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考えてみると、彼女のことをよく知らない気がする。

たとえば律。
バカばっかりやってても、いつも周りを明るくさせてくれる。
私にとっては太陽みたいな奴だ。

たとえば唯。
天然で、不器用だけど……何事も一生懸命で、何度も元気をもらった。

たとえば梓。
真面目で、なかなか練習しない軽音部のメンバーにはっきり物を言う。
ちょっぴりいじっぱりで、寂しがり屋。
手のかかる妹みたい。

じゃあ………



部室

澪「唯も律も風邪かあ……」

紬「夏風邪かしら。長引かなければいいんだけど」

紬「あっ、澪ちゃんおかわりいる?」

澪「あっ、ありがと」



澪 (考えてみたら、ムギと二人きりって初めてなような……)

澪 (あんまり話する機会なかったし……)

紬「澪ちゃん?」

澪「へっ?!」



紬「何か、悩み事でもあるの?」

澪「いや、別にそんなんじゃないけど……」

紬「でも澪ちゃん、すごく落ち込んだ顔してた」

澪「そ、そうかな?!」

澪 (お前がそうさせてるんだけどな……)



澪「……なあムギ」

紬「なあに?」

澪「休みの日とか、何してるんだ?」

紬「そうねえ……澪ちゃんは?」

澪「私は……その、勉強だったりベース弾いたり……律と遊んだり」

紬「うふふ、やっぱりりっちゃんとは仲がいいのね」

澪「そりゃあまあ……小学生の時から一緒だったし」

澪 (なんか話しにくいなあ……)



澪 (おっとりしてて、どっちかといえば聞き上手だからなあ)

澪 (ちょっととっつきにくいというか……盛り上がりに欠けるというか)

紬「……やっぱり、今日はお休みにする?」

澪「……うん、でも」

紬「?」

澪「良ければだけど……このあと遊びに行かない?律や唯の様子も見たいしな」

紬「………ええ!」



帰り道

紬「でも意外だったな、澪ちゃんが遊びに誘ってくれるなんて」

澪「そんなに意外か……?」

紬「あ、違うの!澪ちゃんと二人っきりで遊ぶのって、初めてだし」

澪「ああ、それもそうだな」

澪 (どこに行こうか……考えてなかった)



澪「ところで、どこ行きたい?」

紬「え?私?」

澪「ああ、ムギが好きな所に行くよ」

紬「そうねえ……じゃあ、あそこ!」



澪「カラオケ?」

紬「ええ♪この前りっちゃんと行って、すっごく楽しかったから!」

澪「あはは、そうなんだ」

澪 (私も行きたかったのに……)

澪 (でも、今はムギと二人きりだし!)

澪「じゃあ、行こっか?」

紬「どんとこいです!」



カラオケ店、ルーム内

澪「ムギ、何か頼む?」

紬「じゃあ烏龍茶にしようかな」

澪「ウーロン茶な、了解。……あああの、ウーロン茶二つお願いします」

澪 (しかし成り行きで来たわけだが)

澪 (歌うの、恥ずかしいな……)

澪 (ムギはムギでハイテンションだし……)

紬「澪ちゃん見て!これ、押すだけで登録できるのね!」

澪「ああ、そんなに押すなよ?!」



店員「お待たせしました」ゴトッ

店員「ごゆっくりどうぞ~」

澪「ムギ、先に歌う?」

紬「私、先に澪ちゃんの歌が聞きたいな♪」

澪「えっ?!」カアッ

澪「そっそんな、私下手だし、恥ずかしいよ……ムギ先歌って?」

紬「私、澪ちゃんの歌が聞きたいな♪」

澪「いや、だから」

紬「私、澪ちゃんの歌が(ry」

澪「……………うん」



澪「♪……もう一度聞かせて嘘でも
あの日のように好きだよって・・・」

紬「」

澪(……………なんだろうこの微妙な沈黙)

澪(選曲間違えたかな…?)カアッ

紬「……すごい!すごいわ澪ちゃん!」

澪「へ?」



紬「なんていうか、やっぱり軽音部のボーカルよね!思わず聴き惚れちゃった!」フンスフンス

澪「そ、そうかな?」カアッ

澪(面と向かって褒められると照れるなあ……//)

澪「じゃあ、次はムギが歌ってよ」

紬「うふふ…どんとこいです!」



紬「♪……カンタンなんだよ こ・ん・な・の
追いかけてね~つかまえてみて~
おおきな夢&夢 スキでしょ?」

澪「」

澪(ここは異次元なのか?!)

澪(しかも何気にめちゃくちゃうまいし……)

紬「ふう……あれ、澪ちゃん?」

澪「……今度の文化祭、私とボーカル変わって!!」ガシッ

紬「え?え?」



……

澪「なんだかんだで結構歌ったな」

紬「そうね~」

澪「時間はまだあるけど……ムギ、まだ歌う?」

紬「うーん…遠慮しておくわ。もう疲れちゃった」

澪「そっか。じゃあ、今から律んちにお見舞いでも行く?」

紬「………私、澪ちゃんとここでもっとお話したい!」



澪「え?でもお見舞いは」

紬「急に行ってりっちゃんや唯ちゃんの風邪悪くするのも嫌だし、やっぱりここにいよ?」

澪「うっ、うん」

澪(意外だなあ、ムギがこんなに積極的だったとは)

澪(もしかして、律よりも・・・?



紬「ねえ、澪ちゃん」

澪「なんだ?」

紬「……澪ちゃんは、好きな人っている?」

澪「へっ?!」

澪(まさかの恋バナだと……?!)



澪「いや、そんなのいないって!」

紬「ウソでしょう?だって澪ちゃん可愛いし、スタイルもいいから、すごくモテるんじゃない?」

澪「全然そんなことないよ……私人見知りするし」

澪「っていうか、今は軽音が恋人みたいなもんだから」

紬「……?」

澪(スベった……)



澪「そっ、そういうムギはどうなんだよ?」

紬「えっ!?」ボンッ

澪(わかりやすいな)

澪「……いるんだ?」

紬「…………」コクン



澪「どんな人なの?」

紬「え、えーっと……」

紬「いつもクールで、大人っぽい感じなんだけど……少し繊細で、恥ずかしがりなの。
  でも本当は、仲間想いのカッコいい人」

澪「ふーん……」

澪(ムギに好きな人がいるとはねえ)

澪(うち女子高だし、やっぱりバイト先の人なのかな)

澪「じゃあ、その……告白とかは、しないのか?」

紬「こっ告白?!」ガタン

澪「あーっ、お茶が…………!」



紬「澪ちゃん、ゴメンね……!」

澪「いいよいいよ、気にしないで」

紬「でも……」

澪「いいんだ、私が変な事聞いたせいだし」

紬「……うん。告白、か……」



澪「………ムギ?」

澪(顔真っ赤にして………)

澪(なんかアドバイスした方がいいのかな)

澪「あーその、ムギ?相手はムギのこと………」

紬「……わからない」

澪「……え?」

紬「………その、今まで二人っきりで話したことがそんなになくて……」

澪「…………………」

澪(律に聞いた方がいいかな)



澪(いや、でもこういう時律ならきっと………)

澪「やるだけやってみたらいいんじゃないか?」

紬「えっ?」

澪「私がこんなこと言っても説得力ないけど……その、好きって言わないと伝わらないだろ?」

澪「心を込めれば、きっとムギなら伝わると思う」

紬「………………うんっ」ウルウル

澪「なんか恥ずかしいな………こういう事言うの」

澪(律もよくこんなクサい台詞が思いつくもんだ)



紬「澪ちゃん、本当にありがとう。ちょっと勇気が出た」フン

澪「そ、そっか。頑張れよ?」

紬「うん!………それと澪ちゃん?」

澪「ん?なんだ?」

紬「もう一つ、お話したいことがあるの……………」



澪「う、うん……………」

澪(うつむいちゃって………やけに神妙だな………)

紬「澪ちゃんっ!」

澪「はっはい!」

紬「わっ私………澪ちゃんのことが好き!付き合ってください!」

澪「」



澪「おっおいちょっと待て?!わっ私か?!」

紬「ええ!」

澪「」

澪(マジか……?!ムギは好きな人がいるって……あっ)

……………………

紬『いつもクールで、大人っぽい感じなんだけど……少し繊細で、恥ずかしがりなの。
  でも本当は、仲間想いのカッコいい人』

……………………

澪(私だああああああああああっ!)

澪(落ち着け秋山澪、まずは相手の話を聞くんだ!)



澪「その………いつからだ?私が好きだって気づいたのは」

紬「いつからってわけじゃないけど………」

紬「多分、心のどこかで一目惚れしてたのかも」

澪「うん」カアッ

紬「でも、日に日に澪ちゃんのいい所をたくさん見つけて………」

紬「多分、去年の文化祭のときかな。本気で意識しだしたのは」

澪「うん……」

澪(なんも解決してない………)



紬「………やっぱり、迷惑だった?」

澪「迷惑なんかじゃないけど……なんかその、びっくりした」

紬「そうよね、こんな唐突に……ごめんなさい」シュン

澪「いや、ムギが謝ることなんかないって!」



澪「確かにびっくりした。今まで友達だった子に告白されたんだ」

紬「……うん」

澪「しかも相手は女の子だ。女の子同士って、その、私はよくわからない」

紬「…………うん」シュン

澪「それでも、ムギを嫌いになんかはならないよ」



紬「!!」

澪「だから、そうだな……これは、宿題」

紬「しゅく……だい?」

澪「ああ。私もまだ気持ちはまとまってない」

澪「でも、ムギの気持ちは私に充分伝わったから」

澪「私も、答えを出せるようにしたい」

澪「だから……その……」カアッ

澪「……これからも、もっと仲良くして……?」

紬「澪ちゃん………っ!!」ガバッ



澪「わあっ、むっムギ?!」

澪 (押し倒された?!)

紬「澪ちゃん……///」

澪「ムギ……………//」

紬「………本当に、ほんとうに、ありがとぉぉぉぉ……」ギュッ

澪「……よしよし、もう泣くなって」

澪 (ムギ……お礼を言うのはこっちだよ)

澪 (気づかせてくれて、ありがとな)



店員「ありがとうございましたー」

かえりみち

紬「わあっ、澪ちゃん、星が綺麗ね」

澪「そうだなー、すごく暗くなってるからかな」

紬「……ねえ、澪ちゃん?」

澪「ん?」

紬「もしよければ……このあと、澪ちゃんの家にお泊まりしても、いい?」

紬「私、もっともっと、澪ちゃんのこととか知りたいなーって」

澪「……うん!明日は土曜日だし、これからもっとたくさん話しよっか」

紬「澪ちゃん……! 大好きっ!」ガバッ

澪「うわっ!///」



澪 (ムギ、さすがに街中じゃ恥ずかしいってばあ)

紬 (ふふっ、でも私は澪ちゃんの困った顔も好きよ?)

澪 (うう…………///)

紬「さっ、早く行きましょう?」

澪「うん……//」

澪「あっそうだ、ムギ?」

紬「なあに、澪ちゃん」

澪「う、その……いきなりはやめろよ?」

紬「………うん!」

turn end.