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~ 発端(杉崎視点) ~

杉崎「な、もう一度言ってみなさいよ!」

みつば「金に物を言わせただけの、センスの無い女って言ったのよ!」

一度ならず二度までも……って私が言わせた様なものだけど。
でも! だけど! だからって酷すぎる! 私は私なりに可愛くて綺麗な服を選んでいるのだ。
素材が良い物や有名ブランド品から選んではいるが、見た目だってちゃんと気にしてるし、着こなしだって悪くないはずだ。

杉崎「あんたのセンスこそどうかしてるわよ! そんな雌豚体系でよくミニが履けるわね! 極めつけは下着よ、し・た・ぎ!」

口が勝手に動いていた。
……でもこの言葉は…本心ではない。

みつば「なっ! す、杉崎ぃ~!」

杉崎「…な、なによ? 全部事実を言ったまでの事じゃない?」

流石に今のは言い過ぎた……そうは思っても引くに引けない。

吉岡「ふ、ふたりとも、いつもすごくお洒落だと思うなぁ」><

杉崎&みつば「「あんたは黙ってなさい!」」
……と言いつつも、正直感謝してる。吉岡に限らず、私達の喧嘩にはストッパーは必要だと思う。
二人だけで喧嘩してたら一日中怒鳴ってばかりで、喉が痛くなること間違いなしだ。

吉岡の台詞はみつばにも届いたみたいで、大きく嘆息して、今までの怒ったトーンの声は出さずに提案してきた。

みつば「それじゃ、今からデパートで私の服のセンスを見せてあげるわ」

杉崎「臨むところよ! 私のコーディネート力に恐れ戦く事ね」

私への挑戦と受け取った私は間髪入れずに受けてたった。
周りから見た時、きっと私とみつばの間には火花が散っているのだろう。

ちなみに今は下校中。
松岡に三女が拉致されたことでいつもの面子より少ない。
と、いっても松岡がいない時なんて珍しくもなく、三女もいない時良くある話だ。
ふたばだってそうだ。私達と違って、佐藤君や千葉君と一緒に帰ることや遊ぶことも多い。

だから今の状況は然程珍しくはないのだが……次の宮下の台詞で珍しい事態となる。

宮下「あ、悪い……今日さ吉岡と明日提出の宿題やろうと思っててさ……」

どうやら宿題が終わってないらしい。私は既に終わってる。
勝負は中止かな? この流れならみつばだって終わって――

みつば「ああ、アレね、昨日ひとはの写したし問題ないわね」

――いた様だけど……ひどい話だ。勝手に鞄とか漁られたに違いない。

みつば「ほら、杉崎、どうせあんたも終わってるんでしょ!? さっさと服見に行くわよ!」

杉崎「わかったわよ」

そういうわけで、さらに面子が少なくなり――
――あれ?

みつばに返事を返して宮下たちと別れ、しばらく歩いてから気が付いた。
これって……もしかして、みつばと二人で行くことになるの?

杉崎「っ!」

もしかしなくても、ここにいるのは私とみつばだけなんだから当たり前のことだ。
……珍しい。みつばといることは然程珍しいことではないけど……二人っきりって状況は今までに数える程しか無かった。

変に緊張してきた……なんでみつば相手に緊張なんて……。
二人っきりって言っても……ただ二人で服を見に行くだけで……二人で服を……二人……。

みつば「杉崎? なによ変な顔して」

いつの間にかみつばの少し後ろを歩いていた私。
それを心配したのか遅くてイライラしたのかわからないが、みつばは声を掛けてきた。
なぜだか二人と言う言葉が頭から外れずにいた私は考えが纏まらずに口を開いた訳だけど……。

杉崎「へ? あ……み、みつばと二人だけって、状況、あんまり無かったなって……思って」

……失敗した。なに正直な感想言ってるのよ!
私が変に意識してるみたいじゃない! ……してるけど。

みつばは、私の台詞から少しの間を置いてから、口を開いた。

みつば「だ、だからなんなのよ! ……さっさといくわよ!」

そう言って、なんでもないように前を向き歩き出す。

意識してるのは私だけ?
……若干さっきのみつばの反応に違和感を感じはしたが、それが何なのか判断できるほど大きな仕草とかはなかった。
っというより、さっきの混乱してた私が気が付ける訳がない。

結果、みつばの真意はどうであれ、私は出来る限り平静を装っていつもの反応を心掛けることにした。




~ 美服(みつば視点) ~

宮下たちと別れてから、杉崎とデパートに向かって歩いていた時だった。
杉崎がいつの間にか隣ではなく、少し遅れた後方にいることに気が付いた。

振り向いて杉崎を見ると何か考え込むような……いや、緊張している時のような、硬い顔をしていた。

みつば「杉崎? なによ変な顔して」

とりあえず聞いてみる。
私には心当たりがない。もしかしたら、なにか大事な用事でも思い出したのかも知れない。
だとすると、この勝負はお預けかな……ちょっと残念だけど仕方がない。

なんて思っていたんだけど。

杉崎「へ? あ……み、みつばと二人だけって、状況、あんまり無かったなって……思って」

……え?

帰った来たのは全然想定外で物で、そして理解するのに少し時間がかかった。

えっと、二人っきり? 誰が? だって私たちは……えっと、私と、杉崎と……あれ?

うん。二人だ。…………ちょ、ちょっと二人だけじゃない!
馬鹿なの私! 今までなぜ気が付いてなかったのよ!

……。
いやいや、冷静になろう。二人っきりだからと言って何も問題はない。
喧嘩を止める面子がいないだけだ。だったら喧嘩がエスカレートしないように注意していればそれも心配する必要はない。

みつば「だ、だからなんなのよ! ……さっさといくわよ!」

私は杉崎から視線を外し、再び前を向いて歩き出す。
……問題なんて無いはずだ。



みつば「さ、さぁ! 着いたわよ!」

杉崎「そ、そうね! 庶民の貴方に私のコーディネイトを見せてあげるわ」

ほら! いつもの会話じゃない!
二人っきりだからて気にすることじゃないわよ!

――と“表面だけ”いつも通りの会話を交わして気にしないようにした。
……なんで杉崎相手にこんな気を使わないといけないのよ……馬鹿馬鹿しい。
そう思ってしまったのがいけなかったのだろう。
ついつい悪態が出てしまう。

みつば「あんたこそ、覚悟してなさい! あなたは今日その庶民に完全なる敗北をして私の下僕に成り下がるんだからね」

杉崎「な! げ、下僕ですって! 庶民風情が生意気よ!」

と、言われても貴方の母親である変態ドMは既に私の下僕になってる訳だけど……まぁ、出来ればアレに下僕になってほしくはなかった。

そんな杉崎を無視して“いい感じな服”を探すことにする。
その様子を見た杉崎も、服を探しにその場から移動したようだ。

それにしても、服のセンス……ねぇ…。
正直そこそこ自信はある。下級生にもお洒落なんていわれたこともあるわけだし。
……けど、杉崎に勝ててるかどうかなんて……悔しいけど庶民の私では、杉崎の着てる服がどれくらいお洒落なのか良くわからない。
きっと、普通の小学生なんてまったく知らないブランド物の服とか選んでるんだろうしね。

すると、私が言えるのは見た目での勝負で勝てるかどうかって話。
杉崎はどういう基準なのかは知らないけど。

と、言うかそもそも誰が勝者を決める?
当事者二人だけじゃ勝負がつかないのは目に見えてるし……。
杉崎「み、みつば! これが今年のトレンドよ!」

服を探し始めて十分と経たないうちに着替えて登場した杉崎は、手を腰に当て、控えめに胸を張ってポーズを取っている。

正直最初に浮かんだ印象は“高そうな服”だけど、まぁ良く見れば杉崎らしいと言うかなんと言うか、可愛い系の服だ。
まず私には似合わない、そういった感じの服。

杉崎「なに? 私に見惚れて声も出ないわけ? だったらこの勝負私の勝ちのようね!」

しばらく何も言わずに眺めていたためか杉崎が調子に乗りだす。

みつば「だ、誰が! 見惚れるわけないわよ! バァーカ!」

ってなに動揺してるのよ! これじゃ図星突かれた見たいじゃない。
誤魔化すために話を進めることにした。

みつば「トレンドとかに影響されないで、自分で納得いく服を選ぶのが本物なのよ!」

杉崎「それは、みつばがトレンドに疎いだけでしょ!」

みつば「っ! 待ってなさい! 今私がセンスの塊であることを証明してあげる!」

そういって私は服選びを再開した。

……そういえば意外にいつも通り、会話出来てる。
気にしすぎだったかな。




~ 緊張(杉崎視点) ~

服を選びに私の前からいなくなったみつば。

杉崎「はぁー」

大きく嘆息して緊張を解く。
よくまぁ、アレだけ饒舌に挑発できたものだ。
……みつば相手にこんなに緊張して馬鹿みたい……。

それにしても、なにやらさっきから視線を感じる。
……いや、女二人で買い物なんて良くあることだ。
きっと、気にしすぎなのだろう。

話の流れで、二人だけのお洒落対決をする展開となったが、正直勝敗を決することはないだろう。
みつばも判っていそうなものだけど……。

ふと、目の前に鏡があることに気が付く。

杉崎「……」

私はみつばが来るまでの間、自分の服を鏡で見て悩む。
大きな口を叩いたが、実際これどうなんだろう?
私はそれなりにお洒落だと思うしトレンドにも沿ってはいるけど……。

……問題はみつばがどう感じたか……なのよね。
しばらく眺めていたから「見惚れてた」とか挑発したけど、本当はどう感じていたのだろう。

再び鏡の前で軽くポーズを取ったりスカートを少し吊り上げたりしてみる。

杉崎「……はぁー」

何やってるんだろ、私。
別にみつばに気に入られたいとか、何か言われたいとかそんなことないはずなのに……。

そうなはずなのに……こんなにも気にしてる。
みつば「杉崎!」

っ!

いきなりの声に心臓吐き出しそうになった。
……絶対、寿命が縮んだわ……。

一息ついて振り向くと自信たっぷりにポーズを決め、ありもしない胸を張ってみつばが立っていた。

みつば「この勝負、私の勝ちよ! トレンドなんかに私は惑わされないのよ!」

みつばは、そう高らかに宣言した。

感想から言って、いつものみつばの強化バージョンと言えばいいのだろうか?
ただし普通のミニスカートではなくデニムスカートになっていたりして、少し大人っぽさもある。
ブランドものではないが、上手く着こなしてるわね……普通に可愛いしお洒落だ。

みつば「……あんたも見惚れてるわけ?」

しまった! つい服を見るのに夢中で……あ、とりあえず写真撮らないと。<ピロリロリーン♪>

みつば「っていきなり写真撮るってなんなのよ!」

いや、だってみつばが新しい服を着てるんだがら撮るのは当たり前だ。
と、思いつつみつばを無視して話を進める。

杉崎「ま、まぁまぁね。でも私達だけじゃ勝敗決めれないし買って帰って、明日学校で決めましょう」

みつば「え……」

? なんだか不服……というより「それは無理」みたいな反応。

杉崎「……さては、自信ないのね?」

違うと思うがとりあえず挑発ついでに言っておく。

みつば「え、いや……無いのはお金なんだけど」

……ああ、そりゃそうよね。
私も手持ち無かった。

杉ママ「あら? 二人とも可愛い格好してるのね」

杉崎&みつば「「っ!」」

なんてタイミングのよさ! ママはやっぱり凄いわ!

杉ママ「みつば様もいつにもましてお洒落ね。買い物? ……鞭や蝋燭は……そうよね、なくても大丈夫だったのよね」

ママ……お願いだから、みつばの前では喋らないでください。

とりあえず、くだらない話に割り込むように事情を話すことにした。


――

杉ママ「なるほどね、どっちがお洒落か勝負してたのね。二人とも可愛くて私じゃ判断できないし……良いわよ二人とも買ってあげるわ」

みつば「さすが、変態財布ドM女!」

杉ママ「~~っ! もっと罵倒していいのよぉ!」

みつばもママに話しかけないであげて……。

みつば「……」

みつばは喜んでいるものの若干複雑な顔をしているのが目にとまった。
理由は何となく判った。ママは残念ならが悶えていたので放って置いて、私はみつばに問いかけた。

杉崎「何? あんたらしくもない。買って貰える事気にしてるの? まったく口だけよねぇ」

そう、それにみつばのパパだって、気を使ってしまうだろう。

みつば「! ち、違――」
杉崎「(出世払いよみつば! これは貸したんだからね。あんたのパパにもそう言っておいたらどう?)」

みつば「え、あ……」

杉崎「……って言ってもみつばは出世魚のように脂が乗るだけでしょうね」

そう言って私はみつばから距離を取る

みつば「な! あんたねぇ~! 待ちなさい!」

杉ママ「あらあら、仲いいのね二人とも」

杉崎&みつば「「よくないわよ!」」

杉ママ「ふふふ」




~ 視線(ひとは視点) ~

松岡「なになに? やっぱりあの二人に悪霊が憑いてるのね♪」

そう言って上機嫌に私の後ろから肩を持ち、そして私の視線の先……みっちゃんと杉ちゃんを見る松岡さん。

ひとは「そうだよ、危険な霊だと思うから絶対に二人に気付かれちゃダメだから」

そういって、突入しそうな松岡さんを宥める。

当たり前なことだけど別に霊が憑いてるわけじゃない。
松岡さんの突入を止めているのは、もしみっちゃん達と合流してしまえば私達が隠れて付いて来てたことがバレてしまうから。
杉ちゃんじゃあるまいし、こんな事すべきじゃないと思ったが、デパートに“二人だけ”で向かうみっちゃん達を見て、
そして、偶然にも松岡さんが「二人だけで? 妙ね……は! もしかして霊の仕業!」とか言い出すものだから私も
「そうかも知れないね……後を付けよう」なんて口走ったせいだ。

それにしても……なんとかさん達と一緒に帰ってたと思ったのに、いつの間に二人に?
なんとかさん達には帰ってもらって、二人で買い物なんて…………ど、どっちから誘ったんだろう?

う~ん、遠くて会話が聞こえない。杉ちゃんが試着した服をみっちゃんの前で自慢してるのはわかるんだけど……。

みつば「~! ~~~~~~! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」

えっと、何叫んで――ってこっち来た!

ひとは「松岡さん! こっち!」

そういって松岡さんの手を引いて隠れる。

松岡「あ、ちょ、三女さん!?」

ひとは「(いいから静かにして)」

松岡さんに小声で話す。
それと同時にみっちゃんが先ほどまで私達が居た場所あたりに移動した。
……危なかった。雌豚の癖に急に走ってくるから驚いたよ!
みつば「――ったく、誰が見惚れたりなんか……まぁ、でも可愛い服が似合うってのは羨ましいわね……」

なるほど……試着して自慢大会か何かしてるのだろう。服を探してるところを見るに、今度はみっちゃんのターンと言うわけか。

服選びなんて見てて面白くなさそうなので、みっちゃんが可愛いと評した、杉ちゃんの服をもう一度見に行こう。
少し移動して杉ちゃんが見える位置から監視をする。

松岡「(さ、三女さん? もう手、離してもいいんじゃないかな……)」

ひとは「(あ……、ごめん)」

そのまま手を握ったままだった。……失敗した、恥ずかしい。

若干気まずい空気になったが、松岡さんは場の空気を変えるためなのか、すぐに言葉を発した。

松岡「(……なるほどね、みっちゃんが言ってた服、確かに可愛いし杉ちゃんに似合ってるね……)」

私もそう思う。みっちゃんに言わせたことだけはある。
みっちゃんもたまにはあんな格好したらいいのに。

でも、やっぱり二人だけでこんなことしてるなんて、……デ、デートしてるみたいな感じだ。
本人達に自覚があるのかどうかは、知らない……いや、杉ちゃんはなんだかありそうだ……。

そう思ったのは、杉ちゃんが鏡の前で先ほどみっちゃんに自慢してた服を不安そうに何度も見直していたからだ。
……周りからみるとポーズを一人で取ったりしてちょっと滑稽だけど口にはしないで置こう。

松岡「杉ちゃん……あんなに気にして可笑しいよね」

口にしないでおこうよ! 松岡さん。

みつば「んー、これでいいわね」

! 後ろから声! 不味い! ここ更衣室前だ!
そして近くに隠れるところ――更衣室しかない!

松岡さんを押して二人で二つあるうち一つの更衣室に飛び込む。

間一髪! 危ないところだった。杉ちゃんに気を取られすぎた。

状況を飲み込めていない松岡さんの口を押さえて喋らない様に……ってなんで私松岡さん押し倒してるの!

布擦れの音が隣の更衣室から聞こえる。
私は松岡さんが暴れないようにアイコンタクトで会話を試みる。
すると、状況を理解できたようで頷いて返してきた。

その後、しばらくするとみっちゃんは出て行った。

二人して息を殺して、どうにかその場をやり過ごすことに成功。

ひとは「ま、松岡さん、その……ごめん」

松岡「え、あ、……さっきのはしょうがないと思う。うん」

オカルトモード解除の随分しおらしい松岡さん……いつもこんな感じでいて欲しい。
気まずいので更衣室のカーテンを少し開けて、再び二人の監視をする。

うーん、やっぱり遠くて会話までは聞き取れない。
さっきとは違いみっちゃんが杉ちゃんに服の自慢をしてるだけだとは思うけど。

松岡「……えっと、三女さん……帰らない?」

ひとは「え?」

突然、松岡さんが問いかける。

松岡「二人とも普通に買い物っぽいし、なんかストーカーみたいで悪いよ」

ス、ストーカー!?
……薄々気が付いてたけど実際言われることになるとは……。

そして、さっきまでオカルトモードだった松岡さんが、急に普通に戻ったことになんだか腹が立ってきた。

ひとは「ま、松岡さんも共犯だよね?」

松岡さんの方には向かずに言う。

松岡「わ、私も!?」

何を今更、当たり前だ。
さて、口止めしておかないとね。

ひとは「共犯者としてこのことは他言無用ということで……」

松岡「……二人だけの秘密って…ことね?」

ひとは「そう、二人だけの……」

……なんだか言い方が引っかかるが気にしないでおこう。

仕方がない、ストーカーみたいと言われてまで付いて回るのも嫌だし……帰ろう。

更衣室から出て、見つからないようにデパートを後にする……はずだった。