ーふたばー
「時代は今チ●チ●なんだよしんちゃん!!」
小生がそう言ったら、しんちゃんはコーラの入ったコップを口にあてたまま、中身をダバダバとこぼしてた。
「?コーラこぼれてるよ?」
「お前が変なこと言うからだろっ!たくっ!」
口をTシャツでふいて、しんちゃんは立ち上がる。
ぞうきんでも取りに行くのかな、と思った小生はいってらっしゃい、って言って、たいくつしのぎにノートに絵でも描くことにした。
さて、なにを描こう……。おっぱい……は、いつも描いてるし。たまには、ふつうに描こうかな……いや、でも……そういえばさっき、しんちゃんにチ●チ●と言ったら、コーラをこぼしてあきらかに動ようしてたっス……。
……もしかしたら、しんちゃんは、チ●チ●にきょう味があるかもしれない。
「よーしっ!」
小生は腕まくりをして気合いをいれた。それから、ひとはのエロ本でみたモノとパパのをお手本に、チ●チ●を描いていった。

ー佐藤ー
(まったく、ふたばは。ロクなこと考えない……)
まさか、いきなりチ●チ●とは。前から突拍子の無い奴だったが、人ん家に来て、いきなりチ●チ●はないだろう……。
雑巾を手に持ち、自分の部屋に行くための階段を上っていく。
大体、おっぱいはどうしたんだ。ふたばは昔からおっぱいが好きなはずだ。
……いや、おっぱい好きなのもそれはそれでダメなんだけど。
……とにかく、一度注意してみるか。
これ以上、幼なじみが変態にならないためにも。
そう強く決意し、部屋のドアを開けた。
そこでは、ふたばが一所懸命に絵を描いている。
いやな予感がした。しかもこういう時は大体当たる。
「ふ、ふたば……?」
恐る恐るのぞき込むと、予想通り、ふたばはチ●チ●を描いていた。それも、超リアルな。
無駄に上手い絵で描かれた立派なチ●チ●だった。
「な、なに描いてんだふたば!!」
慌ててそのノートを取り上げる。
ふたばは、あぁん、と言って悲しそうな顔をした。
「しんちゃんに見せようと思って……」
「ブッ…!間に合ってるよ!!」
返事をしながらノートを机の上に置いた。
「あとから見るの?」
ふたばが目を輝かせて言ったので、やっぱりゴミ箱の中に入れた。
「あー、もったいない……」
「……絵がか?」
「いや、ノートの方ですが」
俺は半分ヤケになって、ゴミ箱のノートから絵の描いたページだけをやぶって、絵だけを捨てた。
「ところで、しんちゃん」
「なんだよ……」
今までのことはもう忘れてしまったかのように、ふたばは俺に話しかけてくる。
「小生、チ●チ●にげんかいを感じてるんスよ」
真面目に言っているふたばになんて言ったらいいのかもうわからなかった。
「……そうか」
「そうだよ!チ●チ●はいつの時代もはれんちなモノとしてあつかわれ続けて、外に出せばモザイクによってかくされ、言葉にすれば効果音によってかくされ……」
「テレビで観たのか……?」
ふたばはいつになく真面目に語っていたが、正直どうでもいい……。
「そこで!小生は考えたんス!チ●チ●のかくされてる部分にちがう言葉をハメこめばいいと!!」
「……そうか」
「というわけで、しんちゃんはなにがいいと思う?」
ヌッと、ふたばはいきなり顔を近づけてきた。
女の子特有の良い香りの中に、ほのかな汗の匂いが漂ってくる。
そして、顔を近づけたせいで、俺の角度からふたばのおっぱいが丸見えだった。
「?しんちゃん?どうしたの?つむじまでまっ赤だよ?」
バッ!
慌てて、てっぺんにあるつむじをかくした。
「な、なんでもねーよ!それより、ちょ、ちょっと離れろふたば!」
「?なんでっスか?」
「なんででもッッ!!」
しぶしぶとふたばは元居た場所に座った。
「はぁ……」
俺はため息をつく。
今まで、意識したことが全くないわけではないが、改めてふたばも女子なんだなぁ、と思った。

「それで、しんちゃん!」
「うわっ、びっくりした!」
考え事をしてたせいで、必要以上にビックリしてしまう。
だが、ふたばはお構いなしに続けた。
「しんちゃんは何をハメこめばいいと思う?」
一瞬何のことかわからなかったが、すぐに思い出す。
(…………あぁ、さっきの話か。つーか、まだ続いてるんだな……)
「そんなの普通に……チ、チ●チ●で、よくないか?」
「ダメっス!『ン』を入れるだけで消されてしまうなんて、チ●チ●がかわいそうっス!」
めんどくさい奴だな……。俺は再び考えた。
「……じゃあ、『フ』は?」
「『チフチフ』っスか。うーん。かわいいけど……なんか、違う……」
「じゃあ、『ム』でどうだ?」
「『チムチム』……?うーん。少し近づいて……っていうか、しんちゃんよく思いつくっスね?」
「う、うるさいよ!お前も何か考えろ!!」
恥ずかしさのあまり、思わず強い口調で言ってしまう。
「小生は……。うーん。じゃあ『チヌチヌ』で」
「……お前のも似たようなもんじゃないか?」
「ち、ちがうっス!似てるようで、似てないっス!インスピレーションのオマージュっス!」
それはつまり、認めてるってことだよなふたば……。

その後も、しばらく二人でしっくりくる組み合わせを探していき、気がつけば、ほぼすべてのひらがなを当てはめていた。


「……で、何か気に入ったのはあったか?」
げっそりとしながら、ふたばに聞いた。
うーん。と腕を組んで悩んでいる。
ふたばのてっぺんに結わえてあるちょんまげが軽く揺れた。
……ふと思った。
(……コイツもこんなしょうもないことで悩んでないで、髪型とか、服装とか、もっと違うところで悩んだらいいのに……)
そう思いながら無意識に右手をそのちょんまげへと伸ばす。
(それに、可愛い格好でもすればそれなりに…………)
「じゃあ……」
その時、ふたばがゆっくりと顔を上げて言った。
「お、き、決まったか……」
慌てて伸ばした右手を引っ込める。
(あ、危なかった……。てゆーか、俺は何をしようと……)
心臓の鼓動が若干早くなっていたので、軽く息をはいて落ちつかせる。
何はともあれ、やっと終わる……。
俺はホッとしながら、これが終わったらサッカーでもしに行くかな、と別のことを考えていた。

「えとね……、あんまりいいの無かったから、やっぱり『チ●チ●』で」
……ふたばは言った。
「結局それかよ!!」
思わずツッコんだ。
「え?ダメっスか?じゃあ…………やっぱり『チヌチヌ』で」
「…………」
(人に考えさせといて結局それかよっ!!)
というツッコミはもう胸の中にソッとしまっておいた。
これでいい。これでいいんだ。うん。
「……えーと、決まってよかったな?」
ふたばに話しかけると、ふたばはうん!と勢いよくうなづいた。
「ありがとう、しんちゃん!」
…………バカらしい。
俺はサッカーボールを取りに行こうと思い、部屋のドアに向かおうとした。
「じゃあ、早速しんちゃんのチヌチヌ見せて!」
…………。
驚いてふたばを振り返る。
……その目は結構本気の目だった。
逃げよう。直感的に俺はそう思ったが、シャツの襟をふたばに掴まれる。
「じゃあ、手っ取り早くお風呂に入るっス~♪」
ズルズルズル……、とそのまま引っ張られる。
「いや、ちょ、風呂はさすがに……!」
必死に叫ぶが、俺の声など、ふたばの耳にはもはや届いていなかった。

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最終更新:2011年02月25日 20:55