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頼まれてやるかっ!


「さて…どうしたもんかな……」

手の中にあるラブレター。
佐藤に渡さなきゃなんないんだが……う~ん、いざとなるとちょい恥ずいな。

「しっかし、何でみんなあいつに群がるんだろ?」

佐藤はやたらともてる。
下駄箱にはラブレターがちょいちょい入ってるし、2月のイベントとかじゃプレゼントの嵐だ。
今だってバスケチームの友達に、渡してくれと頼まれたラブレターが手の中に。
手渡されたときの真剣な表情。目。絶対に本気の想いがこもってる。
だからやっぱり佐藤はもてる。間違いない。

「だけど、さっぱりわかんねぇよなぁ…」
だって佐藤だぜ?

いっつもアタフタしてみっともなく悲鳴上げて。みつばなんかにボコボコにされて。学校だろうが道の真ん中だろうが泣き喚いて。
褒めれるとこなんて、たったひとつしかない。
でもってそのひとつを見てりゃ、ラブレターとか出すのは無駄だって丸わかりなんだが……
「まぁ頼まれたからにはしっかり渡さなきゃな。
友達としても、キャプテンとしても信頼されてるわけだしっ!!」

いやぁ、人気者は辛いね☆

「お~い、佐藤……なんだ?」
佐藤とふたばと三女…それに松岡。

「だからさっちゃんの怪談を聞いてる間、抱き締めさせて欲しいんス!!」
「だそうだから頑張ってね、しんちゃん」
「さらっと言うな!絶対死ぬだろそれっ!!」

……毎度無駄な抵抗というか、時間の無駄というか……どうせオチは決まってんだから、さっさと決断しろよな。

「んも~、早くしてよ~。
ふたばちゃんのために、とっておきの話を仕入れてきたんだから!
実はこの学校の理科室にはね……」
「あわわ……しんちゃ~ん!!」
話は全然進んでないってのに、ふたばの目はもうウルウル。
でもってこうなると……
「あーもうっ!わかったよ!
絶対力入れすぎんなよ!!」
ほれ、時間の無駄だった。

…にしてもこいつ、マジで学習能力ねぇよな。
結果がわかりきってるくせに、あえて無防備で突き進む意味がわからん。

「おす!
じゃあしんちゃん、小生の膝に座って」
「おう……あんまくっつくなって!」
「……それじゃふたばちゃんの顔が見えないよ。
私は佐藤くんに聞いてもらいたいわけじゃないんだから!しっかりしてよね!」
松岡も結構佐藤の扱いが雑いのな。

「本当にしんちゃんは役立たずだよね」
「うっせえ!
そうだふたば!やっぱ三女を抱き締めろよ!
こいつのサイズならお前が隠れないで済むし、ちょうどいいだろ!
ホラ三女、代われって」
あははっ!こいつ空気読めてねぇ~!すっげーバカ!

「………私に良いアイデアがあるよ。
一旦2人とも立って」
ほぅら、怒ってる。

「押忍」
「それでまず、椅子を逆向きにして、背もたれを松岡さんに向ける」
「ふむふむ」
「で、しんちゃんも松岡さんに背中向きに座る」
「しんちゃん、お願い」
「最後にふたばが松岡さんを向いて、しんちゃんのひざのうえに…あぁそうじゃなくて、
ふたばはもっと足を開いて、しんちゃんの体を挟み込むんで…そうそう」
「おお~!
これならさっちゃんが見えるし、しんちゃんの頭も抱きかかえやすい位置に来るっス!」

……それって対面座…ゴホンッ!
その…吉岡の読んでる本にな?

「ありがとう、ひとっ!」
「これで一件落着だね」
「なわけねーだろ!!」
「何か問題でも?」
「大有りだ!
これじゃモロに…そのっ……」
「モロに、なんなの?」
「そのぅ…あっ…当たって……」
「当たる?何が当たるのかな?
しんちゃんに何か当たっちゃうの?
それともふたばにナニか当たっちゃうの?」
容赦ねぇな……。

「あっ、いや…それはそうじゃなくて……」
「みんなー、しんちゃんが何か主張したい事があるそうだよー。
聞いてあげてー」

「ほう」 「また佐藤がなんかおもしれぇことやってんのか」 「さすがイケメン様、常に発信する心を忘れない」

「さぁどうぞ、しんちゃん」
鬼……!

「ちがっ…だからさ、俺はただこういう体勢はだな…ちょっと良くないっていうか……」
「だから何が良くないの?はっきり言ってよ」
「……もうちょっと別の……」
「別の?もっといい案がしんちゃんにあるの?
ふたばが抱き締めやすくて、松岡さんがしっかり見れるように、これ以上いい体勢が思いつくの?」
「……………いや……」
「じゃ始めて、松岡さん。
もう好きなだけ。何時間でも」
「………………………………………………………………」
泣くくらいなら素直に謝って断ればいいのに。ホントなっさけねぇやつだなぁ。
プライドとか無いのかよ?

「今日は佐藤は店じまいだな。
…しまった、このラブレターどうしよ ゴキッ!「ぐふぅっ!」 ……『ヤツは死んだ』って伝えるか」



<おわり>