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佐藤は、何が起こったのかわからず、流れに身を任せるしかなかった。
そして、布団の中に入れられ、ふたばと目が合う。お互いの息がかかるほど、近くーー佐藤は、仰向けに寝ているふたばの上に乗っかる形になっていた。
「ふ、ふたばっ……」
思わず声が上擦る。
涙で濡れた眼差しが、布団の中で蒸気した頬が、ふたばを色っぽく、艶やかに魅せていた。
佐藤は生唾を飲み込む。その音が聞こえていないか、心配になった。
「しんちゃん、……さっきの続き……して?」
「ぶっ!!?」
佐藤は混乱した。
さっきの事とはつまり、そういう事だろう。
その続きと言えば……。
「だ、駄目に決まってるだろっ!!俺達はしょ、しょしょしょしょしょ小学生だぞっ!!」
おもわず声を荒げる佐藤。
「しんちゃぁん……」
切なそうに言うふたば。
「っ……」
その声に、佐藤の大事な部分が反応する。
「……」
佐藤は、ふたばの頬に手を伸ばし、柔らかな曲線を優しく撫でた。
「い、いいのか?ふたば?」
その問い掛けにふたばはすぐさま頷く。
「ほ、本当にいいのか……?俺だぞ?へ、変態だぞ?」
それでも、ふたばは当たり前のように頷く。
「しんちゃんがいいの」
その一言に、佐藤はもう一生勝てない気がした。
「……止めてほしくなったらすぐ言えよ」
観念した佐藤は、ふたばにそう告げる。
「うんっ……」
「あと……俺もマンガで見ただけで、よくわかんないから、間違ってたらごめんな」
「大丈夫、小生が教えるっス」
「……」
変に頼りがいのある言葉に佐藤は安心していいのか、何でお前が知ってるのか疑問に思った方がいいのか、わからなかったが、とりあえずはスルーした。

先ずは何をすればいいんだ、と悩んだ末、おもむろにふたばのタンクトップに手をかけた。
服を捲り上げる度にふたばの素肌がさらけ出される。
瑞々しいオレンジのような、健康的な素肌から、おへそ、わき腹、それから、胸が露わになった。
「ふ、服も、脱ぐんだね……」
ほんのりとピンクに染まったふたばの頬が、ふたばの感じている恥ずかしさを表していた。
佐藤は、目の前の光景に、ただただ心と言葉を奪われ、吸い寄せられるように、サクランボのような先端を口の中に頬張った。
「んっ……!ふ、あぁ……!?」
ふたばの声に、佐藤は舐めるのを一旦中断して言う。
「……あんま、大きな声出したらバレるぞ……?」
色っぽく息を吐きながら、ふたばは頷く。
「ま、まさか、舐めるなんて……」
「いやか?」
ふたばは首を横に振った。
「じゃあ……、続けるぞ」
そう言って、佐藤は行為を続けた。
唇で吸い付いたり、舌で先端を舐めたりしてみる。
「んっ……!んんっ……!?」
ふたばは次々に湧き上がる喘ぎを両手で必死に押し殺していた。
(……まさか、こんな所で千葉に見せられた本が役に立つとは)
「ちゅぽっ」
吸いついた口を離すと、唇が音を立てた。
佐藤は右手で片方の胸を。左手でふたばの身体を撫で回した。
真綿で出来たツイル生地のような滑らかな手触りを左手の平で必死に求める。
唇で、キャンディを舐めるように吸いつき、右手で撫でるように優しく揉みほぐす。
ふたばはくすぐったそうに、小さく反応していた。
「し、しんちゃっ……んっ!」
ふたばの色っぽい声が漏れる。
「すげー可愛いよ、ふたば……」
唇を離し、ふたばの乳房を触った手は肌を伝って、スパッツを下ろし始める。
「し、下も脱ぐの……?」
「恥ずかしいのか?止めとくか?」
ふたばは自分が言っておきながら、全力で首を振った。
「おねがい、します……」
きゅっ、とふたばは目をつむる。
佐藤は、花弁を開くように、ソッと慎重に、優しく、スパッツとパンツを脱がしていく。
「ふたば……寒くないか?」
一応、布団は被っているが今はまだ春だ。ふたばの事を気遣って、佐藤はふたばに聞いてみた。
「あ、うん……大丈夫」
「そうか……」
佐藤は返事をして、ふたばを包む最後の花弁は床に舞うように落ちた。

産まれたままのふたばの姿に佐藤の鼓動は一層速くなる。ふたばが熱を帯びた息を吐く度に、佐藤の大事な部分は膨張した。
佐藤はふたばの大事な部分を、縦の筋が入った美しいラインを見る。
ナイフで切りつけた果実のように淫靡な汁がその割れ目から溢れていた。
「あっ、あんまり見ないでっ……」
ふたばは両手で顔を隠した。
普段は汚いと思う所だ。しかし、そこに佐藤は指をそっとあてがった。
「ひぁっ……!?」
それだけでふたばの身体は大きく跳ねる。
割れ目に沿っている中指に力を入れる。
つぷッ。
指は、ふたばの中へあっさりと侵入した。
「うっ……」
今度は顔をしかめるふたば。不意に感じた異物感に必死で抵抗するように、力を入れる。
「……中、キツいな」
佐藤が呟いた。
「ふぇ?」
「いや、なんでもない」
佐藤は指を更に奥へ進めた。ふたばから零れる果汁が潤滑油となり、一気に奥へ届く。
「んっ……、んっ」
腰をよじり、くすぐったさを紛らわすふたば。その動きが佐藤には嫌に艶めかしく映る。
「い、いたっ!」
何かに当たった所で、ふたばが突然叫んだ。
「い、いたかったか……?」
遠慮なく指を進めていた佐藤は恐る恐る問いかける。
「あっ、ううん!大丈夫っ!」
しかし、健気にもふたばはそう返答した。
その言葉に佐藤は一旦指を抜いた。
「んっ」
抜いた拍子に、ふたばは短く声を上げる。
そして、佐藤はシャツを脱ぎ、ズボンとパンツも一気に脱いだ。
小学生にしては筋肉もしっかりと付いてある佐藤の身体…………よりも、存在を証明するように誇張した、佐藤の大事な部分にふたばは釘付けになった。
時折脈打つソレは、まるで別の生き物のように見える。
ふたばは仰向けに寝たまま、両手でその生き物に触れた。
「わぁ……」
芯の通った感触なのに、不思議な弾力がある。
ふたばはソレに軽く触れたり、擦ったりしてみた。
本人には、無自覚だが、佐藤はそれだけで、腰に快楽の電流が走る。
「……入れていいか?」
物珍しげに弄るふたばに、佐藤はバツが悪そうに聞いた。
「あ、うんっ……。いいよ、きて」
ふたばは両手で触れ、導くように佐藤のソレを、陰茎を、ファルスをーーアソコにあてがった。
先の方が滑りを帯びたアソコに埋まる。それだけで、佐藤の腰の辺りに再び快楽の電流が流れた。
「い、いくぞ?」
「う、う……ひぁっ!?」
返事を待たずして、佐藤はふたばの中にゆっくり侵入していく。心地の良い抵抗感と、時折中で脈打つ快楽を互いに感じながら……。
そして、最初の壁にあたる。
「っ……!」
ふたばが僅かに顔をしかめた。
「ふたば……痛いかもしれないから、我慢しろよ」
佐藤はそう言ったが、それだけの事しか言えない自分に内心憤りを覚えた。
「うん……」
ふたばの声を聞いて、腰に少しづつ力を込めた。
強い抵抗感に佐藤は本当に大丈夫なのだろうか?と不安になった。
目の前には固く目をつむり、唇を真一文字に結んでいるふたばが、目尻にうっすらと雫を溜めていた。
多分、痛いのだろう。佐藤はそう思う。頭を打って血を流しても平気にしているふたばが、今こんなにも泣きそうな顔をしている。しかし、佐藤にはどうすることも出来ない。止めた所でふたばは続けてほしいと言うだろう。
(痛みを和らげる魔法が使えればなぁ)
そんなときに佐藤が思い出したのは、一、二年前にハマったゲームの魔法だった。
佐藤は、せめて忘れないように、ふたばの痛そうな表情を見つめながら、腰を一気に突き入れた。

「……いッッッ!!」
ふたばは佐藤の腕を痛いくらい握った。
佐藤の腕には千切れそうな程の激痛が走る。だが、そんな事も感じないくらい、全神経を一点に集中させていた。
「はぁ、はぁ、入った」
「……っ、う、うんっ……入った……ね……」
苦しそうに笑いながら、ふたばは佐藤に言う。
バツンッと弾けたような感覚がしたかと思ったら、そのまま、一気に根元まで入ってしまった。
「だ、大丈夫だったか?」
「うん……思ったより痛くなかったよ」
ふたばはそう言ったが、泣きながら言われても説得力が無いなと思った。
「……えーと、じゃあ、動くぞ?」
「うん……」
腰をゆっくり手前に引く。ふたばの内壁を擦りながら、今まで中に入っていた部分が露わになっていく。表面は朝露に濡れた葉のように鮮やかに光っていた。
先の方には深紅の鮮血が朝露と溶け合いながら付いており、その痛さを物語っていた。
佐藤は、ふたばを苦しめている悪魔を、本能のまま、ふたばという果実の中に再び突き入れる。
「あ、くぅっ……!?」
ビクンッ。ふたばの身体は大きく跳ね、腰を浮かせた。
気を抜くと、千切れそうな程締め付けてくる、ふたばの中から、また這いだすように抜き、再び奥まで突き入れる。
「ひゃあっ……!!」
アソコから、線香花火のように、淫靡な液体が弾けた。
「ふたば……、お前の中、すげー気持ちいいよ」
佐藤はふたばを愛おしそうに抱きしめる。
「あっ……しんちゃぁんっ……」
ふたばも、手を佐藤の背中に回した。
互いが互いを求めるように、腰のリズムも速くなる。
「あっ……、ふぁっ、んっ……んっ、んっ、んっ!!」
水音は交響曲を奏でるように、ふたばの声と共にその激しさを増していった。
「ヤバいっ……!ふたばの中、気持ち良すぎてっ、止まんねーよ」
腰を抜いては突き入れ、抜いては突き入れを繰り返す。快楽を貪る度に理性が失われていくようだった。
「はぁ、ふたばっ……!どうだっ、気持ち、いいかッ……?!」
「あっ、あぁぁんっ……、し、しんちゃっ、すごいよぉ、しんちゃんのっ、中で、出たり入ったりしてるのが、伝わってきてっ……はうっ!」
正常位の体勢でふたばに欲情を突き入れながら、更なる快楽を求め、小さなふくらみにも手を伸ばす。
「あぁっ……?!」
触れた途端、目を見開き、声を漏らす。アソコがまた、キツく締め付けられるのを感じた。
指先で先端の突起を爪弾く。
手の平で胸全体の感触を味わうように撫で回す。
「はぁっ、んっ、んっ。くぅっ……んっ!」
されるがままに、ふたばは佐藤に、身体を預けていた。
幼い肢体に、佐藤という存在が刻まれるたびに、ふたばに快楽が芽生えていく。
「し、しんちゃ……っ!しょ、小生、気持ち良すぎてっ……っ、もうっ……もうっ……!!」
やがて、限界の時が近づく。
「ふたばっ……、ふたばっ……!」
「んっ、しんちゃぁんっ……!」
身体はこれほど密着しているのに、二人は切なそうに互いを呼び合った。指先にも力が籠もる。
赤く蒸気したふたばの顔に、限界の表情が浮かぶ。
「あっ、クるっ……!なんかっ、クるよぉっ……!」
「お、俺もっ……!もう、ダメ、だっ……!」
佐藤も同じように顔をしかめていた。
そして、佐藤は競り上がってきた、射精感を、一気に外へ追い出した。
「あっっっっ……!!!」
「くぅっ……!!」

思い切り、佐藤が腰を突き入れた刹那、ふたばの身体が大きく跳ねる。
「……っ」
「あっ、あぁ……」
ドク、ドク、とふたばの中に命の種が植え付けられる。
時間が止まったように、動きが止み、それから、二人は力が抜けたように、息を吐き出した。
「っ、はぁっ、はぁっ……」
「んっ……、んぁ、はぁ、はぁ……」
焦点が定まってないような表情でふたばは虚空を見つめ、肩で息をする。
「はぁ……くっ」
佐藤はふたばの中にすっかり馴染んだ一物を抜いた。
「んっ」
ふたばの中から白い液体が零れる。
「……あ、なんか零れた」
それに気づいたふたばは、上体を起こし、指でそれを確認してみた。
「何これ?ヨーグルト?」
「……」
それが何なのか分かっている佐藤は思わず黙る。
それが何なのか分からないふたばは、白い液体が付いた指をおもむろに口に入れた。
「あ、ばっ……!?」
佐藤が慌てて、止めようとしたが、その反面少し嬉しさもあったので、それを見守る形になる。
ふたばは舌で良く味わい、そして、喉を鳴らす。
「ど、どうだった?」
佐藤の問いにふたばはガッカリした顔で答えた。
「あんまり美味しくなかった……」
「だろうな……てか、何でも口に入れるなよ」
呆れ顔で答える佐藤にふたばはうぅ……と、嘆く。
……しかし、不意に顔をあげたかと思うと佐藤に言った。
「……でも、まさかしんちゃんがこんな事してくるなんて……しんちゃんったらー」
頬を染め、嬉しそうに言った。
だが、その言い方は佐藤からすればどうにも腑に落ちない。
「え?お前が、つ……続き、しろって……」
若干言いにくそうにふたばに言い返す。
ふたばは分かってないような顔で返事をした。
「え?小生はもっとチューをしてほしかっただけだよ?」
その言葉に佐藤の顔は青ざめた。

ガチャリ。
服を着て、佐藤は部屋から出る。
あの後、ふたばは服も着ずすぐに寝てしまい、事後処理を全てする羽目になってしまった。
(まぁ、それなりに役得はあったんだが……)
佐藤の手にはビニール袋が握られている。中身は今日出た互いの分泌液を拭き取ったティッシュだった。
静かに階段を降り、佐藤は居間の前をゆっくり通り過ぎた。
隙間から居間を見ると、テレビの前で、みつばがお菓子を食べていた。
どうやら、草次郎はまだ帰ってきていないようで、ひとまずホッとする。
そして、再び隙間をのぞき込む。
(三女はいないのか……?)
「いるよ、ここに」
その瞬間佐藤の心臓はここまで跳ねる事があるのか、というくらい跳ねた。
「だ、だっ○※□△……!!」
「日本語じゃないとわかんないよ」
ひとはは冷静に返した。
「音もなく近づくな!!心を読むな!!」
「なによ、うるさいわねっ」
居間の障子が開いた。
みつばはうるさそうに顔をしかめて佐藤を見る。
「あら、やっと帰るの変態?」
「変態じゃねーよ!もう帰るよ!」
「そう。あぁ、良かった」
みつばはそう言い捨て、障子を勢いよく閉めた。
「ウチの雌豚がごめんね」
ひとはが悪びれない様子で謝る。
「え?まぁ、いつものことだろ」
珍しくひとはが謝ってきたので、佐藤は素の反応をしてしまった。
「一応言っといた方がいいかと思って」
「……あぁ」
(なんだそういうことか)
「からかうのは矢部っちだけにしとけよ」
「たまには、他の人もからかいたくなるんだよ」
また悪びれる様子もなく、ひとはは言う。
「じゃあ、帰るから」
佐藤はそれを無視して、靴を履いた。
「うん、夜道に気をつけてね。家近いけど」
「あぁ、夜道に気をつけるよ。家近いけど」
適当に受け流しつつ、佐藤はドアを開けて、外へ出た。
「また学校でな」
「うん、またね」
そして、ゆっくりと扉を閉めていき、もう少しで閉まりそうな所で、ひとはは佐藤に聞こえるように呟いた。
「それと、私たちの部屋で情事を重ねるのは止めてほしいな」
その声が佐藤の耳に届く頃には、扉は完全に閉まっていた。
佐藤の顔が再び青ざめる。
扉を開けて確認したいが、怖くて確認出来なかった。
「このタイミングで言うか……」
やはりまだまだ三女には適わないと、佐藤は思った。


雀の囀りで佐藤は目を開いた。
気持ちは既に起きていたのだが、どうにも身体が動かなかった。
それでも、学校には行かなければならない。
ジリリリ!
このタイミングで目覚ましが鳴ったので、佐藤は慌てず目覚ましを止めた。
「……夢じゃないよな」
昨日、ふたばと結ばれた事。一晩寝て起きると、その感動がリアルさを帯びてきた。
手の平に残るふたばの肌の感触が、唇を啄んだ体液の味が、脳内に今でも響く甘い喘ぎが、鮮明に蘇ってくる。
それに反応してか、佐藤のズボンには今や大きなテントが張ってあった。
「……着替えよ」
そう呟いて佐藤は上着を脱ぎ始めた。

ピンポーン、と丸井家のチャイムを押す。
軽い、リズミカルな足音が聞こえたかと思うと、玄関が開いた。
「今日は襲いにきたの?」
出てきたのはひとはだった。
「ちげーよ!起こしに来たんだよ!」
開口一番に微妙に核心を突いた挨拶をされ、自然と声も大きくなる。。
「ふたばならまだ寝てるよ。さっき、みっちゃんが起こしに行ったけど、怒りながら戻ってきたから、気をつけてね」
「待て!なんだその怒りながらってっ!?」
ひとはは言うだけ言って、サッサと台所に戻った。
佐藤は戸惑いながら、とりあえず丸井家に入る。
「お邪魔しま~す」
「あぁ、いらっしゃい」
「来たわね、変態」
居間では、草次郎とみつばが、朝食を出されるのを待っており、佐藤は適当に挨拶をして、三つ子の部屋に向かった。
昨日の今日だ。階段を踏む度、心臓の音が大きくなっているように佐藤は思った。
正直、全く何も期待していないわけではない。佐藤も男の子だ。いかがわしい妄想くらい、今だってしていた。
三つ子のドアの前に立ち、二回ノックする。
「……」
しかし、返事はない。
佐藤はもう一度ノックしてみた。
「……」
やはり返事はない。
「ふたば~?入るぞ~?」
佐藤はゆっくりドアを開けた。部屋を見渡し、ふたばの様子に気づく。
「……ふたば?」
結論、ふたばは起きていた。
上半身だけを起こし、ボールを両手で持って、向かい合っていた。
佐藤が今まで見たことがないような表情をしていて、あえて言うなら、魂が抜けたような、そんな顔をしていた。
「どうした、ふたば?」
佐藤は扉を閉め、ゆっくりふたばに近づく。
しかし、近づくほど、ふたばとの距離が遠ざかるような、不思議な感覚がした。
それでも、佐藤は近づいた。手を伸ばした。
「……んが」
ふたばが僅かに口を動かした。佐藤の動きが止まる。ふたばは、布団から出て、机や棚などを乱暴に開け始めた。
「おい、ふたばっ……!?」
ふたばの様子に、佐藤はいち早く止めに入った。しかし、あっさりとふりほどかれる。
そのまま、ドアに勢いよくぶつかった。
「いっ……つ!!」
腰を思い切り打ちつけ、苦痛の声が漏れる。
それでも、ふたばは部屋を荒らすのを止めなかった。
プリントやヌイグルミ、フィギュア、お菓子などが次々に散乱し、宙を舞った。
ふたばは必死の表情で、机や、クローゼットや、布団を乱暴に掻き乱している。その姿は、何かを探しているように見えた。
「ふたば、止めろ!」
佐藤は、ふたばに抱きついた。それでも、ふたばはふりほどこうと力を込める。
(相変わらず凄い力……)
佐藤でもしがみついているのがやっとだった。
「離して!しんちゃん!」
ふたばがそこでようやく口を開いた。
「駄目だ、ふたば!一旦落ち着けっ!」
佐藤はしがみつきながら、そう言う。
しかし、ふたばは構わず部屋を荒らし始めた。
「どうしたんだよ、ふたば!?ボールに、何かあったのか!?」
佐藤が叫んだが返事はない。
「ふたばっ!!」
佐藤が渾身の声で叫んだ。その声でふたばの動きが止まる。

ふたばは力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「はぁ、はぁ」
ようやく落ち着いたと思い、佐藤はふたばを抱きしめなおした。
「しんちゃん……」
ポタ、ポタと床に涙が滴る。
「……何かあったのか?」
ふたばは一拍間をおいて、それからゆっくり頷いた。
「夢を見たの……」
「夢……?」
ふたばは再び頷く。
「お母さんの夢……」
「……」
思いもよらなかった話題に、思わず息を呑んだ。
「お母さんが、夢の中に出てきて……大きくなったね、って……」
ふたばは頭を触る。
「頭を、撫でて……それから、……これからも、ずっと、見てるよ、って……」
ふたばの目から涙があふれる。
「ふたば……まさか」
ボールに付いていた目が……。そう続けようとした時、ふたばの声にかき消された。
「嫌っス……お母さんも一緒がいいっス……しんちゃん、小生が大きくなったから、お母さんは見えなくなったの……?」
「それは、……」
佐藤は目をそらした。
「だったら、小生は一生子どものままがいいっス!まだ面倒を見て欲しいっス!だからお母さんに、また……、また、会いたい!」
ふたばは抑えていたモノを吐き出すようにそう叫び、子どものように泣き出した。
佐藤は困ったようにふたばを見つめ、やがて覚悟を決めたように、ふたばを抱き締めた。
「しんちゃ……」
今度はふたばの言葉を佐藤が遮る。
「俺じゃ、駄目なのか?」
「し……」
「俺は、お前が死ぬまでずっと側にいる。お前が言うなら、一緒に死んでやる。お前が忘れても、俺が忘れない。ずっと、ずっと、側にいるから……!」
「……」
「モノを壊してもいい。勉強もずっと見てやる。子どものまま大人になってもいい。大人だって、子どもだ。思いっきり泣いてもいい。だから……」
佐藤の手に力が籠もる。
「その後は、また笑ってくれ」
それを聞いたふたばは、
ゆっくりと表情を崩し、
もう一度、佐藤の胸で思いっきり泣き始めた。

昼休み。
ふたばとひとはは体育倉庫の前にいた。
短い間、ボールと共に過ごした。
不思議な体験だったとふたばは今になって思う。
「ふたば、いいの?なんなら、先生に言って貰ってこようか?」
ひとははそう言ったが、ふたばは首を横に振った。
「しんちゃんはああ言ってくれたけど、やっぱり、小生は、もっと大人にならないといけないっス」
「ふたば……」
「すごく時間がかかるかもしれないけど、これから少しづつ、大人になっていくっス!」
鼻息荒く、ふたばは宣言する。
ひとははやれやれと溜め息をついた。
「この分じゃ随分時間がかかりそうだけどね」
「そんな事ないっス!頑張るっス!」
変に気合いの入っているふたばに、ひとはは話題を変えた。
「それにしても、マ……お母さんか。私も会いたかったな……。どんな人だったの?」
「え?どんな人……っスか?」
ふたばは考えはじめる。
長くなりそうだと思ったひとはは再び話題を逸らした。
「まぁ、いいや。早くボール直しといで」
「あ、うん」
その言葉に、ふたばはようやくボールカゴの中にボールを入れた。
「じゃあ、昼休みも終わるし、帰ろうか」
「うん……」
ひとははそう言って、校内へ戻る。
ふたばは、体育倉庫の扉に手をかけ中に向かって一言、呟いた。
「ありがとう、お母さん」