苗木とサンタ霧切と

その日はクリスマスパーティーだった。
希望ヶ峰学園78期生みんなで集まってのパーティー。
こういうイベントは嫌がりそうな十神くんや腐川さん、そして霧切さんもちゃんと来て、夜中まで騒ぎ続けていた。
ただ終盤、霧切さんがいつもよりそわそわしていたのにこの時の僕は気づいていなかった。


パーティーの後、騒いだのもあり僕はすぐに眠りに付いた。
しばらく経って目が覚めたのは、たまたまかあるいは数少ない超高校級の幸運だったのだろうか。
そこには……。

「……霧切さん?」

「……!」

霧切さんは、僕が目を覚ましたのに気づくと、珍しくあからさまに動揺した表情をした。
僕は目を擦りながら改めて霧切さんを見て、一瞬で眠気が吹っ飛んだ。

「き、霧切さん!? その格好!?」

「み、見ないで、恥ずかしいわ……」

そう言われても、僕は霧切さんから目を離せない。彼女のその姿。服装から。

「サンタクロース?」

「……えぇ」

クリスマスで思いつくことの1つはサンタクロースだろう。赤い服でフサフサの髭の老人。
だけど、今、僕の目の前にいるサンタクロースは、赤い服とスカートのサンタ服を着て恥ずかしそうにしている霧切さんだ。

「ど、どうしたのその格好?」

「さっきのパーティーで――」

霧切さんの説明によると、先ほどのパーティーの最中。女子たちでゲームを行ったらしい。
そして奇跡の偶然か、霧切さんが最下位だったそうだ。

「そしたら急に罰ゲームって話になって……」

「それでその格好?」

「えぇ。パーティーの時じゃなく、後で苗木君の部屋にプレゼントを置いてきなさいって。
置いたらすぐに立ち去るつもりだったのに、この格好見られるなんて」

霧切さんは顔を真っ赤にして俯く。
そのしぐさ、格好が普段の霧切さんと全然違って、僕はドキッとした。

「でも、霧切さん。その、とても似合ってるよ」

「な、苗木君……」

霧切さんが恥ずかしげに顔を逸らす。
その時、僕は今更ながら霧切さんが持つ箱に気づいた。

「それ、プレゼント?」

「え? あ、ええ、そうよ。はい、苗木君。メリークリスマス」

「ありがとう。開けていい?」

霧切さんが頷くと、僕はプレゼントの箱をそっと開ける。

「あ、マフラーだ」

「ええ、苗木君、この前マフラーなくしたって言ってたでしょう?」

「……もしかしてこれ、霧切さんの手作り?」

「っ! なんでそう思うの?」

「いや、その。……所々、ずれてるっていうか」

「ヘタでごめんなさい」

「そんなことないよ! すごくうれしいよ!」

霧切さんが僕のために編んだマフラーだ。多少ヘタでも全然気にならない。

「霧切さん、本当にありがとう。大事に使うよ」

「ええ。じゃあ、私はこれで」

そう言って出て行こうとする霧切さんを、僕は呼び止める。

「待って!」

「な、なに?」

「そ、その、もう少しだけ、今の霧切さんを見ていたいなって」

「っ……!」

怒るかなと思ったけど、少しの間をおいて。

「……いいわ。今だけよ」

霧切さんは再びこっちへ来てくれた。
その後、僕と霧切さんはゆっくりと語り合って過ごした。

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