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SS30澪が書いた詩を唯が読み上げる。

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yuiritsu

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SS30


澪が書いた詩を唯が読み上げる。
私と唯しかいない部室で、その音読はとてもよく響いた。

昨日澪が持ってきた歌詞を見た時唯は、まだメロディーが付いてないうちから、
私がボーカルする!と張り切っていた。
言わなくたって基本的に唯がボーカルになるのに。
そう言った時の自分の声が思いの外素っ気なくて、でも唯は気にする様子もなく
いつものふにゃふにゃした表情で、私がんばるよりっちゃん!なんて言った。

読み上げ終わった唯は、やっぱりこの歌詞良いねー、ムギちゃんどんな曲付けるかなー、
とのほほんと笑いかけてきた。
でも私は笑い返すことも、唯の言葉に同意することも出来ずに、曖昧な返事をして
そっぽを向いてしまった。バカ、何やってんだ私。
でも唯の声で読まれた歌詞を聞いて動揺してることにも、顔に熱が集まってることにも
気づかれたくなくて、唯を見ることが出来ない。
私は不自然にトンちゃんに視線を向けていた。
「りっちゃんどうしたの?」
「い、今、トンちゃんに呼ばれた気が・・・」
「ず、ずるいりっちゃん・・・!!私もトンちゃんに呼ばれたい!おーいトンちゃーんっ」
唯は私の即興のウソで水槽に飛び付いて、ガラス越しにトンちゃんを突っつき始めた。
唯が単純で助かった・・・。
でも、そういうところが唯の可愛いところだ、なんて思いながらトンちゃんに夢中な
唯の後ろ姿を見ていた。
顔は熱いけど、私に平常心がようやく戻ってきた。
そこで唯が思い出したように言った。
「さっきの歌さ」
「ん?」
「りっちゃんへの歌みたいだよね」
「・・・へ?」
「りっちゃんへの・・・ラブレターっていうかー・・・えへへ」
トンちゃんに餌をやりながら、私の気持ちなんか知らずに唯はヘラヘラ笑顔で言った。
ラブレター。
この詩をラブレターだと勘違いしてしまっていた、あの恥ずかしい何日間をやっと
記憶の隅に押しやった矢先、澪はこの歌を持ってきた。
やっと最後まで出来たぞ、なんて。私はボツだって言ったはずなのに。こんな歌詞、ただでさえ恥ずかしいのに。

唯の声で読み上げられた時、どうしたってもう身体中がもう熱くて、頭ん中ぐちゃぐちゃ
よくわかんなくなっちゃって、おかしくなるかと思った。
私には関係ない、前髪がどうしたって思い込もうとしても、駄目だった。
唯が口にしているのはただの歌詞で、私に対して言ってることじゃないんだって、
必死に自分で自分に言い聞かせても、嬉しくなっちゃう気持ちが止まらなかった。
なんかもう、ホッチキスで止めたくなる気持ちもよくわかった。
「ね?そう思わない?」
「ぜんっぜんラブレターには思えないぜー!全く唯は変なことを!
思春期って恐ろしゅうございますわーホホホホ!」
兎に角動揺を隠すのと、赤くなった顔もごまかすためにふざけてみた。
唯もふふーっと笑う。
「えーそうかな?」
「そうだそうだーっ」
えーっとまだ不満そうに唇を尖らせると唯は歩き出した。
窓から差す夕日に照らされてる背中を見ていたら突然振り返ってきたから、何故か
ギクッとしてしまった。
「いや、やっぱりこれりっちゃんのための歌だよ!私にはそうにしか思えないもん!」
「も、もうその話題は良いだろ・・・」
「だってね!りっちゃんへのラブレターだって思ったから私、
私が歌いたいって思ったんだよ」
「え?」
聞き返す間もなく唯は部室を飛び出してしまった。逃げ出したっていうか何ていうか。
っていうかあれ?さっきの何?どういう意味だ?


「うわっ」
「わぁっ」
「あたた・・・あ、唯ちゃん」
「さわちゃん先生!ごめんなさい先生私が前向いてなかったせいで・・・大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。唯ちゃんこそそんなに慌ててどうしたの?顔も赤いわよ・・・」
「はっ!そうだ!私!あー、どうしよ!」
「え?ちょ、あ、唯ちゃんどこ行くの?おーい・・・」
「わかんない~!!」
「どうしたのかしら・・・」

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