「さてと……午後からはどうしようかな」
休日の昼下がり、私は自分の部屋の机の椅子に座りながら午後は何をしようかと考えを巡らせていた。
今日この日は朝早くからパパとママは外出しており、夜までは帰ってこない予定となっている。
今日この日は朝早くからパパとママは外出しており、夜までは帰ってこない予定となっている。
家に一人いる私は午前中、部屋に掃除機をかけて綺麗にしたり、一時間ほど机に向かい勉強に取り組んだりして……午後からは音楽でも聞きつつ新しい詩でも書いてみようか、それとも気分転換に外に出かけようか、などと色々と考えている所だった。
「梓は今ごろ、どうしてるかな……」
ふと、梓のことを考える。
梓は意外とお寝坊さんな所があるし、何もない休日はもしかしたら昼頃まで眠ったりしているのかもしれない。
むにゃむにゃと言いながら寝ぼけまなこをこすりつつ、もぞもぞと起き出してきたりするのかな。
むにゃむにゃと言いながら寝ぼけまなこをこすりつつ、もぞもぞと起き出してきたりするのかな。
「それはそれでまた可愛いかも……はっ」
そんな寝ぼけた姿を想像して、ついニヤけてしまった。
流石にそんな事を考えるのは失礼というものか……。
流石にそんな事を考えるのは失礼というものか……。
「電話してみて、何もなければ午後から一緒に過ごせないかな」
梓の方で今日は何か用事があるにせよ無いにせよ、梓の事を考えている内に何だか声が聞きたくなり携帯を取り出し電話を掛けようとした所、
――ピンポーン。
「ん? 誰だろう」
家の呼び鈴が鳴り響く音に、部屋を出て玄関に向かう。
休日の今ごろの時間に誰かがたずねてくるなんて珍しい……まあ、律辺りなら連絡も無しにいきなり家に押しかけてくる事は時折あったりするが。
休日の今ごろの時間に誰かがたずねてくるなんて珍しい……まあ、律辺りなら連絡も無しにいきなり家に押しかけてくる事は時折あったりするが。
「はい、どなたですか」
一応、玄関を閉めたまま呼びかける。
すると、
すると、
「あっ……澪先輩? 私です、梓です」
「――――」
「――――」
声を聞いた途端、一瞬思考が停止した。
玄関の向こうにいるのはちょうど今考えていた、愛する後輩に間違いなかったから。
玄関の向こうにいるのはちょうど今考えていた、愛する後輩に間違いなかったから。
「澪先輩?」
「あ、ああごめん、今開けるよ」
「あ、ああごめん、今開けるよ」
はっ、とわれに返った所で玄関の戸を開ける。
「こんにちは、澪先輩」
「梓、連絡も無しにいきなりどうしたんだ? 電話でもメールでもしてくれれば、私の方もそれなりにもてなす用意は出来たのに」
「そ、それは……」
「梓、連絡も無しにいきなりどうしたんだ? 電話でもメールでもしてくれれば、私の方もそれなりにもてなす用意は出来たのに」
「そ、それは……」
そう聞くと梓は何やら目を伏せて恥ずかしそうにしながら、
「……澪先輩に、会いたかったんです」
そんなコトを、口にしていた。
「先輩の声が聞きたくなって、そう思ったら先輩の顔が見たくなって、会いたくなって……。
それで何だかいてもたってもいられなくって、先輩の家まで来ちゃったんです」
「梓……」
「す、すいません、何の連絡も無しに来て、やっぱり迷惑ですよね……」
それで何だかいてもたってもいられなくって、先輩の家まで来ちゃったんです」
「梓……」
「す、すいません、何の連絡も無しに来て、やっぱり迷惑ですよね……」
申し訳なさそうに下を向きながらそう話す梓。
しかし私は、
しかし私は、
「ふふっ、そんなことないよ」
「え……?」
「どうして私達って、同じ事を考えるんだろうな」
「え……?」
「どうして私達って、同じ事を考えるんだろうな」
そう言いながら、玄関の戸を閉めつつ梓を中に招き入れると、そのまま腕の中に抱きしめる。
「あっ……」
「ちょうど今、私も梓に会いたいなって思ってたんだ。
そしたら梓の方からやってきてくれて……流石に驚いたけどさ、それ以上に嬉しいよ」
「澪先輩……」
「ちょうど今、私も梓に会いたいなって思ってたんだ。
そしたら梓の方からやってきてくれて……流石に驚いたけどさ、それ以上に嬉しいよ」
「澪先輩……」
耳元で囁き、抱きしめながら頭をそっと撫でてあげると梓は幸せそうな笑みを浮かべてくれた。
なんだか、何時になく梓がすごく愛しい。
なんだか、何時になく梓がすごく愛しい。
「梓……」
「先輩……ん……」
「先輩……ん……」
少し体を離して見つめあうと、互いに瞳を閉じて唇を重ねる。
「んっ……あむ……ちゅ」
「ふあ……んんっ……ちゅ」
「ふあ……んんっ……ちゅ」
お互いに相手を求めていたからなのか、考えていたからなのか。唇を重ねるだけでは足りず舌を絡め合う。
舌が触れ合い、絡まるたびに体が、だんだん熱くなってくる。
舌が触れ合い、絡まるたびに体が、だんだん熱くなってくる。
「ぷはっ、せんぱい……」
唇が離れ互いの口元を通して唾液の線が一本、つー、と糸を引きながら、梓は頬を赤く染めてとろんとした目で私を見つめてきた。
正直、こちらの理性が吹き飛ぶのも時間の問題なので、
正直、こちらの理性が吹き飛ぶのも時間の問題なので、
「いつまでも玄関先にいるのもなんだし、上がって。
続きは部屋に行ってから……な」
続きは部屋に行ってから……な」
梓は赤い顔のまま、私の言葉にこくりと頷いた。
(FIN)