霧切さんの正体-出題編

今日は3月末日。
久々に仕事も無く、霧切探偵事務所はゆったりとした時間が過ぎていた。
何も変化は無く、いつもどおりの風景…だったのだが。

霧切「な~えぎくん!」
苗木「…?どうしたの、霧切さん?」

霧切さんが、満面の笑顔で僕に近づいてくる。
ソファに座っていた僕の隣に座り、自分の頭をネコのように僕の胸にすりつけてくる。

苗木「え…!?え…?どうしたの…!?」
霧切「んにゃ~♪」

あの霧切さんと密着している。
それどころか、いきなり恋人同士のようにじゃれ合っているような状態に、嬉しさより先に困惑感が前に出る。

霧切「なえぎくん、あたまなでなでして~」
苗木「い、いや、どうしたんだよ霧切さん!霧切さんじゃないみたいだ!」
霧切「…なでなでしてくれないの?」
苗木「…!」

不信感が最高潮に達していたが、目の前の女の子は間違いなく霧切さんだ。
目をうるませている霧切さんのお願いを断れる訳がない。

…何かの罠なんじゃないかと目を光らせつつも、
恐る恐る霧切さんの頭に手をのせ、ぎこちない手つきで頭を撫でる。

霧切「うにゃ~♪」

良かった。満足してるみたいだ。


霧切「なえぎくん、ひざまくらして~」
苗木「う、うん…」

霧切さんが僕の胸に当てていた頭を、僕のふとももの方へ移動させ、寝転ぶような態勢を取る。
座っている僕の太ももの辺りに霧切さんの顔があるので、自然とまた頭を撫でるような態勢になる。

霧切「もっとなでて」
苗木「う、うん…でも霧切さん、ほんとにどうしちゃったの…?」
霧切「どうもしてないよ?それとも、わたしのこときらい?」
苗木「い、いや!全然嫌いじゃない!すごく可愛いよ!普段の霧切さんもいいけど、今の霧切さんも好き!」
霧切「えへへ、わたしもなえぎくんのこと、すき~」

いきなりの愛の告白。
二人はそのまま小一時間、恋人のようにじゃれあい、語り合った。

…そして、変化の時が来た。



苗木「でね、その時僕がね…」
霧切「…!」

壁のほうに目をやった霧切さんが突如、驚いた、といった表情で立ち上がる。

苗木「え…?どうしたの霧切さん?」
霧切「…」

さっきまでの猫のような甘い声と顔はどこへやら、いつもの厳しい顔の霧切さんに戻っていた。

苗木「霧切さん…?」

僕の呼びかけには答えず、
すっ、と無言で事務所の外へ出ていく霧切さん。
あまりの急展開に僕は呼び止めることもできず、ぼうっとしていた。


…10分ほどだろうか。何か怒らせるような事を言ったかな?やら、
そもそも霧切さんのあの猫モードはなんだったんだ?等、色々な事に考えを張り巡らせていた。

苗木「なにか壁のほうを見て驚いてたな…」

と思い、壁のほうに目をやる。
といっても、机や雑貨など、変わったものは何もない、事務所のいつもの風景だった。

なにがなにやらわからない。もしかして夢だったのか?とまで考え始める。
そうこうしているうちに、玄関のほうから誰かが帰ってくる音がした。

苗木「あ、霧切さん!いきなりどうしたの?」
霧切「…?」

外から帰ってきた霧切さんに、当然の質問をぶつける。
しかし霧切さんは、何を言ってるのかわからない、と言った顔をして、

霧切「いきなり、とはどういうこと?それより、お昼ごはん買ってきたわよ」

確かに霧切さんの手には、コンビニ弁当が2つ入った買い物袋が下げられていた。

苗木「…?ずっと話し込んでたのに、いきなりご飯を買いに行ったの?」
霧切「…なにか話が噛み合わないわね。なにかあったの?」
苗木「なにかって、霧切さんいきなり立ち上がって出ていってどうしたのかな…って。あんなに楽しかったのに」
霧切「おかしいわね。今日は朝から先方に調査状況の報告に行っててずっといなかったわよ」
苗木「えっ!?ずっといなかったの?僕はさっきまでずっと霧切さんと喋ってたのに!?」
霧切「…なにそれ。夢でも見たんじゃないかしら。それとも偽物でもやってきたのかしら?」

偽物。まさか…と思うが、いつもの霧切さんとはあまりの違いぶりに本物とは断言できないでいた。

霧切「ちょっとまとめる書類があるから、お昼ごはんは一人で食べていて。」

そういうと霧切さんは、自分の分の弁当を手に取り、そそくさと自分の部屋へと入っていった。


事務所に一人残される。…沈黙。
…あれはなんだったんだ。…偽物?
…もしかして江ノ島盾子?
江ノ島盾子の変装技術なら、霧切さんに成り代わる事も可能かもしれない。
実は生きていて、この事務所にあるなにか重要なものを探しにきたのかもしれない。

また何気なく、壁に目をやる。
そして、壁にある普段は気にも止めない雑貨に目を奪われる。

苗木「これって、もしかして…!」


苗木「霧切さん!」

僕は霧切さんの部屋のドアをノックする。
ある一点の事を確認したいためだ。

霧切「どうしたの?」

ガチャリ、と霧切さんが相変わらずのポーカーフェイスでドアを開く。

苗木「ごめん!」
霧切「え、ちょ!?」

ぐい、と部屋に乗り込み、霧切さんの部屋の壁のほうにあるものを確認する。

霧切「苗木くん、いきなりどうしたのよ…!」
苗木「…霧切さん、キミは僕に嘘をついた。…でもある致命的な間違いを犯した。
   ………僕をハメる気だったんだな!」
霧切「…!」


解答編へ続く
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