超獣世界より高度に呪文が発達した並行世界。
そこでは生命を得た呪文・獣文がクリーチャーを脅かしていた。
かつて、獣文の襲撃から民衆を救った5人の魔導師がいた。
彼らはマジック・マスターと呼ばれ、各文明の良き指導者として今なお活躍している。
獣文たちがクリーチャーと敵対していたのも今となっては昔の話。
マジック・マスターに調伏された獣文は、
今ではクリーチャーの生活や仕事をサポートする便利なペット感覚で使役されている。
マジック・マスターは新たな戦いを予期し、自分たちの意志を継ぐ者たちを育てた。
彼らは見習いマジック・マスターと呼ばれ、師の下で日々、厳しい修行に励んでいるのである。
……本当っしゅよぉ~? ……ZZZ…… ---真面魔導 タリィーの寝言
五英雄の一人、グリーク・グリードは人々が己の力で身を守れるように彼らに魔法を教えた。
その規模は次第に大きくなり、より多くの人に魔法が教えられるよう学校が建てられた。
かつての英雄も、今では面倒見の良い一教師である。
グリークが学校を開いて以来、もっとも優秀な魔力を秘めた生徒・タリィー。
彼女が編み出した夢魔法は、夢を現実に現出するまさに夢のような魔法だった。
……だが、研究と称して授業中でも居眠りを始める彼女に、グリークは頭を痛めていた。
「おっす! またサボリピョン?」 ---耳巫女 ミミピョン
「違うっしゅよぉ~。新しい魔法のけんきゅ~とじっけんれしゅ~…ZZZ…」 ---真面魔導 タリィー
学校側がタリィーのために特別に用意した研究室。
そこは日当たりもよく、大きくて柔らかなクッションがたくさんあって、とても寝心地が良い。
研究室とは名ばかりで、よく猫たちに囲まれて眠っているタリィーの姿が目撃されている。
うにゃ~…ここは寝心地が良くて気持ちいいのにゃ~…。 ---転寝猫のコロネさん
ふわぁ~…今日はどんな夢を見ましょうっしゅかねぇ~? ---真面魔導 タリィー
ふにゃ~…これさえあれば一日中、眠ってられましゅ~…ZZZ…。 ---真面魔導 タリィーの寝言
くー…すー…えへへ…今日はふわふわの夢れしゅ~…ZZZ…。 ---夢見る魔導少女 タリィー・スー
水文明の英雄ブルスクリンは、獣文を封じた後、多額の報奨金を元手に会社を興した。
英雄の名に縋るように人とお金は集まり、ブルスクリンの会社はあっという間に大きくなった。
英雄ブルスクリンの一人息子、ジートは天才だった。
幼くして魔導を究めた彼は、言葉を発するだけで獣文を生み出せた。
坊ちゃま!坊ちゃまがお作りになられた獣文が近隣住民に迷惑をかけていると苦情が来ております! ---アクア執事 バトバト
うるさいなー!ボクには関係ないだろ!アイツらはもう捨てたんだから! ---真面魔導 ジート
マスター、今日モ来ナイ……ドウシタノカナ? ---無責任な言刃 ココデ・マッテテ
迎えなんか来るわけないだろ!捨てられたんだよ、オレたちは! ---破棄捨てる言刃 クルナ
喧嘩と火事は火文明の華。
五英雄の一人レッド・クリムゾンの治めるこの街は、今日も賑やかで笑顔が絶えない。
マジック・マスターがマジック・マスターたる由縁。
それは自らの魔力で獣文を生み出し、使役できる所にある。
見習いギーレが命を込めた炎の獣文。
ギーレはそれらを「ソード・マジック」と名付け、剣や槍といった武器の姿を与えた。
ギーレの魔力の源は熱き情熱。
勝利へのこだわりが武器の姿を取り、成功の感動が華の姿を取る。
師匠から教わった事。
それは、一人では成し遂げられない事も仲間と力を合わせればきっと成し遂げられると言う事。
そして、仲間のために動く事がこの世で一番大切なのだと言う事。
師匠の教えはギーレの熱き魂に刻まれ、その想いはソード・マジックにも伝わった。
五英雄がそれぞれ育てあげた自慢の弟子たち。
英雄たちは自分の弟子こそが一番優れていると譲らず、
ならば実際に競わせてみようと国を挙げての模擬戦が行われる事となった。
よっしゃ! ここはヒートつ、うちの見習いマスター様のためにヒート肌脱ぎますか! ---一十ヒート
まったく…マスターもお師匠さんも計画性が全く無いんだから……。
しょうがない、だらしのない二人の分まで私がしっかりしないとね! ---二三倒四の二三
マジック・シャーマンに選ばれた巫女は、各地に散らばる結界を守っている。
火文明の地で結界を守るミコトは、若きマジック・マスター候補ギーレの成長を温かく見守っていた。
行っておいで、ギーレ! みっともない戦い方なんてしたら承知しないよ! ---火巫女 ミコト
ふにゃ~…あれ~? 君はだ~れ~? ---夢見る魔導少女 タリィー・スー
おいおい、師匠たちの話を聞いてなかったのかよ? お前の対戦相手だよ! ---爆童魔導 ギーレ・スッゼン
このギーレの三九羅吹武鬼!見忘れたぁ、言わせねぇぜ! ---爆童魔導 ギーレ・スッゼン
ん~~~? ごめんね~、ぜんぜん覚えてないれしゅ~~~。 ---夢見る魔導少女 タリィー・スー
多分、初対面だと思うピョン……。 ---耳巫女 ミミピョン
タリィーが生み出す夢の魔法ドリーム・マジックは、彼女に似て寝てばかりいた。
夢の中ならにゃ~たちは無敵なのにゃ~。 ---夢を見ている猫たち
本当はマスター様は戦うのが好きじゃないんだ。
マスター様の夢から生まれた僕らにはそれがわかるよ。 ---夢の跡 つはもにょつわ~
「僕が優勝間違い無し? 本当に? 本当にみんなもそう思ってる?」 ---真面魔導 ジート
「はい! ジート様!」 ---ワード・マジック一同
「だよね~! だって僕は天才だもんね~!」 ---真面魔導 ジート
わ~い! 楽しい楽しいしりとりのはじまりはじまり~! まずは『リ』からスタートだよ! ---しりとりの言魂 ワードリ
リンリン♪ 美味しいリンゴはいかが? おっと、次の言葉は『ゴ』ですよ。 ---鈴林檎の言魂 リンリン♪リンゴ
ウッホウッホ! 次は『ラ』だウホッ! ---剛腕の言霊 ゴリゴリュラ
ラッパカパ~ン! 次の言葉は『パ』ですぞ~! ---楽管の言魂 ラッパッパ
え~とね~え~とね~…次はね~次の言葉はね~…わっかんな~い!! ---阿呆の魔法 アッパー・ラパーン
知らなかったのかい? 言葉で人は傷つけられるんだよ。 ---真面魔導 ジート
そんな事も知らなかったの? ば~か、ば~か! ---毒のある言刃 マリシアス
そもそも、言葉から生まれたワード・マジックに口喧嘩を挑むのが間違いだったのだ。
法定速度50km/hオーバー…逮捕だな! ---縛速 スピード・チョーカー
恨みや憎しみ…人々の負の感情を具現化した獣文、それがカース・マジック。
世界を救った五英雄が民衆から尊敬を集める中、闇文明の英雄クロー・ブラックだけは違った。
見せしめのように獣文をいたぶり尽くし、恐怖で獣文と民衆を従わせたのだった。
封じの地にはいくつもの結界が張り巡らせられ、獣文が封じられている。
かつて、世界を滅ぼしかけた凶暴な獣文が――。
おやめください、クロー様! その呪文は口に出すのも憚られる禁忌の呪文!
唱えればこの世界も、そして貴方様自身も滅びかねません! ---闇の巫女
……なるほど。お前の言う通りだ。私が間違っていた。 ---漆黒の闇魔導 クロー・ブラック
ああ! わかってくださいましたか! ---闇の巫女
ここで私が滅びる訳にはいかんからな。だから……『お前が唱えろ』! ---漆黒の闇魔導 クロー・ブラック
母さん…? どうして……? ---闇文明の少年
リビング・デッドには呪文の内容が理解できない。
それがかつて、どんなに高い知性を持っていた者でも――。
「……行ってくるよ、母さん……。」 ---闇文明の少年
生ける屍となった巫女は、声の主に目もくれず、ただ低く呻くだけだった。
チッ…弟子たちの晴れ舞台だってのに、何だってんだ? この胸騒ぎは…!? ---熱血大魔導師 レッド・クリムゾン
なん…だと…!? これがあの小僧の力だと言うのか!? ---漆黒の闇魔導 クロー・ブラック
|