6話


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眞田悠斗が501に入隊し、5日が経過した。
持ち前の性格で初日から親睦を深め、あっというまにメンバーとしての風格を持ち始めた。
そして、そんな時にコウヅキ・アマガツ博士から連絡が来た。それは―――

「・・・パーティー・・・ですか・・?」
ミーナはアマガツからの突然の連絡に驚いた。
「何故このタイミングで?」
坂本もまたこの不自然なタイミングでのパーティーに疑問を感じた。
『このタイミングで、だよ。ようやくリオン搬入の目処が立ってね。その記念も兼ねて我が居城の一つで執り行うのだよ。』
(この人、どれだけ敷地持ってるんだよ・・・)
悠斗はそんなことを思っていると、
『ああそれと、君たちの分のドレスと、悠斗君のタキシードも用意してあるから』
その一言に、しんと静まり返った。
「・・・・うぇえええええええええええええええええええええええええ!?」
悠斗が最初に声を上げた。
「ちょ、ちょっとまってくださいよ!?俺、マナーとかそういうの・・・・」
『ああ、君は個別で用事があるから、詳細は追って知らせるよ。』
「・・・へ?」
「ふむ、ドレスか・・・」
「美緒はあまり着たことないのよね?」
「ああ。ああいうものは着づらくてな・・・」
「あのー、もしもーし・・・・俺無視ですか?」

そして2日後・・・
「・・・流されるまま二日が過ぎ、こうやって着慣れないタキシードを着ている今日この頃、俺は元気です。まる」
控え室。orz←こうなりつつもしっかり着ている悠斗であった。しかしこんな古城のようなものを持ってる博士って・・・
コンコン
「ん?」
『あの、悠斗さん、いますか?』
「あ、芳佳ちゃん?今開けるよ」
そして扉を開けるとそこにはドレス姿の芳佳がいた。
「おお・・・似合ってるじゃないか!」
「そ、そうですか・・・?あ、ありがとうございます!悠斗さんも似合ってますよ!」
「そうかぁ?馬子にも衣装って奴じゃないか?・・・てかサイズピッタリなのがなんとも・・・」
「私たちも・・・みんなぴったりでした・・・」
『・・・』
(博士って何者・・・)
二人の思考は全く同じことを考えていた。
「・・・じゃあ行こうか、お嬢様?」
跪き、いかにもな演技をする悠斗に対し、
「え、えぇ!?」
芳佳はただオロオロするだけだった。
「ハハッ、冗談だ。さ、行こう」
「あ、ちょっと、待ってくださ~い!」

―――ホール
煌びやかな装飾には、数々の人が見えた。それぞれどこかの貴族のようにも見えた。
「うわぁ・・・すっげぇ・・・」
悠斗はただ、驚くことしかできなかった。―――既知感を忘れるほどに。
「おお、大尉か。中々似合ってるぞ」
「宮藤さんも、よく似合ってますよ?」
「ありがとうございます!」
「そうですかねぇ?俺はあまり似合ってない気が・・・」
腕を回しながらそう言った。坂本少佐とミーナ隊長はそれぞれ白、赤とイメージに合った衣装だった。
「お~大尉、やっと来たのか!」
ふと悠斗が振り向くと、501のメンバーがいた。
シャーリーは胸元を強調した赤いドレスで、周りの視線が集まっていた。悠斗はすかさず壁になるように移動した。
「・・・で、あそこは何してるんで?」
悠斗はちらりと見ると、ルッキーニとフラウがひたすら料理を食べていた。
「シャーリー!これすっごい美味しいよー!」
「トゥルーデトゥルーデ!これおいしーよ、食べてみてよ!」
「こら、ハルトマン!そんなに食べるな、はしたない!」
フラウとバルクホルンはそれぞれ白と黒のドレスで、二人の性格が現れたかのようなデザインだった。
「おいおい、話が始まる前にそんなに食べるなよ・・・勿体無いだろ?」
「うじゅー・・・」
ルッキーニのドレスは水色で、彼女らしさが出て軽そうなイメージを持っていた。
「だってー、これおいしーんだもん・・・あ、ゆーとも食べる?はい!」
「むぐ!?・・・んぐ・・・く、いきなり口の中に突っ込むなよ!危ないだろうに!!・・・タッパー持ってこれば良かったな」
「大尉・・・それが軍人としての発言ですの?みみっちいったらありませんわよ?」
そこへペリーヌがやってきた。彼女のドレスも、イメージ通り青でまとめられていた。
「言うなよ・・・俺だって何で言ったかわかんないよ・・・ところで、サーニャちゃん達は?」
「あちらにいますわ。・・・隅っこのほうですけど」
「おう、ありがとうな。・・・少佐の近くにいなくていいのか?」
「んな!?そ、そんな畏れ多い・・・」
「いーんじゃね?今日くらい無礼講だろ?じゃあな」
ひらひらと手を振り、悠斗は隅のテーブルへと向かった。
「・・・思ってたより、間抜けでもなさそうですわね・・・」
ペリーヌはそう呟くと、そそくさと坂本少佐の所へ向かった。
「よ、二人とも。こう人が多いのは苦手なのか?」
悠斗はエイラとサーニャがいるテーブルに来た。白と黒を基調とした色調でペアってすぐ分かるような感じだった。
「こうごちゃごちゃした所は苦手なんだよなー・・・変な奴がサーニャに近づかないようにも、隅のほうがいいんだ」
「ほー・・・。一緒にいれば一安心だもんなー。ね、サーニャちゃん?」
「はい・・・。あの・・・芳佳ちゃんは?」
そわそわした様子でサーニャは芳佳のことを悠斗に尋ねた。
「ん?ああ、確かリ-ネちゃん探しに行くって言ってたな・・・もう来るんじゃないか?」
『おーい!』
芳佳の声を聞いた悠斗が振り向くと、リーネを連れた芳佳がやってきた。
「うわぁ~!エイラさん、サーニャちゃん、すっごい似合ってる!」
「そ、そう?」
芳佳に褒められたサーニャは少し照れていた。エイラもまた、満更ではない様子だ。
「リーネちゃん、遠くまで行ってたんだ?」
「はい、あの・・・お義兄さんがいたらしくて・・・」
「お義兄さんがいるんだ?」
リーネに義兄がいることに、悠斗は少々驚いた。リーネのドレスはグレー基調の、これまた胸元を強調したデザインだった。
「すごい年上ですけどね・・・」
「・・・どれぐらい?」
「えっと・・・その・・・ちょっと耳かしてくれませんか?」
「・・・別に構わないけど?」
悠斗は不思議に思いつつも耳を貸した。
「・・・ごにょごにょ」
「ウェ!?そんなに!?」
「あのあの!みんなには・・・その・・・」
「・・・ああ、分かってる」
悠斗は、あまり知りたくなかったかも知れない情報を手に入れてしまった。

そんな悠斗を見ているグループがいた。
「あれが例のイレギュラーか・・・」
「もふもふもふ」
「あらん?なかなかイケメンじゃなぁい?」
「・・・喋るな、オカマ野朗」
「あぁん、ひっど~い」
「もふもふもふもふ」
「・・・隊長、食べてばかりいないで、任務に集中してください・・・」
「・・・もふ?」

『あー、ごほん。ただいまマイクのテスト中』
アマガツの声が響いた。そろそろ始まるようだ。
『本日は、私事ながら集まってくださってどうもありがとう。私が発案した501部隊も、ついに本格稼動となった』
「発案者だったのか・・・」
「そーだよ?知らなかったの?」
「おわ!?」
悠斗が気づくと側にフラウが立っていた。手元にはフライドチキンがあった。
「いきなり声かけるなよな・・・」
「にゃははー。食べる?」
ずい、とフライドチキンを差し出された。さすがに手を出すわけにいかなかった。
「断る」
「なんでさー」
「おいおい・・・大事な話の最中だぞ?ちゃんと聞かないのか?」
「そーいうゆーとはどうなのさ?」
「・・・聞いてない」
「やっぱり」
二人は少し離れたところで見ていた。
「博士がいなかったら、俺はここにはいなかったな・・・」
「運命ってやつさ!」
「いいこと言ったと思ってるだろ・・・?」
「だめ?」
「いや・・・別にいいが・・・ん?」
その時、悠斗はかすかな違和感を感じた。
「どったの?」
「いや・・・なんだ?これは・・・火薬の匂い?」
(そういえば・・・)
悠斗はアマガツから言われたことを思い出した。
『何も起きない方がいいが、万が一のときはヨロシク』
(まさか・・・)
悠斗は察知されないような動きであたりを見回した。そして、わずかに光る「何か」を見つけた。
「あれは・・・狙撃ライフル!」
「ゆーと!?」
悠斗はターンしつつ、近くにあった椅子を掴み、
「博士ッ!よけろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ブォンッ!!という轟音と共にものすごいスピードで椅子が投げられた。
ダァン!バキャアアン!!
椅子の直撃により銃弾はアマガツの足元に落ち、あたりは悲鳴で染まりパニックになった。
「大丈夫ですか、博士!?」
「ああ・・・大丈夫だ・・・。すまないな、大尉」
「ここは危険です!早く避難を!」
あまりの反応の速さにアマガツは少々面食らっていた。
(まさか、ここまでとは・・・)
その時、アマガツの持っていた通信機に反応があった。
「カスミか?」
『博士、周りは包囲されています。敵勢力は恐らく元軍人のテロリストと思われます』
「何!?」
これは博士も想定外のようだ。悠斗は立ち上がると
「俺・・・戦います。ちょっと待ってください!」
そういうと、出口にグレネードを投げつけた。爆発と共に扉が爆発し、悠斗は黒煙の中を走り抜けた。

悠斗は自分の控え室に戻った。瞬時に着替え、緊急時に持ってきた刀「蜻蛉」を携え、勢い良く飛び出た。
この服装は悠斗が墜落した際に着ていたもので、元から白兵戦に向いた服装のようだ。
走っているうちに、足元がおかしい事に気づいた。
「・・・な・・・!」
血。そこには、おびただしい量の血の池があった。
「ぐああああああ!!」
「!?」
悠斗は声のした方へ駆け出した。
「ッ!」
そこには
テロリスト“だった”モノが転がっていた。
「これは・・・・一体・・・」
その瞬間、背後に気配を感じた悠斗は身を翻しながら構えた。そこにはまるで道化師のような仮面をつけた男が立っていた。
「お前は・・・誰だ・・・?」
仮面の男はナイフを構え常人ではありえない早さで突っ込んできた。
「くっ・・・問答無用か・・・だが!」
ヒュンッ・・・ガキィン!ガガァン!
「速い・・・いや、それだけじゃない。こいつ・・・本当に人間か?冗談じゃないぞ・・・!」
ヒュン!キュルルッ!
仮面の男が投げたナイフにワイヤーがついており、刀に絡まってしまった。
「!?しまった・・・ぐぅっ!?」
バランスを崩した悠斗は、そのまま頭を掴まれた。
(まずい・・・このままじゃ・・・死ぬ!)
「待ちたまえ」
「!」
「なっ・・・!?は、博士・・・どうして・・・」
そこにいたのはアマガツだった。
「いやぁレイジ君、よく止めてくれたよ。そのままだったら違約金どころじゃないからねぇ・・・」
「・・・」
「・・・レイジ?」
悠斗はなぜかその名前に聞き覚えがあった。
「彼は私の依頼で警護をしていたんだ」
「・・・時間だ。俺はもう行く」
「あぁ、わかった。規定のルートで進んでくれ」
「・・・・」
レイジは答えずに闇に消えた。その先に悠斗は“ある物”を見つけた。
「あれは・・・」

―――ホール
一方そのころ、ホールでは戦闘が続いていた。
「くっ・・・、このままでは劣勢だ・・・」
「こちらは拳銃のみ・・・まずいわね・・・」
坂本少佐達はテーブルを盾に、防戦するだけであった。
「消耗戦になれば不利になる。どうすれば・・・」
ドルルン・・・・ドルルルン・・・
その時、扉があった方から、エンジンの音がした。
「ん?なんだ・・・?」
「まさか、敵の増援!?」
『っはあああああああああああっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
ズガァァァァァァン!!
装甲車が勢いよく突っ込んできた。
「少佐、無事ですか!」
「!・・・大尉か!」
「武器はこちらにあります!それと、これを!」
悠斗は坂本に刀を渡す。
「すなない!よし、みんな・・・攻勢に打って出るぞ!」
『了解!!』
そしてここから快進撃が始まろうとしていた。
「つぅおりゃあああぁぁ!!」
「そこっ!いっただきぃ!」
バルクホルンはアサルトライフル二丁を振り回し、フラウはまるで風のように華麗に舞い、戦力を削っていく。
「ほいっと。そらよっと。サーニャ、右だ!」
「うん!」
ドドドド!!
エイラの予知能力で相手の攻撃を避け、サーニャがその地点を攻撃する。理にかなったコンビネーションだ。
「いっけぇ、ルッキーニ!」
「あっちょーう!」
ズドォォン!
「ほわちゃっ!」
シャーリーとルッキーニの連携も、相手を翻弄し、撹乱に役立っている。
「はぁっ!!」
ガキィン!
「宮藤さん、リーネさん!今ですわ!」
「はい!リーネちゃん!」
「うん!せーの!」
ガガガガガガ!ズドォン!
芳佳、リーネ、ペリーヌの3人も、見事なフォーメーションにより、更なる活躍を見せる。
「中佐、かなり数が減ってきたな。・・・はぁっ!!」
ギィンッ!
坂本はナイフの攻撃を受け流しつつ、余裕すら見せている。
「これであちらが諦めてくれるといいのだけれど・・・」
テロリスト達の抵抗が弱くなってきた、その時だった。
「お、お前ら動くなぁ!!」
『!』
「こっちには人質がいるんだぞ!」
そう言ったテロリストに捕らえられていたのは・・・
「カスミィ!!」
アマガツは驚くことしかできなかった。何故ここにカスミがいるのかすら、思考が追いつかないほどに混乱していた。
「その子を放してくれ!私の・・・私の娘なんだ!」
「ほう・・・いいことを聞いたな。ならもっと無理だな」
「そんな・・・。私の、ただ一人の家族なんだ・・・。頼む、開放してくれ!」
ここまで動揺したしたアマガツの姿を見たのは501の面々は初めてだった。
「なら、代わりにアンタが死ぬか?」
「ッ・・・!」
「博士ッ!そんな要求を飲む必要など・・・」
「助けられるとでも思っているのか?この状況で!」
「・・・くっ」
風雲急を告げる戦場の中、悠斗はただ一人この現実を受け入れられないでいた。
(なんだよ・・・。どうしてこうなるんだ・・・?)
何もできない自分に苛立ち、不甲斐なさを後悔した。
「・・・」
その瞬間、アマガツは自らの銃を頭に突きつけた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
時が止まるような戦慄が辺りを包んだ。
ザンッ
「・・・・は?」
テロリストはなにが起きたかわからなかった。ふと下を見ると、心臓にとても近い位置に白い“何か”が刺さっていた。
その背後にいたのは・・・
「・・・悠斗・・・さん?」
「・・・あの」
「早く行ってやれ・・・ここから先は危険だ」
その声に抑揚はなかった。蜻蛉を引き抜き、物言わなくなった“それ”を突き飛ばした。
「う、撃て、撃てェ!」
「・・・ふっ!」
悠斗は転がっていた死体を無造作に放り投げ、壁として使った。
「ぐぉぉ!」
「・・・ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
足に力を入れ、咆哮する悠斗。その威容に、畏れを抱かないものはいなかった。
―――誰かを守るためには偽善を振りかざすだけでは何も掴めない。その手を汚してでも、掴み取るに足りるモノを、守る。

そこからが地獄の幕開けだった。壁を走り、シャンデリアに飛び移り、まるで獣のように縦横無尽に駆け回った。
切り裂き抉り、砕き撃ち抜く。芳佳達はただ、見てることしかできなかった。
「・・・・ふ、ふふ」
周りに“敵”がいなくなったことにより、戦いが終わった。生き残ったものたちはみな投降した。
「ふふふ、ふ」
屍の山に立つ悠斗は血塗れで、まるで黒衣の死神のように見えた。
「あの、どうしたんですか・・・?」
「ふふ、クッククク・・・クハハハハハハ!ハァーッハッハッハァ!ふはははははは!」
本来の悠斗ではありえない高笑いのあと、静かに倒れた。
「・・・一体、何が・・・」

後日、情報が漏洩した可能性があるとして調査隊が発足されるも、結局空振りに終わった。
眞田悠斗は、リオンが搬入されるその日まで、実に2週間眠りにつくのであった・・・

【次回】
本格始動となった501中隊。その最初の任務は、タクラマカン砂漠における偵察任務であった。
その先で悠斗達は激戦に巻き込まれる。青き衝撃、金の復習者、赤き鉄機、そして、黒き放浪者。
乱戦の中、悠久の果てから拳神が現れる。
次回、【激突の熱砂】記憶の欠片は、何処に・・・
ツールボックス

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