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澪「素直澪ちゃん!?」1

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moemoequn

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澪「なんだその罰ゲームは!」

律「なんだも何も、大富豪で三回も大貧民になった超絶大貧民様に課せられた、
  正当な罰ゲームだよ」

唯「率直に言っちゃえば、いつもとは違った素直な澪ちゃんで私たちと接して欲しいなぁ、って」

紬「まぁ! なんて素敵なのかしら!」キラキラ

澪「私はいつも自分に正直だ!」

律「いや、んなこと無いだろ」



澪「大体、最後の文化祭が終わって、
  唯の家で打ち上げと称してお菓子食べ始めたりしたところで、
  律がトランプでもしようって言ったこと自体がおかしいんだ!」

律「あれあれ~? 負けた途端言い訳ですか? 澪さん」

澪「なっ……!」

唯「あっ、でもそういう本音をぶつけるところが素直な澪ちゃんなんだねっ!」

紬「つまりもう罰ゲームは始まってるのねっ!」キラキラ

澪「始まってない! と言うかそもそも!
  大富豪ってゲーム自体、負ければ負け続けるゲームで不利すぎるんだよ!」

律「今更ソレを言うのか……」



律「分かりきってたことだろ?
  大貧民は大富豪に強いカードを二枚、貧民は富豪に強いカードを一枚、それぞれ差し出す。
  ほら、正当なルールじゃないか。
  それに同意してゲームして、負けた途端ゴネだしたり言い訳したりするのは、みっともないぞ」

澪「ぐっ……!」

律「素直に罰ゲームを受けろって。っつか、そんな無理なもんでもないだろ?
  いつも私と二人の時みたいに、建前とか抜きにして話せば良いだけなんだからな」

澪「うぅ~……りつぅ~……」

律「甘えた声を出してもダ~メ」



澪「あずさぁ~……」

梓「ぐっ……さっきから何も言わず、
  空気と化してこの場を乗り切ろうとしていた私に振りますか……」

紬「そう言えば澪ちゃんの罰ゲームが決まってから静かだったわね、梓ちゃん」

梓「だって先輩方の罰ゲームの相談だなんて、後輩の私が口を出せる訳無いじゃないですか」

唯「それは違うよあずにゃん!
  あずにゃんもゲームに参加した以上、負けた人への罰ゲームは口出ししても良いんだよ!
  それが、勝者が敗者へとしてやれる、最大限の礼儀なんだよっ!」

梓「……なんのマンガの言葉ですか、ソレ」



澪「うぅ~……むぎぃ~……」

紬「はぁぅっ! 半泣きで上目遣いをしてくる澪ちゃん! なんて可愛いの!」

律「……これだけでもうムギは満足し始めてるな」

唯「さっきからキラキラしっぱなしだもんね」

紬「でももっと可愛い澪ちゃんを見たいから!
  りっちゃんにしか見せてない澪ちゃんも見たいから!
  私は素直澪ちゃん罰ゲームを推進するわっ!」

梓「そしてあっさりと澪先輩の敵になりましたね」



律「ほぅ、じゃあ梓は澪の仲間なのか?」

梓「まさか。
  デコピンとか痛いのに比べれば、
  皆の前で服を脱ぐとか恥ずかしいものに比べれば、
  素直になるぐらいどうってことないです。
  まぁ、澪先輩の場合はソレが恥ずかしくて無理なんでしょうけど」

律「でも今梓が言ったものも澪は嫌がりそうだしな……」

唯「りっちゃんが言ったのが、たぶん一番澪ちゃんにバッチリな罰ゲームだよね」

梓「皆さんが喜べて、澪先輩の限界メーターを振り切ることが無いもの……確かにコレぐらいしか思いつきませんね」

律「だろ? 伊達に幼馴染はやってないぜ」



澪「うぅ~……ゆいぃ~……」

唯「ダメだよ澪ちゃん! 勝負の世界は非情なんだよ!
  真剣勝負をした以上、負けた人は勝った人の言うことを聞かないと、
  それは真剣に勝負をした相手にも失礼ってことになっちゃうんだよっ!」

律「おっ、唯が良いこと言った!」

律(つっても、最初はルールも知らなかったムギが、
  始めてから一度も大富豪の地位から落ちないってのは、いささか不思議な感じがしないでもない……)

澪「……うぅ~……」



唯「さぁ! 観念するんだよ! 澪ちゃん!」

紬「さぁ! 澪ちゃん!!」キラキラ

澪「………………ったよ」

律「え?」

澪「分かったって言ったんだよ。
  確かに罰ゲームに同意してゲームしたのは私だし、
  何より痛いものとか、知らない人に対して恥ずかしい思いをするのとかでもないから、
  よくよく考えれば全然マシな分類だ」

律「そうだよな。一年の頃の文化祭のパンツ事件に比べれば――」

澪「やめろ! アレは思い出すだけでも恥ずかしいっ!」



澪「ごほん……と、ともかく……そういうのに比べれば、素直になるだけなんて何とも無い。
  むしろ、今までの私通りに行動してれば良いだけなんだからな」

律「いやいや、澪。お前勘違いしてるぞ」

澪「え?」

律「お前が本当に素直なのは、私に対してだけだ。
  つまりは、他の皆に対しても、私と同じように接しないといけないってことだぞ?」

澪「律こそ何言ってんだよ。私は皆と律の扱いに差を作ったことなんてないぞ」

唯(自覚無いんだ……)

紬(自然に幼馴染に頼ってるなんて……澪ちゃんったら可愛い~♪)

梓(私に対しても素直になってくれるんでしょうか、澪先輩は。
  ……もしそうなら……それは……ちょっと嬉しいかも……)



律「ああ~……確かに差は作ってないかもしれないが、少なくても壁は作ってるだろ」

澪「それも無いって」

律「あるだろ。例えばほら、私が澪に抱きつこうとしたら、お前はどうする?」

澪「ぶってでも止める」

律「だろ? って改めて聞くと結構酷いな……」

唯「ぶっても大丈夫だってりっちゃんを信用してる証なんだね~」

紬「無意識のうちにりっちゃんに頼っちゃってる澪ちゃん……可愛いわぁ~♪」

澪「そ、そんなことない!」



律「じゃあ、唯が抱きしめようとしたらどうする?」

澪「そりゃ……頭を押さえつけて止める」

律「ムギなら?」

澪「止め……られる自信は無いな」

律「梓は?」

澪「……何か理由があるんだろうから、抱きしめ返してあげる、かな」

律「ほら違う」

澪「で、でもそれは――」

律「いやいや、何も私だって、皆をぶてって言ってるわけじゃないぞ?」



律「ただ、そういうのを壁を作ってる、もしくは差を作ってるって言うんじゃないのか?」

澪「いやだから、それはそれぞれのキャラであって――」

律「そう、キャラだからぶてないのは仕方が無い。それは私も理解できる。
  現に私も、ムギにぶってって頼まれた時は困ったもんなぁ~……」

澪「だろ?」

律「でも、そもそも私に対してぶつってことをするの自体、澪は素直になってないだろ?」

澪「は?」



律「本当は抱きしめられたい。
  でも他人の目があるから恥ずかしい。
  だから無理。
  だから照れ隠しにぶっちゃう。
  ……そんな感じじゃないのか?」

澪「そ、そんなことは無い!」

唯「顔を真っ赤にして言われてもねぇ~」

紬「そうねぇ~」

梓「あまり説得力は無いですね」

澪「皆まで!?」



律「つまりは、そういう恥ずかしいって思う感情を取っ払って――ああ、違うか。
  他人の目が恥ずかしい、って思って、自分を制御しないで欲しいって言ってるんだ。
  この罰ゲームは」

梓「恥ずかしいって感情をそのまま取っ払ったら、ただの痴女ですもんね」

紬「痴女だなんて……梓ちゃんったら大胆ね」///

梓「えぇっ!? なんでそうなるんですかっ!?」

唯「あずにゃんは大人の階段を上ってるんだね……」

梓「そ、そんなのじゃありません!」///

律「あ~……ともかくは、だ。
  私たちに遠慮しないようにしてくれ、ってことだ。
  自覚が無いから難しいかもしれんが、言葉を発する前に少し、自分の気持ちの奥底を整理してみてくれ。
  で、整理して、それでも恥ずかしすぎて自分が少しもしたくないと思うことなら断れば良いし、
  恥ずかしいけれど少しはしてみたいと思うことなら、恥ずかしいとかを抜きにして、ソレをしてみてくれ」



澪「う~……って言うか、律がなんで私のことをそんなに決め付けるんだ?
  私自身はそうじゃないって言ってるだろ?」

律「いやいや、むしろ知ってるに決まってるだろ? 幼馴染なんだし。
  昔の澪は『恥ずかしくてイヤだ』って感情が確かにあったのに、
  今の澪は『恥ずかしいけどやってみたい。けど恥ずかしいからやらない』になってるんだよ。
  だから素直になって、その恥ずかしいってのを抜きにしてくれって話だよ」

澪「難しいよぉ~……」

律「一度心の中を整理するだけだろ?
  それにさっきも言ったが、整理した上でイヤだったらイヤで良いんだ。
  それも素直な澪なんだからな」

梓「そうですよ、澪先輩。イヤならイヤで良いんです。
  ただ、やってみたいけど恥ずかしいってだけの理由なら、ちょっと勇気を出してみてくださいってだけで」

澪「梓……」



澪「……そうだよな。そもそも罰ゲームなんだから、多少難しくて当たり前だ。
  ……分かった。やってみるよ」

唯「おぉ~! 一気にやる気だね、澪ちゃん!」

律(つっかれた~……っつか、ここまで説明して言ってやらんと自分の気持ちに気付かないって、
  澪ってば相当ひねくれてんだなぁ……)

紬「“ひねくれ”じゃなくて“ツンデレ”って言うのよ~♪」

律「おおぅ! っつかムギ人の心を読むなっ!」

梓(乙女電波……)



唯「じゃあ早速……澪ちゃんをギュ~♪」ギュ~

澪「ちょっ、唯! やめ――」

澪(――ハッ! ここで心を一旦整理するのか……。
  え~っと……別に唯に抱きつかれるのは、イヤじゃ……無い。
  ただ恥ずかしいだけで……ってことはここは受け入れて……むしろ自分の気持ちを曝け出して――)

澪「――わ、私も唯を、ギュ~♪」ギュ~

律「おぉ!」

紬「まぁっ!」キラキラ

梓「なんと!」



唯「えへへ~……澪ちゃん柔らかくてあったか~い」スリスリ

澪「そ、そうか……? あ、ありがとう……」///

澪(は、恥ずかしい……けど、イヤじゃないな……うん。
  正直になるって、意外に簡単なもんだな。うん。
  ……恥ずかしいけど……)///

律「さすが唯だなぁ……躊躇いもせずに抱きついたぞ」

梓「まぁ、可愛いもの好きの唯先輩らしいですね」

律「確かに。正直になった澪はマジで堪らんな」

梓「唯先輩を抱きしめ返す時の、あの躊躇いながらも腹を括った真っ赤な表情、確かに良かったですね」



律「ライブの時とはまた違った覚悟の表情だったよなぁ……。
  っつか今思えば、澪も一年生の頃はよく唯に手を握られてたもんなんだが……。
  梓が来てからそういうのが無くなってたなぁ……」

梓「その分が全て私に来てるからですかね……」

律「って言うよりも、後輩が出来たから先輩風を吹かせたいんだろ? 澪が。
  だからそういう素が出るようなことは遠ざけるようになったんじゃね?」

梓「でもそれってもしかして、唯先輩は私を澪先輩の代わりにされてるんでしょうか?
  抱きつかせてもらえないから私で代用、みたいな」

律「どうだろ? そこまでは考えてなさそうだけどな、唯は。
  楽しくて可愛いものなら何でも好きそうだしな」



紬「あぁ……唯ちゃん良いわぁ~……」

梓「……何をウットリしてるんですか、ムギ先輩」

律「そんなに羨ましいんならムギも頼んでみたらどうだ?」

紬「えっ!? 良いの!?」

律「いや、そりゃ罰ゲームなんだし、皆平等に接する機会はあるぞ」

梓「試しに言ってみたらどうですか?」

紬「そ、そうね!」

梓(そんなに覚悟を決めること……?)

紬「あ、あの! 澪ちゃん!」



澪「ど、どうしたムギ……?」

紬「つ、次は私を! ハグしてくださいお願いしますっ!!」

律(そんな決死の覚悟みたいに言わなくても……)

澪「え、え~っと……じゃあ……」パッ

澪「む、ムギも、ギュ~♪」ギュ~

紬「はわっ!」///

律「おぉ! 自分からいった!」

唯「澪ちゃんが成長していってる!」

梓「成長……なんですか?」



紬「え、え~っと……ぎゅ、ギュ~♪」ギュ~

澪(う、うわぁ~……)///

澪「む、ムギってば、良い匂いし過ぎ」///

紬「えっ!?」///

澪「あっ、ごめん。つい、言葉に出しちゃってた……」///

紬「べ、別に、良いよ……」///



律「……なんだろ……見てるこっちまで恥ずかしくなってくる」///

梓「そ、そうですね……二人共、テレテレですもんね」///

唯「そうかなぁ~?」



梓「唯先輩の時はほら、唯先輩が照れてませんでしたから」

律「でもあの二人の場合はなぁ……二人共喜びながら、どこか恥ずかしそうだし……」

梓「なんかこう、付き合いたてのカップルを見てる気分になるんです」

律「そうそう! そんな感じ!」

唯「ん~……抱きしめるほど好きだから、抱きしめることが出来たら嬉しい……。
  そこは分かるから、二人共が嬉しがってるのは分かるんだけど……。
  りっちゃんやあずにゃんが言うみたいに照れてるってのが分かんないなぁ~……」



梓「まぁ、可愛いものならなんでも抱きつく唯先輩にとって、
  女の子同士でも抱きしめ合うのがどれだけ恥ずかしいのかが分からないんでしょうね」

律「感覚が麻痺ってきてるんだろうな。
  ま、それだけ純粋って事なんだろうけど。
  可愛くて好きだから抱きしめたい、だから抱きしめることが出来たら嬉しい、
  なんて行動原理してるんならさ」

梓「子供っぽいだけじゃないですか?」

律「それを純粋って言うんだよ、梓」

梓「自分の欲望に、って付きません? その純粋って言葉の前に」

唯「さっきから二人共ひどいっ!」ガーン!



澪(なんだろ……頭がクラクラしてきた……。
  ……あぁ、なんだか唯が皆に抱きつくのが分かるなぁ……。
  なんかこう、頭がポワポワしてきて、メチャクチャ気持ち良い……)

紬「澪ちゃんの身体、本当に柔らかい……」///

澪「む、ムギの身体だって、メチャクチャ柔らかいぞ……。
  それになんだか、とってもあったかいし……髪もふわふわで、ずっとこうしていたくなっちゃう」///

紬「そんなこと言ったら澪ちゃんだって、髪の毛サラサラで、ずっと触っていたくなっちゃう」///

澪「ムギになら、その、いくらでも、梳いていてくれて構わないぞ」///

紬「本当……?」///

澪「あ、ああ……その代わり私も、ムギの髪を触り続けるけど」///

紬「あ……」///



梓「……二人共顔が真っ赤ですね」///

律「そういう梓だって」///

梓「そういう律先輩だって」///

律「いやだって、なんかこう、むず痒いんだよ。澪の歌詞見たとき以上に!
  しかも何か部屋の気温が上がったのかって錯覚するぐらい熱いし!」

梓「目の前で熱々なことされてますからね」

律「ああもう限界!
  おい澪! ムギはその辺にして! 二人共離れて元の場所に座れ!
  次は澪が抱きつきたい奴を逆指名しろ!」

澪「えっ、あ、そうだな……」///

紬「名残惜しいわ……澪ちゃん」///

澪「私もだ……ムギ」///

律「後でいくらでも抱き付き合えば良いだろ二人で!」



律「全く……」

梓「と言うか、あまりにも二人共、夢中になりすぎじゃありません?
  ムギ先輩が、その、そういうのが好きなのを差し引いても」

律「まぁたぶん、梓が入部する前とかは、
  澪が何度かムギに泣きついてたことがあったり、ムギが澪を励ますことがあったりしてたからな……。
  妙な懐かしさでもあったんじゃないの?」

梓「むぅ……また私の入部前ですか……」

律「そうむくれるなって。
  澪ってばなんだかんだ言って、一番先輩風を吹かせたいタイプだからな。
  唯の方がそういうの目立ってたけど、澪もちゃっかりそういう部分はあったんだよ」

梓「……こんな言い方は失礼ですけど、妙に子供っぽいですね、澪先輩」

律「今更じゃね? そういう部分、今までも何度かあっただろ?」

梓「そうでしたっけ?」

律「全部ギャップ萌えとして吸収されてるから気付いてないのか……」



律「ほら梓。ご指名だぞ」

梓「で、でも……」///

紬「ほら、梓ちゃん」

律「ほら、梓」

唯「ほら、あずにゃん」

梓「み、皆さんして! 一体どうしたんですかっ!?
  と言うか澪先輩がいつもと違いすぎます!」ガタッ!

律(そんな立ち上がってまでツッコまなくても……)

澪「それは、その……今は、素直になる罰ゲーム中だから……」

梓「た、確かにそうですけど……」

澪「それになんだか、この柔らかい感触とか、あたたかさとか、
  誰か女の子に抱きつくのが癖になってきた……」

紬「まぁっ!」キラキラ

梓「唯先輩化してきてるっ!?」



澪「その……イヤ、か……?
  梓がイヤだって言うんなら、私もその、無理強いはしないけど……」

梓(うっ……その上目遣いは反則です……)///

梓「わ、分かり、ました……」///

澪「ほ、本当か!?」パァ~

梓(そんな嬉しそうな表情浮かべなくても……。
  というか、身長の高い澪先輩がしゃがんだまま私に上目遣いしてきたり、
  クールな印象が強い澪先輩がこんな素直に喜んだりしてるの見ると……。
  なんか、ドキドキする……)///

紬「それがギャップ萌えってやつなのよ~♪」

梓「また乙女電波ですかっ!」

律(今日のムギは全力全開だなぁ……。
  まぁ、ずっと大富豪だったムギが一番喜んでんだから、罰ゲームがあるべき場所に着地した、
  って感じだけど)


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