無題:13スレ目73


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 えっと、あたしは漫画家をやっています。
 名前は……仮にK.Kという事にしておいていいかな?
 本人はバレてるって気付いてないみたいなんだけど、あたしの妹は某魔法少女ものアニメの公式レイヤーをやっている、と言えばあたしが誰なのかは分かってくれると思う。
 あたしの漫画が原案となったアニメがかつてはあったんだけど、そのアニメの裏番組があたしの妹がやってるキャラのアニメっていうのも、いったい何の因果なんだろうね。
 もちろん、その裏番アニメも同人誌を作っちゃう程度には好きだよ?
 でも、割り切れない部分はあるわけで──

「まずい。このままでは妹の学費が出せない……」

 通帳を見ながら悩むあたし。
 なんで妹の学費の事で姉が頭を痛めているかというと、二人暮ししてるから。
 あ、両親は健在だよ?
 でも、妹が親と折り合い悪くてあたしのマンションに転がり込んできたワケ。
 単なるわがままなら、熨斗付けて宅配便で実家に送り返すところなんだけど、妹の言い分にもかなり同情してしまう部分もあったのでそのままウチにおいとく事にした。
 妹一人くらいあたしの収入があればどうって事ないとその時は思ってたから。
 だって、アニメの原作者だよ? 売れっ子漫画家だよ? そのへんのサラリーマンなんかじゃ相手にならないほどの収入があったんだから。
 実際、当時の年収は実家のそれを遥かに上回ってたし。

 アニメが放映されていた時は、放映料だけでなく、便乗効果でコミックスの印税も「がっぽがっぽ」だったし、裏でやってた魔法少女ものと比べても視聴率は遥かに上回ってたから安泰だと思ってたのね。
 あたしが裏番の同人誌を作ってたのもそのあたりの慢心があったと言われたら、今となっては否定できない。

 だけど──
 あたしのアニメ(一期)も裏番アニメも終わって、DVD/BDが発売された時の衝撃は今でも忘れられない。

 なんで視聴率が上回っていたはずのあたしのアニメがワゴン行きになってるの!?

 その夜あたしはアニメの原案となった漫画を描くきっかけとなった人に電話を掛けた。
 あたしがイニシャルで名乗っている以上、その人の名前を出すわけにもいかないので伏せ字になってしまうけどそのあたりは御了承いただきたい。

「シ○ヤ先輩ぁい。どうしよう。先輩がワゴンで売られてるんですぅ」
『久し振りに電話かけてきたと思ったら開口一番でなに訳わからんこと抜かすんだ?』
「だからぁ、マ○ケラのDV──」
『あーあー! 俺はマ○ケラとは一切関係ない! だから俺もワゴンなんかで売られていない! 以上!』

 先輩が電話を切る気配を感じ取ったあたしは慌てて、

「うにゃっ! 待って待ってぇ!」
『なんなんだよ?』
「このままじゃさ○らちゃんと顔合わせにくいんですぅ」

 さ○ら、というのはあたしの知り合いの漫画家で、やはり何の因果か裏番の魔法少女アニメのコミカライズをやってるペンネームさ○ら・G・さ○らちゃん。
 あたしがその魔法少女アニメの同人誌を描いてるのもその人繋がりだったりする。

『そんなこと俺に相談されても困る』

 とかなんとか文句言いながらも、結局はあたしの愚痴を最後まで聞いてくれるあたり、すごいお人好しだなぁ。

 先輩と電話して心の部分ではスッキリしたけど、経済的な部分ではスッキリとはいかない。
 アニメは放映されたらそれでお終い、というわけにはいかないのだ。
 アニメの制作にはお金がかかる。
 その費用はテレビ放映のスポンサーからの提供、グッズの売り上げなどで賄われているのだ。
 そのグッズが第一の問題で、魔法少女ものだと子供向けということもあって、主人公たちが使うアイテムを模したおもちゃなどが作られたけど、あたしのアニメは対象年齢が高いこともあっておもちゃ関係は望めない。
 一応、主人公が被っている仮面、ストーリーを題材にしたゲームなどが売られたりはしていたけど散々なものだった。
 せめてDVD/BDがそれなりに売れていたらまた話は変わってたかもしれないのに、よりにもよってワゴン行きなんてあんまりだ。

 その後、二期も放映されたけど、魔法少女アニメの二期も同時に放映されて、とどめを刺された形で終わってしまった。
 ついでに言うと、魔法少女アニメは三期も作られたけど、あたしのアニメは全くそういった話も出なくなってしまった。

 天国から地獄。
 さ○らちゃんもその件については触れないでいてくれるのだけど、気を使われてるようで逆に辛い。

 でも、あたしのアニメの三期を待ってる人もいるかもしれない、いやいるはずだよね!?
 その中にはファンを集めて嘆願書をアニメ会社に突き付けるという人もいるはず!

「『マ○ケラ 三期』っと」

 PCからブラウザを起動して検索してみる。

『誰も望んでないもの マ○ケラ三期』
『マ○ケラはオワコン』
 ・
 ・
 ・

 ……へっ、PCの画面が霞んで見えないぜ。

 数日後、あたしは匿名で取得できるメールアドレスを作り、同じく匿名で利用できる無料サーバーに登録した。

「トップページはこんな感じでいいかな。で、コンテンツは……」

 変にベタ誉めするのもわざとらしい。
 あたしはアニメの感想などを書いているブログを片っ端から閲覧し、あたしのアニメに触れている記事を集めまくった。
 そして、それをあたしの言葉で書き直す。
 普通の人が読んでも分かりやすい言葉にするよう注意して。

「ん? すごい絶賛しているのは分かるけど、あまりに難解すぎて一般語にはちょっと通訳し辛いな? ていうかあたしの漫画以上に難しい言葉使いまくってるし……。えっと、『†千葉の堕天聖黒猫†』……?」

 よし、『マ○ケラ三期を嘆願する会』サイト、完成!
 このサイトで同志を募ってアニメ会社に働きかける、うん、完璧!

 そう、あたしがやろうとしているのは、ステマと言われても言い訳できないような事だった。
 SNSでコミュニティ作るのも考えたけど、いくらハンドルネーム名乗っていてもSNS運営会社には本名で登録することになるので、どこから漏れるか分からない。
 だったら一からウェブサイト作った方がいいと踏んだ訳だ。
 もちろん、自分の活動を告知するためのあたし個人のサイトも持っているけど、そっちはドメイン取って有料のホスティングサービスを利用している。
 今回作ったサイトは個人が作ったファンサイトという形にしているので、『あたしのサイト』とは関係ないようにしないといけない。
 ので、他のアニメなどのファンサイトは公式サイトへのリンクは貼っていたりするけど、公式からファンサイトへのリンクなんて有り得ないから、片思いリンクにしておく。

 ちなみにコンテンツはブログ記事などを加筆修正したアニメの紹介ページ、掲示板(このサイトの活動主旨に賛同してくれる人は足跡を残して下さい、的な)等だ。
 ただ、このままではこっちからのリンクはあってもこっちへのリンクは無いからサーチエンジンも拾ってくれない。
 サーチエンジンに拾ってもらうためにURLを登録するのは当然として、さらなる起爆剤が欲しい。
 ここで登場するのは2ちゃんねるのマ○ケラ関係スレ。
 これだけ大規模な掲示板サイトにURL書けば被リンクの重要度も高くなるはず!

 ……アンチスレしか無い……。

 この空気の中で応援するスレを立てても叩かれるのが目に見えてるよね。
 まあいっか。
 アンチスレの中でも特にレスが盛んに書き込まれてるスレをセレクト。

悪あがきしてるサイトハケーン
http://……

 なんか書込みしてて泣きたくなってきちゃった。
 でも、このスレの住民の中には擁護レスしてる人も少なからずいるみたいだから、凸する人の中には三期制作運動に賛同してくれる人もいるよね、うん。


 翌日、あたしの新サイトのアクセスカウンターはとんでもないことになっていた。
 掲示板の書き込み件数もすごい。

 だけど、オール荒らし書き込み。

 個人サイトの荒らしに対しては下手に反応しない事。
 反論したら面白がってエスカレートするので黙って削除していく。


 サーチエンジンが拾ってくれてるか確認するために『マ○ケラ 三期』で検索。

『マ○ケラ三期を嘆願する会──』

 おーっ!

『──はパクリサイト その5 2ちゃんねる』

 …………。

 たった一日であたしのサイト叩きスレが『その5』まで立ってるんだ……。

 で、でもっ! それだけ注目されてるんだよねっ!?

 だけど、これこそ反論なんて出来ない。
 コンテンツのほとんどは個人ブログからの寄せ集めだからパクリと言われても仕方ない。
 そうだ!
 漫画家としてのあたしの公式サイトのブログに……


いまさらながらマ○ケラを応援してくれるサイトが出来たみたい

http://……

こういうサイトがあるとあたしとしても嬉しいんだけど

出来れば自分の文章で応援して欲しいなあ


 これで変則的ながら相互リンク完成!

 で、新サイトの方はトップページにお詫びを掲載して、コンテンツのパクリ文章は全削除、過去の評判などで名場面と言われてるシーンをキャプチャーした画像とそれについての注釈文を書いたページを新規に作成して置き換える。
 もちろん、公式ブログであたしからの苦言が出て即座に新サイトが更新されるのは明らかに怪しいから二、三日ずらして──。
 その間も掲示板の荒らし書き込みは黙って削除を続行。


 ちなみに新サイトの書き換え作業が終了する頃には2ちゃんねるの叩きスレは『その15』まで立っていました、ぐすん。


 全ての作業が済んで一週間経過。
 今日も今日とて掲示板の荒らしを削除するだけの簡単なお仕事。

 あっ!
 誤って勢いに任せて削除しちゃうところだった!

名前『†千葉の堕天聖黒猫†』
本文『私で良ければ協力しないでも無いわ』

 どこかで見た名前だな?
 でも、ようやく一人目の賛同者が現れたんだよね!?

 ……じーん……。
 いけない、またPCの画面が霞んで見えなくなってきちゃった。


 数日後。
 今日も今日とて掲示板の荒らしを削除するだけの簡単なお仕事。
 あ、また賛同者らしき書き込みがある。

 注:都合により一部伏せ字にします。

名前『魔眼使い瀬菜』
本文『三期ではル○シ○路線を更に強化して欲しい。夜○の女王はいりません』

 ……腐女子?

 確かにそういう描写はあるけど決してBL作品というわけで無いんだけど……。
 まあとにかくこれで二人目。

 さらに数日後。
 今日も今日とて掲示板の荒らしを削除するだけの簡単なお仕事。
 この文章、コピペしてるだけだって?
 細かい事気にしちゃ負けだよ?
 っと、この書き込みは……

 注:都合により一部(ry

名前『きりりん@メ○ル三期絶賛公開中(゚∀゚)』
本文『いまさらマ○ケラだってwww誰得www』

 なんだ荒らしか、削除っと。


「姉貴、なにやってんの?」
「あ、加○子!? な、なんでもないよー、ちょっとネットサーフィンしてるだけ!」
「ふーん」
「で、どうしたの? またマ○ケラのDVD見たいのかな?」
「ちげーよ。ホ、ホラ」
「なに、この封筒?」
「加○子もさー、バイト始めたから、自分の生活費、くらいは、だ、出してもいいぜって、それだけ! もう渡したからヨ!? 返金は受付ねーべ!?」

<了>
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