舞園さやか 通信簿 7 > 7

「なんで苗木君の考えてることがわかるか、ですか?」
ある日、舞園さんと二人で話す機会を得たボクは、前々から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。
「うん。あ、エスパーだからっていうのはナシね」
今にも『エスパーですから』と言われそうな気がして、予め釘を刺しておく。
案の定、口を「エ」の形に開きかけていた舞園さんは、綺麗な眉を寄せて考え込んでしまう。
「う~ん……それじゃ、手力――」
「ミスター栗間に怒られそうだからダメ」
「困りましたね……」
(困るほどのことなんだ……?)
舞園さんは瞑目して考えながら、言葉を選ぶように少しずつ語る。
「そうですね……なんとなく――本当になんとなくなんですけど、時々苗木君が何を言おうとしてるのかわかる事があるんですよ。理由は私にもわからないんですけど、こう、パッと」
「パッと、ね」
時たま舞園さんの言葉はインスピレーション気味になる。
「ふふ、おかしいですよね。苗木君と話すの、ここに来てからが初めてだっていうのに……」
「そうだね……」
「もしかして私たち、前世でも同じことしてたのかもしれませんね」
前世。
前の世界でも、ボクたちはこうして出会って。
そうして、同じような話をして。
……やっぱり、同じような関係になっていたんだろうか。
「うふふ。そうじゃなかったら、私は苗木君専用のエスパーっていうことでどうですか?」
「せ、専用って……」
その響きは、ちょっと、問題なような……。
「問題なんかありませんよ」
そう言って、舞園さんはにっこりと笑みを浮かべる。ボクも思わず釣られて笑ってしまうような――そんな彼女の特上の笑顔だった。
「エスパーだから、ね」
そういうことにしておこう。
いつか、本当の事がわかるその日までは。

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