無題:11スレ目37


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37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:33:24.15 ID:uhr7UXYvo [2/9]

とある10月の土曜の昼下がり、俺は机に向かって勉強をしていた。
最近この行動が日課になってきつつある俺であったが、受験生だからという殊勝な理由はあまり大きくはなかった。
じゃあ何かって言えば、今同じく部屋にいて問題を解いているこいつの存在である。

「京介さん、ここがちょっとわからないのですが……」
「ああ。……こりゃ、積分公式の使い方だな。ここをこう移項すればわかりやすくなる。
 しかし相変わらずお前は1年とは思えない問題解いてるな……」
「他の高校よりいろいろ詰め込んでますからねうちの女子高は。京介さんも普通に教えるより歯ごたえがあって面白いでしょう?」
「物は言い様だな。まあ解けないレベルじゃないからいいが、よくやるよ」
「もともと勉強は嫌いじゃないですから。知らないことを覚えるって面白いと思いませんか?」
「……そうかい」

すらすらと正面に座る女――沙織の問題に手を加えながら俺は肩をすくめた。


38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:34:16.02 ID:uhr7UXYvo [3/9]

俺が沙織と付き合うようになったのはここ2ヶ月前程度、夏休みの盆も過ぎた頃だった。
直接の契機となったのは沙織がお見合いで結婚させられそうになった、という事件だ。

事の仔細は省くが、サークルを姉の結婚という形で離散した沙織が同じ轍を踏むように勝手な都合で結婚させられようとしていると聞いた時、
またそれを問い詰めたとき沙織がなお気丈にふるまった時、俺はそんな事を許すことなんか絶対にできなかった。
結果として俺はそのお見合いに対して大立ち回りを演じて沙織を強引に救い出した結果、”責任を取る”という体裁でその場から沙織との交際が即刻決まった。
桐乃も黒猫も大層驚いていたが、事の次第を知った後は呆れと諦観をもって迎え入れてくれたらしい。

と、色々つらつらと書き連ねたが、要は「俺と沙織が自他公認に付き合うことになった」という1行に集約され、
それ以外のことが(各々の心象はともかく)特に変わったわけではなく、ただ2人っきりの時間が少し増えた、それだけの事ともいえる。
そんなこんなで、受験も控えた俺は沙織と共に休日は勉強に勤しんでいるわけである。
俺は俺のメニューをこなすし、沙織の課題も普通より質は高いものの解けないものではない。
また、解けないにしてもそれを2人でこねくり回すのはそれはそれで楽しいものだ。

「京介さん、もうそろそろ休憩にしませんか?」
「ああ、そうだな。麦茶でも持ってくるか」
「はい、ありがとうございます」

俺が台所から麦茶を持ってきて2人で一息つくと、沙織が唐突にある提案をしてきた。

「京介さん、ところで耳掃除でもしていただけませんか?」
「耳掃除?どうしてまた」
「いや、こういうのをするとまた恋人としての絆が深まるかなぁ、と」
「そりゃ吝かじゃないが……」

“また”始まった。そう思った俺は所在なく遠くに視線を送った。


39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:34:44.74 ID:uhr7UXYvo [4/9]

俺が沙織と付き合うようになってまだ日は浅いが、わかり始めてきたことが一つあった。

この女は良くも悪くも食えないというか、掴みどころがないのだ。
“引っ込み思案で大人しい”とは本人の弁だったが、蓋を開けてみれば――あるいはそれだけ信用されているのかもしれないが――非常に表情のころころ変わる娘だった。
面白そうな事があればどんどん取り入れようとするし、それに対する俺の反応をいちいち面白がるような小悪魔さがそのω口によく表れていた。
黒猫も言っていたが、『沙織・バジーナ』と比べたら典型的なオタク言動がなりを潜めただけで、本質は悪戯っ子なのだこの沙織という人間は。
それに度々振り回されることはあれども不思議と俺は全く嫌とは感じない。これも惚れた弱みってやつだろうかな。

「では、京介さんから先にお願いします」

そう言うなり沙織はわざわざベッドの上で横に倒れた。
俺は無心で沙織の頭のそばに正座し、沙織の頭を乗せて綿棒を手にした。
ちなみにこの綿棒は部屋にあったわけではなく沙織がわざわざ持参してきたものだ。
変なところで用意周到なのもこの彼女の特徴である。

「耳からごっそり出てきたりしないだろうなぁ?」
「ふっふっふ、こんなこともあろうかと今日まで2週間余りも」
「嘘だろ?」「嘘ですけど」

んなしたり顔で言われても俺としてもリアクションに困る。
まあシチュエーションを楽しむのが本題なんだから正直そこまで手を入れる必要はないとも感じたが、せっかくの機会だから念入りに乗ってあげることにした。

「ふぁっ……」
「……」
「だ、だめです京介さん……そんなとこ……あっ……」
「……」
「そ、そこ気持ちいいです、あっ、ああっ」
「……」

俺が耳に綿棒を入れるたび、無駄にエロい矯正を上げる沙織。
ついでに言うとこの沙織の格好もラフなTシャツにホットパンツと、体のラインがこれでもかと浮き出る無駄に煽情的な格好をしていたりする。
なんで俺が欲情しないかって?一言でいえば”慣れてる”からだ。フハハハハ羨ましかろう、とでも言っておくべきか。
それに大方こいつの狙いはわかってるので、下手に反応するのも面倒だというのもある。

しばらくすると俺の正面にある壁からおもむろにガン!という蹴り飛ばした音が聞こえてきた。そりゃそうだ。


40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:35:17.20 ID:uhr7UXYvo [5/9]

「悪趣味なやっちゃな……」
「ふふっ、きりりんさんだって京介さんに常々こういうことをやってもらってるんでしょう?」
「そりゃたまにはやってやってるが、お前みたいな露骨に喘いだりはしないぞ」

あいつが次に耳掃除してやった時に突然喘いできたらどうするんだ。

「兄妹愛がさらに深まっていいじゃあありませんか」
「そんな妙に歪んだ愛はいらん!ほら、終わったぞ」
「あら残念。ふぅ……」

俺が頭をどかすと沙織はわざとらしく力を抜いて体を横たえる。
こいつは俺と付き合い始めてから妙にエロくなった気がしてならない。
ちなみにこいつはこの格好で外を歩いてきたのかと言うとそうでもない。
じゃあどういうことかというと、ここで着替えたのだ。
ここで。大事なことなので二回言いました。

『恥ずかしいから京介さん以外の人はこっち見ないでください』

と恥じらいながら俺しかいない部屋でのたまう様子は、俺にこいつ痴女だろと思わせるに十分足るものだった。

こんな彼女で大丈夫か?

「大丈夫です、キャラ付けの為なので問題ありません」
「心の中を読むな」

あとメタ発言はほどほどにしておけ。
そんな下らない問答をしていると、不意に部屋の扉がけたたましく開いた。桐乃だ。

「アンタ達ねぇ……じゃれ合うのは構わないケドよそでやってくれない?」

完全にビキビキ来ている様子だった。
そりゃただでさえ薄い壁なのにあんな事されたらストレスがマッハなのも頷ける話だ。コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実だろう。

「いやぁー、きりりんさんだって実はまんざらでもないんでしょう?」
「なっ、何変なコト言ってんのよ!そんなことっ、そんな」
「まあまあ、積もる話は女だけで語りましょうぞ。京介さん、ちょっとしばらく」

こいつ悪い顔してるなぁ、と他人事のように思いながら俺は沙織が真っ赤に赤面した桐乃を抱き上げて部屋を出るのを黙って見送った。
あいつは180cmもの体躯してるだけあって下手をすれば俺でも持ちあげられるからなあ。

ほどなくして隣の部屋から桐乃の嬌声が聞こえてきたので俺は何も言わずトイレへと足を向けた。
……あいつ、何を仕込んでるんだろうか……


41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:35:47.26 ID:uhr7UXYvo [6/9]

トイレで一度落ち着いてから帰ってくると、やけに上気した沙織がお出迎えしてくれた。

「済んだのか?」
「やり遂げました」

そういって恍惚とする沙織に『……すごい漢(おんな)だ』と内心付け加えておいた。
聞けばナニをしたのか丹念に話してくれそうだが長くなりそうなのでやめておく。

「じゃあ交代しましょうか。私が京介さんのを掃除します」
「まだ続いてたのかあれ。別にかまわないけど疲れてないのかお前?」
「ふふふふ、コミケに幾度も通い詰めたこの肉体があの程度で根を上げるとお思いか?」

そう言うと元々ある胸を張ってどんと拳で叩く。
肉体てのも乙女の言う言葉かと思うが、まあいい。

そそくさと俺は沙織の膝の上に頭を乗せる。
素朴に思ったが、あの胸って耳掃除するのに邪魔にならんのだろうか?
という疑問も杞憂だったようで、沙織は俺がしたように丹念に耳の中を掃除してくれた。
いつもとは違う母性的な温かさに俺は思わずまどろみそうになったが、眠っちゃ勿体無いとばかりに俺は意識を集中し直した。
すると、沙織はある程度掃除が終わった後、まるで独り言のように言葉を紡ぎ始めた。


42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:36:45.58 ID:uhr7UXYvo [7/9]

「京介さん。わたし、今とっても幸せなんです。キャラを演じることなくこうして全てをさらけ出せる京介さんたちと出会えたことが」
「だけど、たまに不安になるんです。京介さんがわたしに関心を寄せてくれなくなったらどうしようって。
 えっちで打算的で独占欲の深いわたしなんかを京介さんは救ってくれたけれど……本当にわたしは京介さんを楽しませてあげられてるのかって」

だんだんとか細い声になっていく沙織の声を耳に受けて、俺は顔を上に上げて沙織の頬に手を添えた。

「京介さん……?」
「俺は何にも興味を持って、何でも受け入れようと努力して、挫けず諦めないお前が好きだ。
 何より、沙織と一緒にいると俺はいつも新鮮な気持ちでいられる。楽しくないわけがないじゃないか」

そして、俺にだけ見せてくれるこの精神的な脆さもまた俺を魅了してやまないと思っている。

「だ、だったら……どうして誘いに乗ってくださらないんです……?わたしはこんなにも京介さんと交わりたい、重なりたいと思ってますのに。わたしは京介さん以外の”男性”には決してこんなこと致しませんわ!」
「あー……それはな……」

頭を少し強めに掻いて軽く息を吐く。

「沙織が意味もなくそんな格好するわけがないのもわかってる。けど、回数を重ねれば重ねるだけその行為の”重み”がなくなっちまうんじゃないか、って思ってな……」

俺と沙織が始めて”いたした”のは夏休みも終わりの頃だ。あの時のは本当にひどかった。
ゴムのつけ方もろくに分からず沙織にも痛いばかりでろくに感じさせることもできず、あの日は俺たちソッチの相性は悪いんじゃないかと本気で悩んだりした。
やがて週1程度で経験を積む内に少しずつコツがつかめてきたものの、その行為そのものを神聖な――というと変だが――と思い始めていた俺には、
いつか惰性で沙織を抱くようになってしまうのではないかということが非常に怖かった。


43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:37:32.25 ID:uhr7UXYvo [8/9]

「だから、沙織のことが大切すぎて逆に――……っ!?」

言葉を紡ぎきる前に俺の口は沙織の唇で塞がれていた。
目には大粒の涙がぽろぽろと流れていて、俺は快楽と困惑がないまぜになって宙に浮いた感覚だった。
唾液が橋になるほど濃厚なキスを終え、嗚咽混じりに沙織は俺の胸に飛び込んできた。

「京介さんのばかっ……ばかばかばかっ……!!わたしは……わたしはっ……!!」
「……悪かった」

沙織の背に手を回し、俺は沙織をぎゅっと抱き締めた。
愛なんてものは片一方の都合だけで軽々と決め付けられるものじゃない。
そんなことは分かっていたはずだったが、何のことはなかった。
俺も沙織もまだ始まったばかりなんだから、2人で乗り越えていけばいい。それだけのことだったのだ。
俺は沙織を抱きかかえてベッドまで運ぶと、ふと思い出したように壁に拳を向けて質問した。

「そういえば、アイツは大丈夫なのか?」
「ええ。多分眠ってます。しばらくは目を覚まさないと思います」
「そっか」


それ以上は野暮の極みだったので、俺は沙織と今一度軽いキスを交わすと、静かに沙織のシャツに手をかけた。



翌朝。久しぶりにやりすぎたせいか腰が物凄く痛い。
俺は全裸でシーツにくるまった沙織の寝顔を見て、心から目を奪われていた。
こんな無邪気な寝顔を見せてくれるのが俺にだけというのはとてつもない優越感だ。
すると、沙織もぱちぱちと瞼を上下させて目覚め始めたようだった。

「おはよ、沙織」
「うぅ……おはようございます」
「お前相変わらずとんでもない体力だよ……何個ゴムがなくなったっけか」
「そりゃお互い様じゃないですかぁ」
「俺のは単なるやせ我慢だけど、お前は眠いだけでもう元気だろうが」

こいつはやった後の眠りこそ深いが、その後の活動にほとんど支障がないというとんでもない回復能力を持っているのだ。
プロのサッカー選手ならハーフタイムできっちりと後半戦分の体力を取り戻すというが、そんな体質というかコツがあるのだろうか。

「沙織」
「はい?」
「今までその……すまなかった。改めてごめんな」
「分かり合えた今なら何も言いませんよ。ただ、もう隠し事はやめてくださいよ?」
「ああ」

俺たちは互いに笑い合いながら、もう一度キスをした。


(終わり)


44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/06/17(金) 13:37:59.03 ID:uhr7UXYvo [9/9]

[おまけ]

沙織が着替えてる間に俺は先に着替えを済ませてトイレに向かうと、階段で桐乃と鉢合わせした。

「おはよう」
「おはよ、兄貴。あ、あのさ」
「何だ?」
「たまには、姉モノもいいかもしんない……」

ポッと顔を赤らめて桐乃は階段を駆け上っていった。
あいつ、昨日本当に何を仕込んだんだ……!?
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