いつものように今日もまた部活を終え、私は帰り支度に取りかかっていた。
後半の練習した時間より前半のお茶を飲んでいた時間の方が長かったのはそれなりに気にしつつも極力は気にしない方向で。
後半の練習した時間より前半のお茶を飲んでいた時間の方が長かったのはそれなりに気にしつつも極力は気にしない方向で。
それに今は地味に厄介な事を抱えてるし・・・と、澪先輩が声を掛けてくる。
「おつかれ、梓。けど練習の後半どうかした?何だか微妙にリズムが合ってなかったように思えたけど・・・」
「え、あのそれは・・・」
「え、あのそれは・・・」
他の先輩方には特に気付かれなかったようだが、澪先輩には何か感づかれてしまったみたいで少し恥ずかしいながらも何だか嬉しくも感じる。
「さっきから耳にちょっとゴミが入っちゃったみたいで・・・それで細かい音の部分がよく聞き取れなかった所があって」
「え?大変じゃないか!・・・よしっ」
「み、澪先輩?」
「え?大変じゃないか!・・・よしっ」
「み、澪先輩?」
すると澪先輩は他の先輩達に「梓と二人で少し部室を掃除してから帰るよ」と言って先に先輩達を帰すと、バッグから何かを取り出してソファに座る。
そして、
そして、
「おいで、梓。耳掃除してあげる」
バッグから取り出したのは綿棒――を持ちながら澪先輩はそんなことを言っていた。
「え、ええっ!?」
「やっぱり嫌かな?」
「あ・・・いえっ!そんなことないです!」
「そっか、良かった。じゃ私の膝の上に横になってくれる?」
「は・・・はいっ」
「やっぱり嫌かな?」
「あ・・・いえっ!そんなことないです!」
「そっか、良かった。じゃ私の膝の上に横になってくれる?」
「は・・・はいっ」
私はソファに座る澪先輩の膝の上におずおずと横になる。
いや、それは澪先輩に膝枕してもらえるだけでもこの上なく嬉しいけどそれ以上に緊張やらドキドキやらで心臓が壊れかねないぐらい。
いや、それは澪先輩に膝枕してもらえるだけでもこの上なく嬉しいけどそれ以上に緊張やらドキドキやらで心臓が壊れかねないぐらい。
「痛くない?痛かったらすぐに言って」
「はっ、はいっ。だ大丈夫ですっ」
「はっ、はいっ。だ大丈夫ですっ」
澪先輩は綿棒を深すぎず、かと言って浅すぎずに私の耳の中に入れて優しく、繊細に掃除してくれて少しくすぐったくもとても気持ち良い。
それに加えて柔らかく心地良い澪先輩の太ももが枕になっていて、何だかいい香りもして・・・。
次第に少しずつ緊張が薄れ、このままずっと甘えていたい・・・。
それに加えて柔らかく心地良い澪先輩の太ももが枕になっていて、何だかいい香りもして・・・。
次第に少しずつ緊張が薄れ、このままずっと甘えていたい・・・。
「よし、だいぶ取れたな。どうだ梓?」
「え!?は、はいっ!ももうすっかり綺麗に聞こえがよくなりましたっ」
「え!?は、はいっ!ももうすっかり綺麗に聞こえがよくなりましたっ」
もうすっかり耳は問題無く聞こえる状態になっていたけど、この心地良さに比べるともうそんなの問題という問題でさえなくなってしまっているのは内緒。
「じゃあ折角だしもう片方の耳も掃除しようか。
・・・ってこっちは別に問題ないならやらなくても・・・」
「あっ、もう片方もお願いしますっ!」
「?・・・ん、分かった。じゃあまたジッとしてて」
「はいっ」
・・・ってこっちは別に問題ないならやらなくても・・・」
「あっ、もう片方もお願いしますっ!」
「?・・・ん、分かった。じゃあまたジッとしてて」
「はいっ」
向いている方向を変え、私はまた澪先輩の膝の上に横になる。
最初は緊張もあったけど片方の耳を掃除し終わった今は純粋に心地良さだけを感じていられる。
最初は緊張もあったけど片方の耳を掃除し終わった今は純粋に心地良さだけを感じていられる。
そうしていると次第にウトウトして、まぶたが重くなってくる・・・。
「こんな所かな・・・よしっ終わったぞ、梓。・・・って梓?」
もう片方の耳掃除を終え、私は梓に話しかけるが返事がない。
そっと顔を覗き込んでみると、
そっと顔を覗き込んでみると、
「くー・・・すー・・・」
「(寝ちゃってる・・・)」
「(寝ちゃってる・・・)」
梓はかすかな寝息を立てて眠ってしまっていた。そんなに気持ち良かったのかな?
一瞬、起こそうかとも思ったけど・・・。
一瞬、起こそうかとも思ったけど・・・。
「すー・・・」
「(可愛い寝顔だな・・・)」
「(可愛い寝顔だな・・・)」
部室の窓から夕日が差し込む中で自分の膝の上で、それこそ子猫のように。
こんなに幸せそうに眠っている梓の顔を見ると起こしてしまうのは余りに勿体無く思えてくる。
こんなに幸せそうに眠っている梓の顔を見ると起こしてしまうのは余りに勿体無く思えてくる。
「(まだ下校時刻まで時間はあるし、もう暫くこのままでいようかな)」
そうしてしばらくそのままでいると、何やら寝言が聞こえてきた。
「だいすきです・・・みおせんぱい・・むにゃ・・・」
ごろんと仰向けに寝返りを打ちつつ、梓はそんなことを言っていた。
「(もう梓ったら・・・けど)」
私は梓の髪を優しく梳き、
「私も大好きだよ・・・梓」
小声で言いながら、柔らかな唇にそっとキスをした――。
(FIN)