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「月の光、うつつの夢」(2011/05/31 (火) 00:20:51) の最新版変更点
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**月の光、うつつの夢 ◆S33wK..9RQ
「二度目、ってジョークにしちゃ笑えないな……。ご丁寧にも学ランも着せてくれてさ」
真っ暗な学校でそう独り言を呟く。
真夜中に明かりをつけてしまってはゲームに乗った奴らの格好の標的になる、とアイツから教えてもらったのを思い出す。
窓から漏れてくる月明かりが自分を照らす。この学校の周辺で明かりの代わりになるのは月ぐらいだろう。
肌に冷たい空気が突き刺す。もっと厚着をさせてくればいいのにな、畜生。
二度目、というのは自分が参加させられたクソッタレなゲームに殆どルールが同じだったからそう表現したのだ。
戦闘実験第六十八番プログラム。そう呼ばれていたものに自分は参加させられた。
政治に関して全体主義の体制をとる『大東亜共和国』の戦闘シミュレーション、だったか。あの時はクラスメイトと仲良く殺し合いだったな。あまり思い出したくない。しかし忘れるわけにはいかないのだ。
沢山の犠牲を払って、そして今、自分は生きている。友達を何人も失って。川田も、三村も、杉村も、そして、……桐山も。
やっとのことで脱出して、それで唯一の生き残り、中川典子と一緒にクソ政府にカウンターを喰らわせようと下準備を始めていた所である。
が、なんだこの状況は?殺し合い?また?おいおい、どうなっている?
なんてタイミングの悪さだ。
「だけどなぁ、こんな事で挫けるオレじゃないんだぜ」
いいだろう。お前らのいうクソッタレプログラムにまた付き合ってやろうじゃないか。
だが、全員殺して暖かいお家に帰るより主催にカウンター食らわせて暖かいお家に帰る方を俺は選ぶ。
……しかしだ。今回は少し相手が違うらしい。あのよくわからない鏡だけの部屋からどうやってここの学校まで移動させたのだろうか?
前は神経ガスかなにかで眠らされてから拉致され、一人ずつ分校を出発したのを覚えている。
だが今回は違った。早くドアを出ろ、と急かされて、出たら学校の黒板にキスをした。(しかも忘れられない始まりの教室だ。畜生)
そして後ろを振り返ると自分が出たはずのドアがないのだ。
……ドラッグとかした覚えは無いし、幻覚とか見たことも無い。だが、急に移動をしたのは確かなのだ。まるで瞬間移動をしたみたいに。
……細かい事を考えても仕方が無い。それにいま自分の考察をまとめるのは早すぎる。
先ずは自分の支給品を確認だ。
デイパックを開けるとでてきたのは見覚えのあるショットガンだった。
レミントンM870。川田が使っていたものと同等の物かはわからないが、俗に言う『当たり』を引いたのではないだろうか?
他は……おいおい、ショットガンと弾だけか?……寂しい装備だが贅沢は言ってられないか。
で、前回と同じ通り水と味の無いパン、時計に筆記用具、そして名簿。
そういえば、まだ名簿を確認していなかった。自分の知り合いが参加している事は無さそうだが……
しかし、名簿に載っている名前は予想以上に異常だった。
「……なっ!?三村!?杉村に相馬、桐山!?」
どうなってる。死人の名前が名簿に乗っているだと。
自分は他のファンタジー色溢れる名前より、その4つの名前に目が言ってしまう。
ミスプリント、にしては偶然すぎるだろう。同姓同名?……いや、それもありえない。
ではなんだこれは?……オレを混乱させる為のブラフか?いや、そんな事をして政府に何のメリットがあるんだ?
では本当に?いや、それはありえない。死人が生き返るだなんて。
「……死人が生き返る?」
『……そして、死者を蘇らせたい者。 最後の一人になった者にはどんな願いでも叶えてやることを約束しよう。我々にはそれが可能だということを知っている者もいるだろう?』
先刻聞いたばかりの言葉を思い出す。
……もしかしたらあの鏡の部屋のスクリーン(かなにか)に移った男は大東亜共和国の政府の人間ではないかもしれない。
ではなんだ?神様とでも? ヘッ、笑えるぜ。神が居たらオレはあんな殺し合いに巻き込まれなかっただろう。
しかし、これは仮定の話だ。馬鹿らしい仮定だが、奴が神だとしてそれで生き返らせたとして……
「いや、この仮定はやめておくか……いつからオレは電波少年になっちまったんだ?」
考えるのをやめた。死人は生き返らない。神は居ない。それでいいじゃないか。名簿の名前は同姓同名ということにしておけばいい。
そう納得しなければ混乱で死にそうだ。
次にすべきことは情報収集と物資調達か?この首輪を外す方法、そして工具を探す。できれば仲間も。(同姓同名の奴がもし……いや、やめておこう)
先ずは、この学校をでることにしよう。
ポチャン
……なんの音だ?廊下から聞こえた。
デイパックを背負い、ショットガンを構えて廊下にでる。
ショットガンを強く握った手から汗が滲む。
殺し合いの序盤だ。音を出す行為は参加者にしては無用心すぎるだろう。(それともオレが二度目だから用心しすぎているのだろうか?)
音は女子トイレから聞こえる。
スコーン
また音が鳴る。ゆっくりと脚を進め女子トイレのドアの前に立つ。人影は見えない。
真夜中だからそれはなおさら見えない。古い学校の女子トイレのドアは木目がよく浮かんでいる。中から光が漏れていた。この光はこのドアの向こうの窓から漏れる月明かりだろう。
そして、ドアをゆっくりと開ける。
目の前にはなにも無い。しかし、なんて汚いトイレなのだろうか。掃除がまったく行き渡っていないじゃないか。
こんなところで用は足したくない。酷い匂いが鼻を突く。こんなところに長居はしたくなった。
振り返りドアを開けようとした、そのときだった。
「……ん?」
掃除が行き渡っていない汚い床に、それはなんとも美しい、そして華やかに装飾された服、俗に言うゴシックロリータチックな服を着ていて、そして透き通る様な肌をしていて、いまにも動き出しそうな人形が落ちていた。
「……なんでこんなところに人形が?」
両手で持ち上げる。感触は柔らかく、肌は赤ん坊の様にきめ細かい。目は瞑っているものの睫毛は長く、音楽を奏でそうな細い指。
なんと美しいのだろうか。
「…まぁ、中川には劣るだろうか」
おいおい、唯の人形と最愛の人を比べるなんて馬鹿らしいじゃないか、と自分で突っ込む。
……なんでこの人形は錆びたドアノブを持っているのだろうと疑問を持つ。
そのドアノブを取ろうとするが、完璧に掴んでいて中々離さない。
何故取れないのだろうか。おもいっきり引っ張ってみた。そのときだった。
ギョロン、と人形の目が開いた。
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
バチン
☆ ☆ ☆
「……酷い匂いね」
薔薇乙女第五ドール、真紅。彼女はあの扉から出てきたところは彼女にとってあまりにも汚いところだった。
女子トイレの個室であった。そこは暗く酷い匂いが鼻を突く。
前が見えない。
ポチャン。
「……最悪なのだわ」
暗くて見えないため、和式便所に片足を突っ込んでしまった。
本当に最悪だ。アンモニアの匂いがさらに鼻を突いた。
冷静に脚を引き上げた。中にも染みて不快である。匂いは…………。
この面倒な事が終わったらジュンに洗ってもらわなければ。
個室から出ると更に匂いが強まった。月明かりのお陰で少し視界がよくなったが。
「本当、酷い匂い…」
掃除はどうした。この館の執事はなにをやっているのだ。
とても埃っぽいし、ところどころ『物』っぽいものが見える。
不快だ。不快すぎる。
私はまずこのアリスゲームに良く似たこの催しについて考えることよりも、そして私をどうやって此処につれてきたのかより、早くここから出たいという気持ちの方が勝っていた。
しかし、出口のドアは閉まっていたし、ドアノブに背が届かない。
なにかいいものはないか。
「ホーリエ、なにか踏み台になるものはないか探して頂戴。……バケツ?」
ホーリエがトイレをちょこまかと動く。そしてそう時間がかからないうちにホーリエはそれを発見した。
開けっ放しの用具室にバケツが置いてあった。ぐるぐるとバケツの回りをホーリエが回る。
ありがとう、と言いながらそれを運んでドアの前に置く。そしてそのバケツの上に乗る。
「さて、これでようやく……キャッ!?」
しかし、運が悪かった。ドアノブが外れる。
バケツの上に載ってもギリギリ届くぐらいのところにドアノブにあったので、自分の体勢は転ぶか転ばないかギリギリであった。
予想通り、真紅はドアノブを持ったまま倒れてしまった。
スコーン、と情けない音がでる。
「(あら?……意識が…)」
打ち所が悪かったようで意識が飛ぶ。
このままなら夢の中を彷徨うことになるだろう。
そして文字通り、夢の中にダイブした。
夢の中で体が浮く。なんとも心地よい気分だろうか。
まるでティータイムの後の御昼寝に似ている。
しかしだ。その心地よい空間に腕を強い力で引っ張られる。
なんだ?あぁそうか。私はドアノブを掴んだままね。
しかし、意識が起きても体は起きてくれなかった。一種の金縛りである。
早く起きないと腕がもぎ取れる。
そして……
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
やっと体が起きた。条件反射でツインテールでその少年を鞭の様に攻撃した。
本当危ない所である。本当に腕がもぎ取れるところであった。
目の前には顔が結構整っている少年が居た。しかしその顔は驚嘆に満ちていて、まるでお化けを見た様な表情をしていた。
数十秒の沈黙が続く。
少年は殴られたのにも関わらずまだ私の体を持っている。
「……レディが目の前に居るのに名を名乗ることもしないの?」
「え…あ、オレは七原、七原秋也……」
少年はまだ驚いている。この反応は私を始めて見たジュンのようである。
というよりか初対面の人はだいたいこの反応だ。
相手が名乗ったからにはこちらも名乗らない訳にはいかなかった。
「シュウヤというのね。では私も名乗りましょう。私は薔薇乙女第五ドール、真紅よ」
酷い匂いが充満するこの場所で、月明かりが二人を照らす。
このファーストコンタクトは最悪なものなのか、それとも……
【G-4:分校(鎌石小中学校)、女子トイレ/1日目/深夜】
【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:頬に痛み。
[装備]:レミントンM870(8/8)
[道具]:基本支給品、レミントンM870(8/8)、レミントンM870の弾(30発)
[思考・状況]
基本行動方針:プログラムの打倒
0:人形が動いただと?
1:脱出の為の情報収集、工具集め。
2:名簿の名前は……
※本編終了後から参戦。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。
[装備]:錆びたドアノブ
[道具]:基本支給品、ホーリエ、不明支給品(1~2)
[思考・状況]
基本行動方針:まだ決めていない
0:早く此処から出たい。
1:此処から出たら何をするか決める。
※参戦時期不明。名簿に目を通してません。
|[[赤龍激突]]|投下順|[[今日より明日は]]|
|[[赤龍激突]]|時系列順|[[今日より明日は]]|
|&color(aqua){GAME START}|七原秋也|[[銃の重さ、引き金の軽さ、理想の儚さ]]|
|&color(aqua){GAME START}|真紅|~|
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**月の光、うつつの夢 ◆S33wK..9RQ
「二度目、ってジョークにしちゃ笑えないな……。ご丁寧にも学ランも着せてくれてさ」
真っ暗な学校でそう独り言を呟く。
真夜中に明かりをつけてしまってはゲームに乗った奴らの格好の標的になる、とアイツから教えてもらったのを思い出す。
窓から漏れてくる月明かりが自分を照らす。この学校の周辺で明かりの代わりになるのは月ぐらいだろう。
肌に冷たい空気が突き刺す。もっと厚着をさせてくればいいのにな、畜生。
二度目、というのは自分が参加させられたクソッタレなゲームに殆どルールが同じだったからそう表現したのだ。
戦闘実験第六十八番プログラム。そう呼ばれていたものに自分は参加させられた。
政治に関して全体主義の体制をとる『大東亜共和国』の戦闘シミュレーション、だったか。あの時はクラスメイトと仲良く殺し合いだったな。あまり思い出したくない。しかし忘れるわけにはいかないのだ。
沢山の犠牲を払って、そして今、自分は生きている。友達を何人も失って。川田も、三村も、杉村も、そして、……桐山も。
やっとのことで脱出して、それで唯一の生き残り、中川典子と一緒にクソ政府にカウンターを喰らわせようと下準備を始めていた所である。
が、なんだこの状況は?殺し合い?また?おいおい、どうなっている?
なんてタイミングの悪さだ。
「だけどなぁ、こんな事で挫けるオレじゃないんだぜ」
いいだろう。お前らのいうクソッタレプログラムにまた付き合ってやろうじゃないか。
だが、全員殺して暖かいお家に帰るより主催にカウンター食らわせて暖かいお家に帰る方を俺は選ぶ。
そのほうが気持ちが良いってもんだ。
……しかしだ。今回は少し相手が違うらしい。あのよくわからない鏡だけの部屋からどうやってここの学校まで移動させたのだろうか?
前は神経ガスかなにかで眠らされてから拉致され、一人ずつ分校を出発したのを覚えている。
だが今回は違った。早くドアを出ろ、と急かされて、出たら学校の黒板にキスをした。(しかも忘れられない始まりの教室だ。畜生)
そして後ろを振り返ると自分が出たはずのドアがないのだ。
……ドラッグとかした覚えは無いし、幻覚とか見たことも無い。だが、急に移動をしたのは確かなのだ。まるで瞬間移動をしたみたいに。
……細かい事を考えても仕方が無い。それにいま自分の考察をまとめるのは早すぎる。
先ずは自分の支給品を確認だ。
デイパックを開けるとでてきたのは見覚えのあるショットガンだった。
レミントンM870。川田が使っていたものと同等の物かはわからないが、俗に言う『当たり』を引いたのではないだろうか?
他は……おいおい、ショットガンと弾だけか?……寂しい装備だが贅沢は言ってられないか。
で、前回と同じ通り水と味の無いパン、時計に筆記用具、そして名簿。
そういえば、まだ名簿を確認していなかった。自分の知り合いが参加している事は無さそうだが……
しかし、名簿に載っている名前は予想以上に異常だった。
「……なっ!?三村!?杉村に相馬、桐山!?」
どうなってる。死人の名前が名簿に乗っているだと。
自分は他のファンタジー色溢れる名前より、その4つの名前に目が言ってしまう。
ミスプリント、にしては偶然すぎるだろう。同姓同名?……いや、それもありえない。
ではなんだこれは?……オレを混乱させる為のブラフか?いや、そんな事をして政府に何のメリットがあるんだ?
では本当に?いや、それはありえない。死人が生き返るだなんて。
「……死人が生き返る?」
『……そして、死者を蘇らせたい者。 最後の一人になった者にはどんな願いでも叶えてやることを約束しよう。我々にはそれが可能だということを知っている者もいるだろう?』
先刻聞いたばかりの言葉を思い出す。
……もしかしたらあの鏡の部屋のスクリーン(かなにか)に移った男は大東亜共和国の政府の人間ではないかもしれない。
ではなんだ?神様とでも? ヘッ、笑えるぜ。神が居たらオレはあんな殺し合いに巻き込まれなかっただろう。
しかし、これは仮定の話だ。馬鹿らしい仮定だが、奴が神だとしてそれで生き返らせたとして……
「いや、この仮定はやめておくか……いつからオレは電波少年になっちまったんだ?」
考えるのをやめた。死人は生き返らない。神は居ない。それでいいじゃないか。名簿の名前は同姓同名ということにしておけばいい。
そう納得しなければ混乱で死にそうだ。
次にすべきことは情報収集と物資調達か?この首輪を外す方法、そして工具を探す。できれば仲間も。(同姓同名の奴がもし……いや、やめておこう)
先ずは、この学校をでることにしよう。
ポチャン
……なんの音だ?廊下から聞こえた。
デイパックを背負い、ショットガンを構えて廊下にでる。
ショットガンを強く握った手から汗が滲む。
殺し合いの序盤だ。音を出す行為は参加者にしては無用心すぎるだろう。(それともオレが二度目だから用心しすぎているのだろうか?)
音は女子トイレから聞こえる。
スコーン
また音が鳴る。ゆっくりと脚を進め女子トイレのドアの前に立つ。人影は見えない。
真夜中だからそれはなおさら見えない。古い学校の女子トイレのドアは木目がよく浮かんでいる。中から光が漏れていた。この光はこのドアの向こうの窓から漏れる月明かりだろう。
そして、ドアをゆっくりと開ける。
目の前にはなにも無い。しかし、なんて汚いトイレなのだろうか。掃除がまったく行き渡っていないじゃないか。
こんなところで用は足したくない。酷い匂いが鼻を突く。こんなところに長居はしたくなった。
振り返りドアを開けようとした、そのときだった。
「……ん?」
掃除が行き渡っていない汚い床に、それはなんとも美しい、そして華やかに装飾された服、俗に言うゴシックロリータチックな服を着ていて、そして透き通る様な肌をしていて、いまにも動き出しそうな人形が落ちていた。
「……なんでこんなところに人形が?」
両手で持ち上げる。感触は柔らかく、肌は赤ん坊の様にきめ細かい。目は瞑っているものの睫毛は長く、音楽を奏でそうな細い指。
なんと美しいのだろうか。
「…まぁ、中川には劣るだろうか」
おいおい、唯の人形と最愛の人を比べるなんて馬鹿らしいじゃないか、と自分で突っ込む。
……なんでこの人形は錆びたドアノブを持っているのだろうと疑問を持つ。
そのドアノブを取ろうとするが、完璧に掴んでいて中々離さない。
何故取れないのだろうか。おもいっきり引っ張ってみた。そのときだった。
ギョロン、と人形の目が開いた。
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
バチン
☆ ☆ ☆
「……酷い匂いね」
薔薇乙女第五ドール、真紅。彼女はあの扉から出てきたところは彼女にとってあまりにも汚いところだった。
女子トイレの個室であった。そこは暗く酷い匂いが鼻を突く。
前が見えない。
ポチャン。
「……最悪なのだわ」
暗くて見えないため、和式便所に片足を突っ込んでしまった。
本当に最悪だ。アンモニアの匂いがさらに鼻を突いた。
冷静に脚を引き上げた。中にも染みて不快である。匂いは…………。
この面倒な事が終わったらジュンに洗ってもらわなければ。
個室から出ると更に匂いが強まった。月明かりのお陰で少し視界がよくなったが。
「本当、酷い匂い…」
掃除はどうした。この館の執事はなにをやっているのだ。
とても埃っぽいし、ところどころ『物』っぽいものが見える。
不快だ。不快すぎる。
私はまずこのアリスゲームに良く似たこの催しについて考えることよりも、そして私をどうやって此処につれてきたのかより、早くここから出たいという気持ちの方が勝っていた。
しかし、出口のドアは閉まっていたし、ドアノブに背が届かない。
なにかいいものはないか。
「ホーリエ、なにか踏み台になるものはないか探して頂戴。……バケツ?」
ホーリエがトイレをちょこまかと動く。そしてそう時間がかからないうちにホーリエはそれを発見した。
開けっ放しの用具室にバケツが置いてあった。ぐるぐるとバケツの回りをホーリエが回る。
ありがとう、と言いながらそれを運んでドアの前に置く。そしてそのバケツの上に乗る。
「さて、これでようやく……キャッ!?」
しかし、運が悪かった。ドアノブが外れる。
バケツの上に載ってもギリギリ届くぐらいのところにドアノブにあったので、自分の体勢は転ぶか転ばないかギリギリであった。
予想通り、真紅はドアノブを持ったまま倒れてしまった。
スコーン、と情けない音がでる。
「(あら?……意識が…)」
打ち所が悪かったようで意識が飛ぶ。
このままなら夢の中を彷徨うことになるだろう。
そして文字通り、夢の中にダイブした。
夢の中で体が浮く。なんとも心地よい気分だろうか。
まるでティータイムの後の御昼寝に似ている。
しかしだ。その心地よい空間に腕を強い力で引っ張られる。
なんだ?あぁそうか。私はドアノブを掴んだままね。
しかし、意識が起きても体は起きてくれなかった。一種の金縛りである。
早く起きないと腕がもぎ取れる。
そして……
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
やっと体が起きた。条件反射でツインテールでその少年を鞭の様に攻撃した。
本当危ない所である。本当に腕がもぎ取れるところであった。
目の前には顔が結構整っている少年が居た。しかしその顔は驚嘆に満ちていて、まるでお化けを見た様な表情をしていた。
数十秒の沈黙が続く。
少年は殴られたのにも関わらずまだ私の体を持っている。
「……レディが目の前に居るのに名を名乗ることもしないの?」
「え…あ、オレは七原、七原秋也……」
少年はまだ驚いている。この反応は私を始めて見たジュンのようである。
というよりか初対面の人はだいたいこの反応だ。
相手が名乗ったからにはこちらも名乗らない訳にはいかなかった。
「シュウヤというのね。では私も名乗りましょう。私は薔薇乙女第五ドール、真紅よ」
酷い匂いが充満するこの場所で、月明かりが二人を照らす。
このファーストコンタクトは最悪なものなのか、それとも……
【G-4:分校(鎌石小中学校)、女子トイレ/1日目/深夜】
【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:頬に痛み。
[装備]:レミントンM870(8/8)
[道具]:基本支給品、レミントンM870(8/8)、レミントンM870の弾(30発)
[思考・状況]
基本行動方針:プログラムの打倒
0:人形が動いただと?
1:脱出の為の情報収集、工具集め。
2:名簿の名前は……
※本編終了後から参戦。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。
[装備]:錆びたドアノブ
[道具]:基本支給品、ホーリエ、不明支給品(1~2)
[思考・状況]
基本行動方針:まだ決めていない
0:早く此処から出たい。
1:此処から出たら何をするか決める。
※参戦時期不明。名簿に目を通してません。
|[[赤龍激突]]|投下順|[[今日より明日は]]|
|[[赤龍激突]]|時系列順|[[今日より明日は]]|
|&color(aqua){GAME START}|七原秋也|[[銃の重さ、引き金の軽さ、理想の儚さ]]|
|&color(aqua){GAME START}|真紅|~|
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