無題:2スレ目790


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790 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 20:55:34.04 ID:KsRycRTT0 [2/19]
2月14日。
全国の男子生徒が、朝から下校完了まで常にそわそわし、ある者は歓喜し、また者は絶望に打ちひしがれる日。
打ちひしがれる者にはさらに追い打ちをかけるように母からの思いやりが待っている。

中には最初から我関せずというスタンスを貫く者もいるが、実際はそれも内心そわそわしている者と完全に悟りを開いている者に二分される。

どちらかというと俺はその後者だった。

赤城「高坂よ、もうすぐバレンタインだな」

京介「そうだけど、いきなりどうした」

赤城「お前、今年も田村さんからもらうの?」

京介「多分な。それがどうかしたか?」

赤城「くっそ…なんてうらやましい。な、なぁ俺にもくれるように頼んでくれねえか?」

京介「お断りだ。なんで俺がお前のチョコを工面せにゃならんのだ」

それでなくても恐らくこいつは多くのチョコをもらうはずだってのに。
腹の立つ野郎だ。


794 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 20:59:08.67 ID:KsRycRTT0 [3/19]
赤城「そんな怖い顔すんなよ。ほんの冗談だって」

京介「話はそれだけか?」

赤城「…お前、田村さんのことになると不機嫌になりすぎだろ」

京介「うっせ、ほっとけ」

しかし、バレンタインか…あやせたん俺にチョコくれたりしないかな?


2/14夕方

京介「麻奈実、さっさと帰ろうぜ」

麻奈実「うん。きょうちゃん、今日は私の家に寄ってもらってもいい?」

京介「おう、わかった」

こいつが俺にチョコをくれるのはもはや恒例行事となっているので何も言わなくてもわかってしまう。

京介「今年はどんなのにしたんだ?」

麻奈実「えへへ、今年はちょっと頑張って工夫をこらして作ったんだよ~」

京介「お、そうなのか?じゃあ期待させてもらうか」

麻奈実「うんっ。きょうちゃん、きっと喜んでくれると思うな~」

にへ~と笑う麻奈実。
こいつの顔を見ていると一日の疲れも吹っ飛んでしまう。
ほどなくして田村家に到着し、麻奈実が目的の物を作ってくれるのを待つ。

796 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:03:34.97 ID:KsRycRTT0 [4/19]
麻奈実「あと少しだからもうちょっと待っててね」

京介「おう」

いつもならこのままここで麻奈実の作ってくれたチョコを食べながら、ひとしきりのんびりした後帰宅するのだが、今年は違った。
婆ちゃんが出してくれた茶をすすりなが麻奈実を待っていると、
「さっさと帰ってこい」
と、桐乃からのお達しが届く。

麻奈実「おまたせ~、きょうちゃん」

京介「悪い。なんか桐乃が早く帰ってこいって言っててさ、のんびりしてられないみたいだからそれ包んでくれるか?」

麻奈実「そっかぁ、それじゃあ仕方ないね。ちょっと待っててね」

麻奈実から、丁寧に包装されたチョコを受け取ると俺は少し早足で自宅へと向かう。
しかし、なんなんだ?俺に用事でもあんのか、桐乃のやつ。


798 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:09:06.86 ID:KsRycRTT0 [5/19]
帰宅の途中でさらに携帯がなる。

京介「誰だ?」

携帯の画面にはあやせの文字。
うおおおお!?これはまさか、まさかひょっとするとひょっとするのか?

あやせ『いつもの公園で待っています』

京介『すぐ行く』

こうしてはいられない。桐乃には悪いがこれは…そう、いわば不可抗力だからな。
公園に着いてみるとあやせはひとりベンチに座っていた。

京介「悪い、待たせたか?」

あやせ「いえ、気にしないで下さい」

京介「そうか、で今日はどうしたんだ?」

半分答えのわかった質問をわざと投げかける。

あやせ「いつかの人生相談のお礼です。受け取ってもらえますか?」

京介「当たり前だ。いやぁ、しかしあやせから貰えるとは思わなかったぜ。やっぱりあやせは俺のこと…」


799 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:13:32.26 ID:KsRycRTT0 [6/19]
あやせ「ここに置いておくので後で回収して下さいね」

京介「ちょ、ちょっと待って!?いくらなんでもそれはひどいだろ!?お、俺が悪かった!!」

甘い言葉はこの際我慢しよう。せめて、せめて手渡しで……。

あやせ「う…仕方ないですね。お兄さん、いつもありがとうございます。これからも人生相談よろしくお願いしますね」

そう言って、ぽっと顔をあからめてチョコを渡してくるあやせマジ天使。
あやせとの別れを惜しみながらも俺は自宅へと歩を進めた。
これ以上遅くなったら、桐乃に何をされるかわかったもんじゃないからな。

京介「ただいま」

帰宅して玄関をあけると、すぐさま甘い匂いが鼻をつく。

京介「ん?この匂い…チョコレートか?」

沙織「おかえりなさいませご主人様!」

京介「沙織!?なんでおまえがここに!?」

黒猫「…私もいるわ」

京介「お、お前ら…なんでうちにいるんだ?」


801 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:17:40.61 ID:KsRycRTT0 [7/19]
沙織「実は普段お世話になっている京介氏にバレンタインチョコのプレゼントでござる!」

黒猫「別に他意はないのよ…勘違いしないでちょうだい」

これでこそ、俺の今までの苦労が報われるというもの。
沙織の送ってきた同人誌でえらい目にあったり、黒猫と桐乃の緩衝剤になってやったり…
思い出したら泣けてきたぜ。

黒猫「ふっ…あまりの感動に涙がでてしまっているようね」

もう、そういうことでいいよ。
お前らのしてくれたことがありがたいのは確かだからな。

沙織「では京介氏、いつもいつもありがとうでござる。これはその気持ちです、受け取って下され」

黒猫「わざわざあなたのために作ったのよ。むしろあなたが感謝なさい」

京介「ありがとな、お前ら」

じわりと浮かんだ涙を袖で拭う。


804 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:22:15.72 ID:KsRycRTT0 [8/19]
京介「…あれ?そういえば桐乃はどうした?」

黒猫「あぁ、あの子は部屋に引きこもってるわ。よほど恥ずかしいのね」

沙織「まあまあ黒猫氏、きりりん氏はあれでも勇気を振り絞ったのですよ」

京介「なんのことだ?」

沙織「ふふっ、それは京介氏がご自分の部屋に入ればきっとわかりますぞ」

黒猫「私たちはこれでお暇するわ。あまり遅くなってもいけないから」

京介「なんだもう帰るのか?」

黒猫「ええ、私の目標は達成されたのだから」

沙織「私も自宅までは距離がありますゆえ」

京介「そうか。今日はありがとな、こんないいものもらっちまって」

沙織「さきほどもいいましたが、それは日ごろのお礼ですから、どうかお気になさらず」

黒猫「…それじゃあまた」

京介「おう、またな」


806 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:26:56.19 ID:KsRycRTT0 [9/19]
さて、沙織は俺の部屋に入ればわかると言っていたな。
これがエロゲだと自分にリボン巻いた桐乃がでてきそうな……いかん、なんて想像してるんだ俺は。
全力で邪な妄想を振り払い部屋のドアをあける。
すると、机の上に一つの袋が見えた。

京介「これ…か?」

そこにあったのは、「兄貴へ」と書かれた紙と桐乃からの精一杯の感謝の印だった。

京介「あいつ…ありがとな、桐乃」

おそらく隣で聞き耳を立てているであろう妹にそう呟く。


さて例年に反して今年は大量のチョコが頂けたわけだが、これはどうするべきか。
一気に食べるには多すぎるし、冷蔵庫に保存してお袋にあれこれ言われるのも避けたい。

京介「まあいいや。とりあえず開けてみるか」

麻奈実のチョコを開けてみる。

京介「へぇ、あいつ、今年は和菓子にしたのか」

飴細工で細やかな飾り付けがしてある。さすが和菓子屋の娘だ。
次いであやせのチョコを開けてみる。

京介「お、これ生チョコってやつか?」

あやせらしい、上品な感じのするチョコだな。
さらに黒猫と沙織のチョコを開ける。

807 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:30:28.47 ID:KsRycRTT0 [10/19]
京介「うお!黒猫のは猫の形になってやがる!沙織は……なんで眼鏡なんだ?」

黒猫は持ち前の器用さで猫の形をしたチョコを用意していた。今更だけどあいつすげえな。
沙織に関しては何も言うまい。俺にはあいつがわからないよ

京介「さて、最後は桐乃か」

最後に桐乃のチョコを開ける

京介「これは…?メダル?」

そこにはメダルの形をしたチョコが一枚収まっていた。
ちょうど表彰に使われそうなサイズである。
なんでメダル?まぁあいつの気持ちはわかったし、なんだって嬉しいよ、俺は。

京介「こうしてみると、チョコにさえあいつらの個性が表れてんな。個性強すぎだろ」

ははは、と声をあげて笑う。
桐乃のは正直よくわかんないけど。あいつが陸上やってるのと関係あるのかな。



808 名前: ◆5yGS6snSLSFg [] 投稿日:2010/12/01(水) 21:33:22.49 ID:KsRycRTT0 [11/19]
そして再びすべてのチョコを見回してみると、その全てに手紙が入っていることに気づいた。

京介「ん?まさか愛の告白とかか~?まいったね」

と浮かれながら手紙を手に取り読んでみると、そこには…

「一応感謝の印のつもりだけど、あんたもありがたく思うこと。あとホワイトデーは倍返しが基本だから」
「あやせちゃんからほわいとでーは倍返しが当然だと聞きました。期待しちゃってもいいよね?」
「人生相談のお礼です。ですが、ホワイトデーには…わかってますよね?」
「あなたがこの手紙を読むことで契約は成立したわ。ホワイトデーは覚悟なさい」
「いつもお世話になっているお礼です。しかしホワイトデーは別腹でござる!」

京介「」




おわり。短くてごめんね
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