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SS10唯「ねえりっちゃん、私たちって似てると思わない?」」(2011/02/02 (水) 16:42:57) の最新版変更点

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***SS10 唯「ねえりっちゃん、私たちって似てると思わない?」 律「はあ?」 二人で街をぶらぶらしてると、唯が突然こんなことを言い出した。 相変わらず脈絡のない奴だ・・・。 唯「だってね、二人ともお姉ちゃんだし」 確かに二人とも下に兄弟がいる。いる・・・が。 律「私は唯ほど弟に依存はしてないぞ」 唯「んなっ!?」 ひどいよりっちゃーん、とか言いながらポカポカ叩いてくる。 ああもう、なんで仕草がいちいち可愛いんだろうなこいつは! ・・・いつからだろう、唯のことをこんなに意識するようになったのは? 視線が合う度。言葉を交わす度。肌を触れ合わせる度。 気持ちがまるで雪のように積み重なっていって、押し潰されてしまいそうになる。 友達として「好き」になったのは、恐らく唯が入部してくれたあの日だろう。 第一印象はダメダメだったけど、ほんの少し話をしただけで分かった。こいつとは仲良くなれる、と。 果たして予感は的中し、何カ月もしないうちに私と唯は親友と呼べるほどの仲になった。 唯と二人でいるのが当たり前になった。唯と一緒なら何をしていても楽しいし、飽きることもない。 二人で廊下ではしゃいでは和に注意され、また部活をサボって街に繰り出しては二人で澪に怒られた。 笑い、泣き、怒り。 まるで万華鏡のようにコロコロと変わる彼女の表情は、私を強く惹き付け、少しずつ心のアルバムを埋め尽くしていった。 そんな「当たり前」を繰り返すうち、いつしかそれは「特別」に変わっていった。 唯ともっとずっと一緒にいたい。卒業しても離れたくない。唯の一番近くにいたい。 それはもう、ただ「好き」という言葉では表すに足りない気持ちだった。 そう、私は唯を「愛」している・・・。 律「悪かったよ・・・。で、似てるのがどうしたって?」 思わず抱きしめてしまいそうになるのを堪えつつ、努めて平静に問いを返す。 唯のことだ、深い考えがあって言ったわけじゃないんだろうけども。 唯「ううん、ただ似てるなぁって思っただけだよ?」 無邪気な顔で首を傾げてそんなことを言う。 ほらやっぱり、と思うと同時、その無垢な顔がまた私の胸の奥をざわつかせる。 いっそ打ち明けてしまえば、この苦しみから解放されるだろうに。 皮肉にも、親友という今の立場が、それを失う恐怖を伴って私を何重にも縛りつけていた。 唯「だってね、ほら」 律「っ!?」 唯「こんなにそっくり・・・ッ?」 私たちのトレードマークであるヘアピンとカチューシャを共に外す唯。 そこにいたのは、唯であって唯ではない唯。 そして、私であって私ではない私。 知らない国へ紛れ込んでしまった異邦人が、そこには二人。 唯「あ、あんまり似てないね・・・あはは」 唯が何か言っているが、耳に入ってこない。 そんなことより前髪が気になって落ち着かない。 ・・・気になるのは自分の前髪?それとも― 律「・・・おかしーし」 その先を考えるより早く、以前髪をいじった時にも出た言葉を言う。 さっさとこの話題を終わらせていつもの私たちに戻りたい、その思いが口を動かしたのだろうか。 とりあえずカチューシャを回収すべく手を伸ばす、が。 唯「だ、駄目だよりっちゃん!だってこんなに似合っててかっこいいのに・・・」 ひょい、と唯が手の届かないところへ隠してしまう。 ・・・あれ?唯?今いる唯は確かに唯だけど。でもやっぱりいつもの唯とは違って。 なんだろうこれ、いつにも増して胸がドキドキする。 律「唯も・・・よく、似合ってて可愛いよ」 無意識にそんな言葉が口を突いて出た。 何故か、言わなければならない気がしたんだ。 唯「~~~!!」 唯が真っ赤になって俯いてしまう。 しまったと思ったが時既に遅く、自分の不用意な口を呪った。 が。 唯「・・・ずるいよ」 律「なに?」 唯「りっちゃんはずるい。だって私はこんなにドキドキしてるのに、りっちゃんは平気そうなんだもん」 唯が言ってることがわからない。ドキドキって?私が平気? ははっ、馬鹿なことを言うんじゃない。だって私はこんなに・・・ 律「平気なわけないだろ・・・」 唯「へっ?」 律「いつもでさえドキドキしてたのに、こんな雰囲気の違う唯を見てドキドキしないわけないだろ!」 言った。言ってしまった。 秘めておくつもりだったのに、勢いに任せて言ってしまった。 唯がこんなに可愛い・・・いや、綺麗なのがいけないんだ。 ここまできたらもういっそ最後まで言ってしまおう。 唯「嘘・・・!」 律「嘘なもんか!私はいつだって唯の側ではドキドキしっぱなしだったんだぞ」 律「私な、唯のこと好きだったんだ。友達としてじゃなく、一人の女の子として」 律「唯を愛してしまったんだよ!だから、こんな普段と違う顔見たらドキドキするに決まってるだろ!」 半ばやけくそで告白をした。 我ながら格好悪いと思うが、もはや止まらなかった。 ダムが決壊するように、貯めてきた思いがどんどん流れてゆく。 律「いつだってそうだ。唯が隣にいるだけで楽しかったし、幸せだった」 律「まるで今まで欠けてた私のピースがはまったような気がしたんだ」 律「でも・・・」 唯「りっちゃん・・・?」 そして、水が流れ切った後に残るのは。 律「・・・ごめんな、女同士で好きとかありえないよな。」 律「じゃあな、唯・・・今までありがとう」 唯に背を向け歩き出す。これでよかったんだ。 唯とずっと親友のままでいても、苦しいだけだっただろうから。 こうして白黒つけちまえば、あとは時間が勝手に解決してくれる・・・ 唯「待ってよりっちゃん!」 ・・・はずなのに。なんでこいつは背中にしがみつくんだ? このまま立ち去らせてほしい、私のちっぽけなプライドのために。 泣きそうなの我慢してるんだからな? 律「・・・なんだよ」 唯「どうして行っちゃうの?私まだなんにも話してない!」 律「だって・・・唯は私のことどう思ってるんだ?」 唯「好きだよ!」 律「そうだ好き・・・え?」 唯「だから、私もりっちゃんが好きなの!愛してるのッ!」 時間が止まった気がした。 まさか。そんなはずが。 律「愛・・・って待て。私たち同性だぞ?」 唯「りっちゃんが先に言ったんじゃん・・・」 律「う・・・確かに・・・」 唯「でも、同性とか関係ないよ。私はりっちゃんだから好きになったんだもん」 律「唯・・・」 唯「もっかい言うね」 唯「私は、いつでも明るくて、ちょっぴりだらしないけど結構頼りになる」 唯「そんなりっちゃんという女の子が、大好きです!」 律「唯!」 思わず唯を思いっきり抱きしめた。 まさか思いが通じるなんて。これは夢じゃないよな? 唯「ちょ、苦しいよりっちゃん・・・」 律「ああ、悪い悪い。ついな」 唯「ぷっ」 律「くくくっ」 唐突にほんの少し前のノリに戻ったことに気づいた私たちは、二人しばらく笑い続けていた。 ひとしきり笑い終えると、肩を寄せ合って。 律「絶対叶うはずがない、って思ってた」 唯「それは私もだよ~」 律「まさか両思いだったなんてな・・・」 唯「りっちゃんたらニブいんだから・・・」 律「それはお前も同じだろっ!」 唯「いや~、りっちゃんだよ」 律「どうして」 唯「だってりっちゃん、さっき私が『ドキドキする』って言ったのに気づかないんだもん」 律「は・・・?」 言われてみれば、私は平気だっていう部分に反応して告白したわけだが、その前にそんなことを言ってたような気もする。 律「あー・・・実はテンパっててそれどころじゃなかったんだよ」 唯「?」 律「だってほら・・・髪髪」 唯「???」 律「髪下ろした唯が、その・・・凄く綺麗だったから///」 唯「そ、そうなの!?」 律「あ、ああ・・・」 唯「あ、ありがと・・・りっちゃんも、凄く・・・かっこいいよ」 律「ありがとう・・・」 律「・・・っていうかこの会話さっきもしたよな?」 唯「そ、そうだっけ・・・」 律「・・・やっぱ唯がニブいで決定」 唯「そんなぁ~!」 やっぱり私たちには恋人らしい会話は似合わないなぁ・・・と思う。 こういうバカなことやってる方が楽しいんだもんな。 でも、これだけはきっちり言っておく必要があるんだろうと思う。 律「なあ唯」 唯「ん~?なぁにりっちゃん」 律「やっぱり一旦お別れしよう、唯」 唯「えっ、どうして・・・」 律「まあ聞け」 律「友達としての私たちにお別れだ。そして」 律「これからは恋人として、改めてよろしく、だ」 唯「・・・・・うん!」 満面の笑顔で抱きついてくる唯。 決して離さないよう、強く強く抱きしめた―

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