太陽光発電:住宅用太陽電池モジュール



2011年のメーカー各社のソーラーパネル変換効率は以下の通りです。

昨年に住宅の屋根に設置されたものはどれかに該当するはずです。


2012年以後に開発された新製品はまもなく出回るはずになっています。

傾向としては、変換効率の高いとされてきた単結晶シリコンでしたが、

省エネ型の多結晶シリコンの変換効率が向上したため安価な多結晶型が

主流になると予想されます。


しかし数割は安くなるはずの多結晶型が日本では単結晶と同じ価格で

売っているメーカーがあるのは信じられないことです。


ぼったくれるときにぼったくっておけという下心が見え見えです。





モジュール発電効率1位:東芝


文句なし。ダントツの変換効率を誇ります。

もちろん国内第一位でセルの変換効率は唯一、20パーセントを超え

21.5パーセントにも達します。

製品のモジュール化したものは2割強のダウンで変換効率は16.9%です。


メーカーはセルの変換効率をもって公式発表していますが、実際には

屋根に設置するモジュールになるとフレームや集電部も含まれますので

発電効率はかなり低下します。


一例としてサンテックパワーのMSZ単結晶はセルの変換効率が14.9%に

対してソーラーパネルとして製品化したモジュールは10.1%になります。

セル変換効率よりモジュール変換効率が重要なのはいうまでもありません。


東芝にソーラーパネルを供給しているのはアメリカのサンパワー社。

つまり東芝はソーラーパネルに関してはメーカーではありません。

OEM商品になります。名称はSPR、ワット単価は700円です。

単結晶シリコンでできています。


サンパワー社が東芝にソーラーパネルの供給を始めたのは2010年からの

ことですが、シャープにも供給する予定になっていますので間もなく

サンパワー製のシャープソーラーパネルも登場するでしょう。


なお、アメリカのサンパワー社とはいうものの株式の6割はフランスの

石油大手トタルが1100億円もの巨費で大株主になり経営権を握っています。

再生可能エネルギーをめぐっては状況は二転三転していて複雑です。








モジュール発電効率2位:三洋電機


HIT型で有名ですがタイプはHIPで4種類あります。

HIT=Heterojunction with Intrinsic Thin layer

薄膜真性半導体層でヘテロ接合の格子欠陥を防止したという意味です。


超高効率タイプのものはセルの変換効率は19.70パーセントで東芝より

劣りますが、モジュール化した製品は17.00パーセントにも達し、

東芝のサンパワー社製をしのぐ優秀な変換効率です。


実際に住宅で使用するモジュールでは変換効率で日本一位になります。

モジュール化するときの加工に工夫が凝らされています。

他の3種類も同じHIP型で16%台の高効率パネルです。


単結晶シリコンとは呼ばずに、特殊な加工を加えているのでHIT名に

分類されています。

ワット単価は4種類とも東芝より高く720円前後になっています。







モジュール発電効率3位:サンテックパワー


破竹の勢いで世界制覇を成し遂げた中国製ですが、それだけの価値はあり

変換効率もシャープを追い抜いて、日本国内で販売されている外国製品では

抜群のコストパフォーマンスを誇ります。


ワット単価100円を切る価格でドイツやスペインなどヨーロッパを制覇した

実力があるのに日本では信じられないほど高く売っています。

高くても売れるからでしょうか。価格はオープン価格になっています。


タイプはSTP型とMSZ型の2種類でいずれもシリコン単結晶です。

変換効率はセルでは意味がないので以後はモジュール変換効率を使用します。

最高はSTP210ワット型で14.9%、MSZ型は10.1%です。


サンテックというのは元々は日本の太陽光発電メーカーでしたが

中国の企業に売却をしてサンテックパワーになりました。

従ってソーラーパネルのノウハウは中国が労せずして手に入れたことに

なります。


サンテックパワーは当初からそこそこの技術力があったので評価も高く

たちまちにして破格の価格でヨーロッパを制覇して世界一の生産量になり

それまで世界一であったドイツのQセルズを破綻にまで追い込みました。


21世紀になってからの中国や台湾の太陽光発電関連企業の成長は著しく

短期間に雨後のタケノコのように1000社を超える乱立ぶりで

太陽光発電の世界的な大メーカーになった会社だけでも数社はあります。


以下は短期間に世界トップテンの仲間入りをした4社です。

いずれもニューヨーク証券取引所もしくはナスダックに上場しています。


サンテックパワー社(無錫尚徳太陽能電脳有限公司)

2001年創業、2005年12月NY証券取引所上場、4.55億ドル資金調達。


Yingli Green Energy(英利緑色能源控股有限公司)

1998年創業、2007年NY証券取引所上場、3.19億ドル資金調達。


JA Solar(晶澳太陽能有限公司)

JAという名が付いていますが日本とは関係ありません。

単結晶シリコンの大手メーカー河北晶龍集団の子会社です。

2005年創業、2007年NASDAQ上場、2.25億ドル資金調達。


Trina Solar(常州天合光能有限公司)

1997年創業、2006年12月NY証券取引所上場、0.98億ドル資金調達。


先立つ資金はアメリカで調達し、主としてヨーロッパ向けに猛烈な

勢いでソーラーパネルを製造したところまではよかったのですが

EU危機とドイツやスペインなど欧州諸国のフィールド・イン・タリフ

(売電)制度の見直しでたちまちにして生産過剰に陥りました。


中国の太陽光発電(ソーラーパネル)価格競争のおかげで世界中の

自作派が恩恵を受けました。割高になるはずの5Wから30Wあたりの

コピー用紙サイズの小型ソーラーパネルまでもがワット単価200円に

まで価格下落し、誰でもが簡単に安価に太陽光発電ができるように

なりました。50W以上になるとワット単価が150円で購入できます。






モジュール変換効率4位:長州産業


CSシリーズでシリコン単結晶とシリコン多結晶を販売しています。

シリコン単結晶のCS-155B1がモジュール変換効率14.2%に対して

シリコン多結晶のCS-205A2がモジュール変換効率14.1%というのは

単結晶も多結晶も発電効率に差がなくなったことを意味しています。


ワット単価は単結晶が625円、多結晶が593円になっています。


モジュール変換効率5位以下は、シャープ、京セラ、三菱電機と

続きますが、いずれもモジュール変換効率に大差はなく13~14%で

京セラと三菱電機はすべて多結晶シリコンにシフトしています。

ワット単価も約600円です。


シャープだけは単結晶シリコンも製造してはいますが単結晶13.6%に

対して多結晶シリコンは14.4%と完全に逆転しています。

ワット単価もシャープは低めで460円程度です。


シャープはアモルファスタイプも製造していて、

アモルファス2層NA型が8.9%、

アモルファスシースルータイプが5.4~5.9%になっています。


シャープの場合は薄型テレビの販売不振で経営危機になり事業縮小を

余儀なくされているので今後はソーラーパネルはサンパワー社のOEMに

シフトしていくかもしれません。


以下、その他のメーカーを変換効率順に列記します。


ホンダソルテックは化合物半導体CIGS薄膜系HEM名で10.3~11.2%。

ワット単価は10.3%品が525円で、11.2%品が418円と逆転現象。


ソーラーフロンティアは同じくCIS薄膜系SC名で9.7~10.7%。

ワット単価は598円と599円の2種類。


三菱重工は微結晶タンデムMT名が8.3%、

アモルファスMA名が6.3%。


富士電機は軽量型やフレキシブルタイプが特徴で、いずれも

アモルファスシリコンタンデムです。

FWAVEの名称で広く知られています。

モジュールの変換効率は悪くすべてFPV名で5.6~6.5%、

シャープのアモルファスシースルータイプ5.4~5.9%と変換効率で

最下位を争っています。


変わったところではA&Aマテリアルがアモルファスシリコンの

フィルムタイプで5.5%。

アモルファスシリコン単体ではどう考えても変換効率は期待できません。


最後に、カネカが製造しているのはモジュール変換効率が8%と

アモルファスシリコンと化合物薄膜系の中間に位置するもので

薄膜シリコンハイブリッドというものがあります。

これはアモルファスシリコンに多結晶シリコンを組み合わせたものです。


三洋電機のHITはアモルファスシリコンに単結晶シリコンを組み合わせた

ものですから今後はこの組み合わせ技術によりソーラーパネルも

軽量化やフィルム化が進みますます多様化していくことでしょう。



そしてここへ来てアメリカでは価格破壊が起こっています。

ワット単価=1ドルを達成したアメリカのファーストソーラー社が

2009年以後は2位以下を大きく引き離して世界トップの座を独占しています。


為替相場を1ドル90円として計算しますと、1kwのモジュールはたったの

9万円になり、日本の60万円前後と比較すれば一目瞭然です。

3kwで27万円、5kwで45万円です。


しかし実際には1ワット=1ドルどころか90セントを切り、2012年には

80セントを切って70セントまで下落していますので日本円換算では

1キロワット当たり6万円程度にまで販売価格が下がっています。

理由は主要原材料のシリコン価格の下落によるものです。


今のところ生産が注文に追いつかないので心配はいりませんが

これが日本に上陸すればどうなるかは容易に想像ができます。



今いえることは売電制度とか政府や自治体の補助金にあおられて

ソーラーパネルを設置することはとんでもない高い買い物を

する可能性が高くなっているということです。


パワーコンディショナー(チャージコントローラー+インバーター)

それにバッテリーを揃えてこそ太陽光発電の価値があるわけですが

特にバッテリーは未だにリチウムイオンにせよ鉛バッテリーにせよ

爆発や発火の危険性があります。特にリチウムイオンは危険です。


蓄電池の容量が大きくなればなるほどメリットも大きくなりますが

爆発力や発火力も大きくなるのが恐ろしいところです。
























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最終更新:2013年01月19日 11:50