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魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg




「とんだ目にあったな…………」

日の光に照らされた道を、一人の男が歩きながら呟いた。
その声からは、明らかな苛立ちが感じられる。
肩まで届く黒い長髪、暗闇のような色のロングコート、その下に纏われているスーツ。
全てが、漆黒で統一されている。
その格好からは、まるでこの世の全てを飲み込むような、禍々しい雰囲気を放っていた。
彼の名は、乃木怜司。
『カブトの世界』で猛威を振るっていた、宇宙より飛来した人間に擬態する生命体、ワームを率いる王。

「俺としたことが、油断したか……?」

自らと大ショッカーに対する苛立ちを感じ、舌打ちをする。
本来ならば、ワームの軍勢を率いて、人類に攻撃を仕掛けている最中だった。
忌々しいZECTが生み出した、マスクドライダーシステムの秘密を奪うために、エリアZに進撃。
そしてあと一歩の所で、勝利を収めるはずだった。
だが気がついたら、大ショッカーと名乗った連中に、拉致されるなんて。
そして訳の分からない殺し合いを強制された。
その目的は、自分が住む世界を崩壊から救うこと。
首から伝わる冷たい感触が、その証。
鋼鉄製の首輪には、どうやら爆弾が仕掛けられているようだ。
先程、その犠牲となった男がいる。
名前は確か、影山瞬と言った筈。
ZECTの一員として、ワームに何度も刃向かった。
そして、自分にも。
仮面ライダーパンチホッパーとして、他のライダーと徒党を組んだ。
だが自分は、掠り傷すらも負わずに勝利を収める。
エリアZの最深部に突入しようとした矢先、こんな戦いに繰り出される羽目になるとは。
しかし過ぎたことをこれ以上考えても、仕方がない。
やるべきことは、一刻も早く元の世界に帰還して、ZECTを潰すこと。

「さて、どうするか」

だが、まずはその方法を探ることからだ。
いくら行動方針を定めたところで、肝心の手段が無ければどうしようもない。
選択肢は、二つ。
一つ目はワームの王としての力を発揮し、参加者を皆殺しにする。
この選択を取ることは楽だ。
自分の力さえ用いれば、負けることは無い。
だが、それはあくまでも自分の世界の話。
大ショッカーはこの会場に、違う世界の住民を連れてきた。
それが、予想以上の力を持っている可能性は充分にある。
地球の人間は、井の中の蛙という諺を作った。
奴らの言葉を借りるのは癪だが、下手に喧嘩を仕掛けてもこうなる可能性がある。
そして何より、この選択を取ることは大ショッカーに屈したも同然。
ワームの王としての誇りが、それを許さなかった。
第一、生き残ったところで奴らが約束を守るとは思えない。
最後の一人になった瞬間、大ショッカーがこちらを始末しに来る事も、充分にあり得る。
返り討ちにしてやればいいが、そうもいかない。
敵は自分を拉致し、このような首輪を巻いた。
この事実からすると、大ショッカーは確実にこちらの手の内を、全て知っている。
そして何らかの対抗策も、既に固めているはずだ。
少なくとも自分が大ショッカーの立場なら、そうしている。
駒に反旗を翻させないために。

(奴らの駒になるだと…………考えただけでも反吐が出る)

怒りによって、腸が煮えくり返りそうになった。
だがそれを押さえて、乃木はもう一つの選択に思考を巡らせる。
二つ目は参加者と結託し、大ショッカーを打ち滅ぼす事。
人間と仲良く手を取り合うつもりなどない。
ワームの本領に応じて、利用する。
戦力となるなら引き入れて、駄目なら餌にするだけ。
そして首輪を解除できる環境も作り、この世界から脱出する方法を探る。
最後は、自らをこんな場所に放り込んだ愚か者への制裁だ。

「ここには、奴らがいるか」

自分に持たされたデイバッグを開いて、支給されていた名簿を確認する。
どうやらこの会場には、自分が知る者が少しはいるようだ。
ZECTが作り上げたマスクドライダーを使う人間と、ワームの同胞。
まず、天道総司。
仮面ライダーカブトの資格者として、我々ワームに何度も刃向かった愚かな男。
自分も、奴には煮え湯を飲まされた。
大ショッカーに啖呵を切ったところを見ると、反旗を翻そうとしているに違いない。
最も自分には、どうでもいいことだが。
潰そうとするのなら、勝手にすればいい。自分の邪魔になったときに、始末すればいいだけ。
次に、加賀美新。
仮面ライダーガタックの資格者として、カブト共に我々の邪魔をした、マスクドライダーの一人。
天道ほどではないが、この男も厄介だ。
そして、矢車想。
仮面ライダーキックホッパーの資格者であるこの男は、いまいち訳が分からない。
ワームの邪魔をしている。
かといってZECTの犬となっている訳でもない。
最後に、仮面ライダーダークカブトに選ばれた、あの男。
ZECTの手によってエリアXの最深部に幽閉され、天道総司に擬態したネイティブらしい。
あれの存在は最高機密らしいが、ワームの情報網さえあれば存在を知るなど、朝飯前。

「まさか、あの間宮麗奈までもがここにいるとはな」

名簿を見ながら、乃木は呟く。
そこには、意外な名前が書いてあったため。
間宮麗奈。
ワームの中でも高い地位に就いており、多くの仲間を率いてきた。
だがある時、カブトとの戦いで記憶を失ったと聞く。
その時に仮面ライダードレイクに選ばれた男、風間大介と恋に落ちて、最後には死んだらしい。
あの女が愚かな人間に愛を抱いたことに、多少ながら驚愕した。
しかし、それだけ。
精々、駒が一つ減った程度にしか感じない。
無念を晴らそうとも、敵を取ろうとも思わなかった。
人間などに思いを寄せた愚か者など、仲間とは思わない。

「どうやら、奴らの言葉はあながち嘘ではないようだな…………」

間宮麗奈の名前を見て、乃木は思い出す。
最初の地で、死神博士と名乗った老人は言っていた。
戦いに勝ち残れば、願いを叶えると。
そしてそれには、不可能はないらしい。
無限の命、敵対組織の根絶、過去の改変。
恐らく、間宮麗奈も何らかの方法で蘇生させて、盤上の駒としたか。
もしくはハイパーゼクターのように、時を越えて死ぬ前から連れてきたか。
何にせよ、奴らの技術は本物の可能性が高い。
自分をこんな所に拉致することだ。
奪わない手はない。
これを上手く利用すれば、ZECTを潰すことも可能なはず。
乃木の行動方針は、ようやく決まった。
まずは大ショッカーに対抗出来る、人材の確保。
使える者を手駒に引き入れ、駄目な奴は餌にする。
ZECTのライダーも、視野に入れなければならない。
奴らと手を組むなど、本来なら反吐が出る行為だ。
しかし、今は堪えなければならない。
大ショッカーを打ち破るまでの辛抱だ。
その後に、自分の餌にする。

「愚かな大ショッカーの諸君、待っているがいい…………」

乃木怜司は動き出した。
自らの信念に基づいて、大ショッカーを潰すために。
ワームを率いる魔王の行く先には、何が待つか。



【1日目 日中】
【D-3 橋】



【乃木怜司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】44話 エリアZ進撃直前
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品×3(確認済み)
【思考・状況】
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
【備考】
※カッシスワーム グラディウスの状態から参戦しました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュの二つです。
※支給品には、変身アイテムや強力な武器などは一切支給されていません。

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