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澪「やっぱり私のせい、だよな・・・」A2
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moemoequn
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なんて事が、中学生の時にあった。
あの時は気にしてないように振舞っていたけど、やっぱり本当はショックだったんだな・・・。
そもそもいつも律はそういう奴じゃないか。
人が落ち込んで居たら放っておけない癖に、人には心配かけるからってそういうところを見せようともしない。
そんなのわかりきっていたことだって言うのに・・・
ああもう、本当に情けない。本当にどうしようもないぞ私。
律はまだ泣いている。
理由がよくわからない唯やムギや梓は慌てている。それも当然だ。
澪「律」
私が立ち上がってそう発すると律は身を震わせた。
他の皆も驚いたようにこっちを見る。
あくまで律があの時のことで傷ついている、なんてのは私の想像でしか無い。
これで違っていたら相当な自意識過剰女だ。
普段の私だったらそんな勘違いをされることを恐れて何も言えなかっただろう。
でも、
それ以上に、
律が泣いていることの方が私には辛い。
泣き虫な私が泣く度に、私のことを慰めてくれる誰よりも優しいあの少女が泣いている。
それは普段情けない自分の心を奮い立たせてくれるには充分すぎた。
澪「律、本当にごめん!」
私が頭を下げてそう叫んだと同時に辺りは静寂に包まれた。
皆事情が呑み込めず固まっているのだろう。
澪「中学の時、律が前髪下ろした姿を似合わないなんて言っちゃったけど、あれは嘘なんだ!」
律「・・・」
律は、何も言わない。
やっぱり私の勘違いなのかもしれないな
- なんて言ったらあの時と何も変わらない。
律は皆が思っているより繊細な少女だ。何も思わなかった筈なんて無い。
あの時だってそんなこと気付いていた筈なのに、私は逃げた。
だから今は精一杯、私の思いの丈の全てで、精一杯律に謝ろう。
澪「本当にごめん!とっさにあんなこと言っちゃって!しかもあの時はそんなこと何も言わないで今更になって・・・!」
唯「え?どういうこと?」
梓「澪先輩、私達の存在思いっきり忘れてますよね・・・」
紬「まぁまぁ(百合の匂いがするわね・・・!)」
澪「今更になって謝罪するなんて都合が良すぎるかもしれないけど・・・本当に反省してる!」
律「・・・何だよ、それ」
ようやく律の口から出てきたのは、当然だが私を非難する言葉だった。
律「私はあの時、本当にショックだったんだぞ!」
律「あんまりあんなことしないけど、折角可愛くなれたと思ったから澪に見て欲しくて!」
律「私は他の誰でもない!澪に!似合ってるって、可愛いって言ってもらいたかっただけなのに・・・!」
唯「しゅ、修羅場?これ修羅場?」
梓「完全に私達空気ですよね」
紬「うふふふふふふふふふ」ツー
律から浴びせられた言葉に、私は泣き出しそうになってしまう。
でも耐えろ、耐えるんだ秋山澪。
悪いのは私なんだから、ここで泣いちゃいけない。
それよりもするべきことが、言わなきゃならないことが私にはある筈だ!
澪「本当はすごく似合ってた!」
律「え」
澪「前髪を下ろした律を見た時、あまりにも可愛くて、抱きしめたいとか、キスしたいとかそういうことだって思った!」
律からは何の言葉も返って来ない。
澪「でも、律が今度からそういう髪型にしようかなって言ったの聞いて」
でも、それでも今は素直に気持ちを伝えるんだ。
澪「律のこんな可愛いところ誰にも見られたくないって思って・・・」
唯「わーりっちゃん顔真っ赤ー」
澪「こんな可愛い律を見られたら律をとられちゃうんじゃないかと思って・・・」
梓「私砂吐きそうです」ザー
唯「もう吐いちゃってるよ、あずにゃん」
澪「あの時、ううん、今でも律の一番近くに居たいからそんなの絶対嫌だって思って」
梓「ムギ先輩鼻血出過ぎです、これ使って下さい」ザー
紬「あら梓ちゃん、ありがとう」ボタボタボタ
澪「だからとっさに似合わないなんて言っちゃって・・・!」
まだ律は何も言ってくれない。
澪「私の勝手な我侭で、それで律を傷つけちゃって・・・本当に本当に反省してる・・・」
流石に律に嫌われてしまったのかもしれない。
澪「ごめん、律・・・私本当に反省してるから・・・」
自業自得なんだから仕方ないのに、わかってるのに。
澪「だから・・・お願い、律・・・私のこと嫌いにならないで・・・」
ここで泣いちゃ駄目だっていうのに、涙が出るのを止められない。
律「み、澪!?」
澪「ごめ、ごめんなさい・・・もう絶対こんなことしないから・・・」
律「わ、わかった!もう気にしてないから泣き止め!」
澪「本当・・・?」
律「ああ、本当だって!澪は私の言うこと信じられないのか!?」
澪「ううん・・・」
澪「律の言葉なら信じるよ、私律のこと大好きだから」
律「うん、私もだよ、澪」
唯「何か今日はいつにも増してすごいね二人共・・・」
紬「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」ボタボタボタボタ
梓「ムギ先輩鼻のティッシュ変えて下さい、既に詰めたティッシュの先から滴り落ちてます」ザザー
紬「あらありがとう、それにしてもりっちゃんも澪ちゃんも大胆ねー。あんなこと大声でお互い言い合って・・・」ポタ・・・
律澪「「え?」」
紬「あら二人共必死だったから記憶に無い?こんな時のために録音しておいたのよー」
唯「流石ムギちゃん!」
梓(絶対個人的な理由だ・・・)
ボイスレコーダー再生中・・・
唯「と、いう訳で」
梓「落ち着きましたか二人共?」
澪「はい・・・」
律「おう・・・」
私は机に突っ伏したまま動けないでいる。
さっきは律に許してもらうことに必死だったから気にしてなかったけど、色々とんでもないことを口走っちゃっていたからだ。
唯「さっきはすごかったよねーりっちゃん。『澪に可愛いって言って欲しかっただけなのに!』なんてさー」
梓「澪先輩も返す刀で『あまりにも可愛かったから』、『私が一番で居たいから』ですもんね。思い出すだけで砂吐きそうです」ザー
唯「また出ちゃってるよあずにゃん」
二人共お願いだからあまり掘り返さないで欲しいなあ・・・。
というか、何より・・・もう私の気持ちが律にばれちゃったよなあ・・・。
紬「あれだけ言っちゃえばね~」
澪「心を読まないで下さい」
紬「ふふふ」
でも、そうだよな。あれだけ言っちゃったんだ。
だったら今日は勢いに任せて、大事なことをきちんと伝えるべきなのかもしれない。
いつも律に頼ってばかりじゃなくて、私から動くんだ。
澪「律!」
そうと決めると私は勢いよく跳ね起きた。
律「な、何?」
律も同じ状態だったらしく、私に驚いて跳ね起きる。
皆もびっくりしたみたいで、私に注目している。
それでも私は、誰から見られていようともどうしても伝えなければいけない言葉を紡ぎだす。
澪「私、律のことが―」
fin
おまけ
澪「あの、ムギさん、お願いがあるんですけど」
紬「あら何?二人共改まって」
律「さっきのボイスレコーダー、消していただけませんか?」
紬「あらいいわよ」
澪「え!?」
律「本当に!?」
紬「勿論よ。二人に確認させる為に、って言ったじゃない?」
澪「よ、良かった・・・!」
律「あれが残ってたら辛いものがあるからな・・・!」
紬「あらそんな事無いのに」
澪「と、とにかくありがとうムギ!」
紬「別に(もう一つ録音してあるから)いいのよ~」
梓(ボイスレコーダー、一つじゃないんだろうなあ・・・)