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 英雄。東條悟の中で、そんな言葉が彼の興奮を誘っていた。
 13人の仮面ライダーのひとりとして、大切な人間たちを殺してきた彼であっても、この胸の高鳴りを殺すことは出来ない。
 どういう経緯があって彼がこんなことを思うようになったのかは知らないが──


(この殺し合いで世界を救って英雄になれば、皆が僕を好きになってくれる)


 そんな強い思いが、彼を勝手に突き動かしてくれる。
 ただ名も残らぬまま生きていき、やがて死んでいく人間とは違う──そんな特異な存在、英雄。
 帰っては世界を救ったものと人に崇められ、後の歴史に名前を載せる。
 これは彼にとって、そんな夢を実現させるゲームでしかなかった。異世界の人間の死も、全て栄華のための「必要な犠牲」でしかないというのが、彼の考えなのだから。
 そして、英雄はただ一人でいい。
 たとえ同じ世界の人間であっても、協力などはしない。いや、寧ろ「困難な状況で生還する」ことにはより高い『英雄性』があるのではないかと東條は考えていた。ルールの形式上であっても、『大切な仲間』を殺すという点では東條の英雄観に合致している。
 味方であってもお構いなし、というのが彼の性質の悪い箇所だった。


 東條は、少し歩いてから目の前の白く大きい建物を見上げた。
 遠くから見上げれば、「大きな建物」以上の情報は得られないが、その建物が何なのかを理解した彼は呟く。


(病院かぁ……)


 それは、人の生命を左右する建物に違いなかった。
 この「選別」で怪我や病気を発症した人間によれば、地獄に仏という状況だろう。
 怪我も病気も無い東條だが、ここには少しだけ用事があった。いや、今この瞬間、彼にはここへの用事ができたのだ。


(ここでそういう人たちを待とう……それで、"犠牲"になってもらうんだ)

 怪我・病気に何らかの処置が必要な人間──弱った人間を襲い、参加者を減らせるというならそれほど楽なことはない。

 ……これは東條の一つの作戦でしかないが、彼の専売特許である"奇襲"に向いている作戦であることは確かだった。
 当然だが、用もなくここに来る人間は少ないだろう。何らかの病気にかかったり、襲われて怪我をしたりした人間であっても、流石に警戒してこんな場所に来ないかもしれない。
 だが、一度に多くの敵を相手にしないで済むという点では、東條の保身上の問題はない。

 彼の内気で臆病な部分が、無意識のうちにそういう方法を導き出したのだろう。
 ライダーバトルの中でも、彼はそういう人間だった。
 自分の意図を伝えないままに、そして何より不意に敵を殺す。彼の中に潜むハンター・『虎』がそれを実行させるのだ。


 病院は建物の性質上、鏡となるものが多い。
 病院の入り口から、その受付やソファを眺める彼の頬は引きつっている。
 基本的に、どこにいても変身には困らないだろう。病室の手洗い場であっても、金属の柱であっても、タイガのデッキを翳せばVバックルは現れ、仮面ライダータイガの装甲が彼を包んでくれる。
 『犠牲を作る』ことに向いていると、彼は思う。
 医者という職業の人間が人の生命を救い、時には大切な患者の死を見守ってきたように……病院という場所は英雄に限りなく近い場所だ。少なくとも東條の価値観では、そういうことになっていた。


 早速、東條は油断した人間が来そうな場所を探した。
 まずは、一階を探す。
 入ろうとすれば見えてしまう受付付近はまず他人を警戒させてしまう可能性が高い。
 都合の悪い敵に見られれば、真っ先に狙われる可能性さえ存在する。この場所は不適切だ、と思いながら奥に進む。
 他にも様々な部屋を回るが、一階は受診をするような場所でしかなく、「小児科」・「耳鼻科」・「内科」と書かれている部屋に寄る人間はまず少ないだろう、と東條は思った。


 階段を上った先にある病室の群。
 こちらは、ホテルのような感覚で休むことができる──疲れ果てた参加者には休息に成りうる場所である。
 が、東條が目をつけたのはまずその廊下だった。
 長い廊下は、彼のファイナルベントであるクリスタルブレイクに最適だった。
 窓は鏡になるし、病院に入る人間の監視もできる。更には、どの病室に入ろうとしても東條の視界に入った瞬間に殺せる。
 彼の戦法には打ってつけの場所であった。

「……誰かいるのか?」


 そんな声とともに病室の一つが開き、東條は不意を突かれたような表情を隠せなかった。
 デッキを持ちながらも、東條は彼に背を向けて窓にそれを翳すことができない。彼が出てきた病室の方を向いてしまったのが間違いだったのだ。
 体勢を立て直すことができない。
 目の前の人間は当然、「犠牲」になってもらうしかないのだが……。


「良かった……。参加者に会ったのはお前が初めてだよ。誰でもいいから、聞いて欲しい話があるんだ」

「……聞いて欲しい、話?」

「ああ。俺たちの住む世界と別の世界があるなら、互いに情報交換することも必要だろ? だから、大ショッカーを倒すためにも俺の話を聞いて欲しいんだ」


 その男は、剣崎一真といった。
 東條とは別の世界の仮面ライダー──ブレイドの名前を持つ男だった。



△ ▽



「……つまり、君の世界は『仮面ライダー』の存在意義そのものが違うんだね」


 東條は剣崎の話を聞いていた。相手が東條を警戒する様子がないならば情報も聞き出しやすいと考えたのだ。
 他世界の情報を知ることに意味は無いと思ったが、剣崎が『ケータッチ』や『ヒートメモリ』といった他世界の道具が支給されていることを知った今の彼には剣の世界の情報は無意味なものとは思えなかった。


「僕の世界では、仮面ライダーは『潰し合うもの』。君の世界では、仮面ライダーは『助け合うもの』……」

「お前と俺の世界はまるで違う。……そんな世界があったなんて」

「あまり実感が沸かないな……仮面ライダー同士が助け合う世界があるなんて」


 龍騎の世界は異質である。仮面ライダー同士が互いを完全な敵として認識しているのは、東條のいたその世界だけなのだ。全ての世界では、何らかの形で「仮面ライダー対怪人」という公式が備わっていた。
 当然、『仮面ライダー』は敵だった東條に、仮面ライダーが肩を組む姿を想像することは難しい。


「俺の友達が、前に俺に言ったんだ。──俺とお前は戦うことでしか分かり合えない、って。
 だけど、言ったろ? そいつは俺の友達だって。だから、今は敵同士でもきっと分かり合える日が来る」


 剣崎が戦争の世界に生きる仮面ライダーを諭そうと、そう言葉をかける。
 人間が、同じ人間を殺した末に自分勝手な願いを叶える世界──そんな世界を誰が望むものかと、剣崎は堪えられない怒りを握り締めた。
 ……そんな剣崎を、東條は鼻で笑う。
 どこかで、こんな男を見た気がする。東條や香川とは違い、理屈でライダーバトルを止めようとは考えない。
 要するに──馬鹿。

 仮面ライダー龍騎の城戸真司と同じで、ただその偏った表面上の正義感で動こうとして、結局戦いを止めることもできない駄目なライダーだ──


「僕だって、前まではライダーバトルを止めて英雄になろうと思ってた。でも、今の僕は別の方法を思いついたんだ」


 ──そういうライダーは弱い。
 そして、騙されやすい。英雄になる方法を履き違え、その方法が仇となっていつかは命を落とすような頭の悪さ。
 そんな立場の弱い相手に、『英雄』は強気になれた。
 怪訝そうに東條の表情を確認する剣崎を無視して、東條は背を翻して廊下に出る。


「ついてきてよ」

「……? ああ……」


 ドアが閉まらないうちに剣崎は廊下に出て、その東條が教える『方法』を知ろうとしていた。
 ブレイバックルに似た──しかし、スペードのマークが動物のマークに描き変えられたようなそれを、東條がガラスに翳す。
 その行為が一体、何を示しているのかわからなかったが、鏡に映った東條の腹をベルトが覆った瞬間に気づいた。
 それが、仮面ライダーへの変身方法なのだと。


「変身!」


 そこにあったのは内気な少年の姿を忘れさせるかのような獰猛な仮面ライダーの姿だった。
 仮面ライダータイガ。その名前は、剣崎は既に東條の口から聞いていた。


「これが、お前の世界の仮面ライダーなのか……」


 何故廊下に出たのかも忘れて、剣崎はその姿に意識を奪われた。
 ブレイドやギャレンに、確かに似ている。
 ……が、だからこそこれが殺しあうためのライダーだという事実には強い抵抗を感じた。


「そうだ、お前が言ってた『別の方法』っていうのは──」


 そう言いかけた剣崎の首に、銀色の指先が絡みついていた。
 仮面ライダータイガは、剣崎の首に手を掴んでいたのだ。首輪の冷気も温まり、あまり気にかからなくなっていた首に、冷たい感触が伝っていく。


「ライダーの頂点に立って英雄になるんだ。それが僕の見つけた方法だよ」


 狂っている、と剣崎は思い掛けた。
 そんな考えをかき消し、剣崎はブレイバックルを腰に撒いた。


「変身!」


 ──Turn up──


 青い壁が、タイガを弾き飛ばす。タイガの変身方法と決定的に違う点だった。
 それを走りぬけ、追い越したとき、剣崎は既に仮面を身に纏っている。
 仮面ライダーブレイド。別世界のライダーの姿に、東條もまた心を奪われた。
 が、向かって来るブレイドを前にタイガは立ち上がり、斧型の召喚機・デストバイザーを構える。


「……ライダー同士が戦わなきゃならない世界なんて、俺が消してみせる!」


 ブレイドもまた、ブレイラウザーを構えた。
 東條という男を狂わせたもの──それは『ライダーバトル』、或いは『ライダーの力』だったのだろう。
 実際、彼はかつてライダーバトルを止めようとした男だったらしい。それが今、こうして変わっているならば、戦いが彼を狂わせたということだ。

 ギャレンの力に植えつけられる恐怖心。
 レンゲルの力に奪われる理性。
 同じように、それに近い何かがタイガの中で動いていると、剣崎は思っていた。

 ブレイラウザーとデストバイザーが刃を交えあう。火花が散っても、後退はしない。
 仮面を通して肌を刺激する熱も、胸に滾る二つの思いに敵うことはないのだ。


──(今はただ、剣をぶつけ合うしかない。分かり合えたときだって、きっと手遅れにはならない……!)

──(君の犠牲を乗り越えて、僕は英雄になる……!)



△ ▽


 勝つ悪の組織。
 英雄に憧れる青年の限りなく近い場所に、そんな間逆の言葉に興奮を隠せない男がいた。
 大ショッカーという組織に負けぬためにも、ネガタロスはこの場で新たな組織を作ろうと模索していた。


「……そのためにも、良い悪を捜さないとな」


 角を撫でながら、ネガタロスは病院の廊下を歩いている。
 彼はかつて正義の味方・仮面ライダー電王と仮面ライダーキバに敗北し、死亡したはずだった。
 ……が、大ショッカーの力によって再生されたネガタロスは更なる悪の組織を作るために早速動き出していた。
 彼の思考によると、「悪の戦士はいつか蘇るのは当然」らしく、今こうして生きていることをあまり気にしてはいない。
 無論、腹立たしい「弱い悪」の大ショッカーは眼中になく、そんな連中が自分の再生を行ったとは夢にも思っていないのだ。


 そもそも、彼にとって興味深いのは、いくつもある世界と、そのそれぞれに存在する悪である。「悪の組織」な大ショッカーもその一つである。
 時間が幾つもあるように、世界が幾つもあり、その全てがこの場では繋がっているらしい。
 仮面ライダーという存在が厄介だが、それを倒すのがネガタロスの求める「悪の組織」である。寧ろ、ここで結成する「悪の組織」への良い実験台だ。


「ま、結成したら『新生・スーパーネガタロス軍団パート2(仮)』ってとこか……」


 あまり確定性のない名前を考えるとともに、ネガタロスは壁の向こうから薄っすらと声が聞こえることに気がついた。
 イマジンの耳をもっても、はっきりとは聞こえないが、その声が単体ではなく複数の会話であることだけは認識できる。
 会話の内容も、相手の容姿も関係なく、ただネガタロスはその敵が『善』なのか、『悪』なのかに興味があった。


「……まさか、善じゃねえだろうな」


 ネガタロスは壁の向こうから聞こえる声を潰す、或いは招き入れるために壁を破壊しようとした。
 デンオウベルトが、ネガタロスの腰の周りを一回転して──


「変身」



△ ▽


「どうです、矢車さん!? 少しはリラックスしましたか!?」


 ここはある診察室だった。心臓でも止まってしまったかのように、無気力・脱力・自堕落な矢車の触診を行うために、夏海がつれてきたのだ。わざわざ私服の上からナースの白衣を被ってまで、雰囲気を作り出す。
 穢れなき白衣を纏った少女と、戦場にでも行ってきた様な切れ焦げの黒い服の男。第三者が見て、どう思う光景なのだろうか。
 聴診器を使って、矢車の心臓から音が聞こえることを確認して、とりあえず夏海はほっと胸をなでおろした。
 が、矢車は無言を押し通す。彼はそういう男なのだ。


「少しは反応してください!」

「……」

「おーい、矢車さん」


 何度呼びかけても矢車が反応することはなく、夏海は聴診器を矢車の胸にもう一度当ててみる。
 白いTシャツの上からだが、しっかりと音は聞こえる。それは命の鼓音だった。


「もう、ちゃんと生きてるじゃないですか……」


 こうなったら秘策です、と呟いて夏海はおもむろに立ち上がった。
 そして、私服の上から羽織っていた白衣を脱ぎ、ベッドに落とした。
 これには流石の矢車の一糸の期待を抱かざるを得なかったが、その希望はすぐに絶たれた。
 無論、夏海の秘策は「そんなこと」ではなく、光の家系に伝わるある伝説のワザである。


「光家秘伝、笑いのツボ!」


 夏海の親指が矢車の首にある『笑いのツボ』を強く押した。
 この親指の餌食になった人間は、たとえどんな世界の人間であっても笑いが止まらなくなってしまうのだ。
 笑顔を捨てた矢車も、これには笑いが止まらない。


「ふっふっふっふっふっふっふっふっ……」

「笑い方もなんか消極的です……」

「ふっふっふっふっ……悪かったな」


 矢車のムッツリ笑いは、たったひとつの意味なき会話を呼び起こした。
 が、夏海としてもこの気味の悪い笑い方には鳥肌が立つ。


「あの……矢車さん」

「なんだ? ……ふっふっふっ」

「その笑い方、やめてください」

「ふふっ……楽しそうね~」

「だからやめてください……ってあれ?」


 ふふっ、と笑ったのは矢車の声ではなく、女性の声──それも、聞き覚えのある声であることは間違いない。
 この場には三人以上の姿は見当たらないのだが……


「キバーラ?」

「はろろ~ん。あんな狭いバッグに入れないでよ、夏海~。中から開けるのが大変だったわ」


 小さな白が、夏海と矢車の周りを不規則に滑空する。
 まるで虫のように、動きはつかみ所がなかった。


「うん? そっちの薄汚い色男は誰~? 夏海の新しい彼氏~?」


 ──その返答に困る質問を、切り裂くかのように一筋の赤い光が診察室の壁に刻まれる。
 それを見ていた二人であっても、それが何故起こったのかわからない。壁に触れてもいないのに、壁に何かが起こった。
 思考をめぐらせているうちに、壁は音を立てて崩れていく。


「何でしょう、矢車さん……」

「知るか……ふっふっふっ」


 と言っているうちに、崩れた壁の向こう側に『仮面ライダー』の姿が見えた。
 その行動を見る限り、あまり正統派な『仮面ライダー』ではないらしい。


「きゃっ!」


 事態を把握していないキバーラは、その出来事に思わず驚愕の音を上げる。
 目の前のライダーが誰か、彼女たちは知っていた。──だからこそキバーラは何が起こっているのかさっぱりだ。
 そう、夏海とキバーラは、それに似たライダーを見たことがある。
 夏海はつい、そのライダーの名を叫んだ。


「──電王!!?」


 それは時の運行を守る時空戦士・仮面ライダー電王であった。彼女の知っている電王は、モモタロスというイマジンが変身する。
 ──が、その電王は悪の組織を目指すネガタロスが変身したものである。

 電王ソードフォームの複眼を始めとする赤のパーツが全て、紫に塗り替えられ、まだらのタトゥーを彫ったように青い模様が書き加えられていた。
 その名を、仮面ライダーネガ電王という。


「電王を知っていたか……。だが、覚えておけ──」


「──強さは別格だ」


 矢車はそんな敵を前にしながらも、キックホッパーになろうとはしない。
 先ほどまでの不気味な笑いは既に止み、──しかしその頬を歪曲させている。


「おい、そこの。何だか悪みたいなツラだな。どうだ、お前らは『善』か『悪』か?」


 ネガ電王は指を指す代わりに、デンガッシャー・ソードモードの刃先を矢車たちに向ける。
 矢車は全く動じず、その問いに答えを示す。


「さあな……だが、『天国』か『地獄』かで言ったら、俺が行くのはきっと『地獄』だ」

「面白い返答だ。俺様の望んでいた通りのヤツだ。……力ずくでも、俺様の軍団の団員になってもらう。
 大ショッカーをも越える、『新生・スーパーネガタロス軍団パート2(仮)』結成のためにもな」

「……貴様に手を貸すつもりはない」

「悪ってのはなぁ……最初は皆そう言うんだよ。力でねじ伏せるまではな……」


 ネガ電王はその圧倒的な自信を、矢車の前で誇っていた。
 この首輪さえなければ、大ショッカーなんて数秒で全員部下にしてみせるものを……とでも言いそうなほどに。
 実際の能力も、電王を軽く凌駕していたほどだ。それだけ戦いに慣れていた。


「変身しろ……お前だって力の一つや二つ持ってるんだろう?」

「……矢車さん、変身しないとやられちゃいます!」


 敵も味方も矢車を変身に誘う。
 ──が、矢車はゼクトバックルを地面に叩き付けるように放った。叩きつけられたそれは、慣性に身を委ねて地面を滑っていった。
 それは、矢車からのはっきりとした拒絶である。


「殺せ。本当の地獄に堕ちてやる」

「何言ってるんですか、矢車さん!?」


 矢車は、それを待っていた。それを望んでいた。
 死の先にある地獄──そこで待っている弟たちに会いに行かなければならないのだ。
 それが今の彼の、使命。
 迎えが来るのを、彼は待ちわびていたのだ。

「なるほど……。今わかった──お前は役立たずだ」


 ネガ電王がけだるそうに右足に体重をかけながら矢車にそう告げる。
 それは「勝つ悪の組織」を目指すネガタロスからの、死の宣告だった。
 使えない「悪」は勝利に不要である。不必要なものは、ネガタロスが屍に変える。
 矢車もその屍になろうとしていた。
 それは、矢車の意思であり、ネガタロスの意思であった。


 ──が、こんな場にもそんなことを認められない『善』はいた。


「……待ってください! それならまず、私を倒してからにしてください!」


 置物となった矢車に近づくネガ電王の歩を、夏海が遮り止めた。
 当然だが、夏海もネガ電王にとっての不要物である。──増やすべき屍の一つ。
 悪の組織の敵こと正義の味方に限りなく近い女だ。


「キバーラ!」

「……なんだかよくわからないけど、そんなヤツに負けないでね、夏海」


 ──かぁぷっ──


 その華奢な指にキバーラの牙が絡みつき、夏海の身体が仮面ライダーキバーラに変身していく。
 噛み付かれても痛みなどはなく、力だけがみなぎっていく。
 その細く、凛々しい白い戦士がキバーラサーベルを構え、ネガ電王の前に敢然と立ちすくむ。


「俺様を燃えさせるなよ……。俺様はお前の男バージョンに怨みがあるんでな」


 ネガ電王はかつて自分を葬った仮面ライダーキバの姿を頭の中でフラッシュバックさせる。
 キバーラの姿は、そのトラウマと怨念を思い起こさせるに充分であった。
 怨念が、彼の力を増幅させる。


「最後に勝つのは、《正義》であることを教えてみせます」

「俺をそこらの、最後に必ず負ける《悪》と一緒にするなよ。俺様が目指すのは、《勝つ悪》だ!」


 正義と悪──二つの力が矢車の眼前でぶつかった。



【1日目 日中】
【E-4 病院/二階廊下】

【剣崎一真@仮面ライダー剣】
【時間軸】第40話終了後
【状態】健康 仮面ライダーブレイドに変身中
【装備】ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA~6.9)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
基本行動方針:人々を守り、大ショッカーを倒す。
0:まずは東條を止めて、分かり合う。
1:橘朔也、相川始と合流したい。
2:何故、桐生さんが?……
3:Wとディケイドが殺し合いに否定的ならアイテムを渡したい。
4:龍騎の世界で行われているライダーバトルを止めたい。
【備考】
※ 龍騎の世界について情報を得ました。


【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】健康 仮面ライダータイガに変身中
【装備】タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考・状況】
1:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
2:自分の世界の相手も犠牲にする。
3:まずは剣崎を犠牲にして強くなる。
4:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※ 剣の世界について情報を得ました。

【1日目 日中】
【E-4 病院/一階診察室】
※診察室の壁は破壊されています。


【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】健康、弟たちを失った事による自己嫌悪、あらゆる物に関心がない
【装備】カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0~1)
1:光夏海と行動するが、守る気はない。
2:殺し合いも、戦いの褒美もどうでもいい。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。
※ゼクトバックルは床に放置しています。


【光夏海@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】健康 仮面ライダーキバーラに変身中
【装備】キバーラ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品(0~2)
【思考・状況】
0:まずは目の前の謎の電王を倒す。
1:矢車と行動する。放っておけない。
2:士、ユウスケ、大樹との合流。
3:おじいちゃんが心配。
4:キバーラに事情を説明する。
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※矢車にかつての士の姿を重ねています。
※矢車の名前しか知らないので、カブト世界の情報を知りません。
※大ショッカーに死神博士がいたことから、栄次郎が囚われの身になっていると考えています。
※キバーラは現状を把握していません。


【ネガタロス@仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事】
【時間軸】死亡後
【状態】健康 強い怨念 仮面ライダーネガ電王に変身中
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品(0~2)
【思考・状況】
1:最強の悪の組織を作る。
2:まずは目の前の正義を倒し、矢車を殺す。
3:キバに似てる……?
4:様々な世界の悪を捜す。
5:大ショッカーは潰すか、自分の組織に招き入れる。
6:電王、キバのほか善は全て倒す。


018:白の鬼札 投下順 020:巡り会う世界
018:白の鬼札 時系列順 020:巡り会う世界
007:俺を動かす力 剣崎一真 028:勝利か敗北か
GAME START 東條悟 028:勝利か敗北か
005:闇を背負う男と光の名前を持つ女 矢車想 028:勝利か敗北か
005:闇を背負う男と光の名前を持つ女 光夏海 028:勝利か敗北か
GAME START ネガタロス 028:勝利か敗北か