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~ 行方不明(松岡視点) ~

矢部っちを見つけてロープが必要なことと場所を伝えた。矢部っちはロープはそういうときのために見回りの先生が持ってると言って、その先生に電話で連絡をした。

その先生に大まかな場所を伝え、現地で合流することとなった。

今私は三女さんとみっちゃんの居る場所に矢部っちを急いで案内している。

矢部っち「みつばちゃんも、下に落ちたの!?」

松岡「うん、止めたんだけど、きっと三女さんが心配だったんだと思う」

みっちゃんにとって三女さんは、私が三女さんに抱いている感情よりもかけがえの無い存在のはずだ。

三女さんはどうなのだろう? みっちゃんのことを大切に思ってるのだろうか?

正直、三女さんは私にも余り積極的な態度を取らない所を見ると、私も好かれているわけじゃないのだろう。

みっちゃんと私は同じなのだろうか……

……本当はわかってる……きっと同じじゃない。みっちゃんは三女さんに本当は好かれている気がする。私もみっちゃんは好きだ。夏休み、家出していたときわかった。

本当はみっちゃんはすごく優しい人だ。一緒に住んでいる三女さんもそれを知っているはずだから。

矢部っち「もうすぐ言ってた場所だね!」

松岡「……」

矢部っち「えっと、聞いてるかな?」

松岡「あ、はい、もうすぐです」

なんだか悔しかった。みっちゃんが嫌いなわけではないが私は嫉妬している。

三女さんをあんな目に合わせておいて、私は最低な人間だ。

~ 行方不明(ひとは視点2) ~

つい勢いで泣いてしまった。恥ずかしい。とりあえず、ゆっくり離れることにする。

ひとは「ごめん、色々迷惑かけて……」

改めて謝る。

みつば「べ、別に良いわよ。それよりほんとに怪我とか無いわけ?」

そういえばちょっと前に痛い所とか聞かれたとき首を横に振ったんだっけ? 実際は右足首を捻っちゃってるみたいだから言っておいたほうが良いだろう。

ひとは「えっと、歩けないほどではないけど、右足首をちょっと捻ったくらいかな」

みつば「大丈夫なの?」

ひとは「うん、そんなに痛くないし大丈夫」

捻ったって言うのも大げさかもしれない。それほどまでに痛みは無かった。

松岡「矢部っち! ここ! 二人とも大丈夫?」

松岡さんの声、先生も居るみたいだ。

みつば「こっちは大丈夫よ! ロープはある?」

矢部っち「大丈夫! 見回りの先生が持ってたロープがここにあるから」

どうやら上には複数人の先生が来ているらしい。

みつば「それじゃロープ投げて! ひとはと一緒にロープを使って上るわ!」

矢部っち「わかった、いくよみつばちゃん!」

ロープの片方が下まで降りてきた。

みつば「ひとは、おんぶしてあげるからちゃんと捕まりなさいよ!」

ひとは「え? ……だ、大丈夫だよ。足も大したことないし」

おんぶなんて恥ずかしい。断ろうとしたけど……

みつば「さっさと捕まりなさい! あんた高所恐怖症で足まで痛くて上れると思ってるの!」

……確かにそれは無理かも知れない。途中で落ちたりなんかしたら……いやだ、やっぱり捕まろう。

黙ってみっちゃんの背中に乗る。乗ってみた感想。汗でべちょべちょなんだけど……気持ち悪い。

まぁ、さっきみっちゃんに抱きつかれた時にも既に汗が服にいっぱい付いてるし……まあ良いや。

みつば「いくわよ! 離したら落ちるわよ!」

暗くて大して見えはしないが、目を瞑ってしばらく必死にしがみ付いた。

みつば「はぁ、はぁ」

松岡「もうちょっと! みっちゃんもうちょっとだから!」

みっちゃんの声、松岡さんの声、それに矢部っちを含めた先生達の声が聞こえる。

その声も次第に近づいてきているのがわかる。

みつば「はぁ……ひとは、着いたわよ」

目を開けると、そこはもう落ちる前のわき道だった。

ひとは「……ありがと、みっちゃん。先生方もご迷惑かけました」

私はみっちゃんの背中から降りて謝った。すると……

松岡「ごめんなさい!! 私が全部悪いです! 私がはしゃぎ過ぎちゃって……それで」

松岡さんが土下座して謝ってきた。しかも半泣き状態で……

みつば「(ひとは! あんた許してあげなさいよ。きっと松岡の奴、本気であんたのこと幽霊関連で協力したかっただけみたいだし。悪気なんて無いはずよ)」

みっちゃんが耳打ちしてくる。言われなくてもわかってる。面倒なことにはよく巻き込まれているけど、

それでもあまり社交的でない私は松岡さんにはいつも感謝してるから。……たぶん。

ひとは「松岡さん、ありがとう。みっちゃんと一緒に助けに来てくれて。だからもう顔上げて。なんかやり辛いよ」

松岡「怒ってないの?」

ひとは「ちょっと怒ってたけど、松岡さんはいつも本気なの知ってるから……もう怒ってない」

本心からの言葉だ。

松岡「……う、うわーん、ありがと三女さん!」

泣きながら抱きついてきた。

矢部っち「二人とも無事でよかったよ。栗山先生の所に戻って怪我見てもらおうか」

~ 就寝(松岡視点) ~

三女さんとみっちゃんは怪我の治療をしてもらってる間に私は一足先に杉ちゃんの居るロッジに戻ることにする。

あの後結局先生たちに私は怒られた。でも三女さんとみっちゃんが必死に庇ってくれた。本当に二人は優しい。

……嬉しかった。私は三女さんに少なからず嫌われてるかもしれないと思っていたし、今回の件でもう今までのように接することが出来ないとさえ感じていた。

なのに、私を許してくれた。それどころか庇ってさえくれた。

考え事をしていると既に自分のロッジの前についた。そういえば今は杉ちゃん一人で部屋に居るんだ。

他の生徒は私達が三女さんの捜索に当たってる間に、海江田先生によりロッジに戻ってるように言われたらしいから。

ガチャ

松岡「杉ちゃん……ごめん、一人で待たせちゃって」

杉崎「っ! 松岡! みつばは! それに三女は大丈夫なの! みつかったの!?」

杉ちゃんは私だと確認できるとすぐに掴みかかり体を揺すりながら声を掛けてくる。

松岡「二人とも、見つかったし、大丈夫だから、やめて~」

揺らされながら何とか返事をする。

杉崎「あ、ご、ごめん」

離してくれた。

杉崎「そ、それで二人は?」

松岡「怪我を見てもらってるわ」

杉崎「え、怪我したの? しかもみつばも?」

そうだった。他の生徒はまだ何が起きたか良くわかってないんだ。

私は杉ちゃんにことの成り行きを説明した。

松岡「……と、言うわけで、私が全面的に悪いわけです。ごめんなさい」

改めて話すと私のダメさ加減が実に良くわかり、また半泣き状態となってしまった。

~ 就寝(みつば視点) ~

ロッジに戻ってくると松岡が泣いていた。

みつば「ちょっと何? また泣いてるの?」

私の声に気が付いた杉崎が声を掛ける。

杉崎「あ、みつば! それに三女も……まったく心配させないでよね!」

杉崎が不機嫌そうに言う。……そういえば、杉崎は一人でここで待っていたわけだ。ちょっと悪いことをした。

ひとは「ごめん、杉崎さん」

杉崎「べ、別に三女が悪いわけじゃないでしょ? 松岡が突き落としたって聞いたし……」

たしかにそれ事実なんだけど、ちょっと今その台詞言うのは……

松岡「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

みつば「いや、だからもう誰も気にしてないから……杉崎、ちゃんと宥めといてよね」

杉崎「え、ちょっと!」

もう面倒くさいので投げた。それに今のは杉崎が悪い。今日は疲れたから早く寝たい。ひとはも完全にスルーして私と一緒に部屋に上がる。

ひとは「……それにしてもこの甘い匂い全然取れない……」

みつば「わ、悪かったわね! どうせ私の汗は甘い匂いがするわよ!」

正直私自身も走ったりしたため汗で気持ち悪い。ひとはの言うこともわかるが、さっきの言い方はひどい。

ひとは「まぁ、お風呂は大浴場だし入れないのはわかるけど……とりあえず、着替えだけしとこう」

みつば「そ、そうね…………杉崎……携帯のシャッターオン鳴ったらロッジから追い出すからね!」

昼間のことを思い出して杉崎に念を押しておいた。

杉崎「馬鹿! 松岡の対応でそれどころじゃないわよ!」

~ 就寝(ひとは視点) ~

松岡さんが落ち着いてすぐ、私たちは特に話もすることなく床に付いた。今日は色々あって疲れていたからだろう。

私はみっちゃんに助けられた後ずっと冷静を装っていた。みっちゃんの前であんなに甘えてしまうなんて考えても見なかった。

正直今でも少し動揺してる。

皆が寝静まっているのに私だけが起きているのもそのためだろう。

あまりに寝付けないので少し起きて窓側に移動する。

行方不明中全然気が付いてなかったが、真っ暗な空の中に沢山の光が見えた。

あの時見えた光はみっちゃんの持ってきた懐中電灯の光だけだった。

その空を眺めながら今日の出来事を思い出していたとき……

みつば「ん……ひとは? おきてるの?」

ひとは「!」

みっちゃんが起きてきた。どうやら偶然目を覚ました時、私が起きているのが視界にでも入ったのだろう。

ひとは「みっちゃん……」

みつば「どうしたのよ? 眠れないの?」

こっちに来て隣に座る。眠たいからなのか、いつもより優しい声のように聞こえた。

ひとは「……うん。ちょっと色々考えたいことがあって……」

みつば「……そう、相談できることなら誰かに相談しなさいよ。私も相談に乗るし、ここに居る杉崎や松岡だって力になってくれるわよ……」

なにを勘違いしたのだろう、人生相談だとでも思われたのかな? 実際そんなたいそうなことじゃなかったけど……

みつば「まぁ、あんたもさっさと寝なさいよ……」

それだけ言うとまた寝るために移動していった。

……やっぱりみっちゃんは優しい。本当に……

すぐにみっちゃんの寝息を立てる音が聞こえてくる。

私はもう少し起きていよう、みっちゃんが起きてきたおかげで、また少し動揺してしまった。

また私は星空を見上げ、心が落ち着くのを待つことにした。

おわり