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澪「織姫は彦星に出会えた」1

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moemoequn

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澪「…眠れない」ムクリ

澪「おかしいなぁ…日中動き回ったから疲れてるのはずなのに」

唯「やだなぁみおちゃん!」

澪「!?」



唯「…もう食べられないよぉ…」スースー

澪「寝言…?」

紬「焼きそば…ゲル状…」スースー

梓「ペロ…ペロ…」スースー

さわ子「…………」

澪「みんなぐっすりだな…」

さわ子「…………ンゴッ」

澪「先生…無呼吸症候群なのかな…」



澪「テントはやっぱり少し蒸すな」

澪「…夜風に当たってこよう」モゾモゾ




~♪ ~♪

澪「本当に一晩中やってるんだな…楽しそう…」

澪「…よいしょっと」

澪「いい風だなぁ…昼間と雰囲気が全然違う…」ゴロン

澪「うわぁ…すごい星…」



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澪「ミルキーウェイとはよく言ったもんだ…」

澪「なんだかいい詞が浮かんできそう…ノート持ってくればよかったな」



澪「…」

律「おーい…みーおー?」

澪「ん…律か…どうしたんだ?ひょっとして起こしちゃってたか?」

律「いや、トイレから戻ってきたら澪がいなかったから探してたんだ」

澪「そっか…ごめんな」

律「いいって。何やってんの?」

澪「なかなか寝付けなくて…夜風に当たってたんだ」

律「ふうん…わたしも一緒に、いい?」

澪「ああ、ここ座んなよ」



律「さんきゅ。よっこらしょっと」

澪「親父か…」

律「うるへー。つい言っちゃうんだよ」

澪「全く、少しは恥じらいをもてよ…は、はっくしょん!…ちきしょー」

律「え」

澪「あ」カアア

律「おやおやぁ?澪だって年寄臭いくしゃみしてるじゃーん」ニヤニヤ

澪「う、うるさいな!たまたまだよ…」



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律「いーや!今のはどう見ても癖になってるな!そんなんじゃすぐおばさんになっちゃうぜ?」

澪「…」

律「ひょっとして、休日はお尻掻きながら寝転がってTV見てたりするんじゃないの~?」ニヤニヤ

澪「…」

律「?もしもーし?澪さーん?もしかして怒って…」

澪「律…」ガシッ

律「ひゃい!?」

澪「…正座で反省な」

律「し、しどい!」



澪「はは、冗談だ。律も寝転がって星空を見てみなよ。さっきより周りが暗いから、良く見えるぞ」

律「どれどれー?…おー…すっごい」ゴロン

澪「だろ?」

律「うん。昼は夏フェス、夜は星空観賞か…」

澪「…来てよかったな」

律「ああ。先生には感謝しないとな」

澪「さっき無呼吸で寝てたけどな」

律「なってたなってた。あれ結構やばいよな」



律「…澪は星座とか星の名前、分かるの?」

澪「ああ。昔パパ…お父さんとよくプラネタリウムに行ってな。ある程度は」

律「いいなぁ…なんか星座が分かるとさ、知的っぽく見えるじゃん?」

澪「まぁ…言わんとすることは分かるけど」

律「わたしさそり座しかわかんないんだよねぇ…」

澪「なんでまたさそり座…」

律「美川憲一の歌で覚えたんだ…ねえ、織姫と彦星ってどれ?」



澪「織姫と彦星は星座じゃないぞ…」

律「あ、そうなの?じゃあどこにあるの?」

澪「ええっと…あの青白いのわかるか?アレが彦星。で、天の川を挟んで白く輝くのが」

律「織姫ってわけね」

澪「そう。彦星と織姫はそれぞれアルタイル、ベガって呼ばれてて、デネブと合わせて夏の大三角を作るんだ」

律「物知りだな…あ、あたしいっつも思うんだけどさ」

澪「なに?」



律「織姫と彦星って毎年一回、七夕の夜に会えるっていうじゃん?まあここ数年は曇りが続いてるみたいだけど」

澪「うん。前後は晴れてるのに七夕の日だけ曇ってるっていうのはよくあるよな」

律「まぁそれも不思議なんだけどさ、そもそも織姫と彦星が晴れた夜にデートが出来るかどうかなんて、私たちは全然気にすることないと思うんだよ」

澪「…どうして?」

律「なんでカップルが会えるか会えないかを私たちが気にしなきゃなんないんだよ!」

澪「なんだそのいちゃもんのつけ方は」

律「どうせなら七月中はずーっと雲ってりゃいいんだ!」



澪「うーん…恋人同士が年一回会えるチャンスの日が曇りっていうのは、やっぱり見ててモヤモヤするけど」

律「だってあいつら私たちが生まれる前から恋仲なんだぜ?一年や二年会えなくたってどうってことなくないか?」

澪「でも…やっぱり好きな人と会えないのはつらいよ…」

律「そういうもんかな?」

澪「そういうもんなの。律は好きな人がいないから分かんないだろうけどな」

律「…いるもん」ボソッ

澪「ん?なんだよ?」

律「なんでもなーい」



律「いやぁそれにしても、思えば色々あったなぁ…軽音部」

澪「いきなりどうしたんだ?」

律「星を見てたらさ、なんかちょっとセンチメンタルっていうの?過去を懐かしんでみたくなって」

律「だってもう私たち三年だよ?あっという間すぎるよ」

澪「そうだな…」



律「一から部活立ち上げて、今はこうして夏フェスに来てるんだぜ?」

澪「ふふ…まあ一時はどうなる事かと思ったけどな」

律「ムギも唯も梓も。よく入ってくれたよ」

澪「本当に色んなことがあったな…ギー太の為にバイトしたり」

律「やったやった…海で合宿したり…」

澪「ティータイムといい、ムギにはお世話になりっぱなしだな…」

律「学園祭でパンツ見せたり…」

澪「お、おい!それはもういいだろ!」



律「いや、あれも含めて軽音部の活動だからな」

澪「は、恥ずかしいからその思い出は忘れてくれ…」カアア

律「本当に色々あって今ここにいるんだなぁ…なぁ、澪?」

澪「…今度は何?」

律「身構えるなよ…軽音部がここまで来れたのも、最初に澪が私のわがままを聞いてくれたおかげだと思ってる…」

澪「律…」



律「私のわがままを聞いてくれてありがとうな」

澪「…いいって。私も軽音部が大好きだ。こちらこそ、最初に軽音部に誘ってくれてありがとう」

律「澪はあのまま文芸部に入っていたらどうなってたんだろうな…」

澪「どうだろうな…でも、軽音部よりは楽しめてなかったと思うよ」

律「分かんないよ~?神様の願望で宇宙人になっちゃったりしてるかもよ?」

澪「意味のわからないボケをするな…」

律「ユニークだろ?」

澪「さあ」



澪「宇宙人か…律はさ、宇宙人っていると思う?」

律「さぁ…でもこんなに星があるんだから、どこかにいるのかもなぁ…」

澪「…宇宙人は歌を歌うのかな。作詞作曲とかするんだろうか」

律「そうだとしたら、宇宙人ってどんな楽器使うんだろうな」

澪「もしいるなら…セッションしてみたい」

律「ふっふっふ…甘いな澪!牛の血抜いたり、頭に機械埋め込むような奴らかもしれないぜ?」

澪「ひいい!か、考えないようにしてたのに…!」ガクガクブルブル



律「でもまぁ、宇宙人は音楽を知っているのか?っていうのは気になるな」

澪「…もし蛸型だったらどういう楽器をつかうんだろうな」

律「な?気になるだろ?」

澪「ああ。もしくはさ、蛸型じゃなくて地球にそっくりな星があったりして」

律「私や澪にそっくりな宇宙人が軽音部やってたりしてな」

澪「…生きてる間に人類は出合えるのかなぁ…できれば優しい宇宙人がいいけど」

律「向こうも私たちを探してたりするんじゃないか?」

澪「案外もう来てるのかもな…宇宙には何千億も星があるんだから」



律「数千億かー。多すぎるよなぁ」

澪「こうやって…星を見ているとさ」

律「うん?」

澪「すごく切ないというか、寂しくなってくるんだ」

律「そうなの?わたしは単純に綺麗としか思わなかったけど」

澪「…宇宙はさ、空気もなくて真っ暗で」

律「うん」

澪「星と星の間も、気が遠くなるくらい離れてる」

律「…うん」



澪「孤独な数千億の星達は、何を考えてるんだろうな。暑がったり、寒がったり、寂しくなったりしないのかな…」

律「…」

澪「それに、星座っていうのも、実際は孤独なものなんだ」

律「…どういうこと?」

澪「星座を作っている星達も。本当は何の関係もないんだ」

律「…」

澪「ただ、この地球からから見て近くにあるように見えたというだけなんだ」

律「…」

澪「孤独な光を人間が地球で受け取って、勝手に星座を創り出した」

律「…」

澪「織姫と彦星だって、本当は何光年も離れてる。見かけはあんなに近いのに…」


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