河童

河童(かっぱ)は、日本の妖怪・伝説上の動物、または未確認動物。標準和名の「かっぱ」は、「かわ(川)」に「わらは(童)」の変化形「わっぱ」が複合した「かわわっぱ」が変化したもの。河太郎(かわたろう)とも言う。ほぼ日本全国で伝承され、その呼び名や形状も各地方によって異なる。類縁にセコなどがいる。水神、またはその依り代、またはその仮の姿ともいう。鬼、天狗と並んで日本の妖怪の中で最も有名なものの一つとされる[1][2]。具体例としては各地に残る河童神社、河童塚(鯨塚、道具塚と同じ)がある。


目次
1 外見
1.1 亀人形態
1.2 類人猿形態
2 行動
3 起源
4 各地の伝承
4.1 九州の河童伝説
4.1.1 豊前
4.1.2 筑後
4.2 牛久沼と小川芋銭
4.3 神奈川県
4.4 広島県
4.5 長野県
5 実在性・正体
5.1 河童のミイラ
5.2 未確認動物としての河童
5.3 正体についての仮説
6 河童にまつわる交流活動など
6.1 河童連邦共和国
6.2 カッパ捕獲許可証
7 河童にまつわる施設・地名
7.1 展示施設・建築物
7.2 寺社
7.3 地名
8 河童にまつわる言葉
9 河童を題材とした作品等
9.1 文学
9.2 説話集
9.3 漫画
9.4 テレビ番組
9.5 映画
9.6 舞台
9.7 美術
9.8 CM
9.9 キャラクター
9.10 音楽
9.11 ゲーム
9.12 商品
9.13 人物
9.14 その他
10 脚注
11 参考文献
12 関連項目
13 外部リンク
外見

妖怪画で知られる鳥山石燕による河童
体格は子供のようで、全身は緑色または赤色。頭頂部に皿があることが多い。皿は円形の平滑な無毛部で、いつも水で濡れており、皿が乾いたり割れたりすると力を失う、または死ぬとされる。口は短い嘴で、背中には亀のような甲羅が、手足には水掻きがあるとする場合が多く、肛門が3つあるとも言われる。体臭は生臭く、姿は猿やカワウソのようと表現されることもある。

両腕は体内で繋がっており、片方の腕を引っ張るともう片方の腕が縮み、そのまま抜けてしまうこともあるとされ、これは、中国のサル妖怪で、同様に両腕が体内で繋がっていると言われる「通臂猿猴」の特徴と共通している。

18世紀以前の本草学・博物学書上における河童のイメージは両生類的ではなかった[3]。例えば、文安元年(1444年)に成立した『下学集』には「獺(カワウソ)老いて河童(カワロウ)に成る」とある。また、『日葡辞書』の「カワラゥ」の項では、川に棲む猿に似た獣の一種と説明されている。18世紀半ばに、山がなく猿に馴染みのない江戸の人びとに受容しやすい、カエルやスッポンに似せた両生類的な江戸型の河童のモデルが生まれ、19世紀には出版物を通じて全国に伝播し、置き換えられていった[4]と考えられている。

亀人形態
体はウロコで覆われ、嘴があり、頭には皿を乗せている。頭の皿が割れると死ぬ、または力を失い衰弱する。背中に甲羅があり手足に水掻きがある。絵画では、親指がない、爬虫類状の手をした姿で描かれることが多い。亀のように四本足で歩く絵も見受けられる。

絵の題材にされることは多いが、キュウリが好物という以外には、具体的に何をしたという特徴もない。一般的な河童の想像図に近い反面、目撃談は意外に少ない。

類人猿形態
全身が毛に覆われている。口には牙があり、鼻の造形がはっきりしない。頭部にはくぼみがあり、そこに常に水を溜めている。頭部の水が乾くと死ぬ、または衰弱する。手には親指があり、足にはかかとがある。相撲が得意でよく人間の子供と遊ぶ。

存在する河童絵の3割程度は猿型だが、中には背中の甲羅が書かれていないものもある。

北海道のミントゥチがアイヌの古い伝承しかないのに対し、九州本土や五島列島、沖縄などでは近世・近代の目撃が非常に多い。

昭和以降の目撃談にある「遠目には人間に見えた」とする印象に近く、甲羅を紐で結んでいる絵も多く見受けられるので、甲羅様の道具を蓑のように使っている人間であるとも考えられている。ごくまれに、甲羅でなく蓑のようなものに背中を覆われている絵もある。

九州では人間の歌や落石、倒木、ダイナマイトの爆破音を真似するという伝承がある。河童が人間を真似た歌は、節は奇麗だが言葉は不明であったとされている。

行動

葛飾北斎による河童
川や沼の中に住む。ただし例外に地行浜(現在、福岡ドームが建っている辺り)の酒飲み河童は、海に住む。泳ぎが得意。

河童にまつわる民話や伝承には、「悪戯好きだがひどい悪さはしない」とか「土木工事を手伝った[5]」とか、「河童を助けた人間に魚を贈った」「薬の製法を教えた」といった友好、義理堅さを伝えるものも多く伝わる。一方で、水辺を通りかかったり泳いだりしている人を水中に引き込み、おぼれさせたり、「尻子玉」(しりこだま。尻小玉とも書く)を抜いて殺したりするといった悪事を働く描写も多い。

尻子玉とは人間の肛門内にあると想像された架空の臓器で[6]、河童は、抜いた尻子玉を食べたり、竜王に税金として納めたりするという。ラムネ瓶に栓をするビー玉のようなものともされ[7]、尻子玉を抜かれた人は「ふぬけ」になると言われている。「河童が尻小玉を抜く」という伝承は、溺死者の肛門括約筋が弛緩した様子が、あたかも尻から何かを抜かれたように見えたことに由来するとの説もある。人間の肝が好物ともいうが、これも前述と同様に、溺死者の姿が、内臓を抜き去ったかのように見えたことに由来するといわれる[8]。

相撲が大好きで、よく子供を相撲に誘い、相撲に負けた子供の尻子玉を抜くという伝承もある。河童は人間の大人よりも力が強いが、「仏前に供えた飯を食べた後に闘えば子供でも負けない」と言われている。また相撲をとる前にお辞儀をすると河童もお辞儀を返し、それにより頭の皿の水がこぼれてしまうため、力が出せなくなるともいう。河童が相撲を好むのは、相撲が元々、水神に奉げる行事だったためとも言われる[9]。

好物はキュウリ、魚、果物。これにちなみ、キュウリを巻いた寿司のことを「カッパ巻き」と呼ぶ。キュウリを好むのは、河童が水神の零落した姿であり、キュウリは初なりの野菜として水神信仰の供え物に欠かせなかったことに由来するといわれる[10]。

鉄、鹿の角、猿を嫌う。河童は水に12時間潜っていられるが、猿は24時間潜れたので闘うと猿に負けるという民話もある。シダの葉で頭をなでると人間に化けることができるとされる。

起源

歌川国芳画、多嘉木虎之助。田村川で川虎(河童)を生け捕る図
河童の由来は大まかに西日本と東日本に分けられ、西日本では河伯信仰に連なる大陸からの渡来とされるが、東日本では安倍晴明の式神、役小角の護法童子、飛騨の匠(左甚五郎とも)が仕事を手伝わせるために作った人形が変じたものとされる。両腕が体内で繋がっている(腕を抜くと反対側の腕も抜けたという話がある)のは人形であったからともされる。大陸渡来の河童は猿猴と呼ばれ、その性質も中国の猴(中国ではニホンザルなど在来種より大きな猿を猴と表記する)に類似する。

河神[11]が秋に山神となるように、河童も一部地域では冬になると山童(やまわろ)になると言われる。大分県では、秋に河童が山に入ってセコとなり、和歌山県では、ケシャンボになる。いずれも山童、即ち山の神の使いである。また、河童は龍などと同じ水神ともいわれる。山の精霊とも言われる座敷童子などと同様に、河童も一部の子供にしか見えなかったという談がある。

河童は、間引きされた子供の遺体が河原にさらされている姿との説もある。江戸時代には間引きは頻繁に行われており、他の子供に間引きを悟られないよう大人が作った嘘とも言われている。

頭の皿について、民俗学者の折口信夫は『河童の話』[12]の中で、皿などは食物を載せるための物で、つまりは生命力の象徴であるとしている。膳椀何人前と書いた紙を塚や洞、淵などに投げ込んでおくと、翌日には要望どおりに食器が揃えてあるが、借りた数を返さなかった日から貸してくれなくなった、というような、「椀貸し淵」などの呼び名で知られる伝承では、伝わる地域によって貸し主がはっきりしない例や変化している例が多く、狐や龍宮と並んで、河童が器を貸してくれるとする所もある。川上から箸や椀が流れてきたという隠れ里にまつわる話や、それに関する迷い家(マヨヒガ)のケセネギツ(米櫃)[13]、淵に薪などを投げ込むと恩返しで富貴になる話などは、椀などの器が生命力から富の象徴になったこと、椀と水の縁を示すものとされる[誰?]。

また折口は、壱岐の殿川屋敷で女が井戸に飛び込み、底に椀が沈んでいるという話も紹介した。これについては、古くから水の神に捧げる嫁あるいは生け贄や、水に関わる土木工事での女の人柱が多く伝承されていることを挙げ、平戸に伝わる女河童の例で、ある侍屋敷に下女がいて皿を一枚落として割ったので主人が刀で斬りつけると海に逃げ、その姿を見れば河童であったという話を引いている。

『西遊記』に登場する沙悟浄は、日本ではしばしば河童に似た姿で描かれる。これは日本独自の翻案であり、原典においてはそのような設定はない。詳細は沙悟浄#日本の沙悟浄を参照。

また江戸時代にはカッパに関する専門書も発行されていた。古賀侗庵が1820年(文政3年)にまとめた資料集『水虎考略』や、『水虎十二品之図』坂本浩然・坂本純沢編(刊年不明)などが知られている[14]。

現在の河童
昭和以降の日本でも、河童らしきもの目撃談[15]や足跡が見つかった事件 [16]があり、実話怪談集やオカルト本に収録されることがある。ツチノコなどと並んで日本を代表する未確認生物として扱われる事もある。

また、妖怪的な存在としては珍しく、愛くるしい姿で描かれることが多い。水辺に住んでいると伝えられるためか、河川や湖沼の水質汚染防止及び環境保護のマスコットキャラクターにされることが多い。

未確認生物ではあるが、動物の集団の仲間に入れられることもある(十二支の竜と同様)。

各地の伝承
九州の河童伝説
九州には九千坊と呼ばれる河童の元締めにまつわる伝説がある[17]。九千坊は九千匹の子分を持ち、球磨川・筑後川を本拠として西海道一円の河童を束ねているという。九千坊の悪さに怒った加藤清正が、九州中のサルを集めて退治したという伝説もある[18]。
壇ノ浦の戦いに敗れた平家の武士たちは散り散りになって九州に逃れた後、源氏の追っ手に次々と打たれ死んでいったのだが、その打ち滅ぼされた平家の落人の霊魂は河童となり、九州各地で田畑を荒らし、人民牛馬を川に引きずり込むなどの悪戯を働いたとされる。
豊前
大分県の中津市耶馬溪町に鎮座する雲八幡宮では、古くから「河童楽」という河童封じの神事(通称:河童まつり)が行われている。それは河童を中央に囲み、楽を奏し、唐団扇(とううちわ)と言われる大きな団扇で仰ぐことにより荒ぶる河童の霊魂を鎮めるというもので、その後は河童の神通力によって村の平和は守られたと言い伝えられている。筑後国に伝授されたものと河童楽由来記は伝えるがいつ頃から始まったのか定かでなく、筑後にもその伝承が残っていない。現在、大分県無形民俗文化財として指定されており、少なくとも江戸中期ごろかそれ以前より毎年夏の例大祭に奉納されている。

筑後
福岡県の筑後川付近には「河童と地元民とのもめごと」や「河童族同士の戦争」の伝説や「河童にちなんだ地名」など比較的年代が明確ではっきりした記録が数多く残っている。

「水に入る前にはタケノコを食べる」「水に入る前には仏前飯を食べる」「水に入る前には水天宮の申し子だと唱える」といった河童除けの風習は久留米市の水天宮付近が起源とされる。毎年8月には、水の祭典という祭りが行われる。これは、元々河童をあがめるために始まった祭りである。

うきは市吉井町(旧吉井町)から久留米市(旧田主丸町)にかけて流れる巨瀬川流域には河童がいたと言い伝えられている。巨瀬川の脇にある高橋神社においては、昔から毎年9月には“かっぱ相撲”が行われ、昔は大人の草相撲であったが、最近は近隣の幼稚園児から小中学生による相撲で、背中にかっぱの甲羅を描き相撲を取る。

牛久沼と小川芋銭
茨城県の牛久沼には、「悪さをする河童を捕まえ松の木にくくりつけたが、改心したので逃がしてやると、河童が草刈りをしてくれた」、「河童の手を拾って河童に返したところ、河童が万能の膏薬の作り方を教えてくれた」など、河童にまつわる伝説が多く残っている。

生涯のほとんどを牛久沼のほとりで暮らした日本画家の小川芋銭は、河童を好み多数の河童の絵を残したことから「河童の芋銭」として知られている。晩年には画集『河童百図(1938年)』を出版している。

また、地域により細部の違いがあるが、愛媛県西予市の若宮神社や岐阜県飛騨地方でも、「悪さをした河童を許したり河童の腕や手を拾って返したりしたら、人助けしてくれた」といった河童の恩返し伝説が伝わる。

神奈川県
神奈川県の茅ヶ崎市には、河童を助けた五郎兵衛に、お礼に徳利を持ってきたという伝説があり、その徳利も静岡県で子孫が保有している。(河童徳利伝説)

また他にも目久尻川では、古くからの言い伝えとして「川沿いの畑を荒していた河童を捕らえた農民たちが、怒りのあまり目玉をくり抜いてその血とともに川に流した」とされている。(名前の由来にもなっている) 実際、川沿いのとある場所には河童の像が設置してあり、地域住民によって祀られている。

広島県
広島市の猿猴川(えんこうがわ)には、その名前の由来となっている「猿猴(えんこう)」という生物の伝承がある。この猿猴は、伝承での形容から河童の一種であると考えられている。詳しくは「猿猴」の項を参照のこと。

長野県
千曲川の河童を佐久の今岡地区の人が捕まえ、臼に縛って魚を食べさせ飼っていた。ある夜、河童が夢枕に立って「屋敷にゴボウの種を絶やさないようにするから助けてくれ」と頼むので放してやった。それから後は屋敷にゴボウが絶えないという[19]。
北佐久郡立科町と長和町には河太郎という名の河童にまつわる伝説がある(女神湖、夜の池を参照)。
実在性・正体
河童のミイラ
現在に伝わる河童のミイラや河童の骨などと呼ばれるものは、多くは江戸時代のミイラ造形師が他の動物の一部を組み合わせて作った物である。好んで用いられたのはエイと猿で、このほかフクロウの頭部を使ったものもある。また河童の手首のミイラと呼ばれるもののほとんどはニホンカワウソのものである。

福岡県の北野天満宮には「河伯(かはく)の手」と呼ばれる河童の手のミイラがあり、901年に菅原道真が筑後川で暗殺されそうになった際、河童の大将が彼を救おうとして手を切り落とされた、もしくは道真の馬を川へ引きずり込もうとした河童の手を道真が切り落としたものとされる[20][21]。

また、佐賀県伊万里市山代町の松浦一酒造には河童全身のミイラが祀られており、地元では「河童の酒蔵」として有名である。[22]

未確認動物としての河童
古典的な目撃談や河童伝承のもとになる、なんらかの未確認動物が実在したのではないかという主張もある。この視点における河童は、人間や猿に似た哺乳類様の生物、両生類や爬虫類型の巨大な蛙のような生物と想定されており、どの種類も背丈は30センチメートルから150センチメートル程度であり、成人した人間を超えることはない。

昭和頃の目撃例による爬虫類型の河童には皿や甲羅がない例が多く、宇宙人の典型的外形となったグレイと似る。このため、目撃者がグレイと誤認したのではないかとする例が『新耳袋』に掲載されている。アメリカ合衆国で目撃されたドーバーデーモンや蛙男、チュパカブラ、またアクア説の渚原人との類似が主張されることもある。

人間の尻小玉を抜いたり、牛馬を狂わせたりするといった行動については、未確認生物としての河童にはあまり結び付けられていない。茨城県牛久市では河童の目撃情報があり、警察が駆けつけると水銀を含んだ河童の足跡のような痕跡が残っていたとされる。

正体についての仮説
河童の正体は、水死体や、その人を水死させたものの想像であると推定されることが多い。水死体は、皮膚は緑色をしており、(川底との摩耗のために)頭髪がすり減っており、肛門が拡大していることもある。これらの点は「体色が緑」「頭部がハゲ(皿がある)」「尻子玉を抜かれた」といった河童の特徴に合致する。水死体は体がガスで膨張していることもあり、これが河童の甲羅に見誤られた可能性もある。また、スッポンの姿に似ていることから、スッポンを見間違えた可能性も指摘されている。

また、水死体が浮かぶような川や湖沼・池は、特に子供には水難事故の危険が高いため、「そこでは河童が出るので近づくな」と子供たちに警告するために、河童という妖怪が伝承され続けてきた、という推定もある。

河童にまつわる交流活動など
河童連邦共和国
日本国内と台湾の河童愛好家や、河童伝説が残る地域の自治体で組織し、「かっぱサミット」などを行っている[23]。

カッパ捕獲許可証
岩手県遠野市観光協会ではカッパの捕獲を許可する「カッパ捕獲許可証」を発行している。5年以上の更新をすれば「ゴールド許可証」になり市内の施設で買い物の際に提示すると5%割引になる[24][25][26][27]。

河童にまつわる施設・地名
展示施設・建築物
大内かっぱハウス(千葉県銚子市) - 元銚子市長・大内恭平の個人コレクションなどを土日祝日に公開[28]。
おもしろかっぱ館 - 長野県駒ケ根市天竜かっぱ広場[29]。
JR九州田主丸駅駅舎(久大本線・福岡県久留米市)
河童橋(長野県松本市) - 芥川龍之介の「河童」に登場。
領家かっぱ橋(埼玉県上尾市) - 上尾道路に架かる歩道橋。設置場所である領家地区の河童伝説に因む[30]。
河伯洞(福岡県北九州市若松区) - 河童を題材に好んだ小説家火野葦平の旧宅・記念館。
寺社
曹源寺(東京都台東区)- 「かっぱ寺」として知られる。河童大明神が祭られるほか、河童の池、合羽川太郎の墓と伝わる石碑などがある。
雲八幡宮の「あ・うんの河童」(大分県中津市) - 狛犬ならぬ狛河童。
地名
カッパ淵(岩手県遠野市) - 河童伝承がある。上記の「捕獲許可証」も参照。
合羽橋(東京都台東区)- 由来には諸説あるが、河童をマスコットとする。
合羽坂(東京都新宿区)- 付近にあった蓮池のカワウソを河童と思い違えたことに由来するとされる。
河童にまつわる言葉
河童の川流れ
河童は泳ぎが得意であることから、物事に長けている人でも失敗することがあるという意。
河童の木登り
苦手なこと、不得意なことをする例え。
屁の河童
河童はいつも水の中にいるため、屁をしてもあまり勢いがないことから、「取るに足りないこと」を「河童の屁」と呼ぶようになり、後に語順が現在の様に変わった(「木っ端の火」から来たという説もある)。
陸(おか)へ上がった河童
「河童は水中では能力を十分発揮できるが、陸に上がると力がなくなる」とされるところから、力のある者が環境が一変するとまったく無力になってしまうことのたとえ。
カッパ巻き
河童がキュウリを好むことから巻き寿司のキュウリ巻きをカッパ巻きと呼ぶ。
河童忌
小説家芥川龍之介の忌日7月24日。死の直前の代表作『河童』にちなむ。
河童の妙薬
河童が製法を教えたと伝承されている由来を持つ民間薬・家伝薬のこと。
雨具の合羽(かっぱ)はポルトガル語の capa(カパ)に由来し河童とは無関係である。ただし河童を合羽と書くことはある[31]。

河童を題材とした作品等

鳥取県境港市・水木しげるロードに設置されている「河童」のブロンズ像。
文学
芥川龍之介『河童』(1927)
草野心平「河童と蛙」(1938) - 詩。
火野葦平「石と釘」(1940) 他 - 短編集『河童曼陀羅』(1957) にまとめられた。
南條範夫「水妖記」(1953) - 短編集『燈台鬼』収録。
今日泊亜蘭「河太郎帰化」(1958) - 短編集『まぼろし綺譚』収録。
説話集
柳田國男『遠野物語』(1910)『遠野物語拾遺』(1935) - 55-59(遠野物語)、178(拾遺)
漫画
清水崑『かっぱ天国』(1953–) - 「黄桜」CMのキャラクター原案。
水木しげる『河童の三平』(1961–)
吉田戦車『伝染るんです。』(1989–) - かっぱ君
花輪和一『天水』(1992–)
石川優吾『カッパの飼い方』(2003–)
つの丸『岸辺のサブロー』(2004–)
御童カズヒコ『ま、いっか~カッパ君 それなりの日常~』(2006–)
鈴菌カリオ『Sillyなコダマ!!』(2008–)
唐沢なをき『唐沢なをきの幻獣事典』
テレビ番組
『ママとあそぼうピンポンパン』マスコットキャラクターの「カータン」
『ウルトラセブン』41話「水中からの挑戦」(1968) - 水棲怪人テペト星人、カッパ怪獣テペト
『河童の三平 妖怪大作戦』(東映、1968–1969) - 『河童の三平』の特撮ドラマ化。
『ウルトラマンA』19話「河童屋敷の謎」(1972) - 河童超獣キングカッパー
「キカイダー01」(1973) - 地獄河童 / 水爆河童
『まんが日本昔ばなし』「河童のくれた妙薬」(1976)「河童の雨乞い」(1976)「かっぱの淵」(1977)「馬の毛をぬくカッパ」(1978)「砂子多の河童」(1978)「かっぱとひょうたん」(1980)「媛女渕の河童」(1981)「ねねこ河童」(1982)「かっぱ地蔵」(1984) 「釣川の長太郎河童」(1986)「カッパのわび状」(1988)「かっぱのかめ」(1989)「禅師河童」(1989)「酒を買いに来た河童」(1991)「市右衛門と河童」(1991)「かっぱにもらった宝物」(1992)「カワランベー」(1993)「尻ぬき河童」(1994)
『タイムボカン』(1976)メカカッパ
『魔法の妖精ペルシャ』(1984-1985)ゲラゲラ、プリプリ、メソメソ
『電波少年に毛が生えた 最後の聖戦』 (2002–2003) - 岩手県で河童に扮装した芸人が人知れずに生活する企画を行い、岩手県内やスポーツ紙などで騒動となった。
『かっぱまき』(2003)
『マルモのおきて スペシャル』(2011) 河童がストーリーで登場した。
『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-03【人喰い河童伝説】』(2013)
『仮面ライダー (スカイライダー)』(1979)オカッパ法師
『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982) カッパモズー、カッパコング
『忍者戦隊カクレンジャー』(1994) カッパ
『ビーファイターカブト』(1996)20話「河童訪ねて三千里!!」カッパラパ
『仮面ライダー響鬼』(2005) 魔化魍カッパ
『天装戦隊ゴセイジャー』(2010) 河童のギエム郎
『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)妖怪カッパ
『さらざんまい』(2019)
映画
『大巨獣ガッパ』(1967)
『河童 KAPPA』(1994)
『冬の河童』(1995)
『サマータイムマシン・ブルース』(2005) - 河童を直接扱ったものではないが、作中に河童に関する逸話が出てくる。
『河童』(2006) - 芥川龍之介の「河童」の映画化。
『河童のクゥと夏休み』(2007)
『デスカッパ』(2010)
舞台
『河童の指しゃぶり』(2009) 干場麓照脚本
美術
喜多川歌麿『河童と海女』(1788)
小川芋銭『河童百図』(1938)
CM
黄桜:清水崑(初代)、小島功(二代目)原画によるアニメーション。
キンチョウリキッド(大日本除虫菊):山瀬まみが河童の着ぐるみで出演。
ソフレ(ツムラ):篠原涼子が河童のパペットと掛け合い。
DCカード:中井貴一が河童、タヌキの着ぐるみと掛け合い。
キャラクター
となりのカッパさんち。:サンリオのキャラクター。
かっぺい、ぱっぴい:阪急かっぱ横丁のマスコット。
かりんちゃん:岩手県遠野市のイメージキャラクター。
かっぱ寿司の社名及びキャラクター(カーくん、パー子ちゃん)。
ぱちゃぽ:日本水泳連盟のマスコットキャラクター。
おカッパちゃん:定山渓温泉のマスコットキャラクター。
竹田六十四:「フラカッパー」に登場する主人公。
村長:「荒川アンダーザブリッジ」に登場するキャラクター。(ポリプロピレン素材の河童の着ぐるみを着たれっきとした人間である)
河城にとり:「東方Project」の登場キャラクター。(初出は「東方風神録」3面ボス)
パッカくん:「GIANT KILLING」内に出てくるマスコットキャラクター。
はなかっぱ:あきやまただし作「はなかっぱ」に登場する主人公。
カッパくんとかぱちゃん:アランジアロンゾの「アランジアワー」等に登場するキャラクター。
河童:椎橋寛原作の漫画『ぬらりひょんの孫』のキャラクターの一人。
イソラ:ゲーム『とっぱら~ざしきわらしのはなし~』に登場するヒロインの一人。正体が河童。
ノガッパ、たびガッパ、なみガッパ:妖怪ウォッチに登場するイマドキ妖怪キャラクター。
カッパ:DCカードのイメージキャラクター。相棒はタヌキ。
亀崎河童:イナズマイレブンに登場するキャラクター。
カッパー:エンドーチェーンのマスコット。(価っ破ー=価格破壊を掛けてる)
おたる運がっぱ:小樽市の印刷会社である石井印刷のマスコットキャラクター。
マツバライザーK:佐賀県の河童(ひょうすべ)をモチーフにしたヒーロー。
サラキチ:やなせたかし作「ニャニがニャンだー ニャンダーかめん」に登場するキャラクター。パートナーの川獺に片思いをしている。
温泉ガッパドンバ:温泉星カパーランドの王位継承者。河童の姿をしていて自身を「オリ」と言う。〜だっぱ、〜ぱと言う話し方をする。温泉の素というものを頭の皿にかけて下品な攻撃や変身を行う。スケベな性格。
音楽
河童ばやし:うしくかっぱ祭りテーマ曲。作詞:中島清治、作曲:福田正、歌:鎌田英一。
かっぱまきマキ:作詞・作曲:TAMAYO、歌:河童巻。 テレビアニメ「かっぱまき」主題歌。
かっぱが川辺でわっしょいしょい:作詞・作曲・歌:蜂谷清香。
芥川龍之介の河童 〜Candid Friend:東方風神録BGM。作曲:ZUN(上海アリス幻樂団)。
河童をどり:作詞・作曲:瞬火、歌:陰陽座。陰陽座の5thアルバム「夢幻泡影」に収録。
河童ブギウギ:作詞:藤浦洸 作曲・編曲:浅井挙曄 美空ひばりのデビュー曲。
河童と蛙:作詞:草野心平 作曲・歌:NUU
かっぱなにさま?かっぱさま!:作詞:もりちよこ 作曲:坂出雅海 おかあさんといっしょ1999年11月の歌。
ゲーム
ファイナルファンタジーVI:魔法「カッパ―」により、河童状態となったキャラクターの戦闘能力が著しく低下する設定となっている。
「東方Project」シリーズ 第10作目「東方風神録 ~ Mountain of Faith.」(3面ボス 河城にとり)[博麗神主ZUN]
商品
かっぱえびせん
かっぱカップ
人物
アルシンド・サルトーリ - サッカー選手。髪型から「カッパ」と呼ばれた[32]。
妹尾河童 - グラフィックデザイナー、舞台美術家、エッセイスト、小説家。
その他
色麻町(宮城県) - マスコットキャラクターに河童が設定されている。また、かっぱの湯という温泉施設もある[33]。
東京都 - 都民の日(10月1日)に都営施設へ無料で入れる「カッパバッジ」(大東京祭記念徽章)を1956年から販売していた。江戸から東京への改称と東京府設置150年記念イベントの一環として、2018年に復刻することを発表している[34]。
志木市(埼玉県) - 河童の伝承で知られ、市のマスコットキャラクターに制定されているほか、市内の随所に河童像が点在している[35]。
川や用水路の注意書きに河童のイラストが使われる事が非常に多い(埼玉県の見沼代用水等)。
林家木久扇 - 『笑点』の大喜利において「あべべべべ!」と河童のモノマネを行うことがある(隣の三遊亭好楽から振られることが多い)。なお木久扇は前述した清水崑のアシスタント時代に喋りの才能を見出され、落語の世界に足を踏み入れている。
光文社 - カッパ・ブックス、カッパ・ノベルス 名称の由来であり、また、ロゴに河童が使用されている。
ガタロ - 上方落語の演目『代書』『商売根問』などに登場する商売。川底を網でさらって得た鉄くずや貴金属などを換金して稼ぎを得る自営業を指し、その川さらいの姿が河童を連想させる事から商売の隠語として河童の関西名「河太郎」(がたろ)が当てられた。
脚注
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^ 京極夏彦・多田克己編著『妖怪図巻』国書刊行会、2000年、147頁。ISBN 978-4-336-04187-6。
^ 多田克己『幻想世界の住人たち』IV、新紀元社〈Truth in fantasy〉、1990年、110頁。ISBN 978-4-915146-44-2。
^ 香川 2014, pp. 55-60.
^ 香川 2014, pp. 60-69.
^ 合羽橋など、地名の由来となっている例もある
^ 胃や腸などの内臓を意味するという説もある。
^ 『広辞苑』 尻子玉 - コラム・イナモト 2006-12-21 尻子玉参照。
^ 石川純一郎『河童の世界』時事通信社、1985年、新版、129–131頁。ISBN 978-4-7887-8515-1。
^ 吉川豊『ドキドキ! 妖怪めぐり』理論社、2000年、22頁。ISBN 4-652-01534-8。
^ 『河童の世界』、231–237頁。
^ 『日本書紀』には「時天皇夢有神 誨之曰 武臟人強頸 河內人茨田連衫子 衫子 此云 於河伯 必獲塞 則覓二人而得之 因以禱於河神」の河伯、河神」(仁徳天皇11年(323年))や、「於吉備中國川島河派 有大虯令苦人」の虯令(みづち)(仁徳天皇67年(379年))など河神の記述がある。
^ 折口信夫『古代研究II』223–252項、中公クラシックス、2003年
^ 柳田國男『遠野物語』
^ “第3章 珍禽奇獣異魚 - 描かれた動物・植物”. 国会図書館 (2005年). 2012年6月10日閲覧。
^ 中山市朗『妖怪現る』(遊タイム出版、1994年)など。
^ 1991年 河童が人家に入りこんだ?『ムーSPECIAL 戦後日本オカルト事件FILE』(学研プラス)
^ 本堂清『河童物語』 批評社 2015年 ISBN 9784826506304 pp.18,36.
^ 石川純一郎『河童の世界』新版 時事通信社 1985年 ISBN 978-4788785151 pp.83-84.
^ 佐久教育会歴史委員会編『限定復刻版 佐久口碑伝説集 南佐久篇』佐久教育会、1978年、93 - 94ページ。
^ 宮本幸枝・熊谷あづさ『日本の妖怪の謎と不思議』学習研究社〈GAKKEN MOOK〉、2007年、33頁。ISBN 978-4-05-604760-8。
^ “北野天満宮の歴史”. コスモスの町きたの. 北野町商工会. 2009年1月31日閲覧。
^ “松浦一酒造HP”. 2010年2月6日閲覧。
^ 河童連邦共和国(2018年4月30日閲覧)
^ "カッパ捕獲許可証"が岩手県で発行!! カッパは捕獲できるのか!?
^ この夏は「カッパ捕獲許可証」を手に入れてカッパを探す旅に出よう!
^ 写真入りカッパ捕獲許可証ゴールドのお客様へ
^ かっぱ捕獲許可証を取得しカッパ淵で捕獲大作戦?【岩手県】
^ 「かっぱハウス:14年ぶり再開 銚子、土日祝日に」『毎日新聞』朝刊2017年7月25日(千葉県版)、『産経新聞』朝刊2018年4月27日「【大人の遠足】千葉・銚子 大内かっぱハウス/グッズ4000点が並ぶ異空間」。
^ おもしろかっぱ館(2018年4月30日閲覧)
^ 大石南小だより 8・9月号 (PDF) p. 2 - 上尾市(上尾市立大石南小学校)、2015年8月25日、2016年5月22日閲覧。
^ 『広辞苑』
^ 【写真で見るきょうは何の日】「鹿島のカッパ」アルシンド活躍 - zakzak 2010.06.16
^ かっぱ伝説 - 色麻町役場ホームページ、2016年6月9日閲覧。
^ 「Old meets New 東京150年」事業について東京都報道発表(2018年1月5日)
^ 志木とカッパ - 志木市ホームページ、2016年5月22日閲覧。
参考文献
香川雅信、国立歴史民俗博物館、常光徹(編)、2014、「河童イメージの変遷」、『河童とはなにか:歴博フォーラム 民俗展示の新構築』、岩田書院 ISBN 9784872948530

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最終更新:2020年06月25日 21:49
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