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オープニング




世界とは、君が今生きているその世界一つだけではない。



現代に甦った超古代の戦士が、同じく甦った超古代の戦闘種族と戦った世界。

3人の仮面ライダーが、アンノウンと呼ばれる謎の生命体と戦った世界。

13人の仮面ライダーが、自らの願いをかけて相争った世界。

ライダーズギアを手にした若者たちが、人類の進化系オルフェノクと戦った世界。

世界と親友、どちらを切り捨てることも良しとせず運命と戦い続けることを選んだ男の世界。

鬼となった人間と、人を喰らう化け物とが日夜鎬を削る世界。

天の道を往く男とその友が、人に擬態し社会に潜む宇宙生命体と戦った世界。

時の運行を司る列車と、その列車に乗り込んだ少年と騒がしい仲間たちの世界。

時代を越えて繋がった、人とモンスターの狭間で揺れ動いた父子の世界。

風の街に雷名轟く、二人で一人の探偵たちが駆け抜ける世界。



これらはどれも繋がりのない世界。
しかしたった一つ共通するもの、それは仮面ライダーの存在。
それぞれの世界のライダーはそれぞれの世界の敵と激しい戦いを繰り広げている。
世界の数だけ人の思いがあり、世界の数だけライダーがいる。



しかし、ライダーがいるということは――裏を返せばライダーと戦う敵もまた、数限りなく無数に存在するということでもある。


     OOO



誰もが眠っている。
誰一人身じろぎしない。
誰一人声を立てることはない。

その静寂の場を見渡して、彼――白装束に黒いマントを羽織った老人は、満足そうに頷いた。
恭しく腕を抱え上げ、パチンと指を弾いた。
するとその瞬間、彼の前にいた60名の人間――否、人間でない者もかなりの割合で混じっていたが――は、ゆっくりと覚醒していった。

「おはよう、諸君。済まんが目覚めのコーヒーは用意しておらんのだ、ご容赦願いたい」

決して大きくはないその声は、しかし場にいる全ての者の耳に届いた。
老人は彼ら彼女らの視線が自分に集まっていると確認すると、マントを翻し一段高い壇上へと上がった。

「私の名は死神博士――この度は故あって諸君にご足労願った」

自らを示し、名乗る。
この名を知っている者も何名かいるが、全員が名を知らねばこれからの話にも身が入るまいと慮った老人の配慮だ。
状況を掴めずにいる聴衆を見下ろし、嗜虐的な笑みを浮かべながら彼は言った。

「これより諸君には、己が世界の命運を賭けて殺し合ってもらう」

誰にとっても決定的な一言を、死神博士は何の遠慮もなく投げ放った。
途端、堰を切ったように誰もが戸惑い、怒り、嘲り、多様な感情の表れを吐き出す。
いきなり見ず知らずの場所へと連れて来られ、その上殺しあえと言われたのだから当然の反応というものだろう。
中には豪気にも死神博士に詰め寄ろうとした者がいた。
死神博士はその内の一人を指差し、

「そうだな……お前はいらんな」

と言った。

「な、何だとっ!」

指を差され、あげく一方的に否定された者――人間・影山瞬は大いに憤った。
対ワームの最精鋭部隊シャドウの隊長である自分を侮辱した、と彼は受け取った。
その口腔が大きく裂け、反駁の言葉を吐き出そうとした、そのとき。


ポンッ

と、シャンパンの栓を抜いたような音が、影山の耳に届いた。
どこからそんな音が――と辺りを見回し、影山は不思議な光景を見る。
それは、首から上を失った自分の身体を上から見ているというもの。
回転する視界。急速に湧き上がる睡魔。


あれ、俺の体だよな……?

痛みを感じる間もなかったのははたして幸運だっただろうか。
シャドウ隊長にして仮面ライダーザビーの資格者、影山瞬は――死んだ。



【影山瞬@仮面ライダーカブト  死亡】



「か――影山さん! 影山さんっ!?」

ざわめきはぴたりと止んだ。
人為的に作られた静寂の中、どうと倒れた影山――影山だったものにすがりつき、彼の名を必死に呼ぶ男。
死神博士はその男の名を記憶から探る。たしか、加賀美新とか言ったか。
視線を巡らせれば彼の傍らには死神博士へと烈火の視線を投げる精悍な面構えの男がいた。
こちらは天道総司――天の道を往き総てを司ると豪語して憚らない、『カブトの世界』を代表する仮面ライダーだ。

「死神博士、と言ったか。これは何の茶番だ?」

低く抑えられた声。しかしその底には隠し切れない怒りが見て取れた。
影山という男は天道にとっては別に仲間と呼べるほど深い関係ではなかったはずだが――死神博士は彼のプロフィールを思い起こす。
そう言えば天道は『アメンボから人間まで、地球上のあらゆる生き物を守る』と宣言したことがあったらしい。
たとえ反発する相手であっても無為に命を奪うことは許さないということかと当たりをつけた。

「見ての通りだ。もう気付いているだろう? 奴を葬った物の正体に」
「この首輪か」

天道が自らの首に巻かれた金属製の円環を示して言うと、周囲の者も自分の首に同じ物があることに気付く。
首にぴったりと吸い付くような、しかし全く息苦しさを覚えない首輪。
だがこれが非常に危険な物であることは、物言わぬ肉塊と化した影山が証明している。

「いかにも。この場にいる全ての者に処置させてもらった」
「拒否権はない、ということか。そして逆らう者にも容赦しないと」
「理解が早いな。」
「では俺たちに殺し合いをさせる意図は何だ? 見たところ、戦いなどできそうもない奴がちらほらいるようだが」

天道は影山のよ4うに無闇に突っかかるでもなく、まず情報を引き出そうとしているようだ。
見せしめは一人で十分だ。死神博士は天道をひとまずの対話相手として決定した。

「選別だよ。真に生き残る世界を選定するための、これは試練なのだ」
「生き残る世界、だと?」
「そうだ。戦い、生き残り――勝ち残った世界のみが、滅びを免れることができる」

死神博士が手を振る。すると、背後の壁――否、巨大なスクリーンが点灯した。
そこに映し出されたのは――

「ファイズ!?」
「ジョーカー!?」
「おやっさん!?」

そこかしこで驚きの声が上がる。
スクリーンは次々と多様な映像を映し出す。
異形の怪人と戦う、どれ一つとして同じ姿のない、しかし奇妙に似通った戦士たちの姿。
彼らの心中に自ずと一つの姿が思い浮かぶ――すなわち、仮面ライダー。
それを示す言葉は各々の世界で違っても、人類の守護者であるという一点だけは共通している。

「そう、仮面ライダー……仮面ライダーは力を持ち過ぎてしまったのだ。別々の次元に存在する世界を引き寄せ、融合させてしまうほどにな」
「世界の融合?」
「そうだ。全てはお前たちライダーの存在が原因……いや、ライダーだけではない。ライダーと敵対する組織、怪人。それらもまた危険因子だ。見ろ!」

死神博士がスクリーンを指し示す。
そこには、地球……宇宙……いや銀河そのものが別の銀河と衝突し、諸共に砕け散るというショッキングな光景が展開されていた。
崩壊する世界。
見慣れた街が、遥かな大自然が、紙を引き裂いたように虚空で塗り潰されていく。
悲鳴が上がる。作り物だと切って捨てられないほどに圧倒的な現実感がそこにあった。

「だからこそ! 我ら大ショッカーは起ったのだ! 世界の崩壊を食い止め、あるべき姿へと戻すために!」
「大ショッカー? それが貴様の属する組織か」
「いかにも。大ショッカーの科学力は単一世界に留まらず異なる世界への干渉を可能にした。そして我々は知った。世界崩壊の原因……それは貴様らライダーたちの戦いにこそあると」
「矛盾している。ライダーが世界を滅ぼすなら、何故ライダー同士を戦わせる?」
「ふっ……言っただろう、これは選別だと。ライダーとはいわば世界の象徴だ。ライダーを全て消し去ってしまっては、世界そのものも存在し得ない」

コツ、コツと死神博士はゆっくりと天道へと歩み寄る。
その瞳に浮かぶのは自らの行いに対する絶対的な確信だ。

「戦い、殺し合い、最後に生き残った者の属する世界のみが存在する権利を得る。これは淘汰なのだ」
「馬鹿な。そのために、世界に生きる全ての命を犠牲にするというのか」
「それは必要な犠牲だ。みな死に絶えるより、一握りでも生き残る命がある道を選ぶのが貴様らライダーの信念であろう?」

死神博士はククク、と含み笑いを漏らす。
天道は当然納得などしていないようで、尚も言い募るべく大きく息を吸い込んだ。
そこへ、

「最後に生き残った者の属する世界のみが存在する……ということは、別に最後の一人になるまで殺し合えということではないんだな?」

横合いから言葉を投げかけた、鋭い眼の青年。

「つまりは同じ世界から招かれた者だけになれば、複数残っていてもそれで選別は終了。違うか?」
「ほう、いいところに気がついたな。草加雅人……だったか」

死神博士は草加と呼ばれた青年に相手を切り替えることにした。

「そう、何も最後の一人になるまで殺し合うことはない。要は存続する世界が決定されれば良いのだからな」
「ほう……」
「ただし、自らの意思で殺し合いを続行するというのであれば止めはせん。招いた者は友好的でない者も数多い。気をつけることだ」
「……肝に命じておこう」

草加は引き下がった。聞きたいことは聞いたということだろう。
だが死神博士はまだ全てを語り終えたわけではなかった。


「もちろん、勝ち残るに値するだけの褒賞は用意している。最後まで生き残った者にはあらゆる望みを叶えてみせよう」

草加の瞳が鋭さを増したのを認め、死神博士はにやりと笑う。

「巨万の富、無限の命、敵対勢力の根絶など望みは何でも構わん。何となれば過去の改変や死者の蘇生も可能である」
「な……何!?」
「不可能だと思うか? フフフ……できるのだよ。我が大ショッカーの科学力を以てすればな!」

眼の色が変わった者が草加の他にも何人もいる。
彼らが各々の世界からこの場所に何の抵抗も許されず連れて来られたということ自体、死神博士の言葉が嘘でないことを証明している。
どこまで信じているかは個人差があろうが、すでに乗り気になった者もいるだろう。

「ただし、異世界の者を蘇生させろという願いだけは受け付けられん。せっかく世界を安定させても、生き返らせてしまっては元の木阿弥だからな」
「優勝し、全てをなかったことにする……というのは不可能だということか」
「その通り。結局、救えるのは自分の世界だけだということだ。偉大なる大ショッカーとて万能ではないのだからな」

ざわめきは収まらない。
しかし、数分前と違うのは瞳に強く戦意を宿した者が現れているということだ。
本来ライダーと戦う悪の存在だけでなく、ライダーたちの中にも何人か。
これなら滞りなく始まるだろう――空前絶後のライダーバトルが。

「さて、名残惜しいがそろそろ時間だ。これより諸君らにはある閉鎖された舞台へと移ってもらうこととなる。公平を期すために個人個人の開始位置はランダムである」

死神博士は再度パチンと指を弾く。
すると人々の眼前に一つのデイバッグがどこからともなく現れ、その手の中へと収まった。

「それは我が大ショッカーからの餞別だ。数日分の食料、水、その他サバイバルに役立つ物が入っている。ルールを記載した名簿もあるので各自確認しておくように」

入っているのはそれだけではないがな――と皮肉気に笑う。
力なき者であっても格上の者を打倒しうる切り札。そんな物がこれまた無作為に封入されている。
誰が当たりを引くかは死神博士とてわからない。運の強さも強さの内だ。

三度、指を鳴らす。
頭上に巨大な鏡――のような、向こう側の見えない光の壁が現れ、地上の哀れな生贄たちへと降りてくる。

「最後に生き残るのはどこの世界か――戦わなければ生き残れない。抗うがいい、仮面ライダーたちよ!」

死神博士の叫びに背中を押され、60名の戦士たちは戦場へと送り出されていった。





          【ライダー大戦 開始】




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