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「きゃーっ!」
「うひゃーっ!」

 後ろから抱きしめてくれる澪先輩の柔らかさを感じつつ流れる水とともに滑り降り、ばっしゃーんという水音とともに下のプールに着水!

 今日は澪先輩と一緒にプールへ遊びに来ました。

「ぷはっ、やっぱり爽快ですね、ウォータースライダーは」
「ああ、このあっという間に滑り降りるスピード感がたまらないよな」

 水から顔を出すと夏の太陽の光が眩しく、けれど澪先輩の笑顔はそれよりもっと眩しく見えて、胸がどきどきする。

「けどちょっと意外でした。澪先輩、ウォータースライダーは苦手なような気がしてたので」
「あのな、私はその、お化けや幽霊の類いが苦手なだけでウォータースライダーとかはかなり好きだぞ……ってあれ?」
「どうしました、先輩?」
「梓、ツインテールが片方ほどけてるぞ」
「えっ? あれ、あれれっ?」

 先輩に言われて片方の結んでいた髪に手をやると、ゴムが外れて無くなっておりほどけてしまっていた。

「今のウォータースライダーでほどけたのかな、近くに外れたゴムが流れたりは……」

 きょろきょろと先輩と一緒に近くの水面を見渡すものの、外れたゴムは見当たりそうにない。

「どうしましょう……」
「更衣室に戻って、結び直そうか。あそこなら鏡もあるし私が結んであげるよ」
「いいんですか?」
「ああ、ちょっと小休止も兼ねてさ。さ、行こう」
「は、はい」




「梓、結ぶのにこのリボン使わないか?」
「先輩、このリボンは?」

 先輩に従いプールから出ていったん更衣室に戻ると、先輩は荷物を入れたロッカーから赤い色の可愛いらしいリボンを持ってきた。

「私が予備に持ってきたやつだけど、梓に似合うんじゃないかと思ってさ」
「じゃ、じゃあせっかくなのでお願いします」
「了解。じゃあそこの鏡の前にある椅子に座って」
「はいっ」




 鏡の前にある椅子に座ると、先輩は私のもう片方の結んでいた髪のゴムを外し、慣れた手つきで私の髪を後頭部の高い位置にまとめていく。
 先輩は学校の体育で髪を結んでいるのでやっぱり長い髪を結ぶのは慣れてるんだろう。

「梓の髪、やっぱりしなやかですごく綺麗だな」
「そ、そんなことないです」
「うふふっ」

 他の人に自分の髪を触られるのは普通は嫌なところだけど、澪先輩に触れられるのは平気。
 頭を撫でてくれるのは大好きだし、澪先輩が自分の髪を結んでくれることがなんだか嬉しくって顔がほころんでしまう。

「よし、できた。どうかな?」

 顔を上げて鏡で自分の髪を見ると、赤いリボンで結ばれた綺麗なポニーテールが出来上がっていた。

「はい、とてもいい感じです。ありがとうございます」
「そっか、上手く結べてよかった」
「それに……澪先輩と同じ髪型になりました」

 最初にプールに向かう際に先輩も髪をポニーテールにして結んでいたため、私たちは今お揃いの髪型。
 鏡に映っている、お互いにお尻辺りまで届く長いポニーテールに結んだ私達の姿は何も知らない人が見たら姉妹だと勘違いしそうなぐらい。

「あ、ついクセで私が自分で結ぶ時と同じように結んじゃったけど」
「いいえ、こうして先輩とお揃いの髪型になって……なんだかすごく嬉しいんです」
「ん、そうだな……ちょっと恥ずかしいけど、私も梓とお揃いの髪型っていうのはなんか嬉しいな」
「えへへ、ありがとうございますっ」

 椅子から立ち上がると、私は先輩の腕にぎゅっと抱き着いた。

「あ、梓?」
「行きましょう、先輩。私、今度は流れるプールに行きたいです」
「ああ、いいけど……なんか急に甘えん坊だな、梓」
「今はなんだかすごく甘えたい気分なんです。
 ……ダメでしたか?」

 ちょっと調子にのりすぎかな……と少し不安になった。
 けど、




「ううん、甘えてきてくれて私は嬉しいぞ」

 先輩はにっこりと笑いながら、私の頭を撫でてくれた。
 もう嬉しくて嬉しくて胸がどきどきではなくって、きゅんきゅんしている。

「大好きです、澪先輩っ」
「ふふっ、私も大好きだよ、梓。じゃあプールに戻ろっか?」
「はいっ!」

 これからも本当のお姉ちゃんのように慕わせてくださいね、澪先輩!

(FIN)