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澪「エリザベス?」3

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moemoequn

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エリ「……と、いう訳なの」

澪「……」ポカーン

エリ「で、そこから『エリザベスは普通の人には見えない』とか『エリザベスならこんな事を知ってるはずだ』とか設定考えたり」

エリ「琴吹さんとか後輩ちゃんに協力のお願いしたりして、今日の本番に臨んだって訳」

澪「エリ・ザ・ベースって……」

エリ「うん。今となってはなんでGoサイン出したのか自分でも不思議なんだけどね」テレテレ

澪「くっくっく……あーはっはっははは!」

エリ「もう、そんなに笑わないでよ」カァ

澪「ハハハハ……ごめんごめん」

エリ「でも、中々だったでしょ?りっちゃんから色々澪ちゃ……秋山さんの話を聞いて」

エリ「家でも練習したんだよ?エリザベスになりきろう!と思って」

澪「そうだね。すっかり騙されちゃったよ」

エリ「ゴメン、騙したりして」




澪「でも、仲良くなりたかったから……なんだよね?」カァ

エリ「うん……。だけど、駄目だよね?こんな事しちゃ」

澪「……そうだな」

エリ「本当にゴメン!秋山さんの気持ちとか考えて無かった!」

澪「うん」

エリ「でも、秋山さんと仲良くなりたかったのは本当なの」

澪「うん」

エリ「だから、許してほしい。本当にゴメン!」

澪「じゃあさ」

エリ「うん。どうしたら秋山さんに許してもらえる?」

澪「さっきみたいにさ、名前で呼んでよ」

エリ「え?」

澪「律は名前で呼ぶのに、私は名字で呼ぶの?」

エリ「呼んでいいの?」

澪「秋山さんなんて他人行儀な呼び方、友達じゃないよね?エリ」




エリ「澪ちゃん……」

澪「うん。それでいいよ……エリ」カァ

エリ「なんで澪ちゃんが赤くなるのさ」

澪「改めてみると、何だか恥ずかしい」モジモジ

エリ「何か青春しちゃったもんね~。やっぱり照れてる澪ちゃんもか~わいい~」ガバッ

澪「ちょっと、それは許してない!」ゴン!

エリ「あ痛ッ!」

澪「あぁ!ゴメンつい!」

エリ「良いの良いの。友達っぽいよね~こういうの」

澪「ぽいじゃ無くて、友達なんでしょ?」

エリ「うん!ありがと、澪ちゃん!」

* * *




律「……ていう訳なんだよ」

さわ子「」ポカーン

梓「」ポカーン

紬「でも、失敗しちゃったわね」

唯「良い作戦だと思ったんだけどなぁ」ネー

律「そうだな。さわちゃんにもしっかり説明してればそのまま行けたのになぁ」ネー

さわ子「いや、どこから突っ込めばいいのやら」

梓「澪先輩の為だって言うから従ってはみましたが……先輩方、本当に来年大学生ですか?」ハァ

律「中野ぉ!?」ガタッ!

唯「あずにゃんそれはヒドイよ!?」ガタッ!

梓「ソレに乗った瀧先輩も瀧先輩ですよ」ヤレヤレ

律「なにをぉ~。じゃあ梓は何か案有るのか?無いだろ?」




梓「普通に『練習見に来ました』って体でここに来てもらえばよかったんじゃないですか?」

さわ子「そうよ。それでタイミング良く二人きりにさせればよかったじゃない」

律「はっ!……確かに」

梓「ホント、なんでこんな事したんでしょうね」

さわ子「瀧さんなりに、切羽詰まってたんじゃないかしら」

梓「何でまた」

さわ子「進路調査とかで、高校生活の終わりが近づいてるのを実感しちゃったから、じゃないかな?」

梓「あぁ……」

さわ子「時間の感じ方は人それぞれだけど、物事に対してそれ位の事をしてでも成し遂げる必要が有る様に思う人も居るって事よ」

梓「そうですか……」

さわ子「期末が終われば夏休みでその後二学期が始まって、マラソン大会で文化祭で、後はもう試験と入試で卒業よ?」

梓「……」




さわ子「残り八カ月が長いか短いかは人それぞれだけど、きっと彼女にとっては短いのよ」

さわ子「貴女も余り二の足を踏んでちゃ駄目よ?何かするならね」

梓「……はい」

さわ子「まぁ……時間をかけて悩むのも大事だけど」

梓「そうですか?」

さわ子「だって、この子達の今日の作戦が正解に思える?」

梓「思えません」キッパリ

唯「あずにゃん冷たい!」

律「梓、なんか今日は私達の事馬鹿にしてないかー?」

梓「失礼ながら、今日ほど先輩方を不安に思った事は無いですね」

さわ子「『急いては事を仕損じる』の具体例よね」

唯「あうぅ」ガクリ

律「バッサリだー」ガクリ

紬「まぁまぁ。おかわりいかが?」

梓「いただきます」

さわ子「私も~」




唯「でも、今日だけでさわちゃんの株は上がったよね」

律「そうだな、今日のさわちゃんは先生らしかった」

さわ子「らしいんじゃなくて先生だって言ってるでしょ」

梓「まぁ、部室の先生は先生らしくないですからね」

さわ子「梓ちゃんまで~?」ブーブー

ガチャ

エリ「ただいま戻りましたー!」

澪「ただいま」

さわ子「おかえり二人とも」

律「澪さんスミマセンでしたー!」ドゲザー

唯「私達が悪ぅございましたー!」ドゲザー

紬「えぇ~っと、私もごめんなさ~い」ドゲザー




さわ子「あら、しっかり手ぇ繋いじゃって。キチンと仲直り出来た?」

エリ「はい!さわ子先生のおかげで澪ちゃんと友達になれました!」

澪「エリが『友達になったんだから』って手を放してくれなくて……」カァ

さわ子「良かったわねぇ」

澪「エリから聞きました。先生、ありがとうございました」

さわ子「気にしない気にしな~い」

律「結果オーライだよな澪」ドゲザー

唯「良かったねエリちゃん!」ドゲザー

エリ「うん!二人もアリガト」

紬「おめでとう二人とも。お茶入れるわね?」

澪「あぁ、ありがとう。律と唯は後5分そのままな」

唯「えぇ!?」ドゲザー

律「ご無体な!?」ドゲザー




エリ「良いの?」

澪「良いの」

梓「まぁ、自業自得ですよね」プッ

さわ子「じゃぁ、5分したら帰りなさいよ。もう下校時刻だからね。ムギちゃん、御馳走様」スタスタ

ガチャ  バタン

エリ「さわ子先生……カッコイ~」

澪「部室じゃあだらけきってるもんだけどな」

エリ「さっきのさわ子先生もカッコよかったよ~」

澪「そうなんだ、ちょっと見たかったな」

紬「はい、ケーキもどうぞ」ズイ

梓「折角ですし余ってるのも食べちゃってください」ズズイ

エリ「後輩ちゃんも付き合わせちゃってごめんね?」

梓「いえ、おめでとうございます」

唯「余りもってそれ、私達のじゃ無いの?」ドゲザー

律「チクショー、中野めぇ」ドゲザー

* * *




次の日!

エリ「って訳で澪ちゃんと仲良くなれたよ!」

三花「……え?あの作戦実行したの?」

エリ「結果としては試合に負けて勝負に勝った感じだけどね」

三花「唯ちゃんのギャグだと思ってたのに……」

エリ「中々楽しかったよ。まぁ今やってって言われても恥ずかしくて出来ないけど」

ガチャ

澪「コラ律!それを渡せ!」ダダダ

律「へっへーん。やーだよーい」ダダヒョイ

エリ「あ!澪ちゃんオハヨー!」フリフリ

澪「あ!エリ!律捕まえて!」

エリ「え?りっちゃんを?って何そのカメラ」

『ああそうか。どうも!エリザベスです!』

エリ「!!」カァ

『……は?』

『澪ちゃんとお喋りしたくて、人間になっちゃいました!』イエイ

エリ「はぁぁぁ!?ちょっとりっちゃん!なんでそんなの撮ってるの!?」ワタワタ




紬「頑張りました~」

エリ「そんな事頑張らなくて良いって!」

三花「え?何々もしかして昨日の?」

『いやいやいやいや、瀧さん何言ってるの?』

律「三花、パース!」ポイ

三花「あいよ!」キャッチ

エリ「ちょ!三花それ渡して!」ガバッ

三花「え~、私もみたい~」スルリ

澪「コラ律―!」

アカネ「三花~、何それ?」

三花「見る?面白いよ多分」

エリ「アカネも見ちゃ駄目―!」

律「ほら澪、早くあれ止めないと」




澪「あぁ!佐伯さんもそれこっちに渡して!佐藤さんも見ないで!」

三花「え~?じゃぁ、ちか!」ポイ

ちか「おっと!」キャッチ

『私が?私はエリザベスだよ?ほら』

エリ「いぃーやぁー!」カァァ

ちか「え?何これ?」

エリ「ちか!その動画止めて!」ダダダ

ちか「えっと、えっと、慶子ちゃんパス!」ポイ

慶子「ホイ来た!」キャッチ

『いや、確かにそのベースはエリザベスって唯が名付け』ピッ

三花「あれ?止めちゃうの~?」

エリ「慶子ちゃん?」




澪「飯田さん、ありがとう」ハァハァ

慶子「良いの良いの。ねぇ、これ渡すしさ」スタスタ

澪「ん?」

慶子「私の事も、名前で呼んでよ」ニヤリ

澪「な!?」カァァ

エリ「なんで!?」カァァ

慶子「折角クラスメイトなんだし、私も友達になりたいな~」ニヤニヤ

慶子「飯田なんて他人行儀な呼び方、友達じゃないよね?澪」ニヤニヤ

澪「あうあう」プシュー

エリ「もしかして見られてた!?」ギャー

慶子「まぁ偶然ね~」クルクル

律「お?もしかして慶子は昨日のここでの話を知ってるのか?」

慶子「途中からだけど」ポイ




律「教えて!」キャッチ

紬「私にも是非!」キラキラ

三花「何の話何の話?」

慶子「澪と友達になりたいなら、名字じゃ無くて名前で呼び合うんだって」

慶子「名字なんて他人行儀な呼び方じゃ無くて、ね?」

三花「へ~、じゃぁ私も佐伯さんなんて他人行儀な呼び方じゃ無くて、三花って呼んでほしいな?」

アカネ「私も私も。澪ちゃんと友達になりたいからアカネって呼んでよ~」

エリ「皆ずるいー!私が昨日あれだけ頑張ったのにー!」

ちか「あれだけ?」

律「これだけ」ピッ

『澪ちゃんだって私の事そう呼んで抱きしめてくれたじゃん』

曜子「何ですって!」ガタッ!

澪「ひぃっ!」ビクゥ

慶子「澪ったら大胆~」

曜子「ちょっと瀧さん今の話詳しく!そして澪さん、私も是非曜子と呼んで下さい!」




澪「それはエリじゃ無くて、ていうか!」

エリ「違、それは、あ~もう!」

澪エリ「「とにかくそれ止めてー!!」」

ワーワーギャーギャードッタンバッタン

姫子「騒がしいねぇ、朝から」

唯「そうだね~」

姫子「って唯どうしたの?そんなにニコニコして」

唯「やっぱり友達になるのに、理由なんかいらないよ。ねー姫ちゃん?」

姫子「え?……そうね。……私と唯も、友達?」

唯「当たり前だよ~。え?もしかして違った?」

姫子「ううん、友達だよね。アリガト唯」ナデナデ

唯「どういたしまして~」ゴロゴロ

唯「澪ちゃんもエリちゃんも、友達一杯増えて良かったね」

END


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