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王道(?)勇者



「くそっ、一体どういう事だよ、これはっ!」

ハニワによるふざけた殺し合いの説明の後、
俺はいつの間にかここ、アマノサトへと転移していた。
久しぶりに訪れるこの土地に懐かしさを感じないでもないが、
今は感慨に耽っている余裕はない。
突然の出来事に現状を把握する事で精一杯だ。

家畜のように首輪をつけられ、
最後の一人まで殺し合いを強いられる。
逆らえば自分の身が危ないどころか、
人質として捕らえられた知り合いが拷問を受ける。
最初にされた説明を要約すればこんな感じだ。

デモンストレーションとして拷問されていた男は酷い有様だった。
鍛え抜かれた肉体に強い意思を感じる精悍な顔。
恐らく名のある強い戦士なのだろう。
そんな男であっても耐えるのが精一杯といった様子だった。
なら、あれが人質に取られているであろう姫なら、
カリコリルリ姫だったらどうなる?
俺だったらまだいい。
あのくらいの苦境、勇者として耐えて見せよう。
だけど、幾らそれなりの修羅場をともに潜り抜けてきた姫でも、
あんな拷問、耐えられるはずが無い。

でも俺が殺しあえばそれは避けられる。
少なくとも姫の安全は保障されるはずだ。
運がよければ優勝して俺も生き残る事ができるかもしれない。
メリットはあれど、デメリットは殆ど無い。
言われるがままに殺しあう。
蜂蜜のように甘く、魅力的な選択肢だ。

しかし、

「俺が殺し合うだって……? ふざけるなっ!」

俺はそんな選択はとらない。とるわけにはいかない。

命を握られている?
殺しあえば助かるかもしれない?
ああ、そうだな。その通りだよ。

でもな、あの時の屈辱で俺は学んだんだ。
勇者となってから唯一の汚点、
山本悪司に捕まった時の事を思い出す。
あの頃の俺は未熟だったとはいえ、
姫を人質にとられ悪事の加担をさせられていた。
結果として脱出できたからいいものの、
姫が誑かされるはそのせいで大喧嘩するはと散々だった。

でもそのお陰で俺は、見知らぬ人にも優しい姫が、
博愛精神溢れる姫が、大好きだったんだって気付いた。
そんな俺の好きな姫が、自分の為とは言え、
俺が殺し合いに乗ったなんて知ったら、
きっと凄く悲しむだろう、苦しむだろう。

それに俺は勇者なんだ。
言われるがままに罪も無い人々を皆殺しにするなんて、
そんなの勇者のする事じゃない。

姫、待っていてくれ。
俺がこんな殺し合いなんてぶち壊して、
必ず姫を助けて見せるからな。

「―――成長したな、アーサよ。
 昔であれば姫を助ける為なら
 異世界の人間を切り捨ててもおかしくなかったが」
「人がせっかくシリアスに決めていたのに
 うるさいんだよ、このクサレ鎧!」

異世界の人間が山本悪司のような外道ばかりだったら、
バードの言うとおり見捨てても構わないんだが、
さっきの場所で見た限り、
この世界で仲間だった奴らもいるみたいだからな。
山本悪司は兎も角、他の奴は悪い奴じゃないし、
流石に見捨てるのは気が引ける。

「まあこの機に悪司を殺すのはいい考えかもしれないけどな」
「確かにあの異世界の小悪党は、
 色々と問題を起こしそうだから殺すのに異論は無いが、
 もしや復讐をしたいから、という理由からじゃあるまいな」
「違うっ! それじゃ俺の方が悪役みたいじゃないか!」

勿論悪司に対する憎しみはあるが、理由はそれだけじゃない。
あんな世に争乱をもたらすような奴は、
勇者として見逃すわけにはいかないからな。本当だぞ。

「…………まあいい。それよりアーサ、支給品を見なくて良いのか」

バードは少し沈黙した後、そう促してきた。
最初の間が気になったが、
支給品の確認は確かに大事なので気にしない事にしよう。
役に立つアイテムが入ってたらいいんだけどな。
俺はデイパックの中を漁り、確かめてみる。





「………………あんのクソハニワァァァァァァァァァァァッ!!!」
「なんというか……これは、酷いな」

結論から言うとハズレだった。
中に入っていたのは海賊帽がついたピンクツインテールのカツラ。
それとランスとかいう男のエロ日記。
確かさっき見た名簿にもランスという名は載っていた。
聖剣エールディンと伝説の鎧であるバードが
手元に残ってたからいいものの、
もし没収されてたら開始早々途方にくれるところだった。

こんな女物のカツラなんて被れるわけがないし、
そもそもこんなの被っていたら女装が好きなのかと思われてしまう。
さらに酷いのはこの日記だ。
何人もの女の子を抱いたという下品な内容の日記。
とてもじゃないが見るに耐えないものだった。
本人に都合がいいような内容で書かれていたが、
実際はどうだか分かったもんじゃない。

「このランスとかいう男、性犯罪者に違いない!
 こういう外道はチンコをぐちゃぐちゃに潰して再起不能にしてやる!」
「アーサ、いい加減その言葉の悪さはなんとかならんのか。
 口は災いのもとという言葉もある」

バードが毎度の如く小言をグチグチと言うが知った事じゃない。
善良な人達がこういう悪人の餌食になる前に早く行動をしないと。
幸い現在地はこの世界でも特に良く知るアマノサト。
まずは博士の研究所を拠点にして他の人達を探そう。

それに気になる事もあるしな。
最初にハニワが言っていた
『猿田博士製の転送マシン』という言葉。
博士はあんな悪事に手を貸すような人ではない。
でも俺たちと同じように人質を取られて、
協力を強いられているのかもしれない。
もしくは転送マシンを奴らに奪われただけかもしれない。
どちらにしろ、あの優秀な博士の事だ。
何か研究所に手がかりを残していてもおかしくは無い。

「そろそろ行くぞ、バード」

こうして俺達は猿田研究所へと向かう事にした。

  ★  ★  ★  ★  ★

所変わってアマノサトの猿田研究所。

ラグナロックアーク・スーパー・ガンジーという、
なんとも豪華な名前かつ豪奢な服装をした壮年の男は、
研究所内をあちこちと歩き回っていた。
その理由は、彼がこの研究所に転送されて来たと言うのもあるが、
何か有用な物、或いは情報が手に入るかもしれないと考えたからだ。
研究所と言うものは、優れた研究成果が置いてある事がままある。
パパイア・サーバーの作成した、
モンスターだけを消滅させる爆弾、Mボムなどがいい例だ。
だが―――

「う~む、これらは一体どういう役割を持っているのか分からんな」

それらが他者の理解の及ぶものだとは限らない。
ガンジーとて闘神都市の遺産であるマナバッテリーなど、
機械に対する知識が全く無いわけではないが、
どちらかというと、魔法大国の王というだけあって、
その知識は機械より魔法側である。

それ以前にウィミィ世界とルドラサウム世界。
各世界の文明水準の違いというのも当然あるだろう。

「マリア殿が見たら分かるのかもしれんが」

ガンジーは、自分と同様に巻き込まれている発明家の事を思った。

「とはいえ、収穫はあった。
 どうやらこの研究所の人物の手記らしいが。
 手記には、異世界から人を召喚する装置を発明したと書いてある。
 ここに残されているのかは、理解の及ばぬ私には分からんが、
 もし残されているというのなら、首輪さえ外せば帰る事ができるはずだ」

だが、とガンジーは思う。
だが、もしあのハニーキング達に回収されていたら。
帰る方法は優勝という道しかなくなってしまうかもしれないと。

ハニーキングの怖さはガンジーも良く知っている。
いや、魔法大国ゼスの王だからこそ良く理解している。
あれは人智の及ぶ生き物ではないと。
稀に人間と戦ったりもするようだが、あれは文字通り遊びでしかない。
本気で戦われたらどうなる事か分かったものではないのだ。
それに番人として現れた戯骸の事を思い出す。

(確か文献にある魔人ザビエルの使徒がそういう名前だったはず。
 口ぶりからすると敵地の守備には
 少なくとも使徒クラスがごろごろいると考えられる。
 それに魔血魂と化した筈の魔人ジークを復活させ、
 ましてや殺し合いに参加をさせている。
 魔人を敵にまわしても問題ない戦力がいるという証拠にもなりうる。
 いくらランス殿をはじめとした精鋭がいるといえどこれでは……
 私はどうすればいいのだ、こんな時にルーシーがいれば……)

ここにはいない、ゼスの永久客人である占い師ルーシー・ジュリエッタ。
百発百中を誇る彼女に占って貰えればと考える。
だがいないものは仕方が無いとすぐに頭を振り、
自分達でなんとかしなければと再び思案する。

(先程も考えた優勝というのは問題外だ)

趣味が世直しであるガンジーにとって、それは許容できる答えではない。

(だが倒すのも絶望的だ。逃げるにしても召喚装置があればいい。
 しかしなかった場合は―――むぅ……)

思考がループしている事にも気づかずガンジーは考えをめぐらす。
腕を組んだり、手を額にあてたり、うろうろとうろついたり、
そんな事をしていたら、誤って研究所員の手記を落としてしまった。

「おっと、いかん……考えすぎもよくな―――」


落とした拍子に開いてしまった手記を拾おうとして、
ガンジーは目に入った言葉を見て閃く。

「発明―――そうか、発明だ!
 発明をしたというのなら設計図があるかもしれん!」

設計図があれば、マリア・カスタードに見せれば作れるかもしれない。
ゼスに伝わる召喚ゲート、
『異界の門』についての知識もきっと役に立つだろう。
そして実際に異世界を渡ってきた少女、岳画殺。
彼女からも何か意見が貰えれば。
そしたら脱出に関して希望が出てくる。

勿論、無事逃げ帰れたとしてもそのまま大人しくするわけはない。
再び同じ事が起こらないとも限らないのだ。
例え今の戦力では無理でも、
元の世界で叡智を結集すれば、倒せずとも封印くらいはできるだろう。

そう考えたガンジーは喜び勇んで研究所内の設計図を探し始めた。

しかし、研究所内を物色して数分後。

「博士の研究所を荒らす泥棒め、大人しく俺に斃されろおぉぉぉっ!」

鎧の男が突如切りかかってきた。
ガンジーは服を切り裂かれるがなんとか回避。
そして誤解を受けていると思いすぐさま説得をしようとする。

「待て、私は怪しい者ではない!
 この研究所を見ていたのも理由がある!」
「黙れ盗人が! 人の家を無断で荒らしていいのは
 勇者である俺だけの特権なんだよ!
 勇者でない貴様がやったならそれはただの犯罪だ!」

全く勇者らしくない勇者の発言にガンジーの動きが止まる。
勇者、ビッグアーサの発言に納得したからだろうか。
ガンジーは勇者を探す上で、勇者についても調べていた。
だから勇者システムというのもよく知っている。
ゆえにビッグアーサの言う特権が正しいという事も分かっていた。

だが―――

「この馬鹿者がああああぁぁぁっ!!!」
「げふぅぅぅっ!?」

アーサはガンジーパンチをくらい、研究所外へ吹っ飛ばされる。
ガンジーにとって先程のアーサの発言は許せるものではなかった。
確かに勇者は他人の家を家捜ししても許される。
だが、勇者と言えどそれを当然のように威張るのは間違っている。
それではまるで、貴族と言う地位を盾に2級市民を虐げてきた、
変革前のゼスの貴族のようではないか。

それに、先も述べたようにガンジーは勇者システムを知っている。
先代の勇者が20歳になり勇者定年を迎えたら、
新たに13歳の子供が勇者になるという事を。
勇者アリオスが定年になってからまだ1年程しか経っていない。
どう考えても眼前の男と勇者の年齢は一致していない。

「勇者を騙る小悪党など、この征伐のミトが成敗してくれる!」

つまりこの男は勇者の偽者なのだ、そう考えた
ガンジーは外に吹っ飛んでいったアーサを追って外へと出る。

「だっ……誰が勇者を騙る小悪党だって!? 悪人はどっちだ!
 もういい、反省するなら許してやろうと思ったが、
 貴様はこの聖剣エールディンの錆びにしてやる!」

アーサはすぐさま起き上がると聖剣エールディンを構える。
対するガンジーも支給品として入っていた杖を取り出す。

一触即発の状態の中、アーサは相手が杖を取り出した事から
魔法も使えるのだと推測し、使われる前にとガンジーへ飛びかかる。
当然ガンジーも迎撃の為に魔力を杖に送り込んだ。

すると…………

ポンッという軽い音と共にガンジーの姿が、
筋骨隆々の格闘家風のおっさんに変身した。

一体ガンジーに何が起こったのか説明しよう。
ガンジーは支給された武器、
変身ステッキを知らずに使った事により変身したのだ。
使うものによって何に変身するか分からないこのステッキは、
何の因果か、ガンジーを平行世界の彼へと変身させていたのだ。

「くっ、今の杖は変身の為で、やっぱり格闘家だったのか!」

そのガンジーの筋骨隆々な変身体に、
アーサは迂闊に敵の間合いに入ってしまう所だったと
瞬時に後ろへ下がり間合いを取り直す。

だが、自身の身に起こった出来事に
しばし呆然としていたガンジーもすぐに我に返る。

「今だ、くらえ! スーパーロイヤルファイヤーレーザー!!」

そして好機と見るや否や、
この姿になって突如頭に思い浮かんだ魔法をぶっ放した。

「なっ……騙された!?」

接近戦で来ると油断していたアーサは
赤い炎の熱線の中に飲み込まれていく。
そして熱線が消えた後には
気絶してボロボロとなったアーサが倒れていた。
命に関わるような傷となっていないのは、
流石勇者と言うべきか、流石伝説の鎧と言うべきか。

「ほう、勇者を騙るだけあって中々頑丈。
 この男、心身ともに鍛えれば、勇者とは言わずとも
 アレックスくらいには成長するかもしれんな……
 私が直々にこの男を鍛えてやって、償いの機会を与えよう」

ガンジーはそう言うと気絶したアーサを担ぎ、
研究所内へと戻っていった。

ちなみにこの時バードは、
今回の勇者はよく捕まる勇者だなと思ったとか何とか。

【アマノサト/1日目・朝】
【ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー@Ranceシリーズ】
[状態]:健康、変身
[装備]:変身ステッキ@大番長
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考]基本:皆で協力して脱出
1:召喚ドアの設計図を探し、マリアへと渡す
2:アーサを心身ともに鍛えてやる
[備考]:鬼畜王ガンジーの姿の時は鬼畜王時の魔法が使えるようです。

【ビッグアーサ@大悪司】
[状態]:気絶、軽傷(ところどころ火傷)
[装備]:聖剣エールディン、バード
[道具]:基本支給品、ランスのエロ日記@戦国ランス、キャプテンバニラ@D&D
[思考]基本:皆で協力して脱出
1:悪を斃す(ランスと悪司とガンジー優先)

【変身ステッキ@大番長】
 魔法少女が使っているステッキ。
 使用者によって何に変身するか、そもそも変身できるかも分からず、
 元の姿に戻れるかも分からない。

【ランスのエロ日記@戦国ランス】
 今までランスがJAPANでHした人と人数が記載されている。

【キャプテンバニラ@DUNGEONS&DOLLS】
 キャプテンバニラ風のカツラ。
 装備すると基本攻撃率が+28%される。




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