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那由多の海で少女は涙する



眼が覚めればそこには琥珀色の海が広がっていた。
はちみつを溶かした紅茶のようにそれは甘く視界に入り込み。
桃色の少女をうたかたの夢に誘おうとする。

「……こ、こは……?」

茫とした頭、油が切れたようにぎしぎしと動く関節。
一歩。進むと垂れ込めた霧の中へ少女、ティオは入る。
地面はまるで綿菓子のようにふわり、ふわりとしていて。
甘いクリームの世界はティオの感覚を摩耗させていく。

――すまねえ。

霧の中を歩いて行くと
一人の少年が立っていた。
奇妙な髪型をした彼の手には
血の滴るナイフが握られて……
いいや、あれは少年が握っているのではない。
ナイフが、ひとつの意思持つ楔の如く少年に憑いている。

――すまねえ。俺がついていなかったから

涙を流して、悲哀に濡れた表情で謝罪の言葉を述べ続ける少年。
彼の先に、ぼう、と簡素な布で体を覆い俯く少女が現れた。

ひと目でわかる嬲られたからの無力に打ちひしがれた姿。
心細げに抱えこむ手足。

ティオの心の中の、靄がかかった思考に小さな火種が産まれる。

「かわいそうな方たち」

耳元で囁かれる、距離で判断すれば
唇が今にも耳朶に接してもおかしくない。
声とともに吐息が肌をくすぐらなければおかしいはず。

なのに、何も感じない。
気配すら。衣擦れの音すら。

声だけでどうにか隣に、
抱きつくように腕を回した少女がいるのだとわかった。

「たまたま一緒にいなかった。
 いつもは一緒のはずなのに。
 その日だけは違っていたの。
 二人は親に捨てられ、寄り辺に手を繋ぐ
 トゥーイ-ドゥルダムとトゥーイ-ドゥルディ。
 離れては、いけなかったの。片時も」

歌うように軽やかな。
人の生気を微塵も感じさせない調子で囀る。
視界の端で踊り子のように舞う純白のドレスの裾。

肩に顔を載せているはずなのに重みを感じない
実体なき《白の女王》。

頭が痛む。
眼の奥が熱く、
けれど深くなるにつれて絶対の冷たさに。

「あなたにもいたのかしら。
 狂気に落ちて正気を保っていた《赤の女王(クイーン)》には
 すがる相手がいたようだけれども」

少しずつ、閉じていた扉が重々しく開かれて。

自分を殴打する蟹の男。
蹂躙し、辱めようとした悪漢。
なのに、本当の姿は清麿や恵と変わらない年頃の少年だった。

恐怖。屈辱。
思い返しただけでも体が震える。

「……ガッシュ」

「素敵。今の貴女にはきっと恐怖の記憶が渦巻いているのに。
 頼れる人は決めているのね。
 貴女は彼に守られたかったのね?
 雷のジャバウォックを従える金色の王に」

くすり、と唇が頬に触れて、
舌がちろりと頬を這った。

「可哀想な人。
 もうその人は死んでしまっている。
 それを貴女は気づいていて。
 夜露のように儚い涙に頬を濡らして」

そう言われて、ティオはぼんやりと頬を撫でた。
湿った感触、体温の水滴が雫となって零れ落ちる。

――君は選ばれたのさ。

傍らにいつの間にか立っていた。
顔に奇妙な化粧を施して、
蠱惑的な笑みを絶やさない魔物使いがティオを諭す。

――王の力を持つから王の心を持つから
   王のように振る舞うことを赦されたんだ。

ブックの言葉が心地よく耳に入る。
けれども、その声が一層の記憶を引き出す。

冗談のように首が折り曲げられる老人。

掌で潰れていくパピプリオの頭。
頭蓋骨も脳症も一緒くたにして、
指の間から滴り落ちていく悪趣味な果汁ジュース。

悲鳴をあげて、駆け出した。
体がこんなにも動くのだということに安堵を覚える己を観て。
嬉しさと切なさと罪悪感が同時に湧き出で、裡をぐるぐると回る。

息が切れて、
蒸気した肌が赤くなって。
必死に振る手足が不恰好にもどこかへと進む。

「――恵!」

霧の果てで、殺し合いに喚ばれてずっと恋しく思っていたパートナーの姿を見て。
たまらずティオは抱きついて号泣した。


いい匂い。清潔な服装。
利発そうな顔立ち。
強い意志を秘めた両の眼。

ティオが大好きだった全てを持った女性が側にいる。
それだけで壊れそうなほどの不安も怖さも
彼女のぬくもりに触れるだけで和らいでいく。

「……ティオ」

声がかけられるだけで、
ティオの体がぽかぽかと暖かくなる。
ずっとこうしていたいという強い欲求が芽生えて育ってしまう。

「人を殺したのね?」

「……え?」

その言葉、正確にはその音のあまりの冷たさに
ティオは一瞬把握できずに顔を上げて、恵を見た。
恵の無機物を見るかのような低温の眼差し。

「どうして人を殺したの?
 あなたはあんなに優しい子だったのに」

「そ……それは、ブックが……」

「貴女が王様になれると期待されているから。
 だから力を使ってもいいし。
 悪い人は懲らしめてもいい。
 そう言われたのよね?」

「そ、そう! そうなの!
 だ、だからわたしは……」

「それでブックは一緒に辛さを分かち合ってくれると言ったの?
間違いや困難には一緒に悩んでくれるって言ったの?」

「え…………」

「答えなさい、ティオ」

「………………言ってなかった」

喉が震える。視界も滲む。
足元がぐらついて真っ直ぐに立っていたかもわからない。

「貴女にはパートナーが必要なのよティオ。
 人は一人で正しい判断ができるわけじゃないの。
 一緒に悩んで苦しんでそれでも前に進もうとしてくれる人が必要なの」

「あ……う……」

「騙されていたのよ。貴女は」

騙されていた? ブックに? 
嘆くばかりだったティオに優しく手を差し伸べてくれた彼に?
信じられない。信じたくない。

けれども。
わかってしまう。
恵の言うことは本当だって。

「さようならティオ。
もう貴女と一緒にはいられない」

「ま、待ってよ!」

間違えたとわかっていても。
恵には側にいて欲しい。
パートナーだから。
ずっと一緒に戦ってきてくれたから。

「ごめんなさい」

なのに背を向けて彼女は行ってしまう。
霞の彼方へと、パートナーだったティオを置いて。
間違えてしまったティオを見放して。

「人殺しで血に濡れた人と一緒にいるのは嫌なのよ」

そう言い残して。
彼女は消えてしまった。

ひとり、ぽつんと残されたティオを取り巻いて
やってくるのはティオが殺した人たち。
ティオを苦しめた人とティオを騙した人も。

短い悲鳴がこぼれて。
ティオはぺたんと座り込んでしまった。

「見捨てられてしまったのね。
 可哀想。可哀想な女の子」

ゆっくりと距離を縮めてくる亡者を他所に
羽根のようにふわりと《白の女王》雪華綺晶が降り立った。

「あなたのいる場所をよく見てみて。
 そこに眠っているのは誰なのか見てみて」

言われるがままに、ティオは視線を下ろす。
同時に霧が晴れて、何処にいるのか明らかになった。

ひやりとした感触が指先を刺し、
不思議と濡れない氷の冷気が床から感じる。

ティオが座っていたそこは誰かが眠る氷塊。
今まで歩いてきた道も誰かの眠りの上。

視線を上に移せばそこは巨大な大聖堂。
無数の氷塊が安置され、どこまでも地平線まで続く。
世界と言っていい程の遠大な聖堂。

氷にいるのは眠る人々。
安らかな顔で夢にいるだろう彼ら。

「肉体、魂、概念。
 それらがあって初めて人も薔薇乙女もパーソナルを持てる。
 絶対普遍のエーテルの定め」

ティオの目の前に亡者が立ち、にじり寄る。

「けれど、肉体は魂を覚えているの。
 私達の兄弟のように近い護神像が“願い”を封じるのは何故?
 “願い”の持ち主が神のように高潔だから?
 それで鳥籠に神を封じるの?
 いいえ、それは魂を作るただ一つのピースが“願い”だから。
 彼らもまた窮極を追求する定めを負ったドールズなのよ」

ティオへと亡者が手を伸ばす。
腐乱してはいない、綺麗な手なのに
ティオの瞳には耐えきれなく醜悪に映る指先がティオに触れようとする。

「だから、貴女の体をください。
 貴女の肉体、魂の記憶を持てば
 みんなが私を愛してくれるの。
 選んでくれるの。抱きしめてくれるの。
 そして私は本懐を遂げて《究極の少女(アリス)》になるの。
 クスクスクスクスクスクス」

指先がティオの衣服に触れて。

「ご…………ごめんなさい」

涙に満ちた少女が届かぬ謝罪の言葉を亡者に述べて。

そして、ティオの魂はここで――

――オイタはそこまでにしときな白薔薇ちゃん

逞しい、腕がティオを守るように振るわれた気がした。
突風とともに亡者が幻のように掻き消され。

気がしただけの錯覚なのかもしれない。
これも、すぐに側から離れてしまうのかもしれない。

だが一人の大男が立っていた。

堂々として。
似ても似つかないはずなのにさっき見かけた
ナイフを握って泣きじゃくる少年の姿と重なり。

顔はよく見えないけれど。
きっと笑顔なのだろう男はティオを助け起こした。

「……ああ、莫迦な人。
 貴方もじきに私が喰べてしまうのよ、お兄さま?」

立ち上がったティオの前に男の姿はもうなく。
やはり幻だったのかと彼の姿を探しても見つけられなかった。
男の代わりにいたのは大きな大きな彫像。
プカプカと浮かんで、ティオの側で防るもの。

「滅びゆく世界で生きる那由多もの人々が眠るデラ・ルベシ。
 安寧なる夢に揺蕩う午睡の世界なら、
 私は誰にも負けないザーバウォッカ」

可愛らしく小首を傾げて。
雪華綺晶は問いかける。

「闘うというの?」

ティオの心の奥深く、水面の上で
蔦で編まれた幻灯機が映し出す一つの光景。

ナイフを握った少年の続き。
人を殺した後悔から喉元を突き刺そうとした、
少年の手を優しく掴んで抱きしめる少女の姿。

――大丈夫。側にいるから。

誰のものかもわからないメモリー。
だけど、擦り切れきったティオの心にもこんなに暖かく響いて。

那由多の眠り子に崇められ。
《白の女王》は哄う。

「……闘う」

背後の護神像アムルタートを従えて。
少女は謳う。

「巻き返す」

きっとこの愛の光景が託されたのは
何か意味が。希望があるはずだと想いたい一心で。

【???・???/無意識の海に浮かぶ時の流れより隔絶されたデラ・ルベシ】

【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:《願い》インストール済み
[装備]:アムルタート@waqwaq、マルコと愛のエンゲージリング@未来日記
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:わからない、けれど――
1:……立ち向かう
※一度、ブックが死んだことにより狂戦士の術は解除されました。
※アムルタートの中には白薔薇が潜んでいました。
  中の状態がどうなっていたのかは不明です。
※多世界の生存者たちはみなデラ・ルベシで眠りについています。



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