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いつも心に太陽を(後編) ◆7pf62HiyTE




【P.M.05:52 E-4 住宅街】


 ガラスから飛び出し背後から橘へと襲いかかってきた。


「橘ぁっ!」


 ヒビキが襲撃者の存在に気付き声を張り上げる。その声のお陰で橘は反応する事が出来――


 襲撃者が振り下ろした爪を寸前で回避する事が出来た。


「何!? コイツは……」
「参加者……じゃないよな」

 それは白い虎を模した怪人であった。両手にある爪を構えつつ2人を睨んでいる様であった。
 そしてすかさず再び橘へと飛びかかっていく。

「ぐっ……狙いは俺か!」

 橘は怪人にやられるまいと後方へと跳び距離を取る。それでも怪人の動きは人間よりも素早くすぐさま距離を詰めていく。

「不味いな……橘のベルトは俺が持っている……」

 橘の持つギャレンバックルはヒビキが所持している。故に今現在橘は変身する事が出来ない。

「ならば……」


 ヒビキはすぐさま音叉を震わせ額へと当てた。鬼としての姿に変化する為だ。だが――


「変わら……ない……」


 ヒビキの身体が変化する事は無かった。ヒビキは気付いていない、この地では一度変身が解除されれば2時間変身が不能となる事に。
 先の戦闘からまだ1時間も経過していない以上再変身出来ないのは当然の結果なのだ。

 ヒビキがいつになく動揺している間も怪人は橘へと迫る。
 何故、怪人はヒビキや装甲車にいるユウスケではなく橘を狙っているのだろうか?
 橘だけはその理由を薄々ながら推測出来ていた。

『気を付けた方がいいよ、あの辺りには僕が契約していたモンスターもいるからね』

 それは先の戦闘で橘と対峙していた東條が口にしていた言葉だ。彼によると病院近くには自身の契約モンスターがいたらしい。

「(恐らく、コイツが奴の言っていた契約モンスターだろう。もしや俺が奴を殺したと本能で察しているとでもいうのか……?)」

 彼を殺したのは厳密に言えばダグバだ。だが、その前に戦っていたのは橘である。つまり彼の死について橘が全く無関係では無いという事になる。
 その復讐の為に襲った――だがこれは余りにも突拍子のない妄想に近い仮説だ。

 橘を襲っているモンスターは推測通り橘が対峙した東條悟の契約モンスター『だった』デストワイルダー。
 しかし、契約を司るカードデッキが破壊された事でデストワイルダーは解放された。最早東條とは何の関係もない野良モンスターである。
 だが、契約が無くなってもモンスターとの絆が完全に消え失せるのかというとそうではない。
 契約モンスターの中には契約していたライダーが殺された後、そのライダーを仕留めたライダーに対し仇討ちを仕掛けたモンスターがいる。
 その事例から見ても、契約が切れたからといって必ずしても契約したライダーとの絆は断ち切れるわけではないという事だ。
 さて、前述の通り、橘は東條と対峙し交戦していた。恐らくデストワイルダーは五感あるいは本能で橘から東條の匂いを感じていたという可能性は否定出来ない。
 既に亡くなっている主に対する忠義がそこにあったのかもしれない。
 無論、これも只の仮説であり何の証拠もない。もしかすると単純に手近な相手として橘を選んだという身も蓋もない理由だったのかも知れない。

 真相はどうあれデストワイルダーが橘を狙っているのは事実。デストワイルダーは橘へと猛攻を仕掛ける。
 仮面ライダーに変身していない普通の人間にとってモンスターの一撃はそれだけで致命傷となる。故に橘は全力で回避を続けていく。
 変身道具であるガイアメモリはデイパックの奥、取り出し挿入する隙など与えてくれないだろう。

 もしかしたらダグバやクウガに対する恐怖心から変身して戦う意欲を奪っていたのかも知れない――




 だが、先の戦いでの疲労も抜けていない故に何時しか限界は訪れる。
 僅かに出来た隙を突かれデストワイルダーの左腕が橘の首を掴んだ。
 そして橘を持ち上げ右腕を構える。


「橘!!」


 変身が出来なくても、先の戦いでダメージを受けていてもこれ以上死者を出すわけにはいかない。
 ヒビキは橘を救うべくデストワイルダーに接近していく。その時、


「ヒビ……キ……Aのカードを入れて……変……」


 橘がヒビキを見てそう口にする。


「!? そうか」



 橘の意図に気づきヒビキは走りながらギャレンバックルにAのカードをセットし腹部へと当てる。すぐさまバックルからベルトが展開されヒビキに巻かれる。



 そしてそのままバックルを回転させ――


──TURN UP──


 バックルからクワガタが描かれた青い壁が展開され、それがデストワイルダーに直撃した。それによりデストワイルダーはバランスを崩し橘を手放してしまう。


「ハッ!!」


 そのままヒビキは青い壁を突き破り仮面ライダーギャレンへの変身を完了した。



「で、どうすれば良いんだ……?」


 銃を使う仲間に威吹鬼がいる為、同じ銃使いであるギャレンの戦い方はある程度理解出来る。
 だが、何時もと違う姿故に戸惑いがあって当然である。


「ぐふっ……6のカードを……ラウ……その銃に……」


 喉を押さえながら橘が口にする。


「コイツを……こうか?」


 ――FIRE――


 6のカードを醒銃ギャレンラウザーに読み込ませた。その力がギャレンへと流れ込み。


「ハァァアッッ!!」


 ギャレンは何発もラウザーの引き金を引き、炎の弾丸をデストワイルダーへと撃ち込んでいく。


――GAHOOOOOO!!――


 着弾して発生した爆煙と共にデストワイルダーの雄叫びが響き渡った――





【P.M.05:56 F-2 住宅街】


「(どうする……見たところ翔一も城戸も変身不能……)」

 キバットは少し上方から彼等の様子を眺める。双方それぞれのライダーに変身出来ない以上一方的に蹂躙されるだけだろう。
 無論、自身の力で2人の内のどちらかに闇のキバの鎧を纏わせればまだ対処は可能だ。しかし、


 ――TIME――


「(タイム……時……?)」


 1枚のカードがレンゲラウザーに読み込まれ電子音が響く。その直後、


「がはっ!」


 次の瞬間、キバットはレンゲルによって地面へと叩き落とされた。
 読み込んだカードはスペード10スカラベのカード、その能力は任意の範囲の時間を止める『スカラベタイム』、
 レンゲルはそれを発動する事で周囲の時間を止め空中で自身の様子を伺っているキバットの背後まで回り込み、
 時が動き出したタイミングで叩き落としたのだ。なお、時間停止中は他の物を一切傷付ける事が出来ない故に動き出してから仕掛けたのである。


「ぐっ……貴様……!」


 時が動き出した直後に攻撃を受けたが故にタイミングが少しずれた為、それ程大きなダメージではない。
 とはいえ、全身に激痛が奔りすぐに動く事は出来ない。故に闇のキバの鎧を纏わせる事は難しくなった。


「小沢さん! どうしてこんな事をするですか!」


 翔一が叫ぶ。何故、小沢がレンゲルに変身し自分達を襲っているのか?


「まさか……お前かモンスター!」


 真司は先の戦いでレンゲルの仮面に蜘蛛の顔が浮かび上がっていた事を思い出す。
 あの時はその動きがモンスターの様に見えた事もあってそう感じていただけだったが、今漸く確信した。


「蜘蛛のモンスター、お前が小沢さんやあの未確認を操っていたんだな!!」


 真司の叫びには強い怒りが込められていた。
 あのモンスターが何者かは知らないがレンゲルの中に潜んでいたのだろう。
 レンゲルを介し装着者を意のままに操りライダーに変身させ殺戮を繰り返させているのだろう、装着者の意志など関係なしに。
 そして、装着者が死ねば次の装着者を操り同じ事を繰り返す――
 許せないと思った。前に人を操りゲーム感覚で殺し合いをさせようとし自身も色々苦しめられた芝浦淳がいたがそいつに匹敵――
 いや、モンスター自身が直接出てこない分それ以上に質の悪い奴だと感じた。


「じゃあ、キバットを襲ったらしいあの人も……」


 レンゲルは一切表情を変えない――その代わりにほんの一瞬あの時同様蜘蛛の顔が浮かび上がった様に見えた。それはきっと肯定のサインだったのかも知れない。


「仮にそうだとしてどうする……このままでは俺達は全滅する事に変わりはない」


 翔一、真司は共に変身不能、キバットも動けない以上彼等に対処する手段はない。
 真司が自身のカードデッキを翔一に渡せばまだ可能性があるが真司自身その手段に気付いていない。
 また仮に気付いていても翔一と真司の間にはそれなりに距離がある。何とか渡そうとも再び時を止められれば失敗に終わるだろう。


「小沢さん! 声が聞こえているなら応えて下さい!」


 翔一は叫ぶ中、レンゲルは静かに1枚のカードを読み込ませた――





【P.M.05:53 E-4 住宅街】


「……やったか?」

 爆煙が晴れたそこに立っていたのはギャレン、そして橘だけであった。周囲を見回してもデストワイルダーの姿は――

「いや、どうやら逃げられた様だ」

 近くのガラスの破片の奥からデストワイルダーが2人を恨めしそうに見ていた。
 制限の関係上、モンスターが出現していられる時間は1分、炎の弾丸が着弾した丁度のタイミングで限界時間を迎えデストワイルダーはミラーワールドへと戻ったのだ。
 故にデストワイルダーは倒されることなく事なきを得た。もっとも数発着弾していたのでノーダメージというわけにはいかないが。
 それでもこれから2時間は現実世界に影響を及ぼす事は出来ない。かくしてデストワイルダーは2人の視線から去っていった。

「とりあえず何とかなったな」

 そう言ってギャレンの変身を解除し元のヒビキに戻った。

「ヒビキがバックルを拾っていたお陰で助かった……」
「ああ、済まなかったな」

 そう言ってヒビキはバックルとカード、そしてアブゾーバーを橘に返した。その時、

「ぐっ……」

 只でさえダメージが蓄積していた状況であれだけ動いたのだ。2人の身体に激痛が奔る。

「早く病院に行った方が良いな……ん?」


 と、周囲を見回した所、あるべき筈のものが無い事に気が付いた。


「車が無い……」
「何……?」


 そう、自分達が乗っていた装甲車が消えていたのだ。


「小野寺!? もう意識を取り戻したのか!?」
「アイツ……状況が解っているのか……」


 十中八九装甲車を動かしたのはユウスケだ。この状況下では愚行以外の何者でもない為、橘はそれに憤る。しかし、


「まさか、俺達の会話を聞いていたんじゃないのか?」
「何?」


 ヒビキは自分達の会話が聞かれた可能性を考えた。

 夏海が既に死んでいる事――
 ダグバがユウスケ1人の為に殺戮を繰り返すだろうという事――
 漆黒のクウガの危険性と恐怖――

 もし、それらが耳に入ったとするならば?
 ユウスケがショックを受け自分達の元から去っていく可能性は否定出来ない。

 今のユウスケを1人にするのは非常に危険なのは語るまでもない。
 だが、装甲車で移動するユウスケをダメージと疲労の激しい2人が追いかける事は難しい。
 それ以前に何処へ向かったのかも不明だ。現状はこのまま病院に向かうしかないだろう

「橘……」
「くっ……どうしてこんな事になったんだ……?」




【1日目 夕方】
【E-4 住宅街】
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、全身に中程度の火傷、罪悪感、クウガとダグバに対する恐怖、仮面ライダーギャレンに1時間10分変身不可
【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(ダイヤA~6、9、J)@仮面ライダー剣、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(ライアー)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×3、ゼクトルーパースーツ&ヘルメット(マシンガンブレードはついてません)@仮面ライダーカブト、ファイズポインター&カイザポインター@仮面ライダー555、ザビーブレス@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
0:小野寺、何故勝手に……
1:今は病院に行って、怪我を治す。
2:とにかく首輪を解除するため、『ガイアメモリのある世界』の人間と接触する。
3:殺し合いで勝たなければ自分たちの世界が滅びる……。
【備考】
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。

【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】本編第41話終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、全身に中程度の火傷、罪悪感、仮面ライダー響鬼に1時間10分変身不可、仮面ライダーギャレンに2時間変身不可
【装備】変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、着替え(残り1着)
【思考・状況】
0:小野寺……
1:今は病院に行って、怪我を治す。
2:打倒大ショッカー
3:殺し合いはさせない
4:大ショッカー、ガイアメモリを知る世界、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
5:俺がしっかりしないと……
6:小沢さんに会ったら、北條(名前を知らない)からの遺言を伝える。
【備考】
※アギトの世界についての基本的な情報を得ました。アギト世界での『第四号』関連の情報を得ました。
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※ガイアメモリは自分にも支給されていたが、知らない間にどこかに落としてしまったと勘違いしています。






【P.M.05:55 G-1 廃工場】


「赤いリント……違うか。こんなのもいるんだね」

 白い服の青年ダグバは赤い鬼の亡骸を見てそう呟いた。
 先の戦いの後手に入れたバイク、自分達グロンギの1人ゴ・バター・バのバイクバギブソンを駆りこの場所へと辿り着いた。
 バターは自らを『キョクギンサギザザ』、人間の言葉で言うと『脅威のライダー』と称した。
 その呼称に相応しく彼の駆るバギブソンのスペックは一般のバイクはおろかクウガの持つトライチェイサーを凌駕している。
 それ故にそのスピードは速くG-5からG-1まで十数分程度で辿り着く事が出来た。余りに速すぎたが故にG-2辺りで曲がらずそのまま直進してしまったという事実もあるわけだが。
 とはいえ、中のリントと戦うのも良いと考え工場へと入った。
 しかし見つける事が出来たのは赤い鬼の亡骸だけであった。近くにあった剣とデイパックを拾い上げ部屋を後にする。

「さて、どうしようかな?」

 このまま地図の上の方にある街に向かっても良かったがクウガと戦った際に受けたダメージや疲労も割と大きい。気に事も幾つかある為少し休むのも良いと考えた。

 ダグバが気になる事の1つは先程ガドルと遭遇した時に本来の姿に変身出来なかった事と先の戦いでいつの間にか変身が解除された事だ。
 時計を見ながら自身が変身した大体の時間を思い返す。それを踏まえて考え、一度変身が解除された後で同じ姿に再変身するには2~3時間置く必要があり、同時に同じ姿には約10分程度しか変身出来ない事を把握した。

「大ショッカーも面倒なことをするなぁ」

 自身に変身制限が掛けられている事自体はそれ程気にしていない。
 しかし、自分が戦うクウガやリント達にも同様な条件が掛けられている事が問題なのだ。
 恐らくあの時ガドルが変身しなかったのも同様の理由だろうし、当分はクウガも変身が出来ないと考えて良いだろう。
 だが、ダグバにとってそれは面白くない。自分が戦いたい時に相手が変身してくれないと意味がないのだ。
 無力なリントを一方的に蹂躙するよりもあの時のクウガに追いつめられる方が自分にとってずっと楽しいのだ。

 とはいえ何時までも文句を言っても仕方がない。次に会った時に都合悪く変身不能状態に陥っていない事を期待するしかない。

 その最中、もう1つ気になる事について考える。
 理由はどうあれ死んだはずのガドルとゴオマが参加している事は確かだ。
 しかし、どうもガドルの反応を見る限り自身がクウガに仕留められた事を知らない様だった。

「ガドルはクウガに倒される前から来た……」

 それふと浮かび上がった突拍子もない仮説。とはいえガドルがクウガに倒されてから来ようが倒される前から来ようが別段どうだって良い。
 重要なのは同じ事がゴオマに適応される可能性があるという事だ。

「もし、ゴオマが僕のアレを持っている時から来ているんだったら……」

 ゴオマはグロンギの中でも下級のズだ。リントよりはずっと強いものの、クウガを相手にして勝てる筈がない。
 そう、普通に考えればダグバがこれまで出会った強いリントあるいは仮面ライダーや究極の姿となる前のクウガに勝てる道理が無い筈なのだ。
 しかし、それを可能にするタイミングが存在する。
 ゴオマはダグバのベルトの欠片回収の指示を受けた事がある。その時その一部を確保した上で自らの体内に埋め込み自身を強化あるいは進化させた。
 これによりゴオマの肉体は飛躍的に強化され金の力を得てゴのグロンギを数多く撃破している筈のクウガすら圧倒する力を得たのだ。
 もっともその力を以てしてもベルトが不完全であったダグバには全く歯が立たず返り討ちに遭い、欠片は奪還されてしまったわけだが。

 さて、仮に大ショッカーが参加者を任意のタイミングで参加させているのであれば、ゴオマもダグバのベルトの欠片を埋め込み強化された時期から参加させている可能性は否定出来ない。
 いや、むしろゲゲルを面白くする意味で考えればその方が都合が良いだろう。




「もし、今の僕が……」

 ダグバがゴオマから破片を取り返したのはベルトを修復し完全体となる為だ。そして今のダグバはゴオマを仕留めた時に破片を取り戻した事で完全体となった。では――


「アレを取り戻したらどうなるのかな……」


 完全体であるダグバがその欠片を手に入れたらどうなるのであろうか?


 それは本来では起こりえない事だ。だが既に死亡しているはずのガドルやゴオマが参加している以上それもまた起こりえない話ではない。


「ちょっとゴオマを探してみるのも面白いかな」

 早々都合良く見つかるとは考えていない。それでもゴオマが自身の欠片を持っているならばそれを入手するのも良いだろう。
 もし、それを手に入れて更なる力を得たならば究極の姿となったクウガとのゲゲルもより面白いものになるだろう。
 クウガに出会わないならば出会ったリントを殺していけばよい、そうすればクウガもその気になって遊んでくれる筈だ。

 だが変身出来ないならば遊びようが無い。ならば今は休ませようではないか、ダグバはそう考えていた。


 ここで1つの事例を紹介しよう。
 あるクウガがある世界において地の石と呼ばれるものの力で凄まじき戦士あるいはアルティメットを越えるライジングアルティメットの力を得た。
 なお、地の石はクウガがいた世界には存在しない物。つまりライジングアルティメットもまた本来では起こりえない現象である筈なのだ。

 さて、ここで完全体であるダグバがゴオマの持つ欠片の力を得たらどうなるのであろうか?
 ダグバは究極の闇をもたらす者、言うなればダグバもまたアルティメットと言って良い。
 つまり、クウガに置けるライジングアルティメットと同じ事が起こるのでは無かろうか?
 昇りゆく究極ライジングアルティメット(Raising Ultimate)と対となる存在、
 言うなれば沈みゆく究極セッティングアルティメット(Seting Ultimate)とでも呼ぶべきだろうか。

 いや、この際呼称などどうでも良いだろう。以上の事は所詮は机上の空論、妄想に近い暴論でしかないのだから――


 ――果たしてそうだろうか?


 つい先程、ゴオマはE-2にある住宅地での激闘で死を迎えた。しかしその体内にはダグバのベルトの破片が存在している。
 そして、ダグバは当面の目的地を地図で言えば上の方にある市街地に定めていた。そこにはゴオマの遺体がそのままある――
 そう、ダグバがゴオマの持つ欠片を手に入れる可能性は大いにあり得るという事だ――


 沈み行く太陽――それは、これから訪れるであろう究極の闇を暗示しているのかも知れない――


【G-1 廃工場の一室】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話終了後以降
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、恐怖(中)、怪人態に1時間10分時間変身不可
【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW、カードデッキ(リュウガ)、モモタロスォード@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式×2、不明支給品×2(東條から見て武器ではない)、バギブソン@仮面ライダークウガ
【思考・状況】
1:もう1人のクウガとの戦いを、また楽しみたい。
2:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい。
3:ガドルやリントの戦士達が恐怖をもたらしてくれる事を期待。
4:ゴオマを探す。自身のベルトの欠片を持っていたら手に入れる。
【備考】
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。
※制限によって、超自然発火能力の範囲が狭くなっています。
※変身時間の制限をある程度把握しました。






【P.M.05:54 D-4 橋】


 沈みゆく夕日が装甲車のハンドルを握るユウスケを照らす――


 それは自分の心を暗示するかの様に――


 光届かない闇へと沈んでいく様な気がした――



【P.M.05:43 E-4 住宅地】


 ユウスケの意識は急ブレーキによる衝撃と共にゆっくりと覚醒していった。
 全身に激痛が奔る、ダグバから受けたダメージが残っているのだろうか?
 きっとそれだけではないのだろう。自らの体内に宿るアマダムに願い力を求めた代償なのだろう。
 そう、急激な肉体の強化に身体が追いついていないという事だ。
 それでももう暫く休めば動ける様になると感じていた。不思議と身体の調子はそこまで悪くはない、いや良くなっているとすら感じている。どことなくだが感覚が鋭くなった様な気がする。

「そうだ、俺がこうしているってことはやったのか……?」

 記憶の糸を手繰り寄せる。あの時、アマダムに願い究極の姿となりダグバへと向かっていった事は覚えている。その後は無我夢中であったが故によく覚えていない。
 ふと、外の様子を見ると橘とヒビキが話しているのが見えた。2人が助かったという事はダグバを倒す事に成功したのだろうか? そうでなければ生きている筈もないが――

 嫌な予感がした――

 そっと装甲車のドアを開けた瞬間、ユウスケの耳に2人の会話が飛び込んできた。

『それに……夏海……小野寺の仲間も……』

 最初に耳にしたのは夏海があの場でダグバが仕留めた男によって殺されたという話だった。

「そんな……夏海ちゃんが……」

 そのショックのあまり、装甲車から出て橘達に話しかける気力は失せてしまった。そしてそのまま橘達の会話だけがユウスケの耳に入っていく。
 その言葉1つ1つがユウスケの奥へと刻み込まれていくかの様に感じた――
 ダグバが未だ健在で他にそれ以外に未確認生命体が2人いるという事実が耳に入る。

「やっぱりまだ……くっ、今度こそ俺が……」

 怒りに震えるユウスケではあったが、その後に飛び込んだ言葉を聞いた瞬間、

『俺にはアレが恐ろしいものに見えた……』

 目の前が真っ暗になったかのように感じた。

『アイツがダグバと同じ力を持っている、それはつまりアイツもダグバと同じ事が出来るという事だ。その力が俺達に向けられたらどうする?』

 あの時自分は何をしていた? 只、手に入れた力をダグバへとぶつけただけではなかったのか?
 そう、周りにいた橘達などお構い無しではなかったのか?
 自身の力に巻き込む可能性を失念していたのでは無かろうか?
 橘の指摘はもっともだ、あの時の自分はダグバと同じ存在、恐るるべき存在でしかない。
 いや、そんな事など解っていた筈だ。アークルはその可能性を警告し続けていた。
 それでも敢えてその姿となったのは皆の笑顔を守る為だった、その事については今でも後悔していない。だが、

『ダグバにとって最初から俺達などユウスケをあのクウガにさせる為の生贄でしかなかったんだ……』

 それはどういう意味なのか?
 いや、冷静に考えてみればダグバの行動は何処かおかしかった。自分に拘っている筈なのに他の人を虐殺していた。それで自分を怖がらせ様と――

『俺達を殺す事で小野寺の心を憎しみと怒りで満たす事が狙いだったんだろう……』
『あの時のダグバはそれを楽しんでいた様だったからな……それが目的だったんだろう』

 つまり、自分の意志であの姿になったと思っていたがそれは全てダグバの掌の上で踊らされていただけだというのか? 
 同時にあそこで2人死んだのは自分の所為という事だったのか?
 その重責がユウスケに――

『ダグバはこれからも小野寺を追いつめる為に他の参加者を殺し続けるだろう……今よりも憎しみと怒りに支配された小野寺と戦う為に……だが、その果ては……』

 重くのし掛かって行くのを感じた――

『破滅しかない――ということか』

 その直後、龍騎の世界で見たモンスターが2人に襲いかかるのを見てユウスケは助けに入ろうと思ったものの――出来なかった。
 どういうわけか変身出来なかった――それも理由にあるだろうがそれだけではない。
 自分の力に巻き込まれ橘達を傷付ける事を恐れたのだ。


 そして、ユウスケはある決意を胸に――装甲車でこの場を後にした。






【P.M.05:56 D-3 橋】


 ふと横のガラスを見ると純白の怪人、ダグバが映っているのが見えた。

『早く僕の所に来て笑顔にしてよ』

 そう聞こえた気がして思わずガラスを殴りつける。それは只の幻、何の意味もない。
 そしてフロントガラスを見ると今度はあの時の漆黒のクウガが映っていた。
 所詮は振り払えば消えてしまう幻でしかない。

 だが、幻であってもそれはユウスケの心に深く刻み込まれた。最早自分は戻る事は出来ないのだと――
 姐さんの笑顔の為に戦っていたあの頃に――
 仲間達と楽しく有意義な旅をしていたあの頃に――

 思い返せばあの場に何かのバイクがあった。ダグバが健在なら恐らくそれを回収しているだろう。
 自分達を追撃しなかったとすればダグバは何処へ向かったのか?
 恐らく地図上の左側――そこにある住宅地に向かう可能性が高い。
 ならば自分もそこに向かうべきだ。橘達の話から考えてもダグバを倒せるのは究極の力を得た自分だけだ。
 この地にはもう1人クウガがいるのは理解している。だが、究極の闇をもたらす危険人物は少ない方が良い、もう1人のクウガにそんな事をさせるわけにはいかない。
 ダグバは自分を更に怒らせるべく他の参加者を殺していくだろう。それを阻止する為にも急がなければならない。
 同時にこれは自分だけでやらなければならない。誰かが一緒にいればダグバはまずそっちを仕留めるだろうし、そうでなくても戦いに巻き込まれる危険があるのだ。
 もう自分1人の為に誰かの笑顔が消えるのは耐えられない――

「ははっ……」

 乾いた笑い声が零れる。

「夏海ちゃんが死んだ事を聞いたからかな……こんな気持ちになるのは……」

 ユウスケにここまでさせた事について夏海の死も無関係とは言えないだろう。
 夏海の死を聞かされた時点で心の奥底が暗くなるのを感じていたからだ。
 そう、そこまで長い付き合いではなかったが夏海の存在はユウスケ達にとって大きかったのだ。
 そんな彼女がいなくなっただけで世界が大きく変わった気がした――

「いや、夏海ちゃんが死んで一番辛いのは士の筈だ……」

 それでもユウスケはもう止まらないし止まるつもりもない。究極の力を以てダグバを仕留めなければならない。
 だが、その後はどうすれば良いだろうか? いや、もしかすると自分自身がダグバ同様に危険な存在に変貌する可能性は否定出来ない。
 しかし、ユウスケはその懸念について1つの答えを出していた。

「士……夏海ちゃんが死んで辛い中でこんな事頼むのは悪いけどさ……
 もし、俺がダグバみたいな存在になってみんなから笑顔を奪う存在になったら――」


 ユウスケが頼るは旅の仲間、門矢士――


「お前が俺を殺してくれ。お前なら出来る筈だから――
 世界の破壊者と呼ばれているお前なら――
 俺を殺してみんなの笑顔を守ってくれ――」


【D-3 橋】
【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、ダグバへの激しい怒りと憎しみ、仮面ライダークウガに1時間10分変身不可、装甲車を運転中
【装備】アマダム@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、ガイアメモリ(スカル)@仮面ライダーW、おやっさんの4号スクラップ@仮面ライダークウガ 、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:ダグバを倒す。誰も巻き込まない様にする為1人で行動する。
2:もしもの時は士に自分を殺して貰う。
3:海堂直也は、現状では信じている。
4:殺し合いには絶対に乗らない
5:もう1人のクウガか…………
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました。
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※おやっさんの4号スクラップは、未確認生命体第41号を倒したときの記事が入っていますが、他にも何かあるかもしれません(具体的には、後続の書き手さんにお任せします)
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※インビジブルとギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。
※アルティメットフォームに変身出来るようになりました。





【P.M.05:58 D-2 住宅街】


 100mを5秒で走るスペックを持つレンゲルは早々にD-2に移動を完了していた。
 そして変身を解除し元の小沢の姿に戻る。
 だが、彼女の心は此処にはない。レンゲルバックルに装填されているカテゴリーAのカードに宿るスパイダーアンデッドの邪悪な意志が彼女を支配しているからだ。
 とはいえ、何時彼女が正気に戻るかは解らない。先の戦闘を踏まえてもそういう兆候を感じた。
 故に早々に戦場を離れたというわけだ。暫く変身が出来ない以上当面は何処かに潜み彼女の精神支配を強めておいた方が良いだろう。だがその後は――


 ――そう、このバトルファイトを制するのは人間でも仮面ライダーでもない。スパイダーアンデッドなのだ――


 世界が夜の闇に染まる――


 それに呼応するかの様に――


 闇に囚われた女性は――


 夜の闇の中に消えた――


【D-2 住宅街】
【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤(第46話終了後以降)
【状態】健康、疲労(中)、不快感、仮面ライダーアビスに1時間40分変身不可、仮面ライダーレンゲルに2時間変身不可、スパイダーアンデッドに精神を支配されている
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾(弾数0)@仮面ライダークウガ、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式×4、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
    レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA~10、ハート7~K、スペードの7,8,10~K)@仮面ライダー剣
    ゴオマの不明支給品0~1、三原の不明支給品(0~1)
【思考・状況】
1:身を休めつつ精神支配を強化する。その後、他の参加者を倒す。
【備考】
※真司の支給品のトランプを使うライダーが居る事に気付きました。
※龍騎の世界について大まかに把握しました。





【P.M.05:58 E-2 住宅街】


「はぁ……はぁ……小沢さんは?」

 煙が晴れた――

「いないようだな……」

 そこにレンゲルの姿は消えていた――

「城戸さん、キバット……大丈夫ですか」
「ああ、何とか……」

 結局それぞれ一撃入れられた程度のダメージしかなかったのは不幸中の幸いだった。

「だが妙だな、その気になれば俺達を一網打尽に出来た筈だろうに……」

 あの時、レンゲルが使ったカードは――


 ――SMOG――


 『スキッドスモッグ』――煙幕を展開するカードだ。つまりレンゲルは煙幕を展開後、この場から去ったというわけだ。
 だがレンゲルの手元には他にも強力なカードが数多く存在していた。それこそリモートのカードで他のアンデッドを呼び出し彼等に戦わせる事だって出来ただろう。
 そう、レンゲルは何故か翔一達を見逃したという事だ。

「そんな事決まっている……」

 が、キバットの問いの答えなど考えるまでもない。

「まだ小沢さんの心が残っていたって事ですね」

 恐らくあの瞬間小沢が僅かに意識を取り戻しあのモンスターに抵抗したのだろう。
 その僅かな力を振り絞りモンスターの意志に沿わないカードを読み込ませた。
 勿論、真相が違うかもしれない。だが真司と翔一にとってはそうであるとしか思えなかったし信じたかった。

 真相はどうあれ自分達のすべき事は決まっている。モンスターの呪縛から小沢を助け出す事だ。
 小沢がモンスターに操られたまま誰かを殺せばもう戻れなくなる、一刻も早く彼女を見つけ出し対処せねばならない。

 何時までも自分の所為で誰かが死んだ事を悔やんではいられない、翔一はそう考えていた。
 戦いで誰かが死ぬのを見るのは辛いが俯いたままモンスターの暴挙を見逃すわけにはいかない、真司はそう考えていた。


 当分変身は出来ず色々助けてくれた小沢も去り状況は悪化の一途を辿る――だが、


 太陽が沈み世界が闇に包まれようとも彼等の心は赤く燃え盛る太陽の様に輝いていた――


「俺も奴には借りがあるからな、お前達に付き合ってやる、有難く思え――だが今は」
「少し休まないと……流石に身体が……そうそう、城戸さん1つ聞きたかったんですけど……」
「何だよ?」
「貴方もアギトですか?」
「は?」
「翔一にとっては何でもアギトなのか……」


【E-2 住宅街】
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、罪悪感、仮面ライダー龍騎に1時間40分変身不可
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
基本行動方針:打倒大ショッカー、絶対に戦いを止める。
1:身を休めつつ、翔一と話す。
2:モンスターから小沢を助け出す
3:ヒビキが心配
4:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
【備考】
※支給品のトランプを使えるライダーが居る事に気付きました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。

【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終了後
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、罪悪感、仮面ライダーアギトに1時間40分変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、コックコート@仮面ライダーアギト、ケータロス@仮面ライダー電王、
    ふうと君キーホルダー@仮面ライダーW、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ、医療箱@現実
【思考・状況】
基本行動方針:打倒大ショッカー、殺し合いはさせない。
1:身を休めつつ城戸さんと情報交換
2:モンスターから小沢さんを助け出す
3:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
4:木野さんと会ったらどうしよう?
5:何故突然変身を解除されたのだろう?
【備考】
※ふうと君キーホルダーはデイバッグに取り付けられています。
※響鬼の世界についての基本的な情報を得ました。
※医療箱の中には、飲み薬、塗り薬、抗生物質、包帯、消毒薬、ギブスと様々な道具が入っています。




064:いつも心に太陽を(前編) 投下順 065:魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)
064:いつも心に太陽を(前編) 時系列順 065:魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)
064:いつも心に太陽を(前編) 津上翔一 077:想いと願いと
064:いつも心に太陽を(前編) 城戸真司 077:想いと願いと
064:いつも心に太陽を(前編) 小沢澄子 075:交錯
064:いつも心に太陽を(前編) 小野寺ユウスケ 075:交錯
064:いつも心に太陽を(前編) 橘朔也 087:防人(前篇)
064:いつも心に太陽を(前編) 日高仁志 087:防人(前篇)
064:いつも心に太陽を(前編) ン・ダグバ・ゼバ 086:This Love Never Ends♪音也の決意(前編)