俺がモデルになれるわけがない!! 1


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……その日、俺は本当にどうかしていた。
その時の俺はただきまぐれで、本当にきまぐれで……顔にうっすらと化粧をし、髪の毛をちょっと立て、服装もかなりこだわって、まあ平たく言うとオシャレをして街に出かけたのだ、秋葉原に。
いや、別にナンパが目的じゃないよ!?

するとどうだろう、秋葉原についてものの十分で俺は奴らに、スカウト(捕縛)された。

そしてあっという間に俺は車に乗ってスタジオ(監獄)という場所に連行されてしまった、何処だここは、日本は何時からこんなに危ない国になってしまったんだ?
おい、政府よ、これは誘拐なんじゃないのか?、おい、どうなんだ?
それと何で車の中があんなにアニメのポスターで一杯だったんだ?、ギャップ萌えを狙ってんのか?。そんなギャップは捨てちまえ、意味を理解しろ、意味を。

そんな事を考えてても時間は進む、俺はスタジオ(監獄)の中をボディーガードみたいな奴らに手を引かれて闊歩した

そして何時の間にか俺は、手を顔の前に組んでいるオッサンの前に連れてこられていた
誰だオッサン、お前はエヴァ○ゲリオンの碇指令か?、そのポーズを辞めろ。パクリで訴えるぞ?この野郎。

なんて事を俺が言えるはずもなく、心の中に押しとどめながら俺はそのオッサンに引きつった笑いを返したのだった

そしてオッサンは俺に決定的な一言を言った
「採用☆」
何が採用!?何が採用なんですかオッサァーーーーーーーンゥンン!?
そんな簡単に言われてもひとっつも理解できないんだよ!!

その俺の心の問いはオッサンが答えるのではなく、周りのボディーガードの奴らが答えてくれた

「貴方は今日からモデルです」




……俺、今日からモデルになりました




その後、俺は部屋を出る時にオッサンに向かってこう言ったのだった
「おい、オッサン、その☆は辞めとけ、キモウザいから」

「了解☆」

マジウゼぇ、こいつは加奈子が百人いてもこのウザさは再現できねぇな
加奈子が可愛く見えてくるぜ

俺は部屋を出る時に空を仰いでため息をついたのだった



もう一度言います俺     モデル始めました。






  ・・・・





あれから何十分と経っている、俺は別室のソファに座っていた。
俺が何時になったら帰れるんだろうと考えていたら、周りにたむろしていたボディーガード(?)が話し始めた

「まず最初は簡単な活動をしてもらいます、そして段々と馴れていきましょう。その手始めとして今回は数回カメラで貴方を撮影します、なに、本当に簡単なものですから安心してください」

安心できるか、安心させたいならまずは格好を改めて来い、そんなマフィアみたいな格好じゃ安心できるものも安心できなくなっちまうよ!
そんな事を小心な俺が言える筈も無く、ただ言われるままに頷いているだけだ。

「じゃ、行きますしょうか、撮影に」
サングラスを外してそう言うハンサム野郎、てかお前がモデルやれや。
眼鏡を外したらイケメンって何時の時代の漫画だ?この野郎。え?いや、まあサングラスだけども。

「私にモデルはできませんよ、役不足です」

あれ?、もしかして漏れてた?
「はい、漏れてましたよ」

そう言って爽やかに笑うボディーガード(仮)
「まぁ、とにかく行きましょう、早くしないと何時まで経っても帰れませんよ?」

おっと、そいつは困るな。桐乃に何言われるか分かったもんじゃねぇ

俺はそう考えると重たい腰をやっと上げたのだった



それからは俺が語れる事は何も無い、ただ時間だけが過ぎていった。まぁ、何かと格好を指摘されたが、馴れたらどうって事なかった。
まぁ、安全(?)な奴らっぽいな。実際俺は今、夜中に帰ったため晩御飯は抜きだったが何とか帰ってきて風呂に入っているのだから
大事な事だから二回言うが何とか無事に帰ってこれたというわけだ。

それはさておき、ここらで思い出してもらために俺の名前を言っておこう、俺はの名前は高坂京介、しがない一介の高校生だ、そしてあいつの、桐野の兄貴だ。
そしてこの話は俺と桐乃と加奈子とあやせとブリジット。そんなアイドル達(俺除外)を巻き込んだ、ある一時の、短い時間の夢のようなお話だ。





        翌日





俺は今、波打ち際で走っていた
「あははは~~~~待て待て~~」
「うふふ~、捕まえてみてくださ~い」

うひゃひょひょひょ
待て待て~あやせたーん

「そんなに遅かったら捕まりませんよ~、お兄さ~~~ん」
「言ったな~?、よしつ~か~ま~え~た!!」
そう言って、まさに掴もうとした瞬間、とてつもない波に俺は襲われた

バチンッ!!!

俺は言いたい、これ、波に飲まれた音じゃなくね?
そう思ってもう一度目を開ける、そこには今正に叩きました、と言わんばかりの桐乃がいた

「ねぇ、話あんだけど?」

いきなりそんな事を言う桐乃

な、何で怒っていらっしゃるの?
そう聞きたくなるほど桐乃から物凄い殺気を感じる

そんな事を考えていると、桐乃はいいから、と言う様に手を扉に向けてクイクイと動かす

あぁ、部屋を出ろ……っていう訳ですね

これに逆らったら何をされるか分からないので素直に名残惜しいベッドから出る。
ちなみに今さっき時間を見たら3時だった。桐乃め、どんだけ中途半端な時間に起こすんだよ。

俺はこれみよがしにため息をつくと桐乃に話を促した
「で?、話ってなんだよ、言っとくけど俺は今日7時から予定があっから」

昨日のハンサムさん(仮)が明日朝の7時に向かえにくるとか言っていた。全く、桐乃もハンサムさんも俺が何か予定があったらどうする気だ?。まぁ無いけども。
とにかく俺はそう言って桐乃の返事を待つが、桐乃は何時になっても話し出す気配が無い

もういい加減俺から話し掛けようか、と思い出した時に桐乃は動いた
桐乃はおもむろに机の引き出しに手をかけ、一冊の雑誌を取り出して俺に突き出した。え?何?この表紙の男何処かで見た事あるなぁ。ふむふむ、顔にちょっと化粧をして?、髪の毛をちょっと逆立てて?、服装は何かスタジオで見た事がある様なのを着ていて?。ふむ、そっくりさんかな?。

何とか現実を直視しないようにするが表紙を改めて見るとそこにはデカデカと絶対に否定できない事が書かれていた
高坂京介、現在高校生、私が見つけた光る原石☆

……俺だよ畜生!

何これ?、ねぇ、なんなの?。百歩譲って俺がモデルって言う事は納得してもいい!百歩譲って!、だが!これで一番問題なのは何で昨日の夕方に撮ったばかりなのに今ここにあるかって事だ、そして何故桐乃が持っているんだ?

そんな事を考えて目を見開いている俺に桐乃はさらに問いただしてくる
「これ、凄い大手会社の雑誌なんだけど、何であんたが載ってんの?、何で表紙?、というかまず最初に何であんたしか載ってないの?」

なに!?、どういう事だそれは!?

俺は無我夢中になって桐乃から雑誌をひったくる
パラパラと一気にめくるが桐乃が言っていた通り、俺しか載っていなかった
なーにしちゃってくれてんだ碇指令ぃーーいいぃ!!!

最早言葉が出ない俺は無心で表紙を凝視する、そこには……

京介君へ、待ち遠しくて先に雑誌売っちゃった☆、モデルデビューおめでとう☆

と書かれていた
そんな俺は引きつった笑みで桐乃に伝えたのだった、たった一言を

「俺……モデル始めたっぽい」




   ・・・・




時は過ぎ7時まで残りやく十分、俺は朝食を食べ終え、机に頬杖をつきながら家にあのハンサムさんが来るのを待っていた
桐乃は頭から煙を出しながら人形と化している、どうせ頭の回転が追いつかなかったんだろう、昨日の俺の様にな。
今の俺は違うぜ?、突発的な出来事に段々と対応できるようになってきたからな!ふはは!!

内心で笑っていると、ふとガラスに写った自分に目が留まる

今から仕事に行く身としてはなんだが、俺は格好を別にそれほど意識していない、普通のズボンに普通のシャツに普通のパーカー、ALL普通だ。
……ふむ、これでいいんだろうか?、一応モデルだしもうちょっとちゃんとしたほうがいいかな?
やっぱり代えてこようかな…。

なんて事を考えていると家のチャイムが鳴る。

ピンポーン

くそぅ、俺が着替える時間なんかありゃしねぇ
そんな事を思いながら俺はドアを開ける、するとそこには、あーら不思議……黒いグラサンをかけたマフィアがいた

「じゃねぇよ!!??、あんた朝っぱらから何でそんな格好でうろついてんだよ!?」

小便ちびっかと思ったわコンチクショウ!!
桐乃も俺の声を聞いて来たんだろう、目を見開いてハンサムさんを見ている

「おっと、これは失礼しました。京介さん、お迎えに上がりましたよ」

そうやってニコやかに言うハンサムさん

「それと桐乃さんも今日は京介さんと仕事をして頂きます、よろしいですね?、ちゃんとそちらの会社の許可は取ってありますので」

はい?
何言ってんの?、この人

そんな風に戸惑っている、というか現状についていけなくなっている俺達を気にしないかのようにハンサムさんは続ける

「京介さんと関わりのあるモデルは皆集まってもらってますよ」

そう言って見て下さいと言わんばかりに車の扉を開けるハンサムさん。
するとそこには加奈子、あやせ、ブリジットの三人が乗っていた
皆暗い顔をしていた。どうせ最初の俺の様に無理矢理連れてこられたんだろう、そうに違いない。

その後はもう何も言わなくていいと思ったんだろう、ハンサムさんが俺達の手を取って車まで誘導して乗せてくれた
ちなみに桐乃は魂が抜けているのか、何の抵抗もなしにされるがままだった

そして皆が乗り終わるとハンサムさんも運転席に乗り込んだ

「さて、行きましょうか、皆さん」
白い歯を見せて笑うハンサムさん
んー、ベリーニコヤカ

とにかく車は走り出したのだった。



    車内



「……」

「……」

「……」

「……」

「……」


………気まずい、走り出してから約十分、一向に皆喋ろうとしない、あの加奈子でさえもだんまりを貫き通している
何か話題でも振ろうかな…、いや、でも何て振ればいいんだ?。

と、とりあえず、一番害がないブリジットに話しかけてみるか?
話題は…、とりあえず無難なのを選んで、今日の本来の仕事……かな?

「ぶ、ブリジットちゃんは今日本当はどんな仕事が入ってたの?」

少々どもりながらも用件をちゃんと話し終えた俺は、引きつった笑顔でブリジットちゃんの方向に向く
だが、そこには俺が期待したちょっと怒って頬を膨らませたブリジットちゃんはいなかった、替わりにいたのは涙目で俺の方をギロリと睨むブリジットだった

「め、メルルのイベントですが何か!?」
「いえ、なんでもございやせん」

即座に答える俺。このまま話し続けてブリジットをこれ以上泣かせたらブリジットと同じ理由で怒ってると思われる桐乃に殺される。
桐乃よ……、あんまり力を入れ過ぎると椅子が壊れちゃうぞ。ほら、ミシミシいってんだから、その手を離しなさい。

こうなると俺に残された選択権は加奈子とあやせの二択になってしまう、はっきり言って二人には話しかけたくない

いつもなら一番話す加奈子が話さないとはっきり言って気味が悪い
でもこの選択肢なら俺は断然加奈子を選ぶね、だってあやせに何か言っても質問しか来ないと思うし

あやせはきっとこう言うだろう

「海か山、どっちがいいですか?」(ベリーストロング ニッコリ)

これだけは何としても避けなければならない、俺はあやせと遊びに行くならどっちでもいいが死に場所ならどっちも嫌だ
俺は山か海に捨てられる自分を想像して背筋を凍らせた

と、とにかく!、今回は加奈子に決定!!。バラバラ死体なんて洒落にならんからな。

加奈子にはやはり食べ物だな。とにかく食べ物で釣るとしよう

「か、加奈子、今日は仕事終わったら何か予定ってあるか?、無かったら何か一緒に食べに行くか?」

やっぱり加奈子と話していて思うんだが、こいつ、すっごい表情がコロコロ変わるのな。俺が話し始めた頃は俺の事をギヌロと睨んできたのに、今は何かウキウキしてやがる。やっぱり加奈子には食べ物が一番らしい。

「べ、べっつにぃ、予定はないけどよう」
「そっか、そいつは良かった」

そう言って笑うと聞こえてはならない音が俺の耳に聞こえてきた。

メギャッ

何だってんだ、どうやったらこんなに恐ろしい音が出せるんだ?
というか人の車だぞ、何を壊したんだ、何を

さすがに何か言ってやろうと思い振り返ると、……椅子の一部を握りつぶして鉄の塊にしている桐乃とあやせとブリジットが居た
代表と言わんばかりに桐乃が俺に「なに……?」と聞いてくるが俺が何も言えなかったのは言うまでもあるまい。
というかブリジットちゅわんまで何やってんの!?。

まさかブリジットちゃんにあんな力があったとは驚きだ。

「あ、あのう、ハンサムさん?」

一つ確認しておかなければ

「はい、何でしょうか」
「これってやっぱり弁償ですかね?」
「はい」

「ちなみに俺の給料はいくらくらい……なんですかね?」

頼むから今月がただ働きなんて事はありませんように……。
そんな願いを込めて俺がハンサムさんを見ると、ハンサムさんはニコリと笑いこう言った

「大丈夫ですよ、月給30万くらいなんで楽に弁償できます」
「ブフォフッッ!!(全員がむせた音)」

な、何で最初からそんなに貰えんだよ、たしか初任給って15万ぐらいだろ!?

「な、何か犯罪してんじゃねぇだろうな、この野郎」
「あはは、それは無いですよ。第一貴方の雑誌がどんなけ売れてると思っているんですか?」

そんなに売れてるのか?

「はい、売れてますよ、それも月給が30万じゃ割に合わないくらいにね」
「ま、まじで!?、この地味面兄貴の雑誌が!?」

桐乃よ、俺の傷を抉るのは楽しいか?

「ほぇ~、世の中皆目ぇ腐ってんじゃねぇの?」

加奈子よ、お前は後で内緒でマスタードをたっぷり塗りたくったハンバーガーをプレゼントだ。

「お兄さん、山か海、どっちがいいですか?」

どっちも嫌です

「マネージャーさんの変態!!」

それはどこから俺が変態っていう結論が出たのかじっくり聞きたいな、ブリジットよ
ていうか、こいつらは俺を苛めて楽しんでんのか?

是非ともこいつらとの仕事を取り消して貰いたいものだ。いや、マジで。



「さて、皆さん、無駄話はそれくらいにしてそろそろ着きますよ。準備していてくださいね」

そうニコやかに言うハンサムさん。
あんたにゃぁ無駄話かもしれないが、こっちにとっちゃ死活問題なんだよ!この野郎。
特にあやせのが!!。

まぁ、そんな事を間違って口にしたものなら俺はものの十分でただの肉塊と化していただろうがな。
冷や汗が止まらないよ、本当。

そんな事を考えながら冷や汗で体中を濡らしていたらどうやら着いた様で、俺の横のドアがハンサムさんによって開かれた
とにかく、降りるとしますか。

荷物を持って車から降りると、そこからはさらなる地獄が待っていた

「京介さぁん!!!!!!!!!!」
「握手、握手してくださぁああいぃ !!!!!」

その光景を見て俺は思わず固まった。何だ、一体何なんだ?、この状況は。一介のモデルが何でこんな事になってんだよ

「さ、行きましょう、京介さん」

こんな状況でも全く動じてないのか、いつも通りの爽やかな笑顔でそう言うハンサムさん
いや、まずは状況を説明しろ

「いやぁ、社長が調子に乗りすぎた様ですね。テレビは見てこなかったんですか?、今は殆ど京介さんのCMで一杯ですよ?」
「一体何者なんだよ、あのパクリのオッサンは」

いや、マジで何者?。頭のネジがぶっ飛んでるとしか思えねぇよ。

「まぁまぁ、今はそんな事よりもここを切り抜けるのが先決でしょう。ちゃんと着いてきてくださいよ?」

そう言ってファン(?)の間を切り抜けていくハンサムさん

「と、とにかく行くぞ!、皆!!」

「私に命令すんな!!」
「うはっ、キモッ、何こいつらババアばっかじゃん!、さすがクソマネのファン!お似合いじゃんww」
「か、かなかなちゃん!待ってよぉ!!」
「ったく、本当に気持ち悪いです!、一回と言わず三百回くらい死んでくださいお兄さん!!!!」

くそっ、後で覚えとけよお前等!!
そんな事をハンサムさんの後を追いかけながら思ったのだった




「ゼハブルッチャベス」

何言ってるんだと思ってるだろ?、走りすぎて息苦しいんだよ。悪いかこの野郎。
っていうかあのクソババア共ばりしつけぇんだけど!?、何だったんだ?一体何だったんだ!?

「きょぉーーおうすけぇええくうぅうんんんん!!!!(訳:京介君)」
「京介くん私の熱いベーゼをうけとってえええぇえぇぇえ!!!!!」

思わず思い出したら気持ち悪くて吐きそうだ。記憶の中から一刻も早く消し去りたい。

「な、何だってのよ!あのクソババア共は!!」
いきなり立ち上がり掴み揺さぶる桐乃、おいおい、そんなに振るなよ、俺の肩を。取れちゃうぞ?、俺の頭が。

さすが陸上部なだけはあるな、桐乃。この中じゃ二番目に息切れしていない。
え?一番目は誰かって?、あのハンサム野郎だよ!。くそっ!!何のん気に紅茶飲んでんだこの野郎!!!

思わず殴りそうになるが何とか我慢する、GJ俺


「さて、皆さん、今日は結構な量を撮りますからね。雑誌一冊分ですから200枚程です、頑張っていきましょう!。あ、ちなみに京介さんのハーレムっぽい感じで撮りますからね」

あれから十分後、皆やっと息が整のってスタジオの中を歩いていたらそんな事をいきなり言い出すハンサムさん。

『は、ハーレム!!??』

思わず大声でそう聞き返す俺達。
っていうか、そんな事をしたら人気落ちちまうんじゃねぇか?

「その点は大丈夫ですよ。ハーレムは結構な人気ですから、皆さん京介さんのハーレムになりたいのですかね」

あのババア共が俺のハーレムに……?。

「あ、あの、ハンサムさん?トイレは何処にありますかねぇ?」

早く教えてくれないと昨日の晩に食べたカレーライス&味噌汁をここにぶちまけるぞこの野郎!!

「あはは、トイレならそこの角を右に曲がったらすぐ見つかりますよ、それに京介さんのファンは殆どが学生さんですよ。まぁお婆さん達は『かなり』熱狂してしまっているみたいですけどね」

あれは『かなり』なんてもんじゃねぇよ、はっきり言ってラリってるとしか思えねぇからな。
ほら見てみろよ、外のババア共の顔をよ、汗で化粧くずれて殆ど化物じゃねぇか。あんなけ動いたら明日にはそこの太ってるババアもガリガリのミイラだぜ。

なんて事をトイレに向かってダッシュしながら考えていた、くそっ、絶対何時か辞めてやる!!



「ただいま」

俺はトイレを出てニコやかに皆に笑いかけた
いやぁ、ハンサムさんの悪口を心の中で連呼するだけでこんなに気分が良くなるとは…。これからも利用さしてもらおう。

「まぁ、それは良いんですけど、私は童貞は卒業していますよ?」
「何ぃ!?、あんた童貞じゃなかったの!?ていうかそれ以前に何で俺がそう思ってるって知ってんだよ!?」
「企業秘密です」

そうでございますか、この野郎。





   ・・・・




「ちょっと兄貴!!、どこ触ってんの!?」
「痛い!!」


只今、スタジオのとある撮影室。俺は今さっき桐乃の肘打ちを鳩尾に喰らった所だ

ゲフッ

おいおい、マジで勘弁してくれよ……、俺は今さっき便所で昨日の飯をリバースして来た所なんですよ?

膝を着いて俺がむせていると今度はあやせが俺に突っ掛かってきた。

「き、桐乃の何処に触ったんですか!?、む、胸!?、胸なんですか!?」
待つんだ、待ってくれあやせよ、お、俺に弁解のチャンスをくれ!!

ま、俺にそんなチャンスをくれる奴がこの場に居るわけが無く、俺がただ頭にでっかいコブを作って終わったがな

「と、とにかく皆、俺とくっ付くのが嫌なのは分かるけど、そんなに嫌ならちょっとでも早く帰る為に協力しあおう、な?」
俺の身の安全の為に。

いきなりの惨状だから訳が分からなくなっているが、まぁ、簡単に言うと今は撮影中だ。ハーレム設定で。
そして撮影途中で桐乃の野郎が俺に触られたー!、とか言いだしてこの状態っていうわけだ。しょうがねぇじゃねーか、みんな水着で密着しまくってんだからよ!!

ちなみにこれを合わせて5回目だ、この惨状は。

とにかく!、俺の身の安全の為にこの撮影(拷問)を早く終わらせなければ!!
決心を固めると俺は目の前のカメラを睨みつけたのだった


パシャッ、パシャッ

あれから何枚撮られただろうか、途中から数えるのもバカらしくなったくらい撮られている
俺は今、片手にワイングラス(INトマトジュース)を持っている格好を撮っているところだ。おいこら、お前等、そんなに見んじゃねぇよ。恥ずかしいだろうが、それとも見惚れてんのか?

「バ、バカじゃん?、あんたに見惚れるのなんてこの世でチンパンジーかマウンテンゴリラぐらいよ!!」
「お兄さんの変態!!、お兄さんに見惚れるのなんかそこら辺に住んでる虫だけです!!」
「はっ、誰が見惚れるかっての、こんなクソ虫に!!」

ひでぇ、下に行けば行くほど酷くなってやがる。泣くぞこの野郎

「み、皆さんもかなかなちゃんも言いすぎです!!」

お、おぉ、ブリジットちゃん……、やっぱりブリジットちゃんは優しかったのか!!

「せめてゴキブリぐらいにして上げて下さい!!」
ちょっとでも期待した俺がバカだったよ!コンチクショウ!!!

そんな風に俺が言葉を出さずに怒ったり笑ったりと端から見たら気持ち悪い事をしていると、ハンサムさんが話しかけてきた

「さて、皆さん、もうすぐ完了なんですが…、もう京介さん以外は撮らないので、帰りたい人は帰っていいですよ?、何なら送らせますから」
何て事を言い終わると、ハンサムさんは何時もの様に俺達に笑いかけたのだった

さて、皆はどうすんのかねぇ、多分俺の予想では加奈子は残ると思うね。加奈子の事だ、どうせ俺が車の中で言った事を覚えてんだろ。
そう思いながら加奈子を見ていると、案の定、残るみたいだった

「京介くん、彼女達が気になるのは分かるけど今は撮影に集中してね」

そんなに酷かったのだろうか、カメラマンの女の人が苦笑いを俺に向けながらそう言ってきた
そこは素直に「すいません」と答えると俺は改めてカメラに向き直る。え~と、後20枚ぐらいだっけ?

「ま、とにかく早く終わらせるとしますか」

気合を入れたのはいいけども、これは俺の性分なのか、とにかくあいつらが俺の目に入ってきた。
何やらスケッチブック?みたいなのを持っているが何に使うんだ?

俺がもっとよく見てみるとそこには何やら文字が書かれていた、え?、何々?
「きょ・う・は・焼き・肉?」

何だ?これ。と言わんばかりに皆の顔を見ると俺は一瞬で理解したね

こいつら……、俺に奢らせる気だな?
その意図に気づくと俺はすぐさま言い返す。口パクで「ふざけるな」と。

けど、口ではそう言っていたものの、もう頭では理解していたさ、逃げられない、とね。
でも、なんでかねぇ、ちょっと嬉しいんだよ。なんでかな…。

俺はそう思って自嘲気味に笑うと最早聞いていないあいつらに向かってもう一度口パクで伝えたのだった「分かったよ」と。


それからいくらもしない内に、カメラマンさんは何故か撮影終了の合図を皆に送った
何でだろ?、なんて思いながらそして内心ラッキーと喜びながら歩き出すと、カメラマンさんに呼び止められる

「なんですか?」

もしかしてまだ仕事があるんだろうか…。なんて考えながら苦笑いで振り返ると、こっちは何故かとってもニコやかに笑っていた
「京介君、最後とってもいい顔だったわよ?、やっぱりあの子達の事を考えてると目が違うわね」

そう言ってその写真を見せてくれるカメラマンさん
こんな表情を俺が?あいつらを見て?

その写真にはとっても優しそうに笑っている、世話好きが写っていた
苦笑いなのに何故か心から笑っているように見える

「どんな変化があったのかな?、貴方の心に」
そう言ってカメラマンさんはまるで可愛い動物、いや、子供を見る様に笑ったのだった



その後、帰り道。
俺は前を歩く皆を見ながら思っていた

こいつらを見ながら俺があんな表情を?

「やっぱり……、ありえねぇよな」
そんな事を言いながら歩いている俺は自分がどんな表情をしているか知らない



「ちょっと!兄貴!、焼肉忘れてない!?」
「霜降り特上の松坂牛で決定だなww」
「か、かなかなちゃんそれは高すぎだよ!、マネージャーさんじゃ払いきれないよぉ!!」
「一緒に食べてるからって調子に乗らないでくださいね?、如何わしいことをしたら引き千切りますよ?」


こいつらも今、俺にどんな表情を向けているかは知らないんだろうな…。
とりあえず、こいつらのご機嫌取りの為に
焼肉屋にでも行こうか。

「分かったよ、焼肉な。ただし松坂牛は無しだかんな!」

そう言って俺は再び歩き出した、あいつらに追いつく為にちょっと早歩きで

こんな生活も悪くないかもしんないな、これもまた一つの形なんだよ、きっと。
でも、俺はこいつらが笑えてるならどんな形でも嬉しく思える気がするよ。

そんな訳の分からない事を考えながら、俺はこの中途半端な時間に騒いでいる皆に追い付いた
そして俺の今の金銭的状況を考えた最善の選択を皆に言ったのだった

「牛太の食べ放題でどうだ?」


きっと、続くに違いない、ずっと、ず~っとこんな生活が。皆で笑いあう、こんな生活が。
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