ビバ・夏!!:14スレ目50


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ビバ・夏!!

なんて素晴らしい季節なのだろうか、夏というのは。
熱い砂浜、青い海。そして、セクシーな水着のお姉さん!!

素晴らしい!!!

俺は思わず太陽に向けて万歳をしてしまった。
そう、今俺は海に来ている。勿論一人では無い。桐乃と黒猫と沙織が一緒だ。
どうしてこんなリア充みたいな事をしているかというと、桐乃の奴が言い出したせいだ。

桐乃が言うには、今日ここでコスプレのイベントがあるらしいのだ。
それに参加して桐乃はメルルの豪華商品をゲットという魂胆らしい。

ちなみに桐乃はEXモードのメルルのコスプレをするみたいである。
メルルは全体的にようぢょしか出ないので桐乃に勝ち目は無いのではないのでは、と思うのだがそのおかげでこんな良い思いを出きるのだから追求はしまい。

うんうんと頷いていると、着替え終わったらしい。皆がこちらに歩いてくる。

「はぁ何故私がこんなところに来なければならないのかしら。ここは天使の光(エンジェルズフォール)が強いから余り来たくないのだけど」
「紫外線ね。厨二病乙」
「まぁまぁお二人とも、まずはこの水着姿で京介氏を悩殺いたそうではござらんか」

……oh
やられた、やられたよ。

俺は鼻血が出ないように鼻を手で押さえる。

お前ら、分かってるじゃねぇか。ここでマニアックなスクール水着とか着てきたら俺は帰るところだったぜ。
よかった、全員ビキニでよかった。

特に沙織。お前の体系はビキニじゃないといけ無ぇ。そのまさにボンキュッボンッな体系はビキニが一番映える。
それに加えて黒だからな。エロ杉だろ常考。

黒猫、お前も分かってるじゃねぇか。ビキニはビキニでも子供が着ていそうなミニスカビキニを選んでくるとは。お前の凹凸の少ないスマートな体系にはそういう可愛い水着が似合うんだぜ。

そして最後に桐乃。我が妹ながらなんとも我侭なボディーだろうか。そりゃ沙織には負けるがそれでもたわわに実った果実が胸元にあった。
キュッとくびれた腰に、柔らかそうな太もも。そしてそれを隠そうとするパレオ。うん、完璧じゃないか。

ブッ!!

おっと、ついに限界が来たらしい。

「ちょっ! 兄貴!? なに鼻血出してんの!?」
「せ、先輩!? 大丈夫!?」
「ふふん、京介氏は見事に我々の水着姿に悩殺されたようでござるな」

あぁ、駄目だ。鼻血とまんねぇ。
本当きてよかった。これだけで重たい荷物を運ばされたかいがあったってものだ。
俺は念のために用意していた3箱のティッシュを一箱取り出すと二、三枚取り出して鼻に詰め込んだ。

ふぃー。あとは寝転びながら桐乃達がキャッキャウフフするところを眺めるだけだな。

ビーチパラソルを立てて、シートの上に寝転ぶ。

「ちょっと俺は休んでるわ、お前らは遊んでてくれ」

そう言って皆を浜辺へと促す。桐乃達はなんの躊躇いも無く頷くと、俺を置いて砂浜を駆けた。
さぁ、俺の天使達よ、遊んでくれ。揺れる胸を見せてくれ。肌を滴る雫を見せてくれ。

なんて事を思いながら桐乃達を見ていると、隣から話しかけられた。
内心で舌打ちをかますと、渋々振り向く。

誰だよ。邪魔すんのは。

「よっ、こんな所で何やってんだ?」
「……加奈子か、俺は妹のお守りだよ。お前こそこんな所で何やってんだ?」
「加奈子はちょっと仕事でな」
「……あぁ、コスプレか」
「なんで知ってんの!?」

いや、それが目的で来たしね。今日は。
俺は完全に加奈子の方に向くと、改めて水着を見た。

ボーイッシュな感じの水着だ。上はスポーツブラに近い感じで、下は普通の水着に短いジーパンを合わせた感じ。
ここまで男みたいな態度の奴だと、とても似合っている。二つに括っている髪の毛もぴょこんとしていてとても可愛らしかった。

「な、なんだよ」

おっと、ジッと見つめすぎたらしい。俺は慌てて視線を外すと、一応礼儀として水着を褒めた。

「水着、似合ってんじゃねぇか」
「ば、バッカ当たり前だっつの!!」

何故か怒って加奈子は顔を真っ赤にする。
このバカは自分が似合っているのは当たり前だろう、と言いたいらしい。ふむ、確かに一理ある。悔しいが認めるしかあるまい。加奈子はなんだかんだで可愛いから結構なんでも似合うのだ。

「あぁ、悪かったよ。仕事はいつからなんだ?」
「んーと、まぁ後一時間ぐらいで仕事開始かな」
「結構時間有るじゃねぇか、ここで休んでいくか?。ジュースぐらい奢ってやるぞ」
「ひひ、分かってきたじゃねぇか、クソマネ」

加奈子は奢ってもらうのが嬉しいのか、頬をピンクに染めながらはにかんだ。
まぁジュースぐらいでこんな顔が見れるなら安いものだ。

ちょっと可愛く思ってしまい、頬をポリポリとかく。

「じゃ、売店まで行くぞ」
「おーう!」

子犬みたいについてくる加奈子に思わず笑ってしまったのだった。


   ・・・・


30分後。


俺と加奈子は特になにもせずノホホンと寝転がっていた。
たまに持って来たお菓子を二人で食べたりするが、それも寝たままだ。

あぁ、ぐーたら最高。

「なぁクソマネ、喉渇いた。ジュース取って」
「へいへい」

ぬるくなると嫌なので、クーラーボックスにしまっておいたジュースを取り出すと、加奈子に投げる。
加奈子は寝ながらでも華麗にキャッチすると起き上がって飲む。

「ぷはぁ、生き返るぅ」

加奈子はオッサンみたいな飲みかたをすると、これまたオッサンみたいな反応をした。
風呂上りのビールを飲んだオッサンかお前は。

ま、それにしてもこいつは、なんで微妙なものばかり飲むのだろうか? ドロリッチにしたって、喉が渇いたときに決して飲みたいとは思わないのだが。
今回にしたって、こいつはヤシの実オレンジという、ひじょうに微妙な商品に手を出した。どっちだ、ヤシなのか、オレンジなのか。
つっこみどころが多すぎる。

でもどうだろうか、加奈子のやつはそんなジュースをむちゃくちゃ美味しそうに飲んでいるではないか。
意外と美味いのだろうか?

人間一度気にしだすと、いけない。気になって気になってしかたがなくなる。
なので俺は、加奈子にジュースをもらおうと声をかけた。

「おい、加奈子。それ美味いのか?」
「おうよ。やっぱ夏の海に来たならこれ飲まないとな!」
「へぇ、そんな美味いのかよ。じゃ、ちょっと一口くれね?」
「……へ?」

加奈子は俺の言葉を聞くと、口をポカンと開いて間抜けな面になった。
ん? なんだ?
と思っていると、どうだろうか。今度は顔が真っ赤になりはじめたではないか。

「お、おい。大丈夫か?」
「お、おおお、お前ぇぇ!! いきなり何言い出すんだよ!?」

俺が心配して声をかけると、それをきっかけに加奈子は何故かキレた。
顔をトマトのように真っ赤にしながら怒り狂っている。

「いや、どんな味するか気になったから…」
「お前分かってんのか!? お、おま、これ加奈子が飲んだやつなんだぞ!?」

? なにが言いたいんだ? ばっちぃって言いたいのか?

「あぁ、大丈夫大丈夫。そんなの俺気にしないから」
「か、加奈子が気にすんだっつの!」

ふむ、年頃だな。じゃぁしょうがない。面倒だが口元のところを拭いて飲むとしようではないか。

「分かった。それじゃぁ拭いて飲むよ。ならいいだろ?」
「い、いや、わざわざそんな事する……ことはねぇよ。分かったから普通に飲めよ」

俺がせっかく折衷案をだしたというのに、どうしたことか、加奈子は普通に飲んで良いと言い出したではないか。
どっちなんだよ! とツッコみたかったものの、今そんな事を言ったら最悪飲ませてくれない可能性も出てくるので、なんとか文句を飲み込んだ。

まぁ本人からお許しをもらったんだ。普通にのもうではないか。

「じゃ、もらうな?」
「おおおおう」

おたけび?

加奈子の返事に内心ツッコみをいれながら、俺は加奈子のジュースに手を伸ばす。
ペットボトルの蓋を開き、俺はジュースを飲んだ。

「っど、どうよ?」
「……微妙」

うん、とにかく微妙だ。
オレンジの風味もするし、ヤシの風味もする。どっちつかずの味だ。
どうしてこんなものを飲まないと夏の海じゃないのだろうか、やはり俺は間違っていなかった。やはりおかしいのは加奈子の方であって、俺ではなかったのだ。

「えぇ? 結構美味いと思うんだけどなぁ」
「いや、これはマジで微妙だぞ…」

加奈子が赤い顔で、俺の感想に文句を言ってくるが、これは譲れない。こんな味で夏の風物詩など語らせてなるものか。
この後、加奈子が俺の舌がおかしいなどと言ってきたが、それを言ったらお前の舌だろう、と俺が反論して口喧嘩になった。まぁ永遠に平行線で決着がつくはずもなく、俺達はそれ程時間を置かずに結局もとの位置に戻っていた。
レジャーシートの上でノンビリと寝転ぶ、最初の位置に。

しかし、それから何分過ぎたぐらいだろうか? 加奈子は欠伸をもらしながら立ち上がった。

「じゃ、加奈子今から仕事だから。じゃぁなクソマネ」
「ん? もうそんな時間なのか?」
「まぁ用意とか色々あるかんね。なに? もしかして加奈子が居なくなって寂しいの?」
「バーカ、んなわけあるかよ」
「ニシシ、まぁ気が向いたら仕事終わりに会いに来てやるよ!」

加奈子は最後にそういうと、思い切り笑って会場に走っていった。


ふむ、加奈子にはああ言ったがうるさい奴がいなくなると寂しいもんだな。
欠伸をもらす。

すると、いつのまに帰ってきたのだろうか。バッグの中からバスタオルを取り出す桐乃達がいた。

「ん? いつ帰ってきたんだ?」
「いや、別にぃ? あんたが自分の妹の友達とイチャイチャしていたところからだけど?」
「やっぱりようぢょが好みだったのね、呆れたわ」
「ふむ、今の時代それはいかがなものかと。二次元ならまだしも現実でそれはタイーホでござるよ?」

何気なく質問しただけなのに何故か返ってきたのは剣の有る返事だった件について。
まぁとりあえず否定だけはしとかなければ。

「いや、なに勘違いしてんだよ。今日あいつは仕事で来てんだっつの。それでたまたま見つけた俺に話しかけたんだろ」
「「「鈍感」」」

何故か全員がハモって俺に同じ事を言ってきた。鈍感? 俺が鈍感?
全力で否定したかったが、話がややこしくなるだけだと理解しているので自粛する。

「ま、いいよ。で? なんかとりに来たのか?」
「いや、何言ってんのよ。もうすぐ大会でしょ?」

あぁ、加奈子が行ったってことはそうなのか。
景品は何か知らんが頑張ってもらいたいものだ、勝てなくて参加賞だけだとか目もあてられないからな。
まぁ参加賞があるかどうかも知らないのだが。

「ま、頑張って来いよ」
「? 何言ってんの? あんたも参加するに決まってんじゃん」
「は? 俺が? いやいや、女装とかマジ勘弁だから」

メルルに男キャラなんかいないだろうが。

「先輩、何を勘違いしているのか知らないけれど今回の大会はなにもコスプレはメルル限定じゃ無いわよ」
「ふむ、確か拙者の記憶では 星くず☆うぃっちメルル と MASCHERA 堕天した獣の慟哭 と 妹めいかぁEXシリーズ の作品のどれかのコスプレが可能だったと思うでござる」
「はぁ!? じゃぁなんで景品がメルルのしか無いんだよ!?」
「そっちこそ何言ってるわけ? あたし達は一度も景品がそれだけとか言ってないじゃん。副賞にはマスケラのフィギュアだってあるっての」
「まぁ何故副賞なのかは疑問に思わざるをえないけれど」

黒猫は不満そうに頬をふくらませる。
っていうかちょっと待て!? じゃぁ何か? 俺も参加する感じになってるのか?
無理だって、マジで。お前らと違って俺は並の見た目なんだよ? もうちょっと俺の事も考えようよ。

「ちなみに拙者はタナトス・エロスで参加するでござるよ」
「ま、そう言う事だから。あんたは当然漆黒の衣装ね」
「当然ね、先輩には本来の姿に戻ってもらうわ。私の生涯の敵である漆黒という真の姿に」


もう夜魔の女王になり切っているのか、黒猫は頬を紅色に染めてうっとりとしていた。
やべぇどうにかして逃げたいがどうにも退路を断たれているらしい。どうしよう。

どうにかして逃げようと必死に考えていると、手遅れらしい。俺は桐乃に手を取られると無理やり会場に向けて歩かされた。
畜生。


会場前。やはりどこででも沸くのだろう大きなお友達がむさくるしくひしめき合っていた。
夏のビーチだというのに全員がなにかしらのアニメがプリントされた服を着ているというのだから精神を疑わざるをえない。

だが、非常に理解しがたいが、この会場の懲りようからしてこの大会は結構大掛かりな部類に入るらしい。証拠に仕事で来ている加奈子もいたし、カメラマンらしき人達もいる。

なんて考えていると、とうとう大会が開かれた。司会であろう人が出てくる。

「こっんにっちわー!! メルルだよぉ!!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

……加奈子だった。
加奈子の奴、俺はてっきり大会に参加するのかと思っていたが、どうやら司会らしい。

「今日は来てくれてありがとぉ!! 楽しんでいってねぇ!」
『わぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ』

加奈子がウインクをしてそう言うと、会場に居た何人かが咳をして倒れた。
大丈夫なのかよ!?
とか思っていると大会の関係者なのだろうか、なにか腕章をした人たちが倒れた人を連れて行った。

その光景を見てると、とてつもない不安が襲ってくる。
警察沙汰にならない事を祈るばかりだ。

「よぉぉし、最初にOPとしてメルルの踊りを見てねー!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁ』

加奈子が大声でそう言うと、会場に音楽が流れ始めた。言わずも知れたメルルの主題歌である。
メールメルメルメルメルメルメ、という電波的、表現を柔らかくしても特徴的が限度の音楽だ。聞いていると頭が痛くなるのはこの場では俺だけらしい。
加奈子の奴ももう何度も踊っているのだろう。冷静さが慣れているのをかたっていた。

そんなメルルも主題歌が終わると、もう会場のテンションは最高潮まで上り詰めていた。歓声が耳に痛い。

「皆ー!! ありがとー!! じゃぁ次からは本命のコスプレ大会だよ!! それでは一番の方、どうぞー!!」

加奈子がそう言うと、パーン!! と会場のあらゆるところからクラッカーが炸裂した。それと同時に加奈子が引っ込み、一番にコスプレを披露する人が出てくる。
この大会では、三つの段階をふむらしい。まずは特技を披露する『特技タイム』 二つ目は司会の人の質問に答える『質問タイム』 三つ目は会場の皆に向けて挨拶する『挨拶タイム』だ。

この三つの段階を終えて、次の人に変わる。

やっぱり大会の規模だけはあって、しっかりとした内容になっているらしかった。
けれど、何故か参加者は少ないらしかった。合計でたったの30人らしい。
大会の規模に臆したのだろうか? まぁなんでも良いが、俺達には好都合だ。
早く終われるし、景品もゲットしやすい。
さらに桐乃達はモデルになれるくらい可愛いのだ、最早ほとんど景品をゲットしたも同然だろう。

うんうんと頷く俺。そんな事をしていると、どうやら桐乃達の出番がもうすぐらしい。俺以外の皆は大会の係員さんに連れられてどこかに行ってしまった。
ちなみに俺の出番は28番。かなり後ろの方なので、まだまだ待つ事になりそうだ。

「ではお次の方! 13番の方お願いしマース!」

加奈子のそんな声に続いて、黒猫が会場に姿を現した。俺にはいつものゴスロリにしか見えないのだが?
だが俺のそんな感想に反して、会場は沸く。

『わぁぁぁ!!』

よく見ると、黒猫とほとんど同じゴスロリ服を着ている方もいらっしゃるではないか。
まぁなにはともあれ、黒猫のコスプレが認められて俺も嬉しい限りだ。

「ではまず始めに、特技を見せてくださーい!!!」

「ふふ、そうね。でも司会の人? 私の特技には人の協力が必要なのだけれど、どうすればいいのかしら?」
「ふむー、そうですねー。審査員さーん! 会場の人たちに協力してもらうのは、いいのですかー?」

加奈子がそう審査員に聞くと、審査員は数瞬もしないうちに、OKサインを下さった。

「オーケーだそうでーす! では会場の人たちに協力してもらって、アプローチしてください!」
「了解したわ。では、下僕達? PSPのスト4が得意な人がいたら出てきなさい。何人でも良いわ、アピールタイムの内に何人でも相手してあげる」

黒猫は有名どころのゲームを二つ持ち出し、会場の大きなお友達を挑発した。すぐに何人も手をあげる。
会場のカメラマンはすぐに会場上の黒猫の手元を映す。その映像はすぐに会場の上についたモニターに、映し出された。

「さぁ、かかってきなさい」
「ははっ! 俺がどんだけやりこんだと思ってんだ。いくら可愛いからって……、俺が勝ったらデートしてください!!」

なにを考えているのか、黒猫に向かってデートを頼む野郎。
だがそんな光景を見ても、俺が焦る事は無い。
何故なら、俺は知っているからだ。こいつがゲームでは誰にも負けないと。

「さぁ、次よ」

ほらな、余裕だろ?

さっきのデートを申し込んだ奴は一瞬で蹴散らされ、すごすごと会場を降りていく。
それからも次々に挑戦していくが、勝つどころか攻撃を当てる暇もなく倒されていく。

アピールタイムは最大十分。
なんと黒猫はわずかなその時間内で、10人以上を蹴散らし会場が歓声でつつまれた。

「ふむむむ! すごかったですねー! メルルも思わず見入っちゃいました!! よし、では次の質問タイム、いってみよー!!」

会場から何人も手が上がるが、順番的に審査員がやはり上なのだろう。審査員さんを指差し加奈子が声を張り上げる。

「ではそこの審査員さん! 質問いってみよー!!」
「ふむ、そうだね。ではまずは絶対に聞いとかなければならない質問をしようかね」

腕を組みながら、妙に勿体つけて話す審査員。どうでも良いから早く質問しろや。とか思っているのは俺だけではあるまい。

「君。勿論彼氏はいるまいな?」

……なんか変なこと気にしてるんだけどぉぉぉぉ!!!

「えぇ、残念ながら居ないわ」

審査員の妙な質問に律儀に答える黒猫。ここは無視しても全然大丈夫だっただろうに。そんなに景品が欲しいのだろうか?
そう思っていると、黒猫が質問に答えてからしきりにこちらをちらちら見ている事に気がついた。どうしたのだろうか? 腹痛か?
まぁここで舞台から降りると次には進めないだろう。だから俺は応援する事にした。

俺は舞台横から黒猫にサムズアップした。頑張れ、黒猫。

「あぁ、先輩。絶対また勘違いしてるわね。あの顔はそういう顔だもの。折角私が彼氏居ない事を教えてあげたのに、あの反応はちょっと流石に傷つくわ」

黒猫マイクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
黒猫の俺に対する愚痴(まぁこの際何故俺が愚痴を言われているのかは問うまい)はマイクを通して、会場に大音量で漏れていた。
審査員の顔がみるみるうちに変わっていく! 真っ赤に変わっていく!

そして、会場と審査員の声がハモって会場に木霊した。

『こいつ彼氏は居ないけど好きな奴いるぞぉぉぉぉぉぉ!!!!』

全員が怒り心頭のようだ。なんちゅうしょうもない連中なんだ……。
俺は呆れる気持ちと一緒に何故か流れてくる涙が止められなかった。だってしょうがないだろう? 俺だってモテた事無いんだから。黒猫の好きな奴、か…。殺したいね。

「はい、次は挨拶ね、早くして降りてくださーい」

審査員が冷たい目(詳しく言うならオタクがリア充を見る目)で黒猫を見て促す。
ぶっ殺してやろうか。

「ふむ、そうね」

そんな皆の目に気付かずに黒猫は堂々と次の挨拶へと移行する。

「下僕達? 我を真なる闇の王の玉座へと導きなさい! これは願いではなく命令よ!」

こうして、黒猫の出番は終わった。
まぁあの様子なら次には進めないだろうが、どうか落ち込む事が無いようにとだけ願っておこう。どうにかできるならしてやりたいが、どうにもできそうにない。
なので大会が終わったらあの審査員をぶっ殺してパンツ一丁にして外に放置してやる。

さて、次は誰だ?

会場を見ていると、お次に出てきたのは桐乃の奴だった。
黒猫の時より控えめな声援が聞こえてくる。やはりファンからしたら桐乃がメルルをやるのは無理があったのだろう。
しょうがない、だってあのアニメを見ているのは大体ようぢょが好きな変態なのだから。

俺から見たらまだガキんちょでも、あのメルルファンからしたらかなりふけて見えるのだろう。

特技はオーソドックスに歌。
メルルの主題歌を歌った。きょぬーになど興味は無い! っと豪語する連中も、やはり男なのか大きく揺れる胸に視線が行っていた。
まぁメルルのコスであんな踊りをしたらそりゃ揺れるだろう。俺も男だ、妹だからって胸が揺れているのなら見てしまうのだ。これは男の性だ。しょうだ無いに違いない。

反応はまさに微妙な感じ。あれはメルルの大人verだ! という脳内保管する奴も居たが、やはり受け入れられない奴も多いらしい。

続いては質問タイム。
審査員が当然のようにあの質問をしたが、桐乃は清清しく「いません(ニコリ)」と答えた。まさにモデルの営業スマイルだったが、会場の皆様は見事に騙され歓声を上げる。
哀れな連中だ。桐乃がどれだけモテるのか知らないだろうに。こいつが彼氏を作ろうと思えば今この瞬間から30分もあれば作れるだろう。
桐乃がどんだけリア充だと思っているのやら。オタクが皆非リア充だと思ったら大間違いだぜ。

俺が呆れて溜息をつくと、桐乃は最後の挨拶を行っていた。

「お兄ちゃん達! だいちゅき!!」

桐乃いわく、かむのがコツだそうだ。
狙い通り挨拶は好評で、アピールタイムよりも質問タイムよりも大きな歓声が会場を揺らしたのだった。


さて、ここからはしばらく俺達には関係無い人たちの出番だ。
俺は一息つこうと、近くのベンチに腰掛ける。

それにしても、ヤバいな。見た目が良けりゃ勝てるだろ、とか思っていた俺をぶん殴りたいぐらいだ。
やはりオタクはいらないプライドがあるのか、黒猫も桐乃もあまり良い結果が得られていない。黒猫は特にだ。もう景品は得られないも同義だろう。

桐乃は好評っちゃぁ好評だったのだが、やはり他の人に比べてパッとしない。その前の人たちも見ていたが、やはり歓声の大きさや、審査員の印象も劣っていると思われる。
残るは沙織と俺だけなのだが、俺は論外と言っても過言ではない。やはり沙織に頼るしかないだろう。

欲しい景品は少なくとも二つ。どうにかならないものか、と考えるも、良い考えが浮かぶ事もなく沙織の順番が来た。
沙織の出番は16番なので、もう大会も後半に突入だ。

さて、沙織の奴はどんな特技を見せてくれるのだろうか。
ちょっとだけ興味がある。

沙織は会場に出てくると、会場横に用意していたのだろう射的の的らしきものを運び込んでいく。これで大体の奴が分かっただろう。
ふむ、佐織らしいな。

オートマティックの銃を二丁。名前は知らないが赤黒い外装の銃を二丁、両手に持って構えるその姿は、思わず見とれるほど格好良い。メガネも取っているのでまさに美女戦士というのが相応しい容姿になっていた。
会場は一瞬静寂につつまれて、そして箍がはずれたように皆叫んだ。

タナトス・エロスの格好で銃を持つ格好良さがウケたのだろうか、分からないがこの歓声は今までのどの歓声より大きい事は確かだった。

構えているだけでこれだ、これから沙織が見せる特技を見たらどんな反応がかえってくるのか。。

そう思っていると、沙織が「行きます」と言って一気に弾けた。
両腕を一気に左右に開き、左右の的の顔面を撃ち抜く。続けて発砲、今度は胴を打ち抜いた。ここまでの発砲数は4発。聞こえた発砲音は合わせて二回。その意味が成すところは、両腕で持った銃の発砲間隔が限りなく零に近いということだ。

結構な威力なのか、ペイントが弾けたと思ったら的自体倒れていく。だが完全に倒れる瞬間、沙織が後ろも見ずに銃口を背に向け連射する。的が倒れた音が一切聞こえず、代わりに嵐のような発砲音が耳に届く。沙織の背にあった的が倒れる前に撃ち続けられ壁に叩きつけられた。それでも尚撃ちつづける。

やがてマガジンが空になり、沙織はマガジンを排出して銃をホルスターにしまい、一瞬で新しいマガジンを懐から二つ取り出すと空中に放り投げる。
もう一度銃をホルスターから取り出したと思うと、なんとマガジンを空中で銃に装填した。

ガシャリと男心くすぐる音がマイクを通して会場に響く。
沙織は最後だ、と言わんばかりに空に向けて新しいマガジンが空になるまで撃ち続けた。

終わって、佐織はスカートを掴むと、軽く会釈した。
会場の最初の一人が呻き声をあげる、そして、一気に熱気が溢れかえった。

『『『うおぉぉぉぉおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』』』

俺も雄たけびを上げている一人だ。
すげぇ、すげぇよ沙織! 鳥肌やべぇことになってんだけど!!
なんて事を思っていると、加奈子が喋り出した。

「うぉぉ、すっげぇなお前!」

って加奈子! 素が出てんぞ!


    ・・・・


その後、質問タイム、そして挨拶も無事に終わり。沙織は見事優勝(ほとんど)確定の状態となった。
そしてどんどんと順番は流れて、とうとう俺の番が回ってきた。

これで俺が準優勝とかできれば良いのだが、やはり世の中そう甘くはあるまい。
俺は諦め半分になりながらも、一応頑張りますか、と会場に出る。

キャラになりきるためにクールを気取りながら。
会場の中央につくと、マントを翻してボソリとマイクに向けて呟く。

「漆黒だ……。よろしく頼む」

そして会場は、静寂に包まれた。
沙織の時なんて比じゃねぇぐらいの静寂が。

あぁ、やっぱり駄目か…。すまねぇな、黒猫。景品はゲットできそうにねぇよ。
冷や汗をかきながら、内心で黒猫に謝っていると、どうしたことだろうか、会場がとんでも無く大きな大歓声に包まれた。

『ほ、本物の漆黒よぉぉぉぉぉおオオオオオオオオオオオオ』
『か、かっけぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ』

一瞬ビクッとなってしまったが、なんとか外面をととのえる。何故歓声が生まれたのかは疑問だが、これならば準優勝ぐらいはできるかも知れん。
特技の件でも沙織がとっておきを用意してくれてる。これはもしかしたらもしかするかもだ。

さて、正念場だ。ばっちこいや。
と構えて加奈子を見る。だが、いくら視線を向けても加奈子が反応しない。
何故かボ~っとしている。

『く、クソマネかっけぇ……はっ! な、なな、何言わすんだてめぇ!』
「……お前が勝手に言ったのだろう」

いつものノリで返しそうになるが、どうにかキャラを保ち答える。
加奈子も冷静になったのか、どうにか営業スマイルを取り戻すと声を上げた

『よぉし、じゃぁはじめに特技をみせてもらっちゃおぉう!』
「ふむ、特技…か。なら、刀術でも見せようか」

俺は会場横に用意してある、模造刀と『細工』をした丸太を一本取って来る。
ここからはただただ演技があるのみだ、どれだけ観客を騙せるか。気を落ち着けるように深く深呼吸をする。
腰を落とし、刀に手を添える。

会場もあわせたように静まりかえる。頬を伝う汗の感覚がひどく鬱陶しい。
もう一度だけ、と深呼吸をすると、俺はついに刀を抜いた。唾なりの音が甲高く響く。そして俺は数瞬もしないうちに刀を鞘に納めた。

それと同時に、丸太が五等分され床に崩れ落ちた。

そして、デジャヴのような感覚が俺を包む。沙織の時のように、会場を大歓声が覆ったのだ。
良かった……なんとか騙せたかな……。

安心すると、ドッっと疲れが襲ってくる。俺は本当は切ってなどいない、ただ、切る『ふり』をしただけだ、丸太は最初から『切られていた』 それを表面を接着剤で簡単にくっ付け、そしてある一箇所を叩くだけで崩れるようにしておく。あとは演技をするだけだ。

まぁあまり自信は無かったのだが、どうにか騙せたようでなによりだ。
俺は後の質問を軽く答え、そして最後に挨拶をする

「……また、俺に会いたいか? 俺はまたお前達に会いたい。会いたいやつには願おう。会いたくない奴には命じよう。俺をもう一度壇上に登らせろ!!……分かったな?」

そこで俺はかるくウインクしてマントを翻して壇上から降りた。直後にまたも歓声が聞こえてきた。
俺は裏に戻ると、一人ガッツポーズをした。

なんかいけた気がするぞ!
多分これだったら準優勝できたんじゃねぇの!?

充足感が満ちてくる。これで黒猫に景品を上げる事が出来るかもしれん。
まぁどれもこれも沙織のおかげなのだが。今度沙織にはお礼をしなければ、どっか食べにでも連れてってやるとしよう。

俺はニヤニヤと笑いながら会場を後にしたのだった。


    ・・・・


 その後。俺達は帰りのバスで揺られていた。
加奈子も一緒で、俺以外の皆は寝こけてしまっている。

大会の結果は見事俺は優勝をはたした。完璧に沙織に負けていると思っていたのだが、どうしてかは分からないが俺が優勝してしまった。
それでも沙織は準優勝で、俺達は欲しかった景品を全部手に入れたのだ。

その証拠に、桐乃の奴は俺があげたメルルのフィギュアを大事そうに抱きしめている。そう、抱きしめているのだ。言っていることが分かるだろうか? 抱えているのではなく抱きしめているのだ。そう、桐乃が抱きしめているのはあの伝説の等身大フィギュアと呼ばれる物なのだ。
沙織の話ではそのフィギュアはレア物どころの話ではなく原作者が直々に書き上げたイラストをそのまま作り上げ、そして世界で通用しているフィギュア師が直々に作り上げた唯一無二のものらしいのだ。売れば車の新車が買えるらしい。

俺だったら即効で売るね。

ふと溜息をついて外を見る。夕焼けが眩しく、海がキラキラと輝いていた。
体を動かしたいが、そういうわけにも行かない。左の肩には桐乃が寄りかかっていて、右の肩には加奈子が寄りかかっているからだ。
黒猫の奴が大層ご機嫌斜めだったが、仕方あるまい。加奈子は桐乃の表の友達だからな。裏の友達としては気に入らないのだろう。

その時の事を思い出して俺はまたもや溜息をついてしまった。
あの時は「あら、随分とオモテになるのね? 先輩?」なんて事を喋っていた口も、今では沙織と肩を寄せ合って眠り、何も喋らない。

静かなものだ、と景色を眺め続ける。海岸沿いを走り続けていたバスも、とうとうその道を外れた。
景色が段々と見慣れたものになっていくのに、俺は一末の寂しさを覚えた。
夏が終わりってわけでもないのに、悲しくなってくる。

俺はそんな気分を紛らわすように首をふるが、すこしも紛れる事は無かった。
どんどんと気分が沈んでいく中、俺の周りの皆がうなり声を上げる。

それに続くように寝言を言い出す。

「ふみゅぅ、よぉし次はスイカ割りだクソマネぇ……」
「なに言ってんの……次は海の家でやきそ、ば、…」
「ふみゃ、わたし、は、アイスを…望む、わ…」
「まぁまぁ、皆様ったら…食いしん坊さんです、ねぇ」

お前らは夢の中でつながってんのか? というぐらいリンクしている。思わず俺は噴出してしまった。
うん。そうだよな。これからだよな、夏は。

沙織に礼もしてねぇし、まだ皆で秋葉にも行ってねぇ。加奈子達の荷物持ちもしてねぇし(まぁやりたくは無いのだが)あやせのお願いも聞いてねぇ。
第一にまだあやせの水着を、見てねぇ。

俺はそこまで思い浮かべると、アンニュイな気分も無くなって口元には笑みを浮かべてしまった。
まだ目的地には時間がある。そう考えると、俺の体は疲れを思い出したのか瞼が急に重くなってきた。

心地良く感じるようになったバスの振動も手伝って、俺はすぐに眠りについてしまったのだった。


駅に到着。皆寝ていたせいか、顔が寝起きだ。加奈子なんかはしきりに欠伸をしている。
沙織と黒猫はここから電車なのでお別れだ。

「よし、それでは拙者達はここで失礼するでござる」
「そうね、そろそろ良い時間だものね」

そう言うと、二人は名残惜しげも無く改札口に向けて歩き始めた。

「おい! 今日は楽しかった、サンキューな!」

俺がそう言うと、二人は振り返っていつものように笑った。
そして互いに手を振って別れる。



「よし、俺達も行くか」
「いや、加奈子はここで良いよ、家近いし」
「そうか?」
「おう、でもさ」

加奈子は俺の袖を少しだけクイッと引っ張る。夕焼けのせいで赤くなった顔で上目遣いをしてきた。
うぐっ、か、可愛いじゃねぇか

俺は少し動揺しながらも、なんとか聞き返す

「な、なんだよ」
「今日さ、ほとんど遊べなかっただろ? だから今度さ、一緒に遊びに行かね?」
「なんでだよ」
「なんででも!」

ほとんど強制な加奈子の態度。でも、そんな加奈子に誘われて嬉しがっている俺がいるのもまた真実だった。
だから俺は苦笑いして、仕方なくっていう体をしながらも了承してしまった。

「分かったよ、仕方ねぇな」
「へへ、絶対な! 絶対だかんな!」

そして加奈子は、帰ったらメールする、と言ってダッシュで帰っていった。
仕方ねぇ奴だな…と思いながら帰ろうと桐乃を振り返る。


かなり怒っていました。


なんで怒ってるんだ、と聞く暇も無く桐乃俺の頬に一発紅葉を散らしてくれると、ずんずんと歩いていく。

「それ、ちゃんと家まで運んでよね」

桐乃はちょっと振り返ると、地面に置かれた荷物を指差してそう言った。
そこには当然等身大のメルルフィギュアもある。

「ま、待て桐乃。これを俺が運ぶのか?」
「当然でしょ。さっさとしてよね、早く家に飾りたいから」

それから桐乃は俺の、待ってくれという言葉に耳をかさず、さっさと歩いていってしまった。

「結局俺が運ぶんかぃぃぃぃ!!!」

帰りに俺がどんな視線を向けられたかは、各自の想像に任せる事とする。




fin
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