交換して欲しいと言ってきた。
最初は妙に思ったものの、不審者に対する恐怖で顔が青ざめ、体を震わせる舞園さんを見た僕は彼女の頼みを受け入れることにした。
彼女の頼みで一晩だけとはいえ、舞園さんの使っていたベッドで寝るのは何だかラッキーなような気まずいような複雑な気分だった。

「う~ん、目が覚めちゃったな…。舞園さん、大丈夫かなぁ?」

一度は眠りについた僕だったが、舞園さんのことが気になって目が覚めてしまった。
時間は分からないけど、恐らく午前0時は回っているだろう。

「どうしよう。一度様子を見に行った方がいいかな?でも、舞園さんに余計な不安を与えたくないしなぁ…。………やっぱり見に行こう!」

少し考えた後、僕は一度舞園さんの様子を見に行くことにした。
舞園さんに余計な不安を与えてしまうかもしれないが、何事も無ければ謝ればいいだけの事だ。
だが、先程から妙な胸騒ぎがしてならなかった。何か良くない事が起きる前触れのような…。
僕はベッドから起き上がり、ドアを開けて廊下に誰も居ないことを確認し、舞園さんの部屋のすぐ隣にある僕の部屋の呼び鈴を鳴らした。

「舞園さん、もう寝てるよね…。と言うか、起きてても絶対開けないって言ってたっけ。」

呼び鈴を鳴らした後、僕は何気なくドアノブに手を掛けてみると、ドアに鍵が掛かっていないことに気が付いた。
あれほど不審者に怯えていた舞園さんが鍵を掛けていないのはおかしいと思った僕は、ゆっくりドアを開けて部屋の中へと足を踏み入れた。

「舞園さん。ドアの鍵、掛かってないようだけど…。」
「うああああああっ!!!!!」

突然、奇声と共にシャワールームの陰から何かが飛び出してきた。それは、右手に包丁を持った舞園さんだった。

「うわあああああっ!!!」

僕は咄嗟に舞園さんが突き出した包丁を躱したが、その拍子にバランスを崩して床に尻餅をついてしまった。
それに気づいた舞園さんはすぐさま僕に覆い被さって左手で僕の右腕を押さえ、右手に持った包丁を逆手に構え直し、その切っ先を僕に向ける。
その時の舞園さんの表情は、普段からは想像も出来ないほど鬼気迫るものだった。
僕は押さえられていない左腕で咄嗟に身を守ろうとしたが、包丁が僕の体を貫くことは無く、舞園さんは包丁を振り上げたまま固まっていた。

「なえぎ、くん…?」

両目を大きく開いてそう呟いた後、舞園さんは跳ねるようにして僕の上から飛び退いた。
僕はすぐに立ち上がり、壁にもたれ掛っている舞園さんの方を向く。
舞園さんは右手に包丁を持ったまま、滝のような汗を浮かべた真っ青な顔で震えていた。

「舞園さん…。どうして…どうしてだよ!?」

僕が声を荒げると、舞園さんはビクッと体を震わせ、その拍子に包丁を手から落としてしまい、包丁が金属音を立てて床に転がった。

「だって…だって、こうしないと…こうしなきゃ…外、出られないか、ら…。」

舞園さんは震える声で言葉を絞り出し、両手で頭を押さえながらその場にへたり込んでしまった。
今、こうしなきゃ外に出られないって言ったな…。まさか、舞園さんはここで誰かを殺すつもりだったの!?
じゃあ、あの不審者の話も嘘で、部屋の交換を申し出たのは、僕の部屋を犯行現場にすることで僕に罪を着せる為だったってこと!?
舞園さんが僕を騙して、利用して、陥れようとした…。全ては自分が【犯人(クロ)】になって、この学園から【卒業】するために…。
信じたくない事実が瞬く間に僕の頭の中に溢れ、精神を侵食していく。そんな悪い考えを振り払うように僕は頭をぶんぶんと左右に振る。

「舞園さん、立てる?」

僕は床にへたり込んでいる舞園さんに歩み寄って手を差しのべるが、舞園さんは僕の手を取ろうとしない。

「舞園さん?」
「…さい。」
「え?」
「ごめん…なさい…。ごめんなさい…。」

舞園さんは一向に僕の手を取ろうとしないばかりか、聞こえるかどうか微妙なほど小声で謝り始め、同時に両目からポロポロと涙が零れ落ちていく。

「…舞園さん。謝るよりも先に、理由を聞かせてくれないかな?何で、誰かを殺そうだなんて考えたのか…。」
「………。」

舞園さんは顔を下に向けたまま答えようとしない。
正直に言って、こんな状態の舞園さんから真意を聞き出そうなんていうのは酷だろう。
しかし、だからってこのまま放っておくわけにはいかない。それでは何も解決しないから。

「舞園さん。本当に君が僕に対して罪悪感を抱いているのなら、話してくれないかな?」
「それは…。」
「大丈夫。僕は絶対に君を殺したりなんかしないから…。僕を…僕を信じて。」
「………はい。分かりました…。」

ようやく舞園さんが僕の手を取り、僕は彼女を立ち上がらせてベッドに腰掛けさせる。
僕は床に落ちている包丁を拾ってテーブルの上に置いた後、椅子をベッドの隣に置いて彼女と向かい合う形で腰掛ける。
それから、舞園さんは消え入りそうな声で全部話してくれた。
モノクマから渡されたDVDの内容も、今夜決行するはずだった殺人計画も、僕に罪を被せるために部屋の交換を申し出たのだということも…。
話を聞いた僕は、頭の中がグチャグチャになった。舞園さんが僕を騙し、人を殺そうとしただなんて嘘であって欲しかった。夢なら今すぐ覚めて欲しかった。
しかし、僕のそんな淡く儚い願望は容易く砕かれてしまった。僕が今日この部屋で体験したことは全て現実だった…。
僕が右手で顔を押さえて苦悶の表情を浮かべていると、舞園さんが口を開いた。

「苗木君の考えていることは分かります…。
例えどんな理由があっても、殺人なんてしちゃいけないって…。でも、私にはこうするしかなかったんです!
出口は無い!助けも来ない!いつ自分が殺されるのかも分からない!そんな状況でいつまでもここに居続けるなんてこと出来ません!
私には…私にはこんな所でグズグズしている暇は無いんです!早く…早く皆の無事を確かめないと!」
「まだここから出られないと決まったわけじゃない!まだ調べてない場所だって沢山あるし、皆と協力し合えば、きっと何とかなる筈だよ!
それに、あのDVDだってモノクマの捏造かもしれないじゃないか!」
「そんな保証なんてどこにも無いじゃないですか!ここから確実に出るには誰かを…誰かを殺すしかないじゃないですか!」

舞園さんの言う通り、例え学園内の全てを調べたとしても出口や外との連絡手段が見つかる保証は無いし、DVDの映像が捏造されたものだという証拠も無い。
それに、この先舞園さん以外の誰かが殺人に及ぶ可能性や自分が狙われる可能性だって大いにある。
そんな異常な状況下での生活なんて一刻も早く抜け出したいと思うのが普通だ。
強靭な精神力の持ち主や外へ出ることを諦めた人でもなければ、次第に心理的に追い詰められ、いつ凶行に走ってもおかしくない。

「苗木君には分かりませんよ…。私が夢を叶えるために、どれだけ苦労してきたのかなんて…。努力して、苦労して、やっと掴んだ夢が、消えていく感覚なんて…。」

そう言われると、僕には返す言葉が無い。
確かに僕は夢らしい夢なんて抱いた事がないし、舞園さんが夢を実現するためにしてき事や、芸能界の実態なんて知らない。
以前、舞園さんは「夢を叶える為に嫌な事でも何でもしてきた」と言っていたけど、その「嫌な事」が何なのか僕には想像もつかない。
ただ、舞園さんは自分が苦労して掴んだ夢の結晶が壊れてしまうのが耐えられなくて、一刻も早く外へ出るために殺人を企てたのだという事は痛いほど伝わってきた。
けれど、だからと言って殺人が許されるわけじゃない。どんな理由があろうと、殺人を正当化しちゃいけないんだ!絶対に!

「舞園さん、これだけは正直に答えて。前に僕に話してくれた、舞園さんがアイドルを目指すようになった切掛け…。あれも、僕を抱き込むための作り話だったの?」
「そ、それは…。」
「もし嘘だったのなら、正直にそう言って欲しいんだ。それなら、騙された僕が極度のお人好しだったってことで済むから…。」
「………。」

僕は膝の上で拳を強く握り、舞園さんを睨みつけるように力を込めた視線を送る。
舞園さんは顔を逸らして僕の方を見ないようにしているが、僕は舞園さんから視線を動かさない。
舞園さんを本当に理解するためにも、僕は舞園さんと彼女が起こしたことから目を逸らしちゃいけないんだ。
しばらくそのままの状態が続いた後、舞園さんがようやく僕の方を向いた。

「あれは…あの話は…嘘じゃありません。
苗木君に話した通り、私がアイドルを目指す切掛けになったのは、子供の頃にアイドルに憧れたことなんです。
お父さんが仕事で居ない間、一人でお留守番をしていた私の寂しさを忘れさせてくれた、あのアイドルのようになりたくて…。
それで、ずっと必死で頑張って…やっと、やっと…。」

俯きながら服の裾をギュッと握り、舞園さんは言葉を紡ぐ。
舞園さんの両目に再び涙が溜まり、やがて頬を伝って落ちていく。
この言葉が本当なのか嘘なのかは分からない。けど、舞園さんは自分の夢に関しては嘘を吐かない筈だ。
だから、今の舞園さんの言葉は真実だと僕は思った。いや、思うことにした。

「なら、分かる筈だよね?舞園さんがしようとした事は、君の夢を最も穢す行為だって事くらい…。」
「…はい。」
「人を笑顔にするアイドルが誰かの笑顔を永遠に奪うなんてこと、絶対にしちゃダメだよ…。僕は舞園さんに…そんなことして欲しくない!」

舞園さんは辛そうな表情で僕の言葉を聞いている。
僕だって、こんな言葉を舞園さんに浴びせるのは辛い。だけど、僕は言わなくちゃいけない。舞園さんのために。

「………。そう、ですよね…。死んじゃったら笑うことも、悲しむことも、怒ることも、何も出来なくなっちゃうんですよね…。私…本当に、何てことを…。」

両手で顔を覆い、舞園さんは泣き崩れる。
僕は最初黙ってその様子を見ていたが、すぐに立ち上がって舞園さんに歩み寄り、彼女の肩に手を置く。

「舞園さん。もう少しだけ…もう少しだけ、頑張ってみようよ。保証は出来ないけど、皆と力を合わせれば、きっと何とかなる筈だから…。」
「…はい。私、もう少しここで頑張ってみます。苗木君と…皆と一緒に…。」

顔を上げて涙を拭い、舞園さんは僕の提案を受け入れてくれた。
その顔は涙と疲労のせいでお世辞にも綺麗とは言えなかったが、それでもさっきまでよりは遥かに良い表情になっていた。

「分かってくれてありがとう、舞園さん。」
「いえ、お礼を言うのは私の方です。私なんかのために…。あんな目に遭わせてしまったのに…。」
「だって、約束したじゃないか。何があっても、僕は舞園さんの味方でいる…って。だから、僕はこれからも舞園さんも味方だよ。」
「苗木君…ありがとう。本当に…ごめんなさい。」

舞園さんは腰掛けていたベッドから立ち上がり、僕に向かって深々と頭を下げる。

「それだけで十分だよ。もう人を殺そうなんて考えないって、約束してくれるね?」
「はい、勿論です。誰かを殺しても、裏切っても、私は自分の夢や大切な人達に顔向けできなくなってしまいますから。
それに、例え自分の大切な物の為にそんな事をしても、誰一人喜んでくれないって、痛いほど分かりましたから…。」
「舞園さん…。」

僕が安堵したような表情で舞園さんを見つめていると、舞園さんも黙って僕を見つめ返してきた。
目が合った瞬間、僕の心臓は今までにないくらい鼓動が早くなり、顔が熱くなる。舞園さんも頬がほんのり赤く染まっているように見える。
そのまま僕達は黙って見つめ合い、しばしの沈黙が訪れる。

ピンポーン!

部屋の呼び鈴が鳴り、沈黙は終わりを告げる。どうやら舞園さんが呼び出した人物が来てしまったようだ。

「どどど、どうしよう舞園さん!?」

呼び鈴の音を聞いた僕は我に返ると同時にパニックになる。
僕がここに居る理由はどうとでも説明出来るが、包丁はそうはいかない。絶対に見つけられてはいけないものだ。

「苗木君!包丁を持ってシャワールームに隠れて下さい!後は私が何とかします!」
「わ、分かった!」

舞園さんの素早い指示で、僕は急いでテーブルの上の包丁を掴んでシャワールームへ向かう。
建付けが悪いせいでドアを開けるのに少々手間取ったが、何とか部屋の入口が開く前にシャワールームへ隠れることに成功した。
先程とは違う意味で鼓動が早くなり、顔から汗が噴き出す。やがて、ドアの向こう側から話し声が聞こえてきた。

(いや~待たせちゃってゴメン!身嗜み整えてたら思ったより時間掛かっちゃってさ!それで、こんな夜中に俺と2人きりで話したいことって何?)

あの軽い喋り方は間違いなく桑田君だ。まさか本当に来るなんて…。
そういえば桑田君、野球選手よりもロック歌手になりたいとか言ってたっけなぁ。
音楽という共通の話題があるから舞園さんも桑田君を標的にしたんだろうけど、桑田君の方は下心が見え隠れするのは気のせいだろうか?

(はい。桑田君、芸能界に興味がおありのようだったので、お話を伺いたいなと…。)
(はぁ?話ってそんな事?んだよ、期待して損したぜ…。でも、他ならぬ舞園ちゃんの頼みだし、せっかくだから俺の人生プランを聞いてもらっちゃおうかな~?)

そう言って桑田君は自分が歌手になったらどうしたいとか、どんな歌を唄いたいとか、そんなことを上機嫌で話し始めた。
時々、舞園さんを口説いてるようにも取れる発言があったような気がしたけど、舞園さんはのらりくらりと受け流していた。
それから1,2時間ほどして舞園さんと桑田君の話が終わり、舞園さんがシャワールームのドアをノックして僕に合図を送ってきた。
その後、廊下に誰も居ない事を舞園さんが確認し、僕達は入れ替わったネームプレートと部屋の合鍵を交換し直して、それぞれ元の部屋へ戻ることにした。

「苗木君、今夜はその…ご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありませんでした。」

そう言って舞園さんは、もう一度僕に向かって頭を下げる。

「もう謝らなくていいよ、舞園さん。君が誰も殺さずに済んだ。それだけで十分だから。お休み、舞園さん。」
「苗木君…。ええ、お休みなさい。」

舞園さんが部屋に入った後、僕も自分の部屋に入ってベッドに横になる。心身共に疲れきっていたけど、この学園に来てから初めて心地良く眠れた気がする。

翌朝、朝食会が終わった後、僕は後片付けを買って出た。
その理由は勿論、舞園さんから預かった包丁を元に戻すため、誰にも怪しまれることなく一人で厨房へ入る口実を得るためだ。
石丸君が手伝いを申し出てくれたのだが、包丁を取り出すところを目撃されるわけにはいかないので、僕は丁重にお断りした。
そうやって厨房へ一人で入った僕は、上着の内側に隠してあった包丁を取り出し、元あった場所へと戻す。

「これでよし…と。ふぅ…。」

包丁を戻し終え、僕は大きく息を吐く。思えば今朝の朝食会はこれのせいで冷や冷やしっ放しだったからなぁ…。
目的を果たし終えた僕が食器を洗おうとした時、背後に人の気配を感じたので後ろを振り向くと、入口の方に舞園さんが立っていた。

「あ、舞園さん。どうしたの?」
「えっと…何かお手伝いしようと思いまして。」
「ありがとう。でも、僕一人で大丈夫だよ。」
「いえ!お手伝いさせてください!」

そう言って舞園さんは胸の前で両手をグッと握り、熱のこもった視線を僕に送る。
ひょっとして罪滅ぼしがしたいのかな?

「そうですね。罪滅ぼし…かもしれません。」
「え?僕、口に出しちゃってたかな?」
「………。」

いつもならここでお決まりの「エスパーですから」が出る筈なのだが、舞園さんは無言で首を横に振っただけだった。

「苗木君が私のことを責めていないのは分かっています。
でも、私が私自身を許せないんです。ですから、この先苗木君のお手伝いをして、少しでも苗木君の力になろうと決めたんです。自分を許せる時が来るまで…。
勿論、桑田君には機会を見て謝罪するつもりです。実行しなかったとはいえ、無関係な彼に殺意を向けてしまったのは事実ですし…。」
「分かったよ、舞園さん。それじゃあ、後片付けを手伝ってもらおうかな?」
「は…はい!」

舞園さんの顔がパアッと明るくなり、嬉しそうに僕の方へ駆け寄ってくる。
やっと…。やっと舞園さんに笑顔が戻ってきた。僕に元気と勇気をくれる、あの笑顔が…。
それから僕達は2人で朝食会の後片付けをし、それを終えた僕達は一緒に体育館ホールへ足を運んだ。

「思えば、あの時ここで苗木君にお話ししたんですよね。私の夢のこと…。」
「そうだったね。」
「例え外に出られたとしても、私はアイドルに戻れるでしょうか?自分を信じてくれた人を裏切って、無関係な人に殺意を向けてしまった私が…。
それに、昨夜のことは黒幕も監視カメラで見ている筈ですから、皆にバラされてしまうかもしれません。そうなった場合、私はどうしたら…。」

この先のことを考え、舞園さんは不安そうな表情になる。
声を大にして「大丈夫だよ」と言ってあげたかったが、軽はずみな発言は却って彼女を傷つけるだけだ。
あの性質の悪いモノクマのことだ。昨夜の一件を利用して殺人が起こるよう仕向けてくるのは時間の問題だろう。
でも、それでも僕は舞園さんの味方で居ると決めた。でないと、舞園さんは本当に孤独になっちゃうから。

「それは…舞園さん次第だと思う。でも、安心して。この先何があっても、僕は舞園さんの味方だから。それに、もしアイドルじゃなくなっても、舞園さんは舞園さんだよ。」
「ありがとうございます、苗木君。でも、アイドルの仕事は私の全てでした。もしそれが無くなったら、私には何も残りません。そう思うと…。」
「う~ん…。その時は…その時は僕と一緒に探そうよ!新しい夢を!」

………。ちょっと待て。僕一体何言ってんの?うわ!メチャクチャ恥ずかしい!穴があったら入りたい!
舞園さんもキョトンとしちゃってるよ…。

「探す…。ふふ…そうですよね。今の夢が無くなっても、また新しい目標を立てればいいんですよね。どうしてそんな簡単なことに気付かなかったんでしょう!」

そう言って舞園さんはクスクスと笑い、少し笑った後で真面目な顔になる。

「私、苗木君の心の強さが羨ましいです。私は状況に負けて、良くない事ばかり考えて、どんどん自分を追い込んでしまっていました。」
「そんなことないよ。僕は舞園さんや他の皆と違って特別な才能なんてないし、取り柄といっても他の人よりもほんの少し前向きなだけだよ。」
「今と言う時では、その前向きさが一番大事ですよ。どうか、その前向きさを失くさないで下さいね。」
「うん。舞園さん、絶対に黒幕に勝とう!そして15人全員で、この学園から出よう!」
「はい!苗木君、今はまだ言えませんが、もし生きてここから出られたら…伝えたいことがあるんです。」
「伝えたいこと?一体何かな?」
「それはその時になってからのお楽しみです。うふふ…。」

舞園さんは悪戯っぽく微笑み、答えをはぐらかした。
彼女の「僕に伝えたいこと」が何なのか気になるが、今はここから出ることの方が先だ。だから、僕はその時が来るまで心の奥にしまっておくことにした。
絶対に生きてここから出てみせる!舞園さんと、皆と一緒に!僕は改めて心にそう誓う。
だが次の瞬間、そんな僕らを嘲笑うかのようなモノクマの校内放送が流れた。

『死体が発見されました!生徒は至急、体育館にお集まり下さい!繰り返します…。』

「苗木君、今の放送…。」
「死体って…。まさか、誰かが殺されたってこと!?そんな…どうして!?」

この閉ざされた学園から全員で脱出するという僕らの青写真は呆気なく消え失せてしまった。
そして、殺された人物を除いた僕達14人は、モノクマから【学級裁判】についての説明を受けることになる…。

『ダンガンロンパ CHAPTER-1 Another』 END

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