(12/27 00:57)
救急隊が到着した24日午後11時50分ごろ、ワゴン車は既に沈んでいた。隊員1人が隊員服のまま水温5度の池に飛び込んだが、自分の手も見えないほど視界が悪かった。本田救助隊長は「視界はほぼゼロ。救助には過酷な状況で、隊員も唇を紫にして全身を震わせていた」と語る。
生後6カ月の男児を引き上げたのは到着から約1時間後。ぐったりして意識はなかったという。
毎日新聞 2010年12月27日 0時54分(最終更新 12月27日 1時05分)
2010.12.27 02:02
現場交差点の数十メートル手前で衝突していた可能性が高いことが26日、目撃者の話で分かった。
乗用車を運転して亡くなった太宰府市内のアルバイト、秦智之さん(26)が、急いで池に飛び込む姿を目撃した住民もいた。
池に面したマンション住民の話などによると、ワゴン車は県道(片側2車線)の歩道側の第1車線を、乗用車は第2車線を南から北に向かって並走。信号機がある交差点の数十メートル手前で何らかの事情で衝突した。
目撃情報では、ワゴン車は衝突後、速度を緩めることなく交差点を過ぎ、池に沿って設置された柵(高さ約1メートル)をなぎ倒しながら約2メートル下の池に転落。間もなく池の中から「助けて」と泣き叫ぶ男女の声が聞こえたという。
現場交差点付近は見通しがよく、現場の約300メートル手前から下り坂になっており、スピードが出やすくなっていた。ワゴン車は右側が大破、乗用車は左前のバンパーが激しく損傷しており、池の柵も約10メートルにわたって破損していた。
こうした状況から、ワゴン車はブレーキを踏むゆとりがなかった可能性も高いとみられ、県警は事故当時のワゴン車の運転者や、詳しい事故状況の確認を急いでいる。これまでの調べでは、ワゴン車には定員(7人)を上回る、乳児1人を含む9人が乗っていたことが判明している。
一方、秦さんが運転していた乗用車は衝突後にセンターライン付近でいったん停止。その後、右折を知らせるウインカーを出し、県道脇のガソリンスタンド内に入って駐車。秦さんは走って県道を渡り、「人が落ちた」などと大声で叫びながら池に飛び込んだという。
2010.12.27 02:02
ワゴン車は、事故で軽傷を負ったパート従業員の男性(18)のために、父親が1カ月ほど前に購入したことが分かった。
福岡県警によると、ワゴン車は同県八女市黒木町のパート従業員男性の父親名義。
事故後、自力で脱出し病院に運ばれた男性は、駆けつけた父親に「事故当時、自分は運転していなかった」と話したという。
福岡市博多区では乗用車を運転していた太宰府市青葉台4、アルバイト、秦智之さん(26)の通夜が行われた。中学時代に所属していた剣道部の顧問、那須英之さん(48)は「明るくて元気のいい生徒だったのに。正義感が強く友達思いだったから、池に落ちた人たちを助けようと自分も飛び込んだんだろう」と肩を落とした。
毎日新聞 2010年12月27日 西部朝刊
(12/27 11:27)
警察では、27日朝から現場で遺留品の捜索を行い、事故の詳細を調べています。
女子生徒3人の学校 全校集会 12/27 12:10
事故原因を捜査している警察への取材によりますと、生存者の中には2台の車が「並走していて衝突した」と話している人もいて、裏づけを進めています。
また、警察はきょう、現場付近を再び捜索して、遺留品がないか調べています。
2010/12/27 12:14 【共同通信】
2010.12.27 12:21
2010年12月27日12時30分
福岡県警は27日、犠牲者の遺体を鑑定した結果、アルコールが検出されなかったと発表した。また、運転免許を持っていたのは乗用車の男性(26)とワゴン車の18歳の男女4人とわかった。県警は事故原因や誰がワゴン車を運転していたのかについて調べを進めている。
県警によると、助かったワゴン車の男女3人からはアルコールが検出されなかったほか、遺体を鑑定した結果、乗用車の男性とワゴン車の男女4人の計5人からはアルコールが検出されなかった。ワゴン車に乗っていた女子高校生(18)と6カ月の男児については、検体が取れず鑑定ができなかったと説明している。
県警は同日午前、現場の池で事故原因の特定につながる遺留品がないか捜索をした。
現場は片側2車線の直線道路。県警は2台の破損状況などから、左側をワゴン車が、右側を乗用車が並走していて、何らかの原因でぶつかった可能性があるとみている。
ワゴン車に乗っていた10代の男女8人のうち、4人が運転免許を持っていたことが27日、県警筑紫野署への取材で分かった。同署は、このうちのいずれかが事故当時運転していたとみて、特定を進めている。
また、24日深夜の事故前に「県道を2台の車が並走していた」との目撃情報がある一方、救出された3人の説明が一致しない部分もあるといい、同署は現場の池で遺留品を捜索するなどして、慎重に事故原因を調べている。
同署によると、免許を持っていた4人はいずれも18歳で、亡くなったアルバイト山本翔さんら男性2人と県立八女農業高校3年石原瞳さんの3人のほか、救出されたパート男性。この4人と乗用車を運転していたアルバイト秦智之さん(26)からはアルコールは検出されなかったという。(2010/12/27-12:59)
2010年12月27日13時6分
[時事通信社]
(2010年12月27日13時42分 読売新聞)
ワゴン車の衝突直前の速度は時速50キロ程度とみられ、制限速度とほぼ同じだったことが捜査関係者への取材でわかった。県警は高速走行が原因で事故が起きた可能性は低いと判断しており、衝突時の状況について慎重に捜査を進めている。
捜査関係者などによると、交差点直前とみられる衝突現場の前後にブレーキ痕はなく、転落した県道脇付近に長さ3メートル程度のタイヤの走行痕があるだけだった。
衝突地点からワゴン車がガードパイプをなぎ倒した県道脇までは10メートル余りで、そこから池の中の転落場所までは約5メートル。ガードパイプは歩行者用で強度が弱い。こうしたことから、それぞれの距離と推定速度を分析すると、衝突直前は時速50キロ程度だった可能性が高いという。乗用車は破損の状態などから、ワゴン車よりも低速だったとみられるという。現場の制限速度は時速50キロだった。
また、ワゴン車から脱出した3人のうち、男性(18)は県警の聴取に「自分と別の1人が交代で運転していた」と説明。県警は事故当時の状況について、詳しく事情を聞く方針。
(2010年12月27日 読売新聞)
2010.12.27 14:57
福岡県太宰府市で乗用車と衝突したワゴン車が池に転落し7人が死亡した事故で、乗用車のアルバイト、秦智之さん(26)=太宰府市=の葬儀が27日、福岡市博多区であった。
葬儀は、秦さんの両親の意向で友人のみ約70人が参列。出棺前のあいさつで父親が「智之のことをどうか忘れないでください」と訴えた。
秦さんは事故後にワゴン車の女子高校生らを救助のため、池に飛び込み死亡したとみられており、葬儀場関係者によると、友人の男性が「勇気ある行動、誠実な行動、おまえらしい」とあいさつ。すすり泣きの声が響いた。
ひつぎには、クリスマスに母親が贈ったが手を通さずじまいになった手袋や、交際相手の女性がプレゼントしようとしていた洋服などが納められたという。
運転免許がある生存者1人と死者4人からアルコールは検出されていないという。
実況見分では、現場にブレーキ跡がないことなどが確認された。ワゴン車は衝突し、減速できないまま左前方の池に転落したとみられる。ワゴン車の生存者は「交代で運転していた」と証言しているが、事故当時に誰が運転していたかは特定できていないという。
毎日新聞 2010年12月27日 西部夕刊
毎日新聞 2010年12月27日 東京夕刊
“若すぎる死”悲しみ続く 12/27 16:16
福岡市の斎場では、乗用車に乗っていた秦智之さんの葬儀が営まれました。
秦さんは衝突の直後、近くに車を停め、自ら池に飛び込んだということで、ワゴン車の人たちを助けようとしていたと見られています。
一方、警察はきょうも現場の池で、遺留品を探すなど捜査を続けています。
池に落ちたワゴン車から脱出し助かった人の中には、「2台の車が並走していて衝突した」と話している人もいるということで、警察が裏づけを進めています。
また、警察は双方の車に乗っていた合わせて10人のうち、血液検査ができなかった女子高生1人と6か月の男の子を除く8人について、いずれもアルコールは検出されなかったと発表しました。
事故当時、ワゴン車を誰が運転していたかも特定されておらず、警察は事故の原因を慎重に調べています
【福岡】太宰府7人死亡事故 捜査続く
12/27 18:24 更新
警察は27日も、現場付近で遺留品を探すなどして捜査を続けています。現場の池では、朝から警察がボートを使って捜索活動を行いました。池の中からは、車の部品や子供用のクッションなどが回収されています。
警察は、回収した遺留品を鑑定するほか、事故が起こった深夜にあわせて検問を行い、目撃者を探す予定です。警察の調べでは、ワゴン車に乗っていた9人のうち4人が運転免許を持っていましたが、誰が運転していたか、特定には至っていません。
7人死亡事故 悲しみ広がる 12/27 19:28
●目撃した人
「ドーンっていう音がして、振り返ったら池に突っ込んで落ちていっている状況だった。1分もたたないうちに沈んでしまった」(男性)
「バーンって音がして、事故かなと思って外を見たけど、普通に来るが通っていたので『あれ?』と思ったら、子供の名前呼ぶ声や『助けて』という声が聞こえてきて、どこだろうと思っていたら、池で人が溺れていた」(女性)
●目撃した人
「雷みたいな音がバリバリバリバリとして、水面に男女4人ぐらいがあがってきて、『助けてくれ』と言っていた。自力で男の子2人は上がってきたけど、女の子2人はまだ水の中にいた。そっちの方にロープを投げようとするが、届かないから、下にいた男の子に渡したら、男の子が泳ぎながらロープを投げて、女の子1人を助けたんだけど、もう1人は沈んで見えなくなった」
当時、太宰府市の気温は3度。
警察によりますと、池の水温は5度でした。
ワゴン車と衝突した乗用車は池に転落しませんでしたが、運転していたアルバイトの秦智之さんは、水中に沈んでいるのが見つかり、死亡が確認されました。
衝突の直後、近くに車を停めて自ら池に飛び込んだということで、ワゴン車の人たちを助けようとしたとみられています。
●秦さんの同僚
「一緒にタバコでも吸おうって声かけました。タバコと缶コーヒーを供えてきました。本心から『こいつやさしいっちゃろうね』ってやつだったんですよね、仕事しよって」
●後藤記者
「捜査員がボートに乗って、遺留品を集めています」
きょうの捜索では靴やバッグ、携帯電話のほか、死亡した赤ちゃんが使っていたとみられる哺乳瓶も回収されました。
一方、事故原因について警察は、生存者の中に2台の車が「並走していて衝突した」と話す人もいることから裏づけを進めています。
また、警察は双方の車に乗っていたあわせて10人のうち、血液検査ができなかった女子高生1人と、赤ちゃんを除く8人からはアルコールが検出されなかったと発表しました。
9人が乗っていたワゴン車については、誰が運転していたかも特定されておらず、事故原因を慎重に調べています。
クリスマスイブの悲劇…車転落、7人死亡
水没した車の“恐怖”を検証
12月27日(月) (5分24秒)
死亡したアルバイト山本翔さん(18)、悠斗ちゃん(6カ月)親子の通夜が27日夜、同県八女市内で営まれた。
参列者によると、祭壇には2人の遺影が並べられ、遺体は眠っているようだったという。車から脱出した妻(18)が喪主を務めた。遺族は皆泣いていたという。
3人のクラスでは担任の女性教諭が「いろいろな機会に3人に思いを浮かべ、心の中で語ってほしい」と呼び掛けると、多くの同級生が涙を流したという。(2010/12/27-21:15)
衝突したとみられる場所付近から池までの路上にワゴン車のブレーキ痕がなかったことが27日、捜査関係者への取材で分かった。
ワゴン車は乗用車と衝突後、ブレーキをかける間もなく池に転落した可能性が高い。
しかし、衝突の状況には不明な点も多く、県警は事故の目撃者を捜すため、27日深夜に現場の県道で検問を実施。生存者にも事情を聴くなどして、慎重に原因を調べる。
2010/12/27 21:48 【共同通信】
2010年12月27日22時6分
[時事通信社]
2010年12月27日 22:09
最終更新:2011年01月10日 18:14