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私と苗木君は紆余曲折を経て恋人になった。
今まで彼の鈍感さや、周囲の女の子の猛烈なアタックに焦燥感を覚えていた私としては
一瞬でも長くこの幸せを甘受していたい――
それなのに彼ったら……
「あれ?どうしたの霧切さん。何だかとても嬉しそうな顔をしてるね」
なんて、平然と聞いてくるものだから
「何よ…嬉しそうな顔をしちゃいけないのかしら」と私は憮然とした表情で返す。
あなたの隣に本当の意味で立てている――その喜びが抑えきれず顔に出ていたらしい。

「それは違うよ。霧切さんの嬉しそうな顔、とっても可愛いよ」
と、いつもと変わらぬ調子で言い放つ。
「可愛いなんてそんな///…どうせからかってるんでしょ」
あまりにもいつもと変わらぬ調子だったので、私も照れ隠しでそう返すのだが……

「いいや、普段の霧切さんも可愛いけど」
「そんな風に嬉しそうに笑う霧切りさんも凄く可愛い。これは本心だよ」
彼の嘘偽りのないまっすぐな瞳で見つめられると、何も言い返すことができなくなる。
「……バカ。そんな事は二人きりの時に言ってほしいわ」
「え?ごっ、ごめん……じゃあ今夜改めて言うよ」
「だからそういう発言を…」

そう――できれば二人きりの時に言ってほしかった……

「…………………」
「苗木君!不純異性交遊は校則違反だぞ!」
「それに舞園君!君は何故包丁を研いでいるんだね?」
皆一様に沈黙する教室の中で超高校級の風紀委員の声と
シャリシャリ…と包丁を研ぐ音だけが教室内に響いた……。


「…おはよう霧切さん」
目を覚ますと間近に彼の顔があった。
「おはよう苗木君…」
「やっぱりお姫様はキスで目覚めるものなんだね」
そういいながら私の唇を親指の腹でなぞる

「なにキザなこと言ってるのよ///」
「昨日霧切さんが言ったんじゃないか、二人きりの時にして。って」
「それは……」
「いいでしょ?…それに昨日の霧切さんすごく可愛かったよ」
昨日の情事を思い出して、彼の胸に顔を埋める
「バカっ…恥ずかしいじゃないの」
「二人きりなんだから構わないでしょ」
そう言って私の髪を撫でながら額にキスをしてくる。


「一度自分の部屋で着替えてくるね」
彼を入口まで見送ったところで彼の慌てる声が聞こえてきた。

「ちち…違うんだよ、朝からちょっと霧切さんに用事があったからで」
「へぇ………苗木君、昨日と服装が同じですよ」
「!!これはたまたま洗濯し忘れてたから、仕方なく同じ服を」
「私、エスパーですから。なんでもお見通しなんです……」
「昨日はお楽しみでしたね………」
「ご…誤解だって!だからその何故か血の付いた包丁をしまってー」

慌てて部屋を飛び出すと某呪いのビデオから出てくる幽霊の様に髪を乱して
返り血を浴びたクラスメイト――舞園さんがそこに立っていた。

「霧切さん――どいてください。苗木君を殺して私も死にます」
「誤解よ!舞園さん」
「何が誤解だと言うんですか?そんなに首元に証拠を残しておいて」

――だからダメだと言ったのに……
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