「歩くような速さで」(2012/11/23 (金) 18:02:49) の最新版変更点
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*歩くような速さで ◆W91cP0oKww
「やあ、気がついたかい」
薄ぼんやりとした視界が次第に明瞭になっていく。そして耳に入るのは低い男の声。
雛苺はぱちぱちと眼をまばたきをした後、ゆっくりと辺りを見回した。
「ここは……どこ?」
「遊園地の待合室だね。大丈夫、ここは安全だからさ」
「誰かが襲ってきても僕と弘樹が追い返すから」
杉村が見せた笑みはシャイで無愛想ながらも精一杯見せたものだった。
怖がっているのなら安心させなくては。出来ることならば彼女の不安を取り除いてあげたい。
そう思った結果、笑みが出てきたのだ。
キャンチョメもそれに付随して元来の明るい性格からなる快活な笑みを見せた。
「……おうまさんは? ガッシュは? 雪輝は? あの大きな龍は? ヒナ達は一体どうなったの?」
その何も知らぬ言葉に杉村はすぐには返答出来なかった。
真実を告げるべきなのか。それとも隠しておくべきか。
杉村としては出来ればバレる嘘なんてつきたくなかった。
だが、雛苺は眼を覚ましたばかりでまともな思考能力を有していない。
少し時間を置いてから真実――遊園地での乱戦の結末、放送の内容を伝えるのが吉ではないのか。
「弘樹……」
キャンチョメがじっと杉村を見つめる。視線から察するにこちらに判断を任せるといったものだろう。
どうする。俺はどうすればいい。
頭の中で今の自分の考えをまとめ上げる。
「馬と雪輝君は俺にもわからない。生きてるか死んでるか、俺達もあの遊園地で別れてからは姿を見ていない」
「よかったぁ……」
「だけど、ガッシュは死んだ」
結局、杉村は真実を伝えることに決めた。
後回しにして物事が拗れる可能性、逆恨みにより刃を向けるといったマイナスの方面を気にしたら今ここで真実を伝えた方がいいのかもしれないと思ったのだ。
これが杉村一人だと判断も変わったのかもしれないがここにはキャンチョメもいる。自分一人の考えで仲間を巻き込むわけにはいかなかった。
「……そう死んじゃったんだ、ガッシュ」
雛苺は事実を確認するかのように静かに呟いた。
そして「他には?」と聞かれたので杉村は予めメモしていた放送の内容を伝える。
雛苺に放送で呼ばれた名前を全て告げはしたがさほど動揺はせず。
ただ『水銀燈』という名前の時、顔を少し歪めて悲しそうに少しうつむいた。
「大丈夫かい?」
杉村は雛苺が泣き喚いてさっきのような事態がまた起こってしまう可能性も視野に入れていた。
その予想とは大幅に違っていささか拍子抜けではある。
「うん、ヒナだけが悲しいわけじゃないもの。雪輝もおうまさんもあなたたちもみんな、悲しくて泣きたいはず」
「いや、俺は……大丈夫だから」
「嘘。だってあなた、今にも泣きそうな顔をしている」
放送の時はそれどころじゃなくて気には留めていなかったが杉村も大切な友人を失っている。
三村信史。バトル・ロワイアルで死に別れてしまった親友ともう一度会えるかもしれないというささやかな希望は脆くも崩れ去った。
大丈夫なわけがない。大切な友人を二度も失う経験なんてしたくなかった。
「ごめんな、心配かけて。でも、泣く暇があったら俺は笑って前を向きたいんだ。だから俺は泣かない」
ここで下を向いて俯くことは簡単だ。
しかし、そうすると自分は哀しみで押しつぶされて前を見ることはきっとできないだろう。
過去に囚われたまま死んでいく。そんな最後は杉村はごめんだった。
明日を目指してみんなで生き抜くのだ。
それがこの殺し合いに巻き込まれる前からの共通して持っていた意志。その意志は変わらずに今もこの胸に内包している。
「アイツも、七原もきっとそう思っているだろうから」
誓ったのだ、生きてまた会おうと。一緒にこのクソッタレな殺し合いから生き延びて共に笑おうと。
「でも俺はこの強さを君に押し付けるつもりはない。これは俺が見つけたものだ。だから俺に構わずに君は泣いてもいいんだよ?」
「大丈夫です、こんな殺し合いにヒナは負けたくない。もう一度、皆と会いたい……!」
「そうか……じゃあ一歩ずつでもいいから一緒に進もう。俺達はこんなゲーム“程度”で収まる命じゃないんだ。
なあ、キャンチョメ?」
「うん!」
杉村は思う。この子達を護ってみせる。この輝きを失わせなんかしないと決意を新たにする。
力が弱くてもこの思いだけは負けてやらない。
(そうだ……俺がやりたいことは、牙でも爪でもなく――――言葉を武器にして)
いつかみんなで百点満点の笑顔が出来るその時までどんな敵とだって戦ってみせる。
杉村の秘した決意は――何かを打ち破るきっかけとなるのか。
それは神様の振る賽次第。
(誰かを護ることなんだ。そうだよな、三村……)
【A-7・遊園地の待合室/一日目/午前】
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(小)、心の力消費(中) 、全身裂傷、
指の爪剥離
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー~新説~ 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品×2、
[思考・状況]
基本行動方針:七原と合流
1:少し休んだあと、オアシスに行くことを考える
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
カードの使い方も大体把握しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、力への渇望、全身裂傷、疲労(中)
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 、粘土@現実、ポップコーン@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:ちょっと休んだあと、オアシスに行くことを考える。
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?
[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。
本がフォルゴレ以外でも読めると知りました。
フォウ・スプポルクを修得
参戦時期:ファウード編以降
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:笑って前を向く強さを手に入れる。
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。
|[[人間/人形らしく」]]|投下順|[[トラーギッシュ]]|
|[[人間/人形らしく]]|時系列順|[[【おまえがそう想うのならそう在るのだろう。】]]|
|[[金色の彼に花束を]]|雛苺|[[そして誰かいなくなった]]|
|~|杉村弘樹||
|~|キャンチョメ||
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*歩くような速さで ◆W91cP0oKww
「やあ、気がついたかい」
薄ぼんやりとした視界が次第に明瞭になっていく。そして耳に入るのは低い男の声。
雛苺はぱちぱちと眼をまばたきをした後、ゆっくりと辺りを見回した。
「ここは……どこ?」
「遊園地の待合室だね。大丈夫、ここは安全だからさ」
「誰かが襲ってきても僕と弘樹が追い返すから」
杉村が見せた笑みはシャイで無愛想ながらも精一杯見せたものだった。
怖がっているのなら安心させなくては。出来ることならば彼女の不安を取り除いてあげたい。
そう思った結果、笑みが出てきたのだ。
キャンチョメもそれに付随して元来の明るい性格からなる快活な笑みを見せた。
「……おうまさんは? ガッシュは? 雪輝は? あの大きな龍は? ヒナ達は一体どうなったの?」
その何も知らぬ言葉に杉村はすぐには返答出来なかった。
真実を告げるべきなのか。それとも隠しておくべきか。
杉村としては出来ればバレる嘘なんてつきたくなかった。
だが、雛苺は眼を覚ましたばかりでまともな思考能力を有していない。
少し時間を置いてから真実――遊園地での乱戦の結末、放送の内容を伝えるのが吉ではないのか。
「弘樹……」
キャンチョメがじっと杉村を見つめる。視線から察するにこちらに判断を任せるといったものだろう。
どうする。俺はどうすればいい。
頭の中で今の自分の考えをまとめ上げる。
「馬と雪輝君は俺にもわからない。生きてるか死んでるか、俺達もあの遊園地で別れてからは姿を見ていない」
「よかったぁ……」
「だけど、ガッシュは死んだ」
結局、杉村は真実を伝えることに決めた。
後回しにして物事が拗れる可能性、逆恨みにより刃を向けるといったマイナスの方面を気にしたら今ここで真実を伝えた方がいいのかもしれないと思ったのだ。
これが杉村一人だと判断も変わったのかもしれないがここにはキャンチョメもいる。自分一人の考えで仲間を巻き込むわけにはいかなかった。
「……そう死んじゃったんだ、ガッシュ」
雛苺は事実を確認するかのように静かに呟いた。
そして「他には?」と聞かれたので杉村は予めメモしていた放送の内容を伝える。
雛苺に放送で呼ばれた名前を全て告げはしたがさほど動揺はせず。
ただ『水銀燈』という名前の時、顔を少し歪めて悲しそうに少しうつむいた。
「大丈夫かい?」
杉村は雛苺が泣き喚いてさっきのような事態がまた起こってしまう可能性も視野に入れていた。
その予想とは大幅に違っていささか拍子抜けではある。
「うん、ヒナだけが悲しいわけじゃないもの。雪輝もおうまさんもあなたたちもみんな、悲しくて泣きたいはず」
「いや、俺は……大丈夫だから」
「嘘。だってあなた、今にも泣きそうな顔をしている」
放送の時はそれどころじゃなくて気には留めていなかったが杉村も大切な友人を失っている。
三村信史。バトル・ロワイアルで死に別れてしまった親友ともう一度会えるかもしれないというささやかな希望は脆くも崩れ去った。
大丈夫なわけがない。大切な友人を二度も失う経験なんてしたくなかった。
「ごめんな、心配かけて。でも、泣く暇があったら俺は笑って前を向きたいんだ。だから俺は泣かない」
ここで下を向いて俯くことは簡単だ。
しかし、そうすると自分は哀しみで押しつぶされて前を見ることはきっとできないだろう。
過去に囚われたまま死んでいく。そんな最後は杉村はごめんだった。
明日を目指してみんなで生き抜くのだ。
それがこの殺し合いに巻き込まれる前からの共通して持っていた意志。その意志は変わらずに今もこの胸に内包している。
「アイツも、七原もきっとそう思っているだろうから」
誓ったのだ、生きてまた会おうと。一緒にこのクソッタレな殺し合いから生き延びて共に笑おうと。
「でも俺はこの強さを君に押し付けるつもりはない。これは俺が見つけたものだ。だから俺に構わずに君は泣いてもいいんだよ?」
「大丈夫です、こんな殺し合いにヒナは負けたくない。もう一度、皆と会いたい……!」
「そうか……じゃあ一歩ずつでもいいから一緒に進もう。俺達はこんなゲーム“程度”で収まる命じゃないんだ。
なあ、キャンチョメ?」
「うん!」
杉村は思う。この子達を護ってみせる。この輝きを失わせなんかしないと決意を新たにする。
力が弱くてもこの思いだけは負けてやらない。
(そうだ……俺がやりたいことは、牙でも爪でもなく――――言葉を武器にして)
いつかみんなで百点満点の笑顔が出来るその時までどんな敵とだって戦ってみせる。
杉村の秘した決意は――何かを打ち破るきっかけとなるのか。
それは神様の振る賽次第。
(誰かを護ることなんだ。そうだよな、三村……)
【A-7・遊園地の待合室/一日目/午前】
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(小)、心の力消費(中) 、全身裂傷、
指の爪剥離
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー~新説~ 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品×2、
[思考・状況]
基本行動方針:七原と合流
1:少し休んだあと、オアシスに行くことを考える
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
カードの使い方も大体把握しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、力への渇望、全身裂傷、疲労(中)
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 、粘土@現実、ポップコーン@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:ちょっと休んだあと、オアシスに行くことを考える。
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?
[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。
本がフォルゴレ以外でも読めると知りました。
フォウ・スプポルクを修得
参戦時期:ファウード編以降
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:笑って前を向く強さを手に入れる。
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。
|[[人間/人形らしく」]]|投下順|[[トラーギッシュ]]|
|[[人間/人形らしく]]|時系列順|[[【おまえがそう想うのならそう在るのだろう。】]]|
|[[金色の彼に花束を]]|雛苺|[[そして誰かいなくなった]]|
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