Marked For Death ◆L62I.UGyuw
訳が解らぬ、と伊賀鍔隠れ衆の事実上の頭、薬師寺天膳は月明かりの森で憤慨していた。
歳の推し量れぬ色白の顔を歪めながら、天膳は僅かばかり前の出来事を思い返す。
歳の推し量れぬ色白の顔を歪めながら、天膳は僅かばかり前の出来事を思い返す。
何処とも知れぬ奇妙な空間。
鏡を用いた面妖な術の使い手が告げた、殺し合え、という命令。
伊賀でも甲賀でもない有象無象の人間の名前。
意味の不明な南蛮語が幾つかあったものの、術者が言わんとするところは天膳もおおよそ諒解した。
ならば彼の言に乗ってただただ屍の山を築くべきか。
断じて否である。
鏡を用いた面妖な術の使い手が告げた、殺し合え、という命令。
伊賀でも甲賀でもない有象無象の人間の名前。
意味の不明な南蛮語が幾つかあったものの、術者が言わんとするところは天膳もおおよそ諒解した。
ならば彼の言に乗ってただただ屍の山を築くべきか。
断じて否である。
名簿には宿敵である甲賀者の名もあった。殺し合いそのものは望むところである。
無関係な者を殺すことにも何の躊躇いもない。
しかし、だからといって、畜生の如き扱いを受けて唯々諾々と従う薬師寺天膳ではなかった。
無関係な者を殺すことにも何の躊躇いもない。
しかし、だからといって、畜生の如き扱いを受けて唯々諾々と従う薬師寺天膳ではなかった。
伊賀の魔人衆を首輪などで鎖に繋ごうとは笑止千万。
願いを叶えてやるなどという大上段からの戯言にも腸が煮え繰り返る。
伊賀の同胞と殺し合うつもりも勿論ない。
まずは甲賀者や伊賀に手向かう愚か者を皆殺しにした後、じっくりときゃつを嬲り殺してくれよう。
天膳は、そう心を定める。
願いを叶えてやるなどという大上段からの戯言にも腸が煮え繰り返る。
伊賀の同胞と殺し合うつもりも勿論ない。
まずは甲賀者や伊賀に手向かう愚か者を皆殺しにした後、じっくりときゃつを嬲り殺してくれよう。
天膳は、そう心を定める。
しかし手が足りぬ。
名簿を信じるなら、この地にいる伊賀の者は、天膳を除くと朧と筑摩小四郎の二人のみである。
そして朧は、あらゆる忍の技を破る恐るべき『破幻の瞳』の使い手とはいえ、戦いにおいては素人同然。
甲賀者も、これ幸いと彼女を狙ってくることだろう。
彼女は特に甲賀弦之介の魔性の瞳術に対する切り札である。何としても、甲賀者よりも先に手中に収めなければならない。
しかし自分と、何処にいるかも判らぬ小四郎だけで果たしてそれが可能か。
名簿を信じるなら、この地にいる伊賀の者は、天膳を除くと朧と筑摩小四郎の二人のみである。
そして朧は、あらゆる忍の技を破る恐るべき『破幻の瞳』の使い手とはいえ、戦いにおいては素人同然。
甲賀者も、これ幸いと彼女を狙ってくることだろう。
彼女は特に甲賀弦之介の魔性の瞳術に対する切り札である。何としても、甲賀者よりも先に手中に収めなければならない。
しかし自分と、何処にいるかも判らぬ小四郎だけで果たしてそれが可能か。
「駒の一つ二つくらいは手に入れる必要があるかもしれんな」
そう呟いたとき、天膳の眼が木々の間に長身の男を捉えた。
男は南蛮風のゆったりとした青い服を纏っていた。
夜の森をまるで迷うことなく歩いている。
それなりの心得を持つ者だろう。
好都合である。
男は南蛮風のゆったりとした青い服を纏っていた。
夜の森をまるで迷うことなく歩いている。
それなりの心得を持つ者だろう。
好都合である。
「そこの者、待てい」
天膳は切れ長の目をかっと見開いて呼ばわった。
男は特に動じる様子もなく、至極自然な所作で振り向いた。
左腕に奇妙な模様が描かれた盾のようなものを付けているのが見えた。
男は特に動じる様子もなく、至極自然な所作で振り向いた。
左腕に奇妙な模様が描かれた盾のようなものを付けているのが見えた。
「私に用があるのか?」
男は落ち着き払っている。身のこなしに隙がない。
ほう、と天膳は顔には出さず感心する。
ほう、と天膳は顔には出さず感心する。
「うむ。うぬもこの下らぬ催事に招かれた者であろう。どうじゃ、わしの下に付かぬか?
独りでは色々と都合も悪かろう。悪いようにはせぬぞ」
独りでは色々と都合も悪かろう。悪いようにはせぬぞ」
男は冷笑した。
「嫌だ、と言ったら」
うつけ者を見る眼だった。
天膳の頬がひくりと震えた。
天膳の頬がひくりと震えた。
「命を粗末にするものではあるまい」
腰に差した刀をすらりと抜く。
そして流れるような動作で切っ先を上げていき、頭上三尺の位置でぴたりと止めた。
そして流れるような動作で切っ先を上げていき、頭上三尺の位置でぴたりと止めた。
「おのれにもう一度だけ問うぞ。心して答えよ。わしの下に付くつもりはないか?」
下らん、と間髪入れずに男は切り捨てる。
「其の身正しかれば令せずして行われ、其の身正しからざれば令すと雖も従われず。
お前は人の上に立つ器ではないな。これ以上は、話すだけ無駄というものだ」
お前は人の上に立つ器ではないな。これ以上は、話すだけ無駄というものだ」
男が言い終えるや否や、天膳は六間余りの間合いを瞬時に潰して斬りかかった。
「ならば我が剣の錆となれい!」
裂帛の気合と共に、刀が振り下ろされる。
天膳の渾身の袈裟斬りを、しかし男は人差し指と中指で挟んで軽々と止めた。
天膳の渾身の袈裟斬りを、しかし男は人差し指と中指で挟んで軽々と止めた。
「なぁッ!?」
驚愕する天膳。
慌てて刀を引こうとするが、びくともしない。
青服の男が、まさに魔物の笑みを浮かべる。
慌てて刀を引こうとするが、びくともしない。
青服の男が、まさに魔物の笑みを浮かべる。
「ほぉ、悪くない太刀筋だ。では防御の方はどうかな」
ほとんど視認不能の正拳が、天膳の腹目掛けて叩き込まれた。
蛙の潰れたような声と刀だけをその場に残して、彼の身体が地面と水平に吹き飛んだ。
そのまま背後の大木に背中から叩き付けられ、口から大量の血を吐き出す。
呻く天膳へ向けて、男は指に挟んだ刀を腕だけで無造作に放った。
月に煌く刀が光の矢と化し、凄まじい速さで天膳の胸に吸い込まれる。
矢は天膳の心臓を精確に射抜き、彼の身体を木に縫い付けた。
木が大きく揺れ、大量の葉が舞い落ちた。
ぐるりと白目を剥く天膳。
彼の肉体は二、三度大きく痙攣し、そして動かなくなった。
蛙の潰れたような声と刀だけをその場に残して、彼の身体が地面と水平に吹き飛んだ。
そのまま背後の大木に背中から叩き付けられ、口から大量の血を吐き出す。
呻く天膳へ向けて、男は指に挟んだ刀を腕だけで無造作に放った。
月に煌く刀が光の矢と化し、凄まじい速さで天膳の胸に吸い込まれる。
矢は天膳の心臓を精確に射抜き、彼の身体を木に縫い付けた。
木が大きく揺れ、大量の葉が舞い落ちた。
ぐるりと白目を剥く天膳。
彼の肉体は二、三度大きく痙攣し、そして動かなくなった。
「ふむ。まあ、準備運動にはなったか」
屍と化した天膳を一瞥すると、青服の男は次の獲物を探して悠々とした足取りで去って行った。
【F-5/1日目/深夜】
【チャン@ブレイブ・ストーリー~新説~】
[状態]:健康
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー~新説~
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:次の戦場を探す。
[備考]
[状態]:健康
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー~新説~
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:次の戦場を探す。
[備考]
【薬師寺天膳@バジリスク~甲賀忍法帖~】
[状態]:内臓破壊、死亡中
[装備]:由乃の日本刀@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1~2
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:……。
2:朧を探す。
3:使えそうな手駒を見付ける。
[備考]
[状態]:内臓破壊、死亡中
[装備]:由乃の日本刀@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1~2
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:……。
2:朧を探す。
3:使えそうな手駒を見付ける。
[備考]
【八卦鏡(フォーチュンテリングミラー)@ブレイブ・ストーリー~新説~】
チャンの専用武器。風水師が使えばあらゆる魔法を無効化することが出来る。
チャンの専用武器。風水師が使えばあらゆる魔法を無効化することが出来る。
【由乃の日本刀@未来日記】
11th襲撃の際に由乃が装備していた日本刀。人間を縦に両断しても平気。
11th襲撃の際に由乃が装備していた日本刀。人間を縦に両断しても平気。
幻想を殺す | 投下順 | A Boy(?)Meets A Girl(?) |
幻想を殺す | 時系列順 | A Boy(?)Meets A Girl(?) |
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GAME START | 薬師寺天膳 |