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紬「美少女澪ちゃんと私」2」(2011/05/15 (日) 19:11:55) の最新版変更点

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どようび! 待ち合わせは10時に○○駅前だった。 澪は先に到着した。 チェックの入ったグレーのズボンに袖の黒いジャンパー、頭にはキャップ、そしてポーチサイズのバッグというラフな格好だ。 「次の電車で着くから待っててね♪」 紬から来た携帯のメールにはそうあった。 まもなく電車が到着し、駅から出てくる人だかりの中から、紬を探す… 果たして探すまでもなく、彼女はすぐに見つかった。 彼女の格好があまりにも目を見張るものだったからだ。 澪「や、やぁ」 紬「ごきげんよう、澪ちゃん♪」 その膝下まである裾の長いスカートをひらり、と両手に掴み、丁重にお辞儀をする紬。 澪「ロリータファッションっていうんだよな、そういうの…凄いな」 紬「良かったわ、メイド服って言われなくて(笑)」 紬の格好は、俗にクラシカルロリータと呼ばれる格好だった。 真紅色の別珍であつらえられたワンピースに、白いフリルがいくつも付けられている。 ワンピースの下には白いハイソックスと黒い革靴を履いており、また茶色い革のポシェットを腰に携えていた。 派手さはなく、清楚に着こなしている。 制服姿ですら十分にお嬢様の空気を漂わせる紬は、すでにお嬢様を超えて貴族のオーラを放っていた。 紬「普段親族や来客のパーティに着て行く服なんだけどね。いいの、今日は特別な日だから」 行きましょう。 そういって紬は、澪の真横にくっつく。 どきどきした。 ムギ、凄く可愛いじゃん… 直視できない。 紬「どうしたの?」 澪「いや、あんまりムギが綺麗だから、さ…」 入場券を買い、テーマパークに入った。 天気は快晴とはいえないが、雲が適度に出ているおかげで柔らかな日光が差している。 絶好のデート日和だな…いやいや、私たちは女同士だぞ? 澪は頭の中に湧いた一言を脳の中の消しゴムで強引に消去した。 紬「まずはあれ乗りましょう!コーヒーカップ!」 澪「お、おい、あれは子供やカップルが乗るものじゃあ…」 紬「いいのいいの、楽しんだもの勝ちよ!」 コーヒーカップには、並ばずに乗ることができた。 紬「それそれそれ~~~っ!!」 澪「バカ、あんまり回すなっ…」 … … 澪「ふぅ…」 紬「大丈夫?」 澪「いや、私が慣れてなさすぎるのがいけないんだ…」 澪が目を回したようなので、近くのベンチに座ることにした。 澪「落ち着いてきた…ムギは楽しかったか?」 紬「もちろん!」 ぎゅ。 紬に思い切り抱きつかれる。 紬「ごめんなさいね。ちょっとやりすぎたかしら?」 そして、頭を撫でられた。 ムギの胸元から、ほのかに甘くてとてもいい匂いがする。 くらくらしそうな匂いに、意識が遠のくようだ。 紬「でも、参ったり困ったりしてる澪ちゃんって、可愛い」 澪「…」 紬「私ね、いっつも思ってたの。感情が素直に出ちゃう澪ちゃんって、すごくいい子だな、て」 澪「というか、ムギもずるい。私たち全員の気持ち、いつもことごとく見抜いちゃうじゃないか」 紬「うん、それは自然と身に付けた技術だから仕方ないかもしれないわね。 知り合う人が社長や政治家ばかりだと、どうしても人を見る目を養わないと、うまく渡っていけないから…」 澪「苦労してるんだな、お嬢様も」 紬「ちょっと自慢みたいでごめんね。でも、だからこそ澪ちゃんみたいに、いつも素直な子が可愛くて仕方ないの。 もちろん軽音部の子はみんな素直だから、みんな大好きよ?」 澪「はは…何だかんだいっていい奴らだもんな」 このとき、澪は悔しく感じた。 今は私のことだけ、可愛いと言ってくれたら一番嬉しいのに… ちょっと待て。 何だ、この感覚? ムギに対して、こんな特別な感情あったっけ? 紬「さ、次は何に乗る?バイキング船?メリーゴーランド?」 澪「いや、しばらくこのままでいてほしい」 え、どうしたんだろう。 今の澪ちゃん、凄くしおらしい。 私に全体重を預けたまま、動かずにいる。 私も、正直ずっとこうしていたい。 澪ちゃんが、私に気持ちを委ねてくれるなら… 自然と、澪を膝枕する姿勢に変わっていた。 まだ午前中なのに… 澪なら周りの視線を気にしそうなものだが、その様子は一向にない。 むしろ、紬の方が気恥ずかしいぐらいだった。 もっと、二人きりの世界に行きたい… だから、提案した。 紬「ねぇ、観覧車行きましょう?」 澪「うん…」 目線も合わせずに、こくり、と澪はうなずく。 観覧車にも、ほとんど並ばずに乗ることができた。 ゴンドラは少しずつ高度を上げていき、次第にそのガラス窓に綺麗な街並みを映し出す。 紬「見て!私たちの高校が見えるわ」 澪「あぁ、本当だ」 澪の反応はいまいちだ。 というより、外の景色に目もくれず、ずっと紬の胸元ばかりを見つめている。 まるで、何か思いつめているようだった。 紬「澪ちゃん、何か考えごとでもあるの?」 澪「…やっぱりわかっちゃうんだな、ムギには」 紬「いいのよ、何でも好きに話して。私たち、お友達でしょう?」 澪「うん…ムギにはお礼を言いたいんだ。学校生活、たしかに楽しいけどさ。 なんていうか、私の気持ちはいっつも置いていかれてて、周りがどんどんめまぐるしく変化していって。」 ゴンドラはすでに最上階に来ている。 だけど、景色なんて気にならない。 澪「そんな時、ムギと話す機会があって、何ていうかさ…凄く癒されたんだ。私の底にある恐怖心とか不安感とか、ムギと話してると全部忘れられるんだ」 紬「繊細さゆえの悩み、よね…でもよかった。澪ちゃんが私に癒しを求めてくれるなら、ちゃんと私にも役割があった、てことだよね」 そう言って、紬はやや自嘲ぎみに、はにかんだ。 澪「役割なんて、そんな些細なものじゃないよ!うまく言えないけど、ムギは今の私にとって…ムギは…」 それぎり、黙り込んでしまう澪。 紬は、再び澪の手を取り、強く握った。 紬「言葉に頼っちゃだめ、自分を追い込んじゃうわ」 澪「なぁムギ…どうしてここまで私のことを…わかってくれるんだよ…」 澪の目に、うっすらと涙が浮かんだ。 紬はポーチからハンカチを取り出し、手渡す。 涙を拭く澪。 ゴンドラは間もなく乗り場に戻る。 澪の涙を隠すように、そ、と肩を抱きながら観覧車を降りた。 それから、近くにあった傘付きのテーブルに座った。 紬「落ち着いたかしら?」 澪「うん。ごめんな、取り乱してしまって」 紬「いいのよ。楽しいことを進めるよりも、苦しいことを取り除くことのほうが、よっぽど大切だから」 澪「やめろよ、また涙が出ちまう…」 紬「くす、本当に素直ね」 楽しい一日にするつもりが、ムギに迷惑を掛けてしまった… でも、目の前にムギがいて、優しい言葉を掛けてくれる。 このシチュエーションだけでときめいてしまう。 この気持ちは止められない。 もっとムギに近づきたい、もっとムギと触れ合いたい。 だから… 澪「なぁ、うちに来てくれないか?」 みおのいえ! 澪「今日は父さんも母さんも出かけてるからな。まぁ、のんびりしていってくれよ」 コーヒーしか出せないけどな。 苦笑いして、澪はコーヒーを持ってきた。 砂糖を多めに入れて、ほろ苦い液体を口に含む。 澪「何だか振り回しちゃってばかりで、本当に悪いな」 紬「ぜんぜんかまわないわ。澪ちゃんが心地よくなってくれるなら」 澪「どこまでも気を遣うんだなぁ…せめて自分のことも気遣ってやれよ」 紬「そんなのいいの。私は今の私のままで、十分幸せだから」 コーヒーカップの残りが半分ほどになり、ぬるま湯に変わりかけたときだった。 澪「ムギ…」 今度は、澪ちゃんの方から抱きついてきた。 紬「うん…」 紬は何も言わず、そ、と澪の肩を抱いた。 澪「あのな…さっきから変なんだ。ムギと一緒にいると、ずっとドキドキして止まらない」 紬「私のこと…好きなの?」 澪「バ、バカ。そんなにストレートに聞くなよ…」 先日と同じように、澪が再び頬を赤らめる。 紬「本当のところはどうなの?」 澪「す、好き…だ…凄く好きだ。先週のお茶のときからずっと…ずっとムギの優しさに惹かれてた。 だから…今日は思い切って誘ったんだ…そしたらさ、嬉しかったんだ… ムギが思いのほか喜んでくれて…だから…」 どぎまぎしながら、淡々と想いを告白する澪。 紬「やっぱりそうなんだ。嬉しい!」 もっと強く、澪を抱き締める。 澪の黒髪が頬にかかる。 柔らかくてシャンプーのいい匂いがした。 紬「私も澪ちゃんのこと大好き。正直に言っちゃう。これはもう、お友達以上の感情よ」 澪「あぁ、私もだ…」 もうここまで来たら止められないわ。 私は澪ちゃんを…手に入れる。 そして絶対に、離さない。 紬「キス…していいかしら?」 澪「うん、いいよ…」 紬「目をつぶって…」 澪は、上目遣いでゆっくりと目をつむった。 おそらく、これがお互いの人生のファーストキスだろう。 唇をそ、と押し当てた。 澪ちゃんがびっくりしないように、そ、と。 ちゅ。粘膜の触れ合う高い音が鳴る。 や、柔らかい… 澪「むぅ、ちゅっ…ふぅ…」 紬「ちゅ、ちゅ…れる…はぁ」 1分ほど、口付けを交し合った。 紬「えへへ、澪ちゃんの初キス、もらっちゃった」 澪「私だって、ムギの初キスもらったぜ」 紬「このことは、二人だけの内緒にしよう。ね?」 澪「もちろんだ。私だって、ムギを独り占めしたいんだからな」 紬「嬉しい。ねぇ、もう一回キスしよう?」 二人だけの甘い時間が、この日、産声を上げた。 彼女たちはしばらくの間密会を重ね、ささやかな愛を育んでいくのだった… 【完】 [[戻る>http://www43.atwiki.jp/moemoequn/pages/315.html]]

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