(#゚;;-゚)バレエ・メカニックのようです その4


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( "ゞ)「そうか……」

( "ゞ)

( "ゞ)「これからどうするんだい? 行くあてはあるのかい?」

(#゚;;-゚)「センターへ帰ります。それから……また別のご家庭へと派遣されます」

(#゚;;-゚)「最初からそういう手はずだったのです。今やっと、正常な流れの中に戻れた。ただそれだけのことです」

(#゚;;-゚)´「もしかして、先生。私にここで働かないかと仰るつもりだったのですか?」

( "ゞ)「おっと、バレたか。さすがロボット、というかは分からないけど、鋭いね」

( "ゞ)「ここまで濃密に関わっておいて、ハイさよならというのも薄情に思えてさ。少しくらいなら」

( "ゞ)「面倒も見れると思ったんだけどね。君がまたすぐ、家政婦業に戻れるのか否かって点も気になって」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「お優しいんですね、先生」

(#゚;;-゚)「でも、無理はなさらないでください」

(#゚;;-゚)「先生は、多分ロボットがお嫌いなんでしょう?」

( "ゞ)

(#゚;;-゚)「個人の診療機関でも、職員やシステムにロボットを組み込むところは珍しくはないはずです」

(#゚;;-゚)「医療現場ほどの激務の場に、自動化・同時化・効率化の意味でも、ロボの手は猫の手よりも借りたいはず」

(#゚;;-゚)「ですが、先生の診療所は100%人間の人間による人間のための、ステレオタイプな医療機関です。受付でさえ、生身の女性職員」

(#゚;;-゚)「先生は、医療現場にロボットを持ち込みたくないんですね?」

( "ゞ)

( "ゞ)「参ったね。まさか……ロボットの君にそこまで見透かされるとは」

( "ゞ)「少し背筋が寒くなるのが本音だよ。そして、君の言ってることもだいたい合ってる」

( "ゞ)「うん……そうだ、君は正しい」

( "ゞ)「お察しのとおり僕は、自分の職場にロボットを組み込むことを頑なに拒んでいるんだ」

( "ゞ)「でも、ロボット自体が憎たらしいわけじゃないんだ」

( "ゞ)

( "ゞ)「ただね、医療の現場ってのは特殊な場でさ」

( "ゞ)「身体の弱った人間は往々にして心も弱るんだ。昨日話した、こころね」

(#゚;;-゚)「魂、精神と近似する概念」

( "ゞ)「そう、それ」

( "ゞ)「でね、心が弱った患者ってのは厄介で、すがれるものなら何にでもすがってしまいそうになる」

( "ゞ)「僕達にはそんな疲弊した彼らの心を受け止めるだけの、覚悟と勉強と訓練を重ねているけど、でも僕達だって人間だ」

( "ゞ)「疲れるし、こっちが心を病む場合もある。ところが君たちは別だ」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)「機械は疲れないし、へこたれない。眠る必要がないし、食事もいらない」

( "ゞ)「おまけに技術は正確で、場合によれば地球の裏側ほど離れた場所にいる患者を救うことだってできる」

( "ゞ)「そして、美しい上に不変だ。ここがきっと、一番重要だ」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)「まるで神様じゃないか、って僕は思うことがあるよ」

( "ゞ)「だって無敵だもの。きっと僕の代わりに、ロボット・デルタ医師でも開発してこのデスクに座らせた方が」

( "ゞ)「……きっと、救える患者の数だって二倍、三倍、それ以上になるだろう」

( "ゞ)「でも僕はそんなの、認めたくないんだ」

( "ゞ)

( "ゞ)「弱った人間を本当に救えるのは、プログラミングされた笑顔じゃない」

( "ゞ)「筋肉と骨格と感情が生み出す笑顔なんだ」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)

( "ゞ)「だから僕は、本当は介護ロボットというシステムも嫌いだ」

( "ゞ)「生活に困った人々を助けたいという意思は汲もう。でも、やり方がおかしい」

( "ゞ)「弱った心に、君たちロボットは……強烈すぎる。特効薬を通り越した、毒なんだ」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「私も、そう思います」

( "ゞ)「君たちを根っから否定するような考え方だけどね。申し訳ない」

( "ゞ)「ただ、そんな僕もほっとけなく思ってしまうほど、君は危うくて、美しいんだ」

( "ゞ)「いま乗り気じゃなくても、またいつか身寄りがなくなった時は、いつでもうちのドアを叩きなさい」

( "ゞ)「僕は歓迎するよ」

(#゚;;-゚)「ありがとうございます」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「先生、そろそろ最初の質問にお答えしますね」

( "ゞ)「"なにか"の正体?」

(#゚;;-゚) )) コクッ

(#゚;;-゚)「それは――」

( "ゞ)「おっとっと」

( "ゞ)「もしよろしければ、答えを明かす前に予想を立てさせてくれないか?」

( "ゞ)「……というより、なんとなく君の話を聞いて僕も分かり始めてきた」

( "ゞ)「君には僕の本性を見透かされてしまった。お返しに君の答えを見透かせてもらおう」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「どうぞ」

( "ゞ)「ありがとう」

( "ゞ)「モララーくんが事故によって植物人間になった時」

( "ゞ)「形だけでも描いてきた家族の姿が壊れた時」

( "ゞ)「ハインくんの言った、罰とやらがあのおうちを縛り付けた時」


( "ゞ)「君のこころ――に似た箇所で感じたものは」


(#゚;;-゚)


( "ゞ)「"寿命"、いや」

( "ゞ)「自分の中にあるはずのなかった、"有限"だったんだね」

(#゚;;-゚)

( "ゞ)

( "ゞ)「ど」

(; "ゞ)「どうだろうか? 当たっているかな?」

(; "ゞ)「なんだか言った後ですごく自信がなくなってきたんだけど、君の答えは?」

(#゚;;-゚)

(#゚;;-゚)「先生、先生も困ったお顔なんてされるんですね」

(#゚;;-゚)「汗までかいて。ちょっと興味深いです」

(; "ゞ)「ちょっと、はぐらかさないでおくれよ。本当は? どうなんだい?」

(#゚;;-゚)


(#^;;-^)「さァ?」


(; "ゞ)「えぇ――ッ?! ちょ、『さァ?』って君ね……」

( "ゞ)´ (あっ)

奇妙な話だが、私はそこでひどく感動を覚えたのだ。


あれだけ、泣くことや笑うことにコンプレックス(機械にコンプレックスがあるかどうかは不明だが)を抱き、
まるで夢幻の如く、それらへ無機質に憧れていた機械の少女が、
私との他愛ない会話の中で、ふっと柔らかく、まるで人間のような自然さで笑ったのだった。


「なんだ、君も笑えるんじゃないか」と指摘しかけて、私は口を噤む。


なぜなら彼女の笑顔はほんとうに自然で、屈託がなかった。
それこそ、人間が産み出した機械という神の恐ろしさと美しさを如実に現していた。
そして彼女は、自分が生身のような笑顔を浮かべている事実にさえ、気がついていない。



気がついていないからこそ、こんなにも美しく微笑むのだろうから。

 * * *


 先生はひとつ、勘違いをしていた。
 でもその困ったお顔があまりにも興味深くて、結局伝えずじまいになってしまった。
 私の伝えかった最初の質問の答えとは、本当は昨日の別れ際に聞かれたものだった。


 「君はその、よくわからない"何か"が気になって病院を訪れた」

 「ということは、君はその"何か"を取り除きたいってことなのかな。どうだろう?」


 答えはNOだ。

 私は確かに、自らに異常を感じてそれを調べるために奔走した。
 でもそれは除去するためではなかった。むしろ逆だった。
 私のHDD内に生まれた、その形のない希望のようなものをはっきりとさせた上で、守りたかった。

 失いたくなかったのだ。

 あの日、目覚めなくなったモララー様を前にして生まれた、その"何か"を。

 結局、ラボのどんな高性能チェックをもパスしてしまう、その未知の異常の正体を明かしたのは、
 人間のお医者様と、自分だけだった。検査にかかったお金は馬鹿にできないけど、それでも構わない。
 いま、私の内には二年と二ヶ月、二十五日と15時間3分54秒前には存在しなかった大切な物が存在しているから。

 ひとつは記憶による"罰"で、もうひとつは確実だけど優しい"有限"。


(#゚;;-゚)

(#^;;-^)


 お二人が自由になったように、また私もある意味で束縛から解き放たれた。


 私はこの罰と有限をもって、自由と命を謳歌しようと決めた。
 その時から重かったセンターへの足取りも軽くなり、いつしか私は走り出していた。
 大切な人たちが教えてくれた。この世に有限でないものは一つとして存在しないのだから。


 もたもたしている暇はない。


 私は胸の内から聞こえてくる、錆びた歯車の音色に身を委ねて、

 長く、だけど限りある命の道のりを進み始めた。



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