wasted

 赤い、赤い、夕焼け空に荒野が映える。地に生えるものは、茨だけ。
砂礫の隙間に棘を備えた木が生えている。葉も花も落ち、ただ茎だけが、
人間を拒絶するように立っている。そして、私は一人、茨の茂る地に佇む。
槍のように、剣のように生えた枯木たちに、守られ、囲まれ、捕らわれる。
針の原は無限に続き、決して抜け出せない。
 これは夢だ。現実ではない。そう頭が理解していても、心は真実であると囁く。
これこそが東豪寺麗華の心象だと。そう思う限り、この風景から逃れる術はない。
無駄な抵抗と知りながら、静かに目の前の棘をつかむ。血が滴り落ちるにつれて、
繰り返し繰り返し、唱えた呪文が脳裏に蘇る。


―私は荒野で歌を歌う
 I sing in the wasteland.

―身に纏うはあまたの茨、
 Many thorns envelop me.

―偶像を守るために犯した罪は幾千
 Sins have been committed to guard idols many times.

―世に耳目を集めるも、ただ一度の理解も得ない
 I am so popular , but never understood.

―歌い手は常に一人、流れた血で詩を書く
 The singer is alone and write lyrics with her blood.

―しかし、その手に得るものは皆無。
 Yet, my hands gain nothing.

―故に、私は願う、この身は茨の園であれと。
 So I pray I am the garden of thorns.


 もし私が茨なら、茨の群れそのものならば、きっとこの手は傷つかなかったのに。

 世界が白く開けていく。蛍光灯は点いたままだった。掛け時計は、午前7時を指している。
「また、点けたまま寝ちまった」
 悪い癖だ。電気料金云々はさておき、ちゃんとした形で寝ていないということなんだから。
若い連中の指導内容を考えていたら、結局眠ってしまったという記憶がおぼろげに浮かび上がる。
人材の発掘とか、育成とかは唯一私に残された権限だった。あるいは、成人にも満たない小娘、
代表権すらないお飾りの社長には過ぎた権利なのかもしれない。
 本当は、傀儡らしくもっと気楽に生きたっていいんだろうさ。ご令嬢らしく遊んで暮らすなり、
親の決めた旦那にぶら下がって日々を過ごしたって、非難なんかされないだろう。
けれども、社長の看板を背負う以上は、手を抜いてはいけないように思えて、
与えられた権限で最善を尽くしたくなる。そんな私の姿を見て、親父は笑っているのだろうか。
実際には、経営だの、事務だの、工作だのといった実務は、東豪寺財閥から派遣された連中が動かしている。
代表取締役の席には、家の忠臣たる大倉が座っている。そもそも、この会社、
東豪寺プロダクションの株式すら、自分は持っていない。全て親父が握っているのだ。
 大体、娘が芸能活動に工作資金が要るから金をくれと言って、素直に金を渡す経営者がいるか。
そんな身内に甘い男が企業グループを切り盛りできるはずがない。そこだけは理解できる。
商売人が無駄金を払うはずがない。たとえ、相手が実の娘であったとしても。
親父のそういうところが、何より嫌で、何より頼りにできた。少なくとも、
私に投資することで利益が出るのならば、支援の要請もできるというもの。
下手に倫理観を持っていたりすると、娘を金で遊ばせてなるものかと、かえって支持を得られなくなる。
そう、今の伊織のように。
 社長室を出ると、窓から日が射しているのがわかる。幸いと言うべきか、もう朝だ。
 とりあえず、自分の家に戻ろうと、オフィスルームを抜け出て、通用口に出た。
はたと思う。そんな時間はあるのだろうかと。そもそも自分の家とは何だ。
親父に買い与えられた高級マンションは、生きた匂いがしない。
それは、さっきまで眠りこけていた社長室でも同じこと。生家を去ってから、決して少なくない月日が経っていた。
 戻る。店へふらりと食べに行くわけにいかない。そんなことをしたら、
その日のうちに写真が流出してしまうだろう。勿論、悪いことではないが、
アイドルとしてのイメージを損なうことは間違いない。だから、屋外に出る際は必ず車を利用し、
番組収録を除いて極力公の場に出ないよう心がけている。途中、清掃の女性と会ったが、
伏目がちに挨拶すると、すぐに次の持ち場へ逃げ去った。
 再び社長室に入る。出迎えがいるはずもない。ここは生垣で囲まれた私の庭なのだから。
冷蔵庫から飲み物を取り出す。不透明なミカンの果汁が、ビンの中で揺れる。
棚の中から、栄養食品とサプリメントを取り出す。栄養についても、
アイドルは気を配らなければならない。それができずに、体が劣化して消えていった人間もいるのだ。
 机の上に無機質な食事が並ぶ。それでも、きっと、ともみとりんがいれば、変わるのかなと、
女々しい願望が頭をよぎる。そして、すぐに打ち消す。既に手遅れとはいえ、
自分の自己満足に、これ以上二人を巻き込むべきではない。否定するのは、過去の愚かな自分だけでいい。
カチ、カチと流れる時計の音だけを供に、乾涸びた食事を胃に押し込む。
「いただきます」とか「ごちそうさま」という言葉もない。聞く人のいない言葉に意味はない。
 そして、もう一度作ったカリキュラムを見直す。歌やダンス、容姿だけではない。
普段の受け答え、所謂メディアリテラシーというものが、大変重要だ。
偶像は虚像。ならば、他人を騙し、自分を偽らなければ、成立しない。
己に嘘を吐いてでも、自分に良い印象を植え付ける。そのための努力も、
きっと努力に含まれるに違いない。文書ファイルとして書きあがった素案は、
レーザープリンタで印刷される。次の役員会で諮ってみよう。操業時刻が近づく中、目を瞑って心を休めようとした。
 こんな「教育」とやらを考えている自分は大した嘘吐きだと思う。
重ね上げた虚偽が自分の立つ瀬だ。それで、自分は何を手にしたのだろうか。
答えは得ず、ただ時計の秒針が刻まれるごとに、自分が削られる錯覚がした。

「では、社長からお言葉があるそうです」
 役員会に、大倉の言葉が響く。午後の1時に始まって、滞ることなく、議論は進んでいる。
親父は別に窓際族を押し付けたわけじゃない。娘同様、本気で芸能界に参入したということだ。
現在の経営状況、今後の計画について、建設的な意見が交わされる。
「工作」についても、「メディア対策」というオブラートに包んで話されている。
しかし、その議論に私はあまり参加できない。まだ彼らの話が理解できる程度でしかない。
まだ、私の知力も知識も不足しているのだ。
「アイドルの教育方針は、事前に配った資料の通りだ。私としては、諸君の働きに甘えず、
所属アイドルの地力を伸ばしたいと思っている。そして、また、道を踏み外さないようにしっかりと教育を行うつもりだ」
 言えるのは、こんな月並みな文句だけ。はなはだ滑稽だと思う。
それでも、役員たちは、次々に「異論はありません」と口にする。
ただ、その声音はどこか冷えている。敬意がないのではない。
だが、海千山千の彼らにとっては、総帥の娘といえど、彼の「作品」にすぎないのだろう。
私への尊敬は、その向こうに捧げられているのだ。
「それでは、全ての事案を決定しましたので、これにて閉会にしたいと思います」
 大倉の物腰柔らかな声で、会議が終わる。しばらく、私は座ったまま目を閉じていた。
ドアが閉まる音を聞いて、ようやく重荷を下ろした気分になって、社長室に引き上げようと立ち上がった。
「お嬢様、話があります」
 老人らしい枯れた声がした。他の役員は各々の職場に戻ったが、大倉、
かつての親父の秘書だけは、私の傍らに佇んでいた。
「どうした、大倉」
「765プロダクションの件ですが」
「何か不都合なことが起きたのか」
「そうではありません。ただ……」
「ただ?」
 やつにしては珍しい。饒舌ではないが、歯切れの悪い物言いをする男ではなかったはずだ。
「765プロを追い落とすことは、伊織様を邪魔することになります。
それは、水瀬家を刺激することにつながりかねません。それでよろしいのですか?」
「親父に迷惑がかかるから止めろと?」
「そうではないのですが……」
 違うのか。
「別に気にするな。水瀬家はご令嬢の芸能界入りに反対してきた。
もし、娘のわがままを終わらせることができれば、むしろ、感謝の手紙がもらえるだろう」
「そうかもしれませんが、765プロダクションが今後我々の脅威になるとは思えません」
 はて、元執事は、こんな甘いことを言うやつだったか?それとも、親父の指示か?
「甘いな。あちらが心変わりすればどうなるかわからん。あの子が、もし親の力をあてにするようになり、
親が許せば、黒井よりもずっと脅威になるだろうよ」
 嘘だ。
「そのようなことをなさるお方ではないと、お嬢様が一番ご存知なのでは?」
 まあ、餓鬼の嘘が通る相手ではないな。しかし、別に主人の意図でないなら、今更食い下がっても、何の意味がある。
「……いえ、無礼なことを申しました。失礼いたします」
 後は、靴音だけが響く。自分はもう一度瞑目する。
 これでよし、などととは到底言えない。そんなのは大嘘だ。
私の心情をあいつが汲んだのか。いや、それは、傲慢にすぎるだろう。
やつは、親父と同じように、東豪寺家の娘として私を見てきたのだから。

 仕事が終わり、社長室で所属アイドルのトレーニング結果を眺めていると、
いきなり携帯が鳴った。表示名は「朝比奈りん」
「私だけど、どうした?」
「やっほー、あなたのりんちゃんだよー。ともみと一緒に来たからドアを開けてよお」
「おい、今日は、お前らオフだって言っただろ?」
「うーん、そうなんだけど、心配だから、つい来ちゃった、てへっ」
「てへって、お前なあ……」
 りんに引っ張り出されたともみの姿が目に浮かぶ。
「冗談はそこまでにしてっと。今日は大事な話があるから、入れて」
 りんの声音が低くなる。こういうときのあいつは、猫を被らない、
本気なんだって、短くない付き合いで知っていた。
「わかった、今開ける」
 電話を置き、鍵を開ける。すると、扉が勢いよく開いた。
「こんばんわ、麗華」
 二人の声がする。そこに浮ついた様子はない。
「おう、こんばんわ」
 やれやれ、それにしても、今日はどうしたことだろう。一日に二回も話があると言われるなんてな。
「じゃあ、立ち話もなんだから、とりあえず、ソファに座って」
「別に体育座りでも私はいいけど」
 ともみが言うと、冗談に聞こえない。
「うん、じゃあ、私もー」
「ああもう、ちったあ、見栄えに気を使えよ。アイドルなんだから」
「ああでも、わたしらもとは貧乏人ですし」
「こんなところまで、アイドルを演じなくてもいいでしょう?」
 なんだか、ほっとする。二人は変わっていない。自分と違って。
「まあいいか。ともかく、茶、出すからさ」
 冷蔵庫から、手製の冷製紅茶を取り出す。心を落ち着けるために、自分で作り置きしているのだ。
グラスに注ぎ終えると、先ほどのようにふざけた様子もなく、真剣な顔をしている二人を見る。
「で、話って何だ。それに、私を心配するって」
「心配ならするさ」
 ともみがグラスに口もつけず、見つめてくる。
「そうだよ、麗華。心配しないなんて無理だよ」
 話がつかめない。
「執事さんに聞いたけど、今日だって、ここに泊り込んだんでしょ?
最近、そういうの増えてるよね。ダメだよ、ちゃんと休まないと……」
 大倉の野郎、後で家の倉にぶちこんでやる。
「大丈夫だよ。好きでやってるんだから。社長さんが働いてないと、社員はやる気が出ないだろ?」
「そうだとしても、麗華ばかりが居残りする理由がない。無論、私とりんは、社長でもなければ、役員でもない。
だから、麗華の業務を手伝えるわけじゃない。うちらにはわからない経営の話も、避けて通れないのも知っている」
「けどね、麗華が無理することはないんだよ。そんなの他人に任しちゃえばいいんだよ。なんのための部下なの」
「そうはいってもなあ」
 こう言われると、結構辛い。けれど、そこまで親父の家臣団に、背を預けるわけにもいかなかった。
「麗華と他の役員の間に、微妙な温度差があるのも見ていてわかる。
けれど、私としては、アイドルとしての活動に専念してほしい。これはトリオを組んでる人間のわがままだけど」
 わがまま、ね。一番わがままを振り回しているのは自分なんだけどな。
「それに……ううん、なんでもない。けど、麗華がなんだか辛そうで」
 二人とも、頼むからそんな顔をしないでくれ。

「後、もう一つ話があって」
 ともみはようやく紅茶を飲んだ後、話を切り出してきた。
「765プロダクションの件だけど」
 今日という日はとことんついてないな。身内が痛いところを突いて回る。
「うん、どした?」
「随分、あそこを気にしているようだけど、正直あんな甘い集団が、
私たちの敵になるとは思えない。それでも、潰すの?」
「当然。私たちと戦う相手には、平等に容赦しない」
「本当にそれだけ、なの?」
 困るな。人生経験という点では、所詮お嬢ちゃんの私より、ずっと年を取っているんだから。
「水瀬伊織ちゃん……多分、麗華のお友達だったんだよね?うちらと会う前の……」
 やはりばれちまうか。
「じゃあ、なんで潰そうとするの。そこまでして、無理に悪役気取らなくていいでしょ」
「いや、経営者としてそういう私情を挟むことはできない」
 卑劣な言い訳を述べる。
「そんなのどうでもいい。伊織ちゃんを見てるときの目、明らかに辛そうだもん。
私情なんかいくらでも挟みなさいよ!」
「そこで一つ、これは推測に過ぎないけど」
 ともみが、とんと空になったグラスを置く。
「むしろ、私情を挟むからこそ、潰そうとするのではなくて?」
「……!」
「例えば、自分と同じ道をたどってほしくないから、とか」
「それは……」
 図星だ。りんまで驚いた顔をしている
「まあ、そういう面もなくはないかな。私がもう一人できたら、そうとうしんどいだろう?」
 わざと笑顔を作ってみる。
「それで、自分が傷ついても?」
「別に傷ついてなんか」
「嘘。目が悲しそうだから」
 作り笑いをしたことを悔いる。二人とも、お願いだからそんな悲しそうな顔をしないでくれ。
「これは私の問題だから、二人は心配しないでよ」
「それは無理。都合がいい話だけど、うちらは仲間だから。勝手に麗華だけ仲間はずれになるなんて許さない」
「そんなの絶対、ダメなんだから」
 ため息が漏れてしまう。
「私の過去なんて、他人に傷つけられてばかりのろくでもない記憶しかないけど、
それでも無駄だったとは思ってない。水瀬伊織という子供も、あんたの過去の大事なピースなんでしょう。
だったら、自分の手で叩き潰すようなことをしてはダメ」
 ともみは母親のように諭す。だが、私は聞かん坊だ。
「たとえそれでも、このままだと、絶対にあの子は傷つけられる……」
「もう、麗華。あんたは伊織ちゃんのママじゃないんだから。そんなこと考えなくてもいいのに」
 りんが無理に笑っている。
「……それでも、やっぱ聞けないわ」
 拒絶。仲間への拒絶。
 もう一つ、私が伊織を潰さなければならない理由がある。かつて同じ夢を語り合った仲だからこそ、
倒さなければならない。そうでなければ、自分の愚かな夢を否定したことにならない。
つまり、私の気がすまないのだ。そんな理由で、伊織の運命を壊そうとする自分は最低の女だ。
その醜い姿だけは、二人に晒してはならない。私の勝手な願望だ。

「まったく、麗華は頑固ね」
 長い沈黙の後、それでも、ともみは笑顔でいてくれた。
「本当に頑固なんだから」
 りんも笑顔でいてくれる。そんな二人に嘘を吐く麗華という女。
「けどさ、一つだけ言っておくと、うちらは絶対に麗華の味方だからね。
たとえ、麗華が何をしようとも、何を考えようとも」
「そう、本当の麗華が、どんなに酷い人間だったとしても、それでもあたしは麗華を信じるから」
「うちらはあんたを信じたんだから」
 ありがとう。でも、その言葉は重い、重いよ。
「悪い……」
 一方で、私は二人にかなり甘えているところがある。嘘を重ねながら。
「ううん、気にしないで。ちょっと重い話しちゃったかなと自分でも思ってるから」
「じゃあ、さ。うちらは帰るから。麗華もちゃんと帰るんだ」
「わかった」
「じゃあ、ね」
 二人は名残惜しそうに帰っていった。扉が閉まると共に、ソファへ倒れこむ。
そして、幾分経ってから、内線で秘書を呼び出し、車を回させた。
すぐに迎えは来て、車へ乗り込む。帰路の車中、目を閉じて、心を落ち着ける。
 自分の良心は傷ついている。魔王エンジェルを作ったとき、この手はいくら汚しても、
心は汚さないんだと思ったときもあった。それこそ、甘えだった。
他人に嘘を吐き、自分にまで嘘を重ねたせいで、他人の善意も受け取ることができなくなっている。
本心から心配してくれた二人に、それでも、ほんの少しだけうるさいと思ってしまった自分がいる。
それは、少なくとも、幸運エンジェルのときにはありえないことだった。
 そして、今は、ともみとりん二人の大事な仲間、自分を信じて従うアイドルたち、
その存在は自分の救いであると共に、重荷でもある。けれども、私は社長の職を投げ出すわけにはいかない。
私が倒れれば、親父はためらいもなく、彼女たちを見捨てるだろう。あるいは、徹底的に利用しようとするだろう。
 私は、東豪寺プロダクションを設立するにあたって、親父とある約束をした。
親父が設立後も全面的な支援を行う代わりに、私が東豪寺財閥のメディア戦略に協力すること。
それを破った場合は、全ての支援を打ち切り、所属アイドルの身分は保証されないということ。
 親父は、社員が過労死しようが、自分の妻が浮気しようが、眉一つ変えない男だったが、
それでも、約束だけは絶対に守る。私が従う限り、アイドルは守られ、私が裏切れば、アイドルは捨てられる。
それだけは確かな未来だ。だから、絶対に投げ出すわけにはいかない。
故に、私がこの嘘の輪から逃れる術はない。
 救わなければならない。見捨ててはならない。その感情だけが唯一残った真実だ。
それは良心を失おうとも、東豪寺麗華を定義し続ける。昔はあったかもしれないけど、
今はそれに理由はない。きっと理由なんて必要ないんだ。ただ、現実に否応なく押し付けられ、
他人を欺いて、騙して、自分にも嘘を重ねて、仕舞いには裏切って、どんどん自分は磨耗していく。
世に茂る茨に傷つけられていく。
 アイドルを目指したこと自体が間違いだったと思うこともある。
そんなことをしなくても、人は救えたのだと。すくなくとも、二人については救えたはずなのだと。
自分は誰かを救わなければならない。その純真な思いが私を壇上へ誘ったのだとすれば、その心を切り裂こう。
もし、自分が過去へ戻れるのならば、刃を自分に突き立てて、幼稚な希望を葬ろう。
 でも、この身が茨ならば、茨の群れそのものならば、どんなに他人を傷つけても、
きっと自分は傷つかなかったはずなのに。だから、自分は自分に祈る。
―I am the garden of thorns...(この身は、茨の園であれ)
 その願いは決して届かないことはわかっていたのにね。

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最終更新:2011年09月22日 21:39