澪「ごめんな、梓」
梓「え……何がですか?」
澪「いや……私、去年の学園祭ライブであんな醜態を晒していて。失望しただろ?」
梓「し、失望だなんてそんな」
澪「この間の合宿では散々怖がりな所を見せてしまって、トドメにライブで転んでパンチラしたことも映像付きで知られちゃったし……呆れられても仕方がないよな」
梓「だ、だから私そんなこと……!」
澪「けどやっぱり、いつかは知ることになるだろうから早めに知って早めに失望してくれたほうが楽と言えば楽かな?」
澪「こんな怖がりで意気地無しなくせにまるで痴女のようなろくでもない先輩だって……」
梓「っ! だから私、そんなこと思ってないです!」
澪「梓、気休めならやめ……」
梓「気休めなんかじゃないです!!」
澪「あず、さ……?」
梓「だって澪先輩は軽音部に入ったばかりの私に部に馴染めるように優しく気をつかってくれたり」
梓「部活の時は皆さんに練習しようって私と一緒に言ってくれたり」
梓「合宿のお風呂ではさわ子先生にセクハラされそうになった時には撃退してくれたりしたじゃないですか!」
澪「梓……」
梓「それにボーカルで歌ってた時の澪先輩の姿はすごくかっこよかったですし……!」
梓「そんな澪先輩を私は失望なんてしてません! するわけないじゃないですか!」
澪「…………」
梓「だっ、だから……そんな卑屈なことっ……ばかり……言わないでくださいっ……」グスッ
梓「わだじのっ、ずぎなみおぜんぱいを……ばかにっ……じないで……」ポロポロ
澪「……梓っ」ギュ
梓「あっ……」
澪「ごめん……卑屈なことばかり言って」
梓「ひっく……ぜんぱい……」
澪「私、梓が去年のライブのこと知ったら絶対私のこと失望すると思ってたからっ……だから……」グスッ
梓「バカなこと言わないでくださいっ……」
澪「だって……」
梓「もし演奏があまりに酷すぎたり、まともに歌えてなかったりしたら失望するかもしれないですけど……」
梓「演奏もきちんと出来てましたし、歌だって上手く歌えていたんですから!」
梓「だから私……失望なんてしてません! 私は澪先輩のこと、尊敬してますから!」
澪「梓……こんな私を尊敬なんて」
梓「もう……卑屈なこと言うのはダメです! 禁止です!」ギュッ
澪「あ……ごめん、ごめんな……本当に……」
梓「み、澪先輩」
澪「ん……?」
梓「そ、そろそろ行かないと……唯先輩のギターの弦、取り替えに皆で楽器店に行くんですから」
澪「あ、そうだな……いつまでも二人で部室にいて皆を校門前で待たせるわけにはいかないな」パッ
梓「あ……」
梓「あ……」
澪「どうした?」
梓「な、なんでもないです! 行きましょう!」スタスタ
澪「梓」
梓「はい?」クルリ
澪「ありがとう。私も梓のこと、好きだから」
梓「えっ……///」カァ
澪「さっ、行こう梓!」
梓「……はっ、はい!」