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魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(中編) ◆MiRaiTlHUI




 サガとガオウの戦いは、熾烈を極めていた。
 互いに一進一退。どちらかが攻めれば、どちらかが反撃する。
 それの繰り返しで、二人が戦い始めてからと言うもの、ほんの少しだが、余裕が出来た。
 ガオウは全力でサガを潰しに掛かるだろうし、サガはガオウを倒さぬ事には先へは進めない。
 これは想像以上に仕える当て馬になってくれたと、キバの仮面の下で園咲冴子はほくそ笑んだ。
 冴子は、ガオウを挑発すれば間違いなくこう動いてくれるという確証があった。
 ああいう単純な馬鹿は非常に解り易くて、だからこそ使いやすい。
 そんな男を冴子は嫌うが、それでも今回だけは感謝する。

「大丈夫、渡君?」
「は、はい……何とか」

 キバの肩に捕まった渡が、辛そうな表情で答えた。
 どうやら先程までのサガとの戦闘で、思いのほか消耗しているらしかった。
 無理もないと思う。紅渡自身はお世辞にも体力がありそうだとは思えない。
 キバとしての戦闘能力はそうではないのだろうが、生身ではそれも関係のない話だ。
 渡の存在もあって、中々に前進はしないが、それでも確実に狂人二人からは距離を取って居た。

「しっかししなさい、渡君。今の私には、貴方しか居ないんだから」
「はい……すみません。僕なんかの為に……」
「これでも頼りにしてるんだから、死ぬんじゃないわよ」

 男の使い方には、もう十分過ぎる程に慣れている。
 冴子に近付いて来る野心家な男達と、紅渡が違う事は解るが、それでも渡は男だ。
 男と言う生き物は非常に馬鹿な生き物で、女に頼りにされると戦わずには居られないのだ。
 少なくとも冴子は男をそういう便利な生き物だと思っている節がある。
 と言っても、片足を怪我した冴子にとって渡が必要というのは、あながち嘘ではないのだが。
 ともあれ今は何だって良い。この坊やに、何とかしてやる気になって貰わねばならないのだ。
 何にせよ今のままでは頼りなさ過ぎるし、これでは体の良い便利屋くらいにしかなりはしない。

(どうしたものかしらね……この男と組んだのは間違いだったかしら)

 そんな事を考え始める。
 出来れば、霧彦の様な、もっと使いやすい手駒が欲しい。
 こいつはキバにさえなれれば、多分、強いのだろうが……。
 一体何をすれば、こいつのスイッチを入れる事が出来るのかが解らない。
 参加者を皆殺しにするつもりだとは言うが、ハッキリ言って今のこいつには無理だとも思う。
 緑のキバのフィッシュアイが、後方から一直線に伸びる赤の鞭に気付いたのは、そんな時だった。
 ガオウとの戦闘途中で、逃げ遂せようとする自分達に気付いたサガが放った一撃だろう。
 それはサガにとっては容易な攻撃でも、渡にとっては決定打となり得る一撃だ。
 やらせる訳にはいかない、と思うが、しかし。

(これは、チャンスかもしれないわね)

 同時に、希望が芽生える。
 どうせこのまま逃げようとした所で、自分達はここで終わりだ。
 タブーを使ったとて、手負いの冴子があの化け物二人に勝てるとも思えない。
 渡は狙われているのだから真っ先に殺されるだろうし、何よりも渡には戦闘意欲がない。
 ならば、冴子がこの身を犠牲にする覚悟で、一つの可能性に賭けてみるのも一興。
 と言うよりも、そう考え始めれば、今はもうそれしか考えられなかった。
 勝利の可能性へと続く、そのシナリオが、頭の中で構築されて行く。
 次の瞬間には、渡を庇うように、キバはその身を投げ出していた。




 どうして自分は、いつもこうなんだろう。
 誰かに迷惑を掛けるしか出来なくって、いつだって不必要な存在だ。
 自分の所為で大切な人は死に、自分の所為で周囲が歪んでゆく。
 みんなみんな、自分の所為だ。全部全部、自分が悪いのだ。
 そんな事を考えていると、紅渡は、泣きそうになって来た。

(僕がなんとかしなくちゃいけないのに――)

 今も、一時的に手を組んだ冴子に助けられっぱなしだ。
 キバに変身した冴子が、サガから自分を救ってくれたのだ。
 今は疲労し切った身体をキバに委ねて、一緒に逃走を図っている最中だった。
 いつもは自分が変身しているキバも、こうして見ると頼り甲斐がある。
 傍らの緑の鎧を見て、渡はそんな印象を抱いた。

「渡く――」

 そんなキバが突然動いたのは、渡がそんな事を考え始めていた時だった。

「冴子さん!?」

 渡の絶叫が響き渡る。
 瞠目に目を見開いて、目の前で崩れ落ちる緑の鎧を見詰める。
 一体、何が起こったのか。それを理解するよりも早く、キバはその場へ崩れ落ちたのだ。
 そして、キバの後方で、サガの元へと戻って行く伸縮自在の鞭を見た時、渡の中での謎が解けた。
 キバに駆けよれば、背中の鎧には穴が穿たれて、そこから中の冴子にまでダメージが与えられたようだった。
 こんな事が出来るのは、奴しかいない。サガの鎧を持ち、自分を殺そうと迫って来たあの王しか。
 しかし、奴は紅渡の命を狙っていた筈だ。
 それが何故、冴子を――?

「無事で、良かったわ……渡、君」
「冴子さん……一体、どうして!」
「言ったでしょう……? 貴方を、頼りに、してるって」

 息も絶え絶えに、キバが言った。
 次の瞬間には、その鎧が弾けて消えて、冴子が生身を晒していた。
 それなりに美人の部類に入る冴子の表情は、しかし苦痛に歪んで居て。
 それが、自分を庇う為に盾になったからだと気付いた時には、渡の表情も苦痛に歪んで居た。
 同時に、どうして、と疑問が押し寄せてくる。一時的に手を組んだ仲間でしかない筈なのに。
 本当なら、自分の為なんかに死ぬ事なんてないし、自分の事なんて放っておけば良かった筈なのに。

「僕の所為で……! また、僕の所為で……今度は冴子さんが!」
「それは違うわ……渡君。私は私の為に、こうしたのよ」

 冴子の細い指が、今にも泣き出しそうな渡の頬をなぞった。
 だが、そんなものは慰めにもならない。今の渡には、絶望と恐慌しかないのだから。
 自分さえ生まれて来なければ。少なくとも今ここで自分と行動を共にしていなければ、冴子さんは助かったのに。
 一度はこの手で冴子を殺そうとしておいて、なんと都合のいい事だろうと、自分でも思う。
 だけれども、それでもそれが、不器用な渡にとっての精一杯の考え方だった。
 どんな考え方が合理的で、どう生きて行くか、何て考えた事も無かったから。
 だが、そんな渡の心中を知ってか知らずが、冴子は続ける。

「自身を持ちなさい、渡君……貴方は、やれば出来る子なのよ」
「僕に、何が出来るっていうんですか……何も出来ない……今だって……」
「何、言ってるの……さっきは、あんなに、強かったじゃない」

 冴子が、青褪めた顔でくすりと微笑んだ。
 優しい微笑みは、渡の絶望を少しだけ溶かしてくれる。
 そんな気がしたけれど、それは甘えだと、すぐにかぶりを振った。
 どんなに綺麗事を言った所で、お互いに利用し合おうとしていた関係である事に変わりは無い。
 だが、だからこそ冴子が命を賭してまで渡を庇ってくれた意味が、まるで理解出来なかった。
 そんな渡の気持ちを察したのか、冴子は最初のイメージとは打って変わった優しい口調で、告げる。

「いい、渡君……貴方は、私がここまでして生かそうとした男なのよ?」
「だから、何だっていうんですか……!?」
「これは、最期のお願い……私の代わりに、せめて、貴方が戦って、生き残って」
「嫌だ! 何でっ……、僕はもう……こんな世界で生きていたってどうしようもないじゃないか!」
「甘えた事、言わないで……」

 瞬間、渡は、身体に違和感を感じた。
 柔らかい何かに包まれている様な。
 ずっと昔に忘れてしまった様な感覚。
 それが何かと考えて、答えはすぐに解った。
 冴子が腕を伸ばし、渡をその身に抱き締めたのだ。
 長い間女性の身体との触れ合いを知らなかった渡は、不意に母を思い出してしまう。
 そうすれば、渡の瞳からは、どういう訳か涙が溢れ出て来た。
 こんな状況では、ずるい、と思ってしまう。

「一時的でも……私の、仲間、なんでしょ……なら、生きなさい。生きて、戦い抜きなさい」
「冴子……さん……」

 きっと、理屈ではないのだと思う。
 冴子の世界とか、渡の世界とか、そういう次元の話では最早ないのだと思う。
 彼女は今、全てを失った渡にだからこそ、全てを託そうとしているのだ。
 少なくとも渡はそう思った。そう思わないと、冴子に失礼だと思った。
 不意に、渡の頭を抱く腕の力が弱くなった事に気付いて、渡はそっと顔を上げた。

「冴子、さん……」
「お願い……最後に、タブーメモリと、ガイアドライバーを……
 あれが無くちゃ……寂しくて、地獄にも行けないわ……」

 言われてからは早かった。
 冴子の腕の拘束を振り解いて、涙を拭った渡は、一心不乱にデイバッグを漁った。
 銀のベルトと金のメモリを取り出して、それを冴子の手にぎゅっと握らせる。
 そうすれば、冴子は幸せそうな笑みを浮かべて……それきり、糸が切れた人形の様に動かなくなった。
 メモリとベルトを握った手が、すとん、と音を立てて、草むらの上へと力無く落ちてゆく。
 それが冴子の死だと感じた時、渡の中で堪えようのない何かが弾けた気がした。
 連鎖的に深央や加賀美の死に様を思い出して、堪らず発狂しそうになった自分を抑え込む。
 人の死に対する異常なまでの拒否反応が、渡の中で暴れ回っているのだ。
 悲しみとか、怒りとか、恐怖とか、絶望とか、憤りとか……そんな類の感情だとは思う
 だけれども、それが正確には如何なる感情であるのかは、渡自身にも解る筈がなかった。
 ただただ、どす黒い何かが身体の奥で弾けて、それが全身へと染み渡って行くのだ。

「キバットッ!!」
「渡……いいのか」

 一部始終を見守って居たキバットが、不安そうに尋ねるが、答えはしない。
 何がいいのか、なんて考えすらもしなかったけど、多分、どうだっていい事だ。
 そう、今はどうだっていい。今となっては、何だって、どうだっていいのだ。
 少なくとも、自分にすべき事だけは、許してはならない敵だけは、解った気がするから。
 神妙な面持ちで問い掛けてくる蝙蝠をむんずと掴んで、渡は立ち上がった。
 視界の先で再び戦闘を始めていたサガとガオウを、その瞳に焼き付ける。

 奴らは敵だ。
 同じ世界の仲間であろうと、最早関係ない。
 今までだってそうだったではないか。
 理由など解らずとも、キバは人の命を奪うファンガイアを倒し続けて来たのだ。
 例えここが殺し合いの場であっても、今から渡がやる事は、それと何ら変わる事はない。
 少なくとも、不明瞭な理由で戦い続けていたいつもの戦いよりは、身体がずっと軽く感じる。
 それは渡が、誰の導きでもなく、自分自身の力で戦いたいと願ったから。
 今まで悪を屠り続けて来たキバの力で、揺るがぬ“敵”をこの手で討ちたいと願ったから。
 こんなものは仇打ちでしかないと、渡自身も解ってはいるが……それでも、激情は止まらない。
 キバットに手を噛ませた事で、渡の全身に魔皇力と、激しい激情が駆け廻って行く。
 それそのものが絶対的な力の奔流となって、渡に一つの確信を持たせた。
 今ならば、どんな敵が相手だって負ける気はしない、と。

「変身」

 抑揚の無い冷たい声で、渡はぽつりと言い放った。




 サガは先程、逃げようとする渡と冴子に向かってジャコーダービュートを伸ばした。
 ガオウとしても二人が逃げるのは不本意らしく、サガの行動を掣肘しようとはしなかった。
 その結果としては、サガはキバの鎧を抉って、中の冴子を行動不能に追いやったというもの。
 その後すぐにガオウとの戦闘が再開したのだから、キングがそれに満足したかどうかはまた別の話であるのだが。

 さて、ここに戦況は一変した。
 今まではガオウとサガの一騎打ちであったのだが、今は違う。
 沸き出でる激情を力の源に、この戦場に乱入した一人の仮面ライダーが居たからだ。
 唸りを上げて大地を駆け、獣の様な俊敏な動きで以て戦う者の名は、キバ。
 猛烈な勢いで以て、冴子が最後に使っていた武器、エンジンブレードをサガへと振り下ろす。
 それをいなしつつも、サガは手にしたジャコーダーで突きを見舞うが、キバは腰を落としてそれを回避。

「ようやく戦う気になったか、紅渡」
「お前だけは、絶対に許さない」

 十分過ぎる程の殺意が籠った言葉を交わした二人は、お互いの剣を激突させる。
 きぃん! と甲高い音が響いて、激突したままのエンジンブレードとジャコーダーがぎりぎりと軋みを上げた。
 キバの仮面とサガの仮面が至近距離で睨み合って、すぐにお互いの剣を弾き合う。
 距離を取ったキバに襲い掛かったのは、同じく牙の名を持つ男だった。

「俺を忘れてんじゃねえよ!」

 背後から、ガオウが振り下ろす大剣の一撃を受けたキバが、うぐ、と嗚咽を漏らす。
 背中の鎧から、派手な火花が飛び散って、崩れそうになった姿勢を何とか持ち直す。
 両の脚で踏ん張って旋回し、エンジンブレ―ドを思いきり振りまわす。
 おっと、と言いながら、その身を斬り裂かれる前に、ガオウは後方へと跳び退った。
 安心したのも束の間、今度は別の咆哮から、サガの鞭がキバに向かって疾駆する。

「ぐっ……」

 魔皇力迸る必殺の鞭は、キバの首に巻き付いた。
 喉元を締め上げられる感覚を覚えながらも、キバの身がサガへと引き寄せられていく。
 じりじりと、じりじりと。蜘蛛に囚われた羽虫はこんな気持ちなのだろうか、と無意識に思う。
 このまま退き寄せられれば、待って居るのはサガの必殺の突きなのだろう。
 なんとかせねば、と考える中で、渡の代わりに叫んだのはキバットだった。

「こんな時は、コイツだ! バッシャー、マグナム!」

 こんな時、意思を持ったベルトと言うのは便利なものだ。
 キバットは自らの意思でフエッスロットから緑のフエッスルを取り出し、その音色を響かせた。
 デイバッグから飛び出した緑の胸像は、キバに握られると変型を開始し、銃の形を取った。
 バッシャーの魂が宿ったその右腕は、マーマンを思わせる形状に変化し、仮面も翠に変わる。
 バッシャーフォームへと変じたキバは、バッシャーマグナムをサガへと向ける。

「はぁっ!」

 掛け声と共に、引き金を引く。
 圧縮された水の弾丸が、弾幕となってサガに押し寄せる。
 ジャコーダーを握り締めていたサガには当然対処の間は与えられず、その装甲が派手に弾ける。
 弾丸が弾けると、数瞬上半身を仰け反らせるが、それだけだった。
 どうやらサガの装甲にはそれ程のダメージは与えられていないらしい。
 流石は正真正銘の王の鎧である。が、隙さえ出来れば、今はそれで十分だ。
 左手に持ったエンジンブレードで、赤の鞭を斬り払った。
 再びバッシャーマグナムをサガに向けるが、サガはまるで怯みもしない。

「ふん……この俺に封印されたモンスター風情が」

 言いながら、再びロッドとして構えたジャコーダーを突き立て、サガは駆ける。
 逃げも隠れもせず、威風堂々たる態度で、真正面からキバを叩き潰すつもりだ。
 反射的にキバは突き出したマグナムから無数の弾丸を放つが、やはり無意味。
 放たれた圧縮弾は、その全てがサガの剣によって叩き落され。
 数瞬の後には、サガはキバへと肉薄していた。
 一瞬反応が鈍ったキバへと、容赦なく突き出されるロッド。
 しかし。

「させるかよ! ドッガ、ハンマー!」

 キバットが叫んで、重厚な音色が鳴り響いた。
 サガとキバの間に、紫の彫像が飛び込んで来たかと思えば、それは巨大なハンマーへと変わる。
 突然出現したハンマーに掣肘され、サガが握るジャコーダーから、僅かに意識が抜けた。
 集中力を欠いたジャコーダーでは、紫の鎧に包まれたキバの鎧に傷一つ与えられなかった。
 サガの仮面の下で小さく舌を打ったキングなどお構いなしに、キバは巨大なハンマーを振るう。
 重く、巨大なそれは、横薙ぎに一度、二度とサガの鎧を殴り付けた。
 これにはたまらずサガも後じさって、キバはどすん!と音を立ててハンマーの柄を大地に降ろした。
 その姿は、また変わって居た。紫の鎧はキバの胸部と両腕を多い隠し、仮面は一面紫に染っていて。
 それは、フランケン族の生き残りたるドッガの魂を宿した姿……ドッガフォームという名だった。
 ドッガフォームのパワーはサガをも上回っており、この力を以てすれば王の鎧と言えどもタダでは済まない。
 しかしそこで疑問が浮かぶ。渡は確か、バッシャーマグナムしか持って居なかった筈だが?
 果たして、その答えはすぐ近くに居る参加者にあった。


 ガオウはキバとサガの二人の戦いに、苛立ちを覚えていた。
 今この瞬間まで、サガと戦っていたのは、他でもないこの自分だ。
 それなのに、突然現れたキバは、それが当たり前であるかのようにガオウの役割を奪った。
 別にそれならそれで構いはしない。自分はキバもサガも、二人纏めて喰えばいいのだから。
 そう考えてキバに攻撃を仕掛けたが、どうやらキバはサガにしか興味がないらしい。
 すぐにガオウを振り払えば、また二人の戦いが始まった。
 苛立ちを隠そうともせず、ガオウは再び二人の戦いに介入しようとするが。

「まさか、君がまだ生きていたなんてねぇ……牙王?」
「あん?」

 何処かで聞き覚えのある声だった。
 相手を小馬鹿にするような、糞腹立たしいその声の持ち主は。

「お前、電王か」
「覚えててくれたんだ、光栄だなあ」

 髪の毛を片側に寄せ、黒縁の眼鏡をかけたそいつは、薄ら笑みを浮かべた。
 確かこいつは、電王の四つのフォームの内、青い奴に変身するイマジン。
 その戦闘力は圧倒的に自分よりも下で、戦えばまず負けは無い。
 そんな奴が余裕綽々の態度で現れた事に、牙王は少なからず苛立ちを感じた。

「俺は今、忙しいんだ。お前みてえな小物を喰ってやってる暇はねえんだよ」
「それは酷いなぁ。メインディッシュの前には、前菜がなくちゃ締まらないじゃない」

 青いイマジンに憑依されたそいつは、取り出した銀のベルトを腰に巻き付けた。
 四つのボタンが備え付けられたそれを自ら押し込んで、電子音声を響かせる。

 「変身」

 ――ROD FORM――

 青い輝きと、奏でられる軽快な音楽。
 ライダーパスをベルトにセタッチすると、奴の身体はすぐに黒のスーツに覆われた。
 瞬時に形成されてゆく青い装甲と青い電仮面を見ながら、牙王は思う。
 これはまた面倒臭い事になったな、と。
 正直言って、自分はこんな小物よりも目の前の王様を喰らいたいのだ、と。
 しかし、電王にとって自分は時間を消す可能性を持った最悪の敵なのだろう。
 ここで何を言った所で、電王がガオウを見逃すとは思えない。
 なれば、もう戦うしかないのだ。
 勝敗は解り切って居るのだから、ガオウの力で以て電王を叩き潰してやればいいのだ。
 そうして邪魔ものが居なくなれば、後からゆっくりキバとサガを喰えばいい。
 何なら、キバとサガで潰し合わせて、生き残った方を喰う、というのでも構わない。
 つまりこれは、先程電王の男が言った通り、ただの前菜でしかないのだ。
 嘆息一つ落として、ガオウは大剣を肩に担ぎ、言った。

「テメエみたいな雑魚に興味はねえんだが、仕方ねえな……俺が喰ってやるよ」
「そう言ってくれると助かるよ」

 変身を完了した電王ロッドフォームは、デンガッシャーを組み変えながら笑う。
 ガシャン、ガシャンと音を立てて組み変えられたデンガッシャーは、一気に何倍もの長さに伸びた。
 ウラタロスのエネルギーを受けて、彼が最も戦いやすい形状へと変化を果たしたのだ。
 電王は、ロッドモードとなったデンガッシャーを突き付け、不敵にのたまう。

「まあ……三枚におろされるのは、そっちの方だと思うけどね?」
「はん、ほざけよ」

 その言葉を皮きりに、時の守護者と時の侵略者の戦いは幕を開けた。
 駆け出した二人の間の距離は、一瞬の内に無くなって、一拍の後に二人の武器が交差する。
 がきぃん! と音を立てて、ガオウの大剣と、電王のロッドが激突したのだ。
 勢いそのまま、二人はキバとサガの二人から離れるようにお互いに駆け出す。
 確実に邪魔の入らない場所まで来たガオウは、電王目掛けて思いきりその大剣を振り下ろした。




【1日目 夕方】
【C-6 平原】


【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:死亡後
【状態】:疲労(小)、仮面ライダーガオウに変身中
【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW
【道具】、支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
基本行動方針:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。
1:電王を喰らい、その後でキバだかサガだかも喰らう。
2:変身が解除されたことによる、疑問。  
【備考】
※仮面ライダーガオウに変身してから7分が経過しました。


【野上良太郎@仮面ライダー電王】
【時間軸】第38話終了後
【状態】健康、ウラタロス憑依中、仮面ライダー電王に変身中
【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:とりあえず、殺し合いには乗らない。
1:まずは牙王を倒す。
2:亜樹子が心配。一体どうしたんだろう…
3:モモタロス、リュウタロスを捜す。
4:殺し合いに乗っている人物に警戒
5:電王に変身できなかったのは何故…?
6:剣崎一真、橘朔也との合流を目指したい。相川始を警戒。
【備考】
※ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。
※キンタロス、ウラタロスが憑依しています。
※ウラタロスは志村に警戒を抱いています。
※ブレイドの世界の大まかな情報を得ました。
※ドッガハンマーは紅渡の元へと召喚されました。本人は気付いていません。



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